基準撮影法 2
前 富山県厚生連滑川病院画像診断部 中谷 恒夫
基準撮影法 2 は、『受診者がどの地域でどの検診施設を受診しても、安心し納得できる 質の高い検診を提供するという観点から、必要かつ最小限の体位(数)で組み立てた簡明な 撮影法と、高濃度・低粘稠の造影剤により画質を担保し、「手技が簡明」、「最低限の画質 が得られる」、「精度管理の基盤となり、成果を期待できる」1標準化・統一化された撮影 法で精度管理の基盤を構築し、画質の安定と更なる向上を図る。2』をコンセプトに組み 立てられた、任意型検診に用いて頂きたい撮影法です。
講演では動画を用い、実際の撮影についてお話しをいたします。また、本稿では時間の 関係上スライドに載せる事が出来ない部分について記載しておきます。
基準撮影法(1・2)3は、下表のように造影剤・発泡剤の種類や量とともに、体位・他、手 順が基準化されていますが、テキスト 3等を参照し実際にこれを守ったつもりでも現実に は撮影者の意識が反映しますので、講習会等で「似て非なる」画像を見る事もたまにござ います。
各項目についての注意事項はテキスト 3 等を参照していただければ詳しく解説してあり ますが、それ以外の所感について記載をしておきます。
1. 発泡剤投与時の誘導のしかたにより、安定した空気量が得られますので、受診者との コミュニケーションを上手にとれるよう、各位思考して頂ければ良いと思います。 2. 布団の「形状・大きさ・硬さ」の他、特に挿入法について各施設の研鑽が必要です。 3. 基準撮影法は「時間等の制約が厳しく、あらゆる面において簡略化が求められる環境 下を想定した撮影法であり、必要最低限のもののみで構成されている。そう言った意 味では、一枚一枚の画像が果たす役割は、非常に大きい」4ので、画質(造影効果/描 出範囲)の追及も平行して研鑽頂きたいですし、「二重造影法の弱点を知る」5ことも 重要です。
苦言を連ねましたが、具体的な部分については会場の受付横に相談コーナーを設けてあ りますのでご利用下さい。
最も根本的な解決方法は「胃エックス検査を楽しんで行って下さい。」6 という言葉につ きます。つまり「難しい検査をしている」のではなく「楽しく検査をしている」という「意 識の切り替え」7を行うことで容易にクリアー出来ます。
末筆ながら、本日受講頂いた各位の今後のご研鑽とご発展を祈念いたします。
1 :胃がん X 線検診新しい基準撮影法マニュアルテキスト日本消化器がん検診精管構 2008 年 11 月 2 :馬場保昌,吉田諭史:組織特性からみた早期胃癌の X 線診断,日消がん検誌:2008,46(2):166-176 3 :NPO 日本消化器がん検診精度管理評価機構 胃がんX線検診 技術部門テキスト 2014 年度版 4 :高橋伸之:胃癌死をなくすために 日本放射線技師会北海道学術大会 技術セミナー 抄録(2009.10) 5 :丸山稚一:胃癌精密X線検査技術論序説 p3-9 1989.12
6 :細井董三:胃 X 線検査を学ぶ 富山県がん検診従事者講習会 富山消化管撮影研究会 講演抄録 2001.3
7 :養老孟司:「いちばん大事なこと」集英社 2003.11、「バカの壁」新潮社 2003.4「希望のしくみ」宝島社 2004.12 1. 検査薬剤には、200∼230w/v%、150ml 前後の高濃度・低粘稠性粉末造影剤および 5g の発泡剤を 20ml
前後のバリウムまたはバリウム希釈液で服用する。
2. 前壁撮影:頭低位腹臥位二重造影撮影時は、必ず圧迫フトンを使用する
3. 医療機関ないし撮影者が,個々の考え方に基づいて採用している任意撮影体位や、病変粘膜や健常粘 膜のX線所見をより明確に表す目的で行われる特定部位を標的とした追加撮影を組み入れることがで きる。