.
... .
.
.
国際金融
イントロダクション
慶田 昌之
立正大学 経済学部
為替レートを知っていますか?
為替レートは、日本の通貨(円)と外国の通貨の交換レート である。
為替レートは、外国為替市場で需要と供給によって決定し、 毎日、時々刻々と変動する。
このような為替レートの決まり方は、制度による。
かつては、1 ドル= 360 円と決まっていて、いつでも、誰で も、このレートで交換することができた。
為替レートが変動すると、
今、1ドル=100円としよう。
このような表記を、私たち日本人にとって自国通貨建て(円 建て)為替レートと呼ぶ。
当然、1 円= 0.01 ドルである。こちらは外国通貨建て(ドル 建て)為替レートとよぶ。
通常は、自国通貨建て通貨レートを用いる。
為替レートが変動すると、
1ドル=100円から1ドル=120円に変動したと仮定する。 あなたが100ドルの海外製品を購入しようと思っていたな ら、支払い金額は、1万円から1万2千円に値上がりするこ とになる。
あなたは、購入するかどうか再検討するかもしれない。
あなたが1万円の日本製品を海外で販売しようとしていたな らば、海外の購入者の支払額は100ドルから83.333ドルに 値下がりする。
海外の消費者は、日本製品を購入しやすくなるだろう。
為替レートが変動すると、
1ドル=100円から1ドル=120円になることを、円安ドル 高と呼ぶ。
相対的に、1円の価値が低下し、1ドルの価値が上昇してい るから。
自国通貨建て為替レートの値は、100 から 120 に上がってい るのに、「円安」であることに注意。
1円の価値は、外国通貨建て為替レートで表示され、1 円= 0.01ドルから 1 円= 0.008333 ドルに低下している。
為替レートが変動すると、
1ドル=100円から1ドル=80円に変動したと仮定する。 あなたが100ドルの海外製品を購入しようと思っていたな ら、支払い金額は、1万円から8千円に値下がりすることに なる。
あなたは、購入しやすくなるだろう。
あなたが1万円の日本製品を海外で販売しようとしていたな らば、海外の購入者の支払額は100ドルから125ドルに値上 がりする。
海外の消費者は、日本製品を購入しにくくなる。
為替レートが変動すると、
1ドル=100円から1ドル=80円になることを、円高ドル安 と呼ぶ。
相対的に、1円の価値が上昇し、1ドルの価値が低下してい るから。
自国通貨建て為替レートの値は、100 から 80 に下がっている のに、「円高」であることに注意。
1円の価値は、外国通貨建て為替レートで表示され、1 円= 0.01ドルから 1 円= 0.0125 ドルに上昇している。
為替レートはなぜ変動するのか
為替レートは需要と供給により変動する。
すなわち、円という通貨を求める人が多ければ、円高ドル安 に、ドルという通貨を求める人が多ければ、円安ドル高に なる。
さらに、これから円高になりそうだと思う人は、円を今購入 して、円高になった後に売却し、利益を得ようとするだ ろう。
すなわち、通貨は資産としての側面を持っている。 このような需要も為替レートの決定に影響するだろう。 円を購入する際に、ドルを売れば、ドルの供給も変動する。
あなたはどのくらい海外製品を購入していますか?
このように、為替レートは私たちが日々消費する海外製品・ サービスの価格に直接影響する。
海外旅行に行って購入するお土産や、旅行費用も同様である。
そのような貿易される財の金額は年々増加傾向にある。 このような、貿易額の増加と国際資本移動の増加を指して、 グローバル化と呼ばれている。
貿易額の増加・国際資本移動の増加
貿易額の増加・国際資本移動の増加
グローバル化
1980年代から1990年代にかけて、国際貿易取引、国際資本 取引、国際金融取引において、国境を越えて地球規模(グ ローバル)で取引が行われるというグローバル化が急速に進 展した。
この動きは、先進国のみならず、新興市場(エマージング・ マーケット)を構成する国々にも大きな影響をもたらした。
グローバル化する世界の中で
グローバル化が、大きな恩恵をもたらしたことは、疑いない。 貿易額が急速に増加したのは、それだけ外国の財・サービス を求めていたことに他ならないからである。
しかし、その一方で、いくつかの地域でなくならない貧困 が、グローバル化の結果だと主張する論者もいる。
また、WTO(自由貿易機関)は、幾度もの交渉を経ても、世 界のどの国にとっても、「フェア」な貿易ルールを確立でき ずにいる。
グローバル化とローカル化
グローバル化は、地球規模で市場が統合していくことを指し ていると考えられる。
究極的な目標として一つの市場のメリットは大きいであろう が、実際には完全にひとつの市場に統合するまでには時間が かかると考えられる。
そのなかで、可能な地域から統合していくという考え方が、 現れている。
EUは、そのひとつの例であり、EU の一部の国は通貨統合ま
で成し遂げている。
現在、日本を含むさまざまな地域で二国間あるいは多国間で、 自由貿易協定が締結、または交渉されている。
この授業では
このような現状を、正しく理解するためには、次の視点が重 要である。
国際金融は、制度が重要な役割を果たしている。制度につい ての正しい理解が必要である。
同時に、国際金融は多くの経済主体が参加する複雑な経済現 象である。これを理解するためには、理論なしには、理解す るのは困難である。したがって、理論的な理解が必要となる。
この授業では
国際金融の制度 為替レートの決まり方
国際金融システムのメカニズム
この授業では
国際金融は、聞き慣れない言葉がたくさんある。
言葉の意味を正しく理解することが、この講義の内容を理解 する第一歩である。