【警 告】
【禁 忌】 (次の患者には投与しないこと)
本剤の成分又はポリミキシンBに対し過敏症の既往歴のある患者
本剤の耐性菌の発現を防ぐため、「効能・効果に関連する使用上の注意」及び
「用法・用量に関連する使用上の注意」の項を熟読の上、適正使用に努めること。
総 合 製 品 情 報 概 要
ポリペプチド系抗生物質製剤
薬価基準収載劇薬、処方箋医薬品(注意−医師等の処方箋により使用すること)
for Injection 150 mg
注射用コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム日本標準商品分類番号 876125
CONTENTS
開発の経緯 ……… 3
製品特性 ……… 4
製品情報 ……… 5
警告 ……… 5
禁忌 ……… 5
組成・性状 ……… 5
有効成分に関する理化学的知見 ……… 5
効能・効果 ……… 6
用法・用量 ……… 6
使用上の注意 ……… 7
臨床成績 ……… 10
海外臨床試験成績 ……… 10
副作用(承認時)……… 12
薬物動態 ……… 13
血中濃度 ……… 13
代謝および排泄 ……… 14
分布(外国人データ) ……… 14
腎機能障害患者における薬物動態(外国人データ) ……… 15
その他:血漿蛋白結合率( ) ……… 15
薬効薬理 ……… 16
作用機序 ……… 16
抗菌作用 ……… 17
動物感染試験 ……… 18
一般薬理試験および毒性試験 ……… 20
一般薬理試験(マウス、イヌ、 ) ……… 20
毒性試験 ……… 21
製剤学的事項 ……… 25
取扱い上の注意 ……… 25
包装 ……… 25
関連情報 ……… 25
主要文献 ……… 26
製造販売業者の名称及び住所(資料請求先を含む) ……… 27
製品写真 ……… 27
改訂年月 ……… 27
in vitro
in vitro
開発の経緯
コリスチンはサイクリックポリペプチド系の抗菌薬であり、福島県伊達郡の土壌中の有芽細胞菌から分離 精製された新規の抗生物質として、1950年に小山らにより報告されました1)。コリスチンは、当初硫酸塩 および塩酸塩として開発されましたが、低毒性の誘導体が検索された結果、1960年にコリスチンメタン スルホン酸ナトリウム(CMS-Na)が開発されました。その後1960年代から1970年代にかけてグラム陰性 桿菌由来の感染症の治療に用いられましたが、腎機能障害や神経毒性の頻度が高いこと2)、β-ラクタム系 やアミノグリコシド系など安全性が高く有効な抗菌薬が新たに開発されたことにより、1980年代以降世 界的にもCMS-Na注射剤の使用は減少しました。本邦では1997年3月に薬価削除となり、2004年6月に 承認整理が行われました。
近 年 、既 存 の 薬 剤 で は 効 果 が 期 待 で きな い 多 剤 耐 性 緑 膿 菌( M D R P : M u l t i - D r u g R e sis t a n t Pseudomonas aeruginosa)※1、多剤耐性アシネトバクター属※2など多剤耐性グラム陰性桿菌による感 染症が出現したことにより、CMS-Na注射剤が治療薬として見直され、既存の薬剤では効果が期待でき ない感染症に対する最後の選択肢になるとの評価が得られています。
このような状況の中、2008年3月に産・官・学共同で開催された第1回抗感染症薬開発フォーラムにおい てMDRP対策の現状が報告され、一部医療機関のみがアウトブレイクに備えCMS-Na注射剤を個人輸入 などにより備蓄している状況にあることから、医療保険下での適正使用を可能にすべきとの要望が強く 訴えられました。グラクソ・スミスクライン株式会社は医療上の必要性および関係学会の要望を深く受け 止め、CMS-Na注射剤の開発意向を固めました。その後、2009年6∼8月に「医療上の必要性が高い未承 認の医薬品または適 応の開発の要望に関する意 見 募集」が実施され、社団法 人日本化学療 法学会から CMS-Na注射剤を多剤耐性グラム陰性桿菌による各種感染症を効能・効果として開発すべき薬剤である との要望が提出されました。当該要望の内容は第3回「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会 議」(2010年4月27日開催)においても支持され、2010年5月に開発企業を募集する医薬品の1つとして公 表されました。この段階ですでに本剤の開発意向を示していたグラクソ・スミスクライン株式会社は、厚 生労働省に対して開発意思の申し出を行い、日本人健康成人男性を対象とした第Ⅰ相試験を実施後、「コ リスチンに感性の大腸菌、シトロバクタ―属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、緑膿菌、アシネトバク タ―属による各種感染症(ただし、他の抗菌薬に耐性を示した菌株に限る)」を効能・効果として、2015年 3月に承認を取得しました。
なお、本剤は希少疾病用医薬品として、2010年11月10日付けで指定を受けています。
製品特性
コリスチンは、β-ラクタム系、フルオロキノロン系およびアミノ配糖
体系の 3 系統の抗菌薬に耐性を示す感染症の場合にのみ使用する
ことができるポリペプチド系抗生物質です。
⇒p 6 参照
1
コリスチンに感性の大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エン
テロバクター属、緑膿菌、アシネトバクター属による各種感染症(ただ
し、他の抗菌薬に耐性を示した菌株に限る)に効能・効果を有します。
⇒p 6 参照
2
通常、成人には、コリスチンとして 1 回 1 . 25 ∼ 2 . 5 mg(力価)/kgを
1 日 2 回、 30 分以上かけて点滴静注します。
⇒p 6 参照
3
グラム陰性桿菌の細菌外膜の安定性を低下させ、細菌外膜に局
所的な障害を起こすことにより殺菌活性を発揮します。
⇒p 16 参照
4
副作用(承認時)
多剤耐性グラム陰性桿菌患者を対象とした 6 つの海外臨床試験に
おいて、主な有害事象(本薬との関連性の有無にかかわらず発現し
た事象)として腎機能障害、神経系障害が認められました。 6 試験を
合算した各事象の発現割合は腎機能障害 21 %( 53 / 248 例)、神経系
障害 2 %( 6 / 276 例)でした。
重 大 な副 作用として、腎不全、腎機能 障害、呼吸 窮迫、無 呼吸、
偽膜性大腸炎(いずれも頻度不明)が報告されています。
⇒p 8 参照
5
製品情報
「警告・禁忌を含む使用上の注意」の改訂には十分にご留意ください。
警告
禁忌
有効成分に関する理化学的知見
1バイアル中のコリスチンメタンスルホン酸ナトリウム含量 添加物
販売名
コリスチン(別名:ポリミキシンE)として172.5mg*(力価) なし
性状 白色∼淡黄色の塊(凍結乾燥ケーキ)である。
pH 6.5∼8.5(1w/v%水溶液)
オルドレブ点滴静注用150mg
【警 告】
【禁忌】 (次の患者には投与しないこと)
本剤の耐性菌の発現を防ぐため、「効能・効果に関連する使用上の注意」及び「用法・用量に関連する 使用上の注意」の項を熟読の上、適正使用に努めること。
本剤の成分又はポリミキシンBに対し過敏症の既往歴のある患者
一般名:コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム(Colistin Sodium Methanesulfonate) 略 号:CL(コリスチン)
分子式:コリスチンAメタンスルホン酸ナトリウム:C58H105N16O28S5Na5 コリスチンBメタンスルホン酸ナトリウム:C57H103N16O28S5Na5 分子量:コリスチンAメタンスルホン酸ナトリウム:1749.82
コリスチンBメタンスルホン酸ナトリウム:1735.79 構造式:
組成・性状
コリスチンAメタンスルホン酸ナトリウム R=6-メチルオクタン酸
Dbu=L-α, -ジアミノブタン酸 R’= SO3Na
R=6-メチルヘプタン酸 コリスチンBメタンスルホン酸ナトリウム
:
:
R―Dbu―Thr―Dbu―Dbu―Dbu―D―Leu―Leu―Dbu― Dbu―Thr Nγ―R’ Nγ―R’ Nγ―R’ Nγ―R’ Nγ―R’
γ
*:調製時の損失を考慮に入れ、1バイアルから150mg(力価)(450万国際単位(IU)に相当)を投与可能な量として確保するため過量充てんされている。
製品情報
効能・効果
用法・用量
<適応菌種>
コリスチンに感性の大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、緑膿菌、アシネトバクター属 ただし、他の抗菌薬に耐性を示した菌株に限る
<適応症> 各種感染症
通常、成 人には、コリスチンとして1回1.25∼2.5mg(力 価)/kgを1日2回、30分以 上 かけて点 滴 静注 する。
効能・効果に関連する使用上の注意
1.β-ラクタム系、フルオロキノロン系及びアミノ配糖体系の3系統の抗菌薬に耐性を示す感染症の場合 にのみ本剤を使用すること。
2.原則としてコリスチン及び上記3系統の抗菌薬に対する感受性を確認した上で本剤を使用すること。 3.本剤はグラム陽性菌、ブルセラ属、バークホルデリア属、ナイセリア属、プロテウス属、セラチア属、プロ ビデンシア属及び嫌気性菌に対しては抗菌活性を示さないため、これらの菌種との重複感染が明ら かである場合、これらの菌種に抗菌作用を有する抗菌薬と併用すること。
用法・用量に関連する使用上の注意
1.本剤の使用は、感染症の治療に十分な知識と経験を持つ医師又はその指導の下で行うこと。
2.本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、感染部位、重症度、患者の症状等を考慮し、適 切な時期に、本剤の継続投与が必要か否か判定し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとど めること。
3.高齢者あるいは腎機能障害患者に本剤を投与する場合は、腎機能に十分注意し、患者の状態を観察し ながら、下表を目安として用法・用量の調節を考慮すること。(「慎重投与」、「高齢者への投与」及び「薬 物動態」の項参照)
<参考:腎機能に対応する用法・用量の目安>
≧80 1回1.25∼2.5mg(力価)/kgを1日2回投与 50∼79 1回1.25∼1.9mg(力価)/kgを1日2回投与
30∼49 1回1.25mg(力価)/kgを1日2回又は1回2.5mg(力価)/kgを1日1回投与 10∼29 1回1.5mg(力価)/kgを36時間ごとに投与
クレアチニンクリアランス
(mL/min) 用法・用量
使用上の注意
(1) 腎機能障害のある患者[本剤は主に腎排泄されるため高い血中濃度が持続するおそれがある。]
(「用法・用量に関連する使用上の注意」及び「重要な基本的注意」の項参照)
(2) 重症筋無力症の患者[本剤の神経筋遮断作用により症状が悪化するおそれがある。]
(3) 高齢者[「用法・用量に関連する使用上の注意」及び「高齢者への投与」の項参照]
慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
1
(1) 本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をと ること。
1) 事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必 ず確認すること。
2) 投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。
3) 投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に、投 与開始直後は注意深く観察すること。
(2) 本薬の投与により腎機能障害が発現し、腎不全に至ったとの報告があるので、投与開始にあたっ ては、腎機能を評価し、投与期間中は3日ごとを目安に腎機能のモニタリングを行うこと。腎機能 に異常が認められた場合には、本剤を減量又は中止するなど適切な処置を行うこと。(「用法・用 量に関連する使用上の注意」、「慎重投与」及び「重大な副作用」の項参照)
重要な基本的注意
2
3 相互作用
■ 併用注意(併用に注意すること)
筋弛緩剤 ツボクラリン スキサメトニウム ボツリヌス毒素製剤 筋弛緩作用を有する薬剤
アミノグリコシド系抗生物質
(ゲンタマイシン、アミカシン、 トブラマイシン等)
ポリミキシンB エーテル
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
バンコマイシン
アミノグリコシド系抗生物質 等
神経系障害を発現するリスクが高ま るおそれがあるため、患者の状態を十 分に観察するなど注意すること。
いずれの薬剤も神経筋遮断作用 を有しており、併用によりその作 用が増強されるおそれがある。
腎機能障害があらわれることがある ので、併用の必要性については十分に 検討すること。
いずれの薬剤も腎機能障害を悪 化させる作用を有しており、併用 によりその作用が増強するおそ れがある。
製品情報
多剤耐性グラム陰性桿菌患者を対象とした6つの海外臨床試験において、主な有害事象(本薬との関 連性の有無にかかわらず発現した事象)として腎機能障害、神経系障害が認められた。6試験を合算し た各事象の発現割合は腎機能障害21%(53/248例)、神経系障害2%(6/276例)であった3-8)。
(1) 重大な副作用
1) 腎不全、腎機能障害(頻度不明注1)):腎不全等の重篤な腎機能障害があらわれることがあるの で、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適 切な処置を行うこと。
2) 呼吸窮迫、無呼吸(頻度不明注1)):神経系障害として呼吸窮迫、無呼吸があらわれることがある ので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。 3) 偽膜性大腸炎(頻 度不明注1)):偽膜性大腸炎があらわれることがあるので、観察を十分に行
い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
(2) その他の副作用
4 副作用
本剤は主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多いため、腎機能に 十分注意し、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
高齢者への投与
5
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(国内における使用経験 がない)。
小児等への投与
7
(1) 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される 場合にのみ投与すること。[コリスチンメタンスルホン酸はヒト胎盤を通過することが報告されて いる3)。]
(2) 授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。[コリスチンメタンスルホン酸はヒト母乳 中へ移行することが報告されている4)。]
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
6
腎臓 精神神経系
尿量減少
錯乱、精神病性障害、運動失調、不明瞭発語、錯感覚、頭痛、浮動性めまい
耳 回転性めまい
眼 視覚障害
筋骨格系 筋力低下 消化器 悪心、嘔吐、下痢
皮膚 痒症、全身性 痒症、蕁麻疹、発疹 全身症状 過敏症反応(皮疹、血管浮腫)注2)、発熱 投与部位 注射部位反応、注射部位刺激感
頻度不明注1)
注1) 患者を対象とした国内臨床試験を実施していない。 注2) このような場合には投与を中止すること。
徴候・症状:本剤の過量投与により神経筋接合部が遮断され、筋力低下、無呼吸、場合によっては呼吸 停止が引き起こされる可能性がある。また、尿量減少、血清BUN及びクレアチニン濃度の上昇を特徴 とする急性腎不全が引き起こされる可能性もある。
処置:本剤の過量投与が疑われた場合は、投与を中止するなど、適切な対症療法を行うこと。本剤を除 去する処置(マンニトールによる浸透圧利尿の誘発、腹膜透析、長時間血液透析等)の有用性は不明で ある。
8 過量投与
(1) 調製方法:本剤1バイアルに注射用水又は生理食塩液2mLを加え、泡立たないように穏やかに溶 解し溶解液とする(溶解液の濃度は75mg(力価)/mLである)。この溶解液を生理食塩液等で希 釈し、通常50mLの点滴静注用液とする。
(2) 調製後:調製後の溶解液は速やかに使用すること。なお、やむを得ず保存を必要とする場合でも、 冷蔵庫(2∼8℃)に保存し24時間以内に使用すること。希釈した点滴静注用液は速やかに使用し、 残液は廃棄すること。
(3) 本剤を他の薬剤と配合しないこと。
適用上の注意
9
2015年3月作成(第1版)
臨床成績
本剤は社団法人日本化学療法学会から「多剤耐性グラム陰性桿菌による各種感染症を効能・効果とし て開発すべきである」との要望が提出され、第3回「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会 議」(2010年4月27日開催)において指定を受けた品目です。また、2010年4月27日に開催された独立 行政法人医薬品医療機器総合機構との医薬品第Ⅰ相試験開始前相談の合意に基づき、多剤耐性緑膿 菌(MDRP)やその他の多剤耐性グラム陰性桿菌による感染症はその性質上、患者を対象とした一定 の症例数を収集する試験の実施は困難であり、コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム注射剤の効能・ 効果などは既存の情報(成書、ガイドライン、公表論文、使用実態など)から説明可能と判断しました。 このような状況から、申請時に提出した海外臨床試験成績の公表論文32報のうち、添付文書の臨床成 績の項に記載のとおり、本邦の承認用法・用量に類似した6報を参考として示します。
なお、本邦における承認外の成績を含むデータが一部含まれています。
「警告・禁忌を含む使用上の注意」等については、p5∼9をご参照ください。
2.5∼5mg/kg/日 60例 1日2∼3回5)
コリスチン用法・用量* 症例数
(35/60例)58% 臨床効果
5mg/kg/日 23例
1日2回6) (14/23例)61%
2.5∼5mg/kg/日 21例
1日3回7) (12/21例)57%
2.5∼5mg/kg/日 78例
1日3回8) (60/78例)77%
5mg/kg/日 31例
1日2∼4回9) (16/31例)52%
5mg/kg/日 115例
−10) (59/115例)51%
*:腎機能により調節されている場合、最高用量を記載した。なお、本剤の承認用量は1.25∼2.5mg/kg/回、1日2回である。
−:不明(文献に記載されていない)
5) 承認時評価資料:Levin AS, et al.: Clin Infect Dis, 28(5), 1008-1011(1999) 6) 承認時評価資料:Linden PK, et al.: Clin Infect Dis, 37(11), e154-e160(2003) 7) 承認時評価資料:Garnacho-Montero J, et al.: Clin Infect Dis, 36(9), 1111-1118(2003) 8) 承認時評価資料:Kallel H, et al.: Int J Antimicrob Agents, 28(4), 366-369(2006)
9) 承認時評価資料:Hachem RY, et al.: Antimicrob Agents Chemother, 51(6), 1905-1911(2007) 10) 承認時評価資料:Cheng CY, et al.: Int J Antimicrob Agents, 35(3), 297-300(2010)
【用法・用量】
通常、成人には、コリスチンとして1回1.25∼2.5mg(力価)/kgを1日2回、30分以上かけて点滴静注する。 重要な基本的注意(抜粋)
(2) 本薬の投与により腎機能障害が発現し、腎不全に至ったとの報告があるので、投与開始にあたっては、腎機能を評価し、投与期間中は3日ごとを目安に腎 機能のモニタリングを行うこと。腎機能に異常が認められた場合には、本剤を減量又は中止するなど適切な処置を行うこと。(「用法・用量に関連する使 用上の注意」、「慎重投与」及び「重大な副作用」の項参照)
海外臨床試験成績
(本邦における承認外の成績を含むデータが一部含まれています。 )Levinらによる報告 Levin AS, et al.: Clin Infect Dis, 28(5), 1008-1011(1999) 目 的 : 多剤耐性菌による感染症に対するコリスチンの有効性を検討する。
対 象 : 緑膿菌またはアシネトバクター属による感染症に対してコリスチンを投与した患者60例 投与方法 :コリスチン2.5∼5.0mg/kgを1日2回または3回静脈内投与した。
評価項目 :臨床効果、有害事象
安全性 : 主な有害事象は腎不全で、腎機能正常患者で腎不全が27%、クレアチニン値異常患者で腎機能の悪化が58%であった。 Lindenらによる報告 Linden PK, et al.: Clin Infect Dis, 37(11), e154-e160(2003)
目 的 : 多剤耐性緑膿菌による重度の感染症に対するコリスチンの有効性を検討する。 対 象 : 多剤耐性緑膿菌による感染症に対しコリスチンを投与した患者23例
投与方法 :中等度の腎機能障害患者:コリスチン5.0mg/kg/日を1日2回静脈内投与 重度の腎機能障害患者:コリスチンを2.5mg/kg/日を1日1回静脈内投与
血清クレアチニン値4mg/dL以上の患者:コリスチン1.0mg/kg/日を1日1回静脈内投与 評価項目 :臨床効果
Garnachoらによる報告 Garnacho-Montero J, et al.: Clin Infect Dis, 36(9), 1111-1118(2003)
目 的 : 多剤耐性アシネトバクターバウマニによる人工呼吸器関連肺炎に対するコリスチンの有効性と安全性を検討する。 対 象 : 多剤耐性アシネトバクターバウマニによる人工呼吸器関連肺炎患者21例
投与方法 :腎機能正常:コリスチン2.5∼5.0mg/kgを1日3回静脈内投与
血清クレアチニン値1.2∼1.5mg/dL:コリスチン2.5∼3.8mg/kgを1日2回静脈内投与 血清クレアチニン値1.6∼2.5mg/dL:コリスチン2mg/kgを1日1回静脈内投与
血清クレアチニン値2.6mg/dL以上:コリスチン1.5mg/kgを48時間間隔で静脈内投与 評価項目 :臨床効果、有害事象
安全性 : 腎毒性および神経毒性が報告された。
Kallelらによる報告 Kallel H, et al.: Int J Antimicrob Agents, 28(4), 366-369(2006)
目 的 : 多剤耐性アシネトバクターバウマニまたは緑膿菌による院内感染に対するコリスチンの有効性と安全性を検討する。 対 象 : 多剤耐性アシネトバクターバウマニまたは緑膿菌に院内感染した患者78例
投与方法 :腎機能正常:コリスチン75∼150×103U/kg/日を1日3回静脈内投与
血清クレアチニン値120∼135mol/L:コリスチン75∼110×103U/kg/日を1日2回静脈内投与 血清クレアチニン値140∼230mol/L:コリスチン60×103U/kg/日を1日1回または2回静脈内投与 血清クレアチニン値230mol/L以上:コリスチン30∼45×103U/kgを48時間間隔で静脈内投与 評価項目 :臨床効果、有害事象
安全性 :腎機能正常患者52例中7例 (13.5%)に腎不全が認められた。
Hachemらによる報告 Hachem RY, et al.: Antimicrob Agents Chemother, 51(6), 1905-1911(2007) 目 的 : 多剤耐性緑膿菌感染がん患者におけるコリスチンの有効性と安全性を検討する。
対 象 : 多剤耐性緑膿菌による感染症を伴うがん患者31例 投与方法 :コリスチン5mg/kg/日を1日2∼4回静脈内投与
透析を受けている患者は、1日目にローディングドーズのコリスチン2.5mg/kgを投与し、以降1.5mg/kgを36時間間隔で 静脈内投与した。
評価項目 :臨床効果
Chengらによる報告 Cheng CY, et al.: Int J Antimicrob Agents, 35(3), 297-300(2010) 目 的 : グラム陰性菌による重度の感染症に対するコリスチンの安全性と有効性を検討する。 対 象 : アシネトバクターバウマニまたは緑膿菌による感染症患者115例
投与方法 :クレアチニンクリアランス80mL/min以上:コリスチン5.0 mg/kg/日を静脈内投与 クレアチニンクリアランス30∼79mL/min:コリスチン2.5∼3.8mg/kg/日を静脈内投与 クレアチニンクリアランス30mL/min未満:コリスチン2.5mg/kg/日を静脈内投与 無尿患者:コリスチン2.5mg/kg/日を1日おきに静脈内投与
評価項目 :臨床効果、有害事象 安全性 : 腎毒性が14%認められた。
臨床成績
■ 【参考】国内第Ⅰ相臨床試験における副作用一覧11)
MedDRA/J Ver 16.1で読み替え(器官別大分類(SOC)および基本語(PT))
11) 承認時評価資料:Mizuyachi K, et al.: Curr Med Res Opin, 27(12), 2261-2270(2011)(本研究はグラクソ・スミスクライン(株)の支援(出資、著者)により実施された。)
因果関係がある全有害事象発現例数(%) 有害事象発現例数
1 (7) 7 (50)
1 7
投与群 単回投与 反復投与
被験者数 15 14
有害事象発現件数 1 11
有害事象項目 発現例数(%)
神経系障害
浮動性めまい 0 (0) 5 (36)
頭痛 0 (0) 1 (7)
体位性めまい 0 (0) 0 (0)
胃腸障害
口の錯感覚 0 (0) 3 (21)
下痢 0 (0) 1 (7)
嘔吐 0 (0) 1 (7)
全身障害および投与局所様態
歩行障害 1 (7) 0 (0)
呼吸器、胸郭および縦隔障害
口腔咽頭痛 0 (0) 0 (0)
目 的 : 日本人健康成人男性におけるコリスチンの薬物動態を評価し、安全性を検討する。 試験デザイン : 無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験
対 象 : 日本人健康成人男性22例
投与方法 : コリスチンとして2.5mg(力価)/kgまたはプラセボを30分かけて単回静脈内投与および12時間間隔で5回反復 静脈内投与した。なお、単回投与と反復投与の間には7日間以上の休薬期間を設けた。
評価項目 : 単回投与または反復投与時の血清中コリスチン濃度の推移、有害事象
多剤耐性グラム陰性桿菌患者を対象とした6つの海外臨床試験において、主な有害事象(本薬との関連性 の有無にかかわらず発現した事象)として腎機能障害、神経系障害が認められた。6試験を合算した各事 象の発現割合は腎機能障害21%(53/248例)、神経系障害2%(6/276例)であった3-8)。
重大な副作用
1) 腎不全、腎機能障害(頻度不明注1)):腎不全等の重篤な腎機能障害があらわれることがあるので、定期的 に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。 2) 呼吸窮迫、無呼吸(頻度不明注1)):神経系障害として呼吸窮迫、無呼吸があらわれることがあるので、観
察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
3) 偽膜性大腸炎(頻度不明注1)):偽膜性大腸炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が 認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
注1) 患者を対象とした国内臨床試験を実施していない。
副作用(承認時)
薬物動態
健康成人にコリスチンとして2.5mg(力価)/kgを30分かけて単回静脈内投与および12時間間隔で5回反 復静脈内投与したときの血漿中コリスチンメタンスルホン酸およびコリスチンの薬物動態パラメータは 下表に、血漿中コリスチン濃度推移を下図に示す。また、血漿中コリスチン濃度は5回の反復静脈内投与で 定常状態に到達した。
■ 薬物動態パラメータ
■ 血漿中コリスチン濃度推移 血漿中コリスチン
メタンスルホン酸
血漿中コリスチン
単回投与 18.0±3.7 20.8±5.9 0.7±0.3 反復投与 17.2±2.5 16.1±4.6 0.5±0.2
反復投与 4.4±1.6 29.0±8.3 5.0±1.0 単回投与 2.6±1.3 17.6±6.8 4.0±0.7
(μg/mL)Cmax (μg・hr/mL)AUC0-∞ (hr)t1/2
健康成人
11)1
血中濃度
平均値±標準偏差 (単回投与14例、反復投与13例)
投与後時間
(μg/mL)
(hr)
血漿中コリスチン濃度
0 0 4
2 6
2 4 6 8 10 12
反復投与(n=13) 単回投与(n=14) 平均値+標準偏差
薬物動態
多剤耐性グラム陰性桿菌による敗血症の外国人成人患者14例にコリスチンメタンスルホン酸として2.1∼ 3.8mg/kg(1例は0.5mg/kg)を8時間または12時間間隔で3∼17日間反復静脈内投与したときの定常 状態における血 漿中コリスチンのCmaxは約2.9±1.2μg/mL、AUCは12.8±5.1μg・hr/mL、t1/ 2は 7.4±1.7時間であった(平均値±標準偏差)。
代謝および排泄
11、13、14)分布(外国人データ)
16、17)【効能・効果】
<適応菌種>コリスチンに感性の大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、緑膿菌、アシネトバクター属 ただし、他の抗菌薬に耐性を示した菌株に限る
<適応症>各種感染症
【用法・用量】
通常、成人には、コリスチンとして1回1.25∼2.5mg(力価)/kgを1日2回、30分以上かけて点滴静注する。
【使用上の注意】(抜粋) 7. 小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(国内における使用経験がない)。
多剤耐性グラム陰性桿菌による敗血症の成人患者(外国人データ)
12)2
静脈内投与後のコリスチンメタンスルホン酸の約30%はコリスチンに変換され、抗菌活性を発揮する。 また、コリスチンメタンスルホン酸は主に腎排泄されるが、コリスチンは再吸収された後に腎以外の経路 で排泄される。
日本人健康成人に2.5mg(力価)/kgを30分かけて単回静脈内投与したときの投与24時間後までの尿中 に、コリスチンメタンスルホン酸が30.4%、コリスチンが7.9%回収された。
多剤耐性アシネトバクターバウマニによる髄膜炎の外国人小児患者1例にコリスチンメタンスルホン酸ナト リウムとして5mg/kg/日を1日4回に分けて静脈内投与したときの血清中コリスチンのCmaxは5μg/mL、 AUCは約23μg・hr/mL、t1/2は約2.8時間であった。投与1時間後の髄液中コリスチン濃度は1.25μg/mL であり、髄液移行率(血清中濃度との比)は25%であった。
外国人成人の人工呼吸器関連肺炎患者13例にコリスチンメタンスルホン酸として4.74∼9.48mg/kg/日を 8時間間隔で1日3回静脈内投与したときの投与4.5日後の血漿中コリスチンのCmaxは約2.2±1.1μg/mL、 AUC0-8は約11.5±6.2μg・hr/mL、t1/2は5.9±2.6時間であり(平均値±標準偏差)、投与2時間後の気管支肺胞 洗浄液からはコリスチンは検出されなかった。
■ コリスチンメタンスルホン酸とコリスチンの代謝イメージ15)
コリスチンメタンスルホン酸
腎排泄
腎排泄
腎以外の排泄
加水分解 コリスチン
コリスチンの適正使用に関する指針: コリスチンの適正使用に関する指針作成委員会: 日本化学療法学会雑誌, 60, 446-468(2012)
腎機能障害患者における薬物動態(外国人データ)
18)■ CLcrと血漿中コリスチンメタンスルホン酸および血漿中コリスチンのt1/2
の関係
19 4.6(1.9∼9.1) 9.1(6.3∼12) 62 5.6(3.2∼14) 13(8.2∼19) 20 11(6.3∼43) 13(7.0∼18) 例数(n)
> 70 11∼69
< 10
(mL/min/1.73mCLcr 2)
コリスチンメタンスルホン酸 t1/2
(hr)
コリスチン
中央値(10パーセンタイル∼90パーセンタイル)
対象:外国人重症患者101例(血液透析患者12例を含む)
方法:コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム約200∼1,093mg/日を8∼24時間間隔で投与した。
【効能・効果】
<適応菌種>コリスチンに感性の大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、緑膿菌、アシネトバクター属 ただし、他の抗菌薬に耐性を示した菌株に限る
<適応症>各種感染症
【用法・用量】
通常、成人には、コリスチンとして1回1.25∼2.5mg(力価)/kgを1日2回、30分以上かけて点滴静注する。 用法・用量に関連する使用上の注意(抜粋)
3. 高齢者あるいは腎機能障害患者に本剤を投与する場合は、腎機能に十分注意し、患者の状態を観察しながら、下表を目安として用法・用量の調節を考慮す ること。(「慎重投与」、「高齢者への投与」及び「薬物動態」の項参照)
<参考:腎機能に対応する用法・用量の目安>
1. 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)(抜粋)
(1) 腎機能障害のある患者[本剤は主に腎排泄されるため高い血中濃度が持続するおそれがある。](「用法・用量に関連する使用上の注意」及び「重要な
腎代替療法を受けていない多剤耐性グラム陰性桿菌による外国人重症感染症患者101例のうちCLcrが 10mL/min/1.73m2未満の患者20例におけるコリスチンメタンスルホン酸のt1/2(中央値)は11時間であ り、コリスチンのt1/2(中央値)は13時間であった。CLcrが11∼69mL/min/1.73m2の患者62例における コリスチンメタンスルホン酸のt1/ 2(中央値)は5.6時間、コリスチンのt1/ 2(中央値)は13時間であった。 CLcrが70mL/min/1.73m2超の患者19例におけるコリスチンメタンスルホン酸のt1/2(中央値)は4.6時 間、コリスチンのt1/2(中央値)は9.1時間であった。腎機能低下患者では、コリスチンメタンスルホン酸の腎 排泄が低下し、より多くのコリスチンメタンスルホン酸がコリスチンに変換されると考えられる。
外国人重症患者におけるコリスチンの血漿蛋白非結合型分率を平衡透析法により検討した結果、血漿蛋 白結合率は66%と算出された19)。
その他:血漿蛋白結合率( ) in vitro
≧80 1回1.25∼2.5mg(力価)/kgを1日2回投与 50∼79 1回1.25∼1.9mg(力価)/kgを1日2回投与
30∼49 1回1.25mg(力価)/kgを1日2回又は1回2.5mg(力価)/kgを1日1回投与 10∼29 1回1.5mg(力価)/kgを36時間ごとに投与
クレアチニンクリアランス (mL/min) 用法・用量
薬効薬理
作用機序
20、21)■ コリスチンの作用機序
コリスチンの標的は細菌外膜であり、グラム陰性菌のリポポリサッカライド分子との静電的相互作用によ り細菌外膜の安定性を低下させ、細菌外膜に局所的な障害を起こす結果、細胞内物質を流出させ殺菌活 性を発揮する。
リポポリサッカライド O抗原
コリスチン
コリスチン
外膜
内膜 ペリプラズム間隙
溶菌
グラム陰性菌の細胞質
カルシウムイオンや マグネシウムイオンの架橋構造断裂
細胞表面の透過性亢進により 細胞内物質流出
日本国内において2007∼2008年に血液およびその他の組織から臨床分離された緑膿菌※株の各種抗菌 薬に対する感受性を微量液体希釈法により測定した。コリスチンに対する感受性は、MIC rangeで0.25
∼4μg/mL、MIC90で2μg/mL、感受性率で96∼97%であった。
同調査において、4名の患者から多剤耐性緑膿菌(判定基準:イミペネム、アミカシンおよびシプロフロキ サシンのMIC:それぞれ≧16μg/mL、≧32μg/mL および≧4μg/mL)が分離され、そのうち、コリスチ ンのMICを測定した3例においては、いずれもコリスチンに対して感受性であった(MIC:≦2μg/mL)。
日本国内において2000∼2003年に臨床分離された多剤耐性緑膿菌株の各種抗菌薬に対する感受性を 寒天平板希釈法により測定した。メタロ-β-ラクタマーゼ(MBL)産生菌のコリスチンに対する感受性は、 MIC rangeは2∼8μg/mL、感受性率(breakpoint:2μg/mL)は16.7%であった。一方、MBL非産生菌 のコリスチンに対する感受性は、MIC rangeは2∼4μg/mL、感受性率は31.3%であった。
抗菌作用
多剤耐性緑膿菌の感受性( )
22、23)1 in vitro
■ 臨床分離された緑膿菌※
に対するコリスチンの感受性
血液(83) その他(35)
0.25 ∼ 4 0.5 ∼ 4 分離組織(n) MIC range(μg/mL)
1 2 MIC50
(μg/mL)
2 2 MIC90
(μg/mL)
96.4 97.1 感受性率(%)
MBL産生菌(18) MBL非産生菌(16)
2 ∼ 8 2 ∼ 4 分離菌(n) MIC range(μg/mL)
2 2 breakpoint*1
(μg/mL)
16.7 31.3
S-ratio(感受性率)
(%)
■ 臨床分離された多剤耐性緑膿菌に対するコリスチンの感受性
*1:CLSIに準じたbreakpoint
■ 臨床分離された多剤耐性アシネトバクターバウマニに対する
コリスチンの感受性(東南アジア諸国、中国およびインドなど)
MIC range
(μg/mL)
分離菌(n) (μg/mL)MIC50 (μg/mL)MIC90 感受性率(%)
東南アジア諸国、中国およびインドなどで1998∼2006年に臨床分離された多剤耐性アシネトバクター バウマニ(30株)の各種抗菌薬に対する感受性を、微量液体希釈法により測定した。その結果、29株がコ リスチンに対して感受性であり(MIC:0.5∼2μg/mL)、1株のみが耐性であった(MIC:128μg/mL)。
多剤耐性アシネトバクターバウマニの感受性( )
24、25)2 in vitro
薬効薬理
緑膿菌※1標準株2株(ATCC27853およびPAO1)または臨床分離された多剤耐性緑膿菌株1株(19056) の浮遊液(約107cfu/mL、50μL)を、好中球減少症を誘発させた雌Swissマウスの両肢後大腿筋に筋肉 内接種し、接種2時間後からコリスチン硫酸塩※(2 5、10、20または40mg/kg)を3、6、8、12または24時間 間隔で皮下投与した(5∼160mg/kg/日)。
また、上記の緑膿菌※1標準株2株または臨床分離された多剤耐性緑膿菌株1株の浮遊液(約108cfu/mL、 50μL)を、好中球減少症を誘発させた雌Swissマウスに鼻腔内接種し、接種2時間後からコリスチン硫 酸塩※(2 5、10、20または40mg/kg)を6、8、12または24時間間隔で皮下投与した(5∼160mg/kg/日)。 別途、大腿筋感染マウスにコリスチン硫酸塩※(2 5、10、20または40mg/kg)を単回皮下投与し、投与10時 間後までの6∼8時点に血漿中非結合型コリスチン濃度を測定し、得られた血漿中非結合型コリスチン濃 度-時間曲線から、各投与群での血漿中非結合型コリスチン濃度-時間曲線を推定し、血漿中非結合型コリ スチン濃度のCmax(fCmax)およびAUC(fAUC)を算出し、抑制型シグモイド用量反応モデルを用いて PK-PD分析を行い、抗菌活性とPK-PD指標(fCmax/MIC、fAUC/MICまたはfT>MIC)との相関性を 検討した。
そ の 結 果 、緑 膿 菌※1標 準 株 の 大 腿 筋 感 染 マ ウス お よび 肺 感 染 マ ウスの いず れ に お いて も 、効 力と fAUC/MICとの強い相関がみられた(それぞれR2が87%および89%、非線形回帰分析)ことから、コリス チンの抗菌活性は、用量に依存すると考えられる。また、殺菌活性を示すのに必要なfAUC/MIC は、緑膿 菌の標準株感染ラットと多剤耐性菌株感染ラットの間で明らかな差はみられなかったことから、コリスチ ンは同じ用量で、多剤耐性緑膿菌感染症に対して感受性菌と同程度の抗菌活性を示すと考えられる。
PK-PDモデル(マウス)
25)1
動物感染試験
※1 本剤の適応菌種は、コリスチンに感性の大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、緑膿菌、アシネトバクター属である。(ただし、他の抗 菌薬に耐性を示した菌株に限る)
※2 本剤(オルドレブ)は、コリスチンメタンスルホン酸ナトリウムである。
多剤耐性緑膿菌(2.0×107cfu/mL)を雄Balb/cマウス(1群20匹)の尾静脈内に接種し、接種直後にコリ スチン(1mg/kg)を尾静脈内投与して、接種72時間後までマウスを観察した。その結果、コリスチン投与 により、接種24時間後の血中緑膿菌レベルは対照群の1/10,000以下に低下し、72時間後のマウスの死亡 率は対照群の100%に対して、コリスチン投与群では30%であり、多剤耐性緑膿菌感染による死亡に対し て有意な抑制作用を示した(p<0.05、Fisher’s testまたはBonferroni’s test)。
多剤耐性緑膿菌感染マウス敗血症モデル(マウス)
26)2
■ 多剤耐性緑膿菌感染マウス敗血症モデルにおけるコリスチンの効果
対照(生理食塩液) コリスチン
20/20(100%) (7.9±2.2)×107 6/20*(30%) (1.4±8.6)×103*
投与群 死亡数/動物数(死亡率) 血中緑膿菌レベル(接種24時間後)
(cfu/mL, mean±SD)
*:p<0.05(Fisher’s test またはBonferroni’s test)vs 対照群
一般薬理試験および毒性試験
一般薬理試験(マウス、イヌ、 )
27-29)CMS-Na:コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム
動物種(例数) 投与方法
CMS-Naの
用量 結果
試験の種類
雄マウス
(10)
腹腔内 200∼700 mg/kg
中枢神経系に及ぼす影響呼吸および心血管系に及ぼす影響
200mg/kg以上:
投与30分以後に自発運動の低下、
鎮静状態または呼吸抑制などがみられ、数例は死亡した。 400mg/kg以上:
投与直後(5∼10分後)に自発運動の亢進 または刺激に対する過敏反応などがみられた。 600∼700mg/kg:
上記と同様の症状がみられたのち、 ほとんどの動物が死亡した。
イヌ
(1)
静脈内 100,120 mg/kg
120mg/kg :
投与直後に一過性の軽度の血圧低下を示し、 その後上昇した。
in vitro
自律神経系に及ぼす影響
カエル 心臓標本
(1)
in vitro 1∼10 mg/mL
5mg/mL:
拍動の心幅を増大させ、拍動数を増加させた。 10mg/mL:
拍動の心幅を縮小させ、拍動数を減少させたが、 やがて正常に回復した。
ウサギ耳介 血管標本
(1) カエル後肢 血管標本
(1)
in vitro 50mg/kg 50mg/kg:
ウサギ摘出耳介血管およびカエル後肢血管の 灌流標本のいずれにおいても、
可逆的に血管流量を増加させた。
ウサギ 腸管標本
(1)
in vitro
in vitro
≦0.5∼30 mg/mL
1∼30mg/mL:
一過性の腸管の振幅増大および緊張上昇を示した。 30mg/mL:
上記と同様の症状がみられたのち、
腸管の振幅および運動量が減少し腸管運動は停止した。
モルモット 腸管標本
(1)
1∼20 mg/mL
5∼10mg/mL以上: 濃度依存的に弛緩した。
コリスチンメタンスルホン酸ナトリウムの単回投与による急性毒性について、マウスを用いて種々の投与経 路(静脈内、腹腔内および皮下)で評価した。コリスチンメタンスルホン酸ナトリウムの致死量投与により、 筋協調運動失調、呼吸困難、ストリキニーネ様痙攣(強直性痙攣)などが観察された。マウスにおけるLD50は、 静脈内、腹腔内および皮下投与で、それぞれ222.33mg/kg、126.50mg/kgおよび138.00mg/kgであった。
単回投与毒性試験(マウス)
30、31)1
毒性試験
対照:生理食塩液
動物種 投与経路 (mg/kg)LD50
マウス 静脈内 222.33
マウス 腹腔内 126.50
マウス 皮下 138.00
マウスおよびラットにコリスチンメタンスルホン酸ナトリウムを1ヵ月間腹腔内投与(最高用量:マウス300 mg/kg/日、ラット60mg/kg/日)ならびにラットに6ヵ月間腹腔内投与(最高用量:30mg/kg/日)して、 コリスチンメタンスルホン酸ナトリウムの反復投与毒性を評価した。
その結果、コリスチンメタンスルホン酸ナトリウムの高用量を反復腹腔内投与することにより、呼吸異常、 興奮症状、痙攣、運動失調、筋緊張など、主に中枢神経系および呼吸系に関連すると考えられる症状が観 察された。生存例では軽度な赤血球系パラメータの低値がみられ、コリスチンメタンスルホン酸ナトリウ ムの腹腔内への大量反復投与による軽度な刺激に対する反応性の変化と考えられる肝臓・脾臓・胸腺な どの器官重量の変動ならびに肝臓および脾臓の病理組織学的な変化が観察された。
これらのことから、マウスの1ヵ月間投与毒性試験の無毒性量は100mg/kg/日、ラットの1ヵ月間および 6ヵ月間投与毒性試験の無毒性量はそれぞれ10mg/kg/日および5mg/kg/日と推定された。
反復投与毒性試験(マウス、ラット)
32、33)2
ICRマウス 1ヵ月
動物種/系統 投与期間
腹腔内 投与経路
0(対照)、50、100、300
(mg/kg/日)投与量
各群雌雄各10匹 例数
100 Wistarラット 腹腔内 1ヵ月 0(対照)、5、10、20、60 各群雌雄各10匹 10 Wistarラット 腹腔内 6ヵ月 0(対照)、5、10、20、30 各群雌雄各10匹 5
(mg/kg/日)無毒性量
一般薬理試験および毒性試験
コリスチンの遺伝毒性試験について、 試験としての細菌または哺乳類細胞を用いる復帰突然変 異試験、DNA損傷・修復試験、前進突然変異試験および染色体異常試験、さらに 試験としてのマ ウスを用いた骨髄小核試験の結果が報告されている。これらの結果において、コリスチンは遺伝毒性を示 さなかった。
遺伝毒性試験( 、マウス)
31、34)3
コリスチンの臨床での投与期間は原則として短期間であることから、がん原性試験は実施していない。 なお、コリスチンは遺伝毒性( 、マウス)を示さず31、3 4)、反復投与毒性試験(マウス)においても腫 瘍性病変および前癌病変が認められていない32、33)。
がん原性試験
4
in vitro
in vivo
in vitro
in vitro
コリスチンメタンスルホン酸ナトリウムの生殖発生毒性試験として、マウス、ラットおよびウサギを用いて 静脈内投与により各種試験を実施した。
その結果、雌雄親動物の生殖能に悪影響は認められず、高用量投与により胎児の骨化遅延または胎児体 重の減少傾向がみられたが、マウス、ラットおよびウサギにおいて催奇形性作用は認められなかった。
生殖発生毒性試験(マウス、ラット、ウサギ)
35-41)5
動物種/系統 投与経路(投与期間) (mg/kg/日)投与量 (mg/kg/日)無毒性量 試験系
ICR マウス
静脈内
(雄:交配63日前
∼交配期間中、 雌:交配14日前
∼妊娠6日)
0(対照)、 60、125、 250
Wistar ラット
静脈内
(雄:交配60日以上前
∼交配期間、 雌:交配14日前
∼妊娠7日)
0(対照)、 6.25、12.5、 25
受胎能および初期胚発生胚・胎児発生 出生前・発生および母
親動物の一般毒性、受胎能および初期胚 発生に対する無毒性量:250
親動物の一般毒性および受胎能に対する 無毒性量:25
初期胚発生に対する無毒性量:12.5
ICR マウス
静脈内
(妊娠6∼15日)
0(対照)、 125、250、 500
Wistar ラット
静脈内
(妊娠7∼17日)
0(対照)、 6.25、12.5、 25
母動物の一般毒性および生殖能に対する 無毒性量:500
胚・胎児発生および出生児の発育に対する 無毒性量:125
母動物の一般毒性に対する無毒性量:25 母動物の生殖能に対する無毒性量:12.5 胚・胎児発生に対する無毒性量:12.5
New Zealand White ウサギ
静脈内
(妊娠6∼18日)
静脈内
(妊娠15日
∼分娩後21日)
静脈内
0(対照)、 50、63、80
母動物の一般毒性、生殖能および胚・胎児 発生に対する無毒性量:80
ICR マウス
Wistar
0(対照)、 125、250、 500
例数 各群 雌雄 各25匹
各群 雌雄 各22匹
各群雌 30匹
各群雌 30匹
各群雌 10∼12匹
各群雌 20匹
母動物の一般毒性および生殖能および 次世代に対する無毒性量:500
0(対照)、 各群雌 母動物の一般毒性および生殖能および
一般薬理試験および毒性試験
コリスチンの静脈に対する局所刺激性を評価するための特別な試験は実施されていない。
なお、静脈内および腹腔内投与により実施された生殖発生毒性試験(マウス、ラット、ウサギ)において、著 しい刺激性を示す所見は報告されていない35-41)。
局所刺激性試験
6
コリスチンメタンスルホン酸の投与スケジュールの違いによる反復投与毒性への影響(ラット)
コリスチンメタンスルホン酸の臨床における有害事象である腎毒性および神経毒性の発現しにくい最適 な投与スケジュールを検討するために、臨床での用法を考慮して、ラットにコリスチンメタンスルホン酸を 1日総投与量が同じになるように、8時間ごとに20mg/kg(20mg/kg/8h:臨床では12時間ごとに4.5 mg/kg の2回投与に相当)または12時間ごとに30mg/kg(30mg/kg/12h:臨床では9mg/kgの1日1回 投与に相当)の用量で7日間静脈内投与した。また、150mg/kg/12h(臨床で相当する用量なし)の用量で も同様に投与した。
150mg/kg/12h群では投与1日目の投与直後に筋力低下、運動失調、努力呼吸などの明らかな神経毒性、 さらには口渇、口唇および舌の蒼白がみられたため同群を切迫屠殺した。この群では病理組織学的検査 において尿細管壊死などの重度の腎毒性が認められた。一般状態観察では、30mg/kg/12h群に自発運 動 の 低 下が みら れ た の みで 、そ の 他 に 顕 著 な 変 化 は 認 めら れ な かった 。病 理 組 織 学 的 検 査 で は 、 20mg/kg/8h群および30mg/kg/12h群で近位尿細管に細胞性円柱がみられ、30mg/kg/12h群では 程度はより強く、また、近位尿細管壊死、間質性腎炎などのより多様な腎病変が認められた。
これらのことから、腎毒性および神経毒性の発現を抑制・軽減するためには、分割してより低用量を繰り 返し投与することが望ましいと考えられた。
その他の毒性試験
42)7
製剤学的事項
取扱い上の注意
包装
関連情報
規 制 区 分:劇薬、処方箋医薬品(注意−医師等の処方箋により使用すること)
貯 法:室温保存
使 用 期 限:包装に表示
オルドレブ点滴静注用150mg:1バイアル
承 認 番 号:22700AMX00663000 承 認 年 月:2015年3月
薬 価 基 準 収 載 年 月:2015年5月 販 売 開 始 年 月:2015年5月
承 認 条 件 : 1.医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
2.日本人での投与経験が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に 係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施するこ とにより、本剤の使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有 効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。 再審査期間満了年月:2025年3月(10年)
■ 製剤の安定性43)
長期保存試験 加速試験
25℃/60%RH 40℃/75%RH
試験 保存条件
無色ガラス製バイアル -
保存形態
0、3、6、9、12、18、24ヵ月 0、1、2、3、6ヵ月
保存期間
変化なし 変化なし 苛酷試験(光) 曝光※1、2 無色ガラス製バイアル - 変化なし 試験結果
※1 成り行き湿度
※2 白色蛍光ランプで総照度120万lx·hr以上および近紫外蛍光ランプで総近紫外放射エネルギー200W·h/m2 以上の光を照射した。