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【関与取消訴訟】最終意見陳述 過去の発言等/沖縄県

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弁論終結にあたっての意見陳述

2016年2月29日

第1 はじめに

・本件は,当事者を同じくする代執行訴訟と同様、国と地方公共団体の関係 のありかた,両者の間における係争処理のあり方が正面から問われる裁判 であります。

・地方公共団体が、国の機関に対して行った処分について、当該機関が、一般

私人になりすまし、行政主体を同じくする国の行政庁に対して審査請求を行

い、国が地方公共団体の処分を覆すこと、このような手続き、国地方の関係

が、果たして地方分権改革を踏まえた改正地方自治法のもとにおける正しい

あり方なのか。もしこのようなあり方が認められるとすれば、今後、沖縄県

に限らず、我が国のどの地方公共団体でも起こりうる問題であるという意味

で、極めて深刻で重大な意義を有するものであります。

・以下、被告による本件執行停止決定の違法性と、これが国の関与にあたるこ とについて述べます。

第2 本件執行停止決定の違法性

1 ます、本件執行停止決定が違法である理由として2点述べます。

1点目は、沖縄防衛局による埋立承認出願は、「固有の資格」に基づくも

のであり、行政不服審査法の申立適格を欠いていたことです。

2点目は、本件執行停止決定が行政不服審査法の目的を逸脱したものであ

り、地方自治法に根拠のない違法な停止的関与であるということです。

2 まず、「固有の資格」についてですが、行政不服審査法は、あくまで「国

民」の権利利益の救済を図ることを目的としております。

したがいまして、国の機関が、一般私人と同じ立場にある場合に限ってそ の規定が適用され、一般私人とは異なる立場の場合には、その対象外とする のが、「固有の資格」による適用除外の趣旨であります。

したがいまして、「固有の資格」とは、「一般私人が立ちえないような立 場」と理解されているわけです。

(1)ところで、公有水面埋立法上、公有水面埋立についての「承認」は、 国以外の者に対する「免許」と区別され、その名あて人が国に限定され ているだけではありません。すなわち、

① 公物という私権の対象とならない公有水面に対して、国はその所有者

(2)

2

② また、「承認」と「免許」によって設定される権利の性質も、融通性

の有無という点、「承認」により国に対して設定される埋立権には、 行政にしかな し得な い竣功通知に よる公 用廃止の権限 が付与 される 点で、「免許」とは本質的に異なっております。

③ さらに、「承認」と「免許」の規律の内容も、承認による埋立につい

ては、免許についての取消しや条件の変更、原状回復命令等の監督処 分、免許の失効や、これに伴う原状回復義務などの規定を準用しない 等、大きく異なっているものであります。

(2)このように、公有水面埋立法における「免許」と「承認」の相違は、 たんなる用語変換ではなく、その内容がまったく異なるものであり、沖 縄防衛局は、一般私人ではなく、国の機関であるからこそ立ちうる立場、 すなわち「固有の資格」に基づいて、埋立承認申請を行ったものである ことは明らかです。

(3)その他

このように、沖縄防衛局による埋立申請が、固有の資格によることは公

有水面埋立法上明らかですが、「固有の資格」によることは、以下に述べ

る点からも裏付けられています。

まず、本件埋立申請は、外交・防衛にかかる条約上の義務の履行という

目的をもって、一連の基地建設のための事業の一環として行われているも

のであり、これは一般私人が立ちえない、まさに国家としての立場におい てなされるものにほかなりません。

また、本件執行申立書・審査請求書、被告の執行停止決定等に示された、

国家安全保障等の利益は、外交・防衛上の一般的公益そのものであって、

行政不服審査制度による保護の対象である、私人の個別的権利利益ではあ

りません。

また、判断の客観性や公正性という点からも、国の申立適格を認めるこ とには重大な問題があります。すなわち、国の申立適格を認めると、国と

いう同一の行政主体が、申立をして自らこれに対する判断をすることにな

ります。

防衛大臣と国土交通大臣は、ともに内閣の構成員として、辺野古移設を 「唯一の解決策」として一体的方針を共有しております。

このような内閣の内部において、「一般私人たる沖縄防衛局」と「公正・

中立な審査庁たる国土交通大臣」と位置付けても、その判断に、客観性も 公正性も求められないことは明白です。

(3)

3 うべきです。

(4)まとめ

以上述べましたとおり、沖縄防衛局は、「固有の資格」に基づいて埋立

申請し、承認処分等の名宛人となっておりますが、申立適格がないにも かかわらず、まさに私人になりすまして本件執行停止申立を行ったもの というほかありません。

したがって、申立適格がないことを見過ごしてなされた本件執行停止 決定が違法であることもまた、あまりにも明らかであります。

3 つぎに、本件執行停止決定は、行審法の目的を逸脱したものであり、ま

た、地方自治法に根拠のない違法な「停止」的関与であることについて述 べます。

(1)今回、被告は、内閣の閣議了解のもとに、本件埋立承認消しは違法であ

るという立場で代執行手続きを行っております。したがって、原告と真っ

向から対立する関係にあり、公平・中立な判断者たるべき審査庁の地位に

ないことは明白であります。

また、被告は、本件埋立承認取消しを違法であると判断した以上は、裁 決ができるのであって、執行停止をしなければならない「緊急の必要性」 も認められないはずです。

にもかかわらず、被告が、裁決をしないまま、本件執行停止決定のみを 行い、代執行を行うということは、裁決とは関係なく、代執行手続が進め

られている間も埋立工事を行うための方便として、本件執行停止決定を行

っているという以外にございません。

このように、本件執行停止決定は、公平・中立な判断者たるべき審査庁 の地位でなされたものではなく、裁決とは無関係に、代執行手続が進めら れている間も埋立工事を行うための方便として使われているものであり、

行政不服審査制度の目的を逸脱した、行政権の濫用として違法なものとい

うべきです。

(2)また、本件執行停止決定は、行政不服審査法の執行停止決定を、地自法

第 245 条の8による「指示」の仮執行として機能させることを目的とし

て、関与の法定主義を潜脱するような方法で行ったものであり、実質的に

は、被告が、平成11年地自法改正により廃止され、現行法に規定のない 「停止」的関与を行ったものにほかなりません。

このような地自法上の根拠がない行政的関与である「停止」的関与は、 関与の法定主義に反し違法であると言わざるを得ません。

第3 本件執行停止決定は「国の関与」に該当すること

(4)

4

る裁定的関与にあたらず、同条同号柱書の関与に該当するものであることに

ついて述べます。

そもそも、地自法245条3号が括弧書きで裁定的関与を除外した趣旨は、

紛争当事者の権利救済や地位の安定を図る必要性がある等といった点に あります。

しかしながら、本件執行停止決定は、沖縄防衛局が「固有の資格」を有 し、申立適格を欠くことを看過してなされた執行停止決定であり、本来存

在しえないものであります。このような本来あり得ない執行停止決定につ

いては、先ほど述べました、権利救済や地位の安定を図る等という趣旨は 妥当しません。

また、本件執行停止決定は、実質的に、代執行の停止的関与として用い られているもので、関与の趣旨を潜脱し、行政不服審査制度を濫用するも のであることからも除外すべきものではありません。そもそも、地方自治 法245条3号括弧書きは、このような、地方自治法を潜脱する目的でな された違法な関与行為を放任する根拠とされることを予定していないと いうべきです。

このようなことから、本執行停止決定は、国の関与に該当するものであ り、本件訴訟における審理の対象になるというべきです。

第4 おわりに

1 本件は、国という同一の行政主体内部において、沖縄防衛局が、一般私

人になりすまし、被告に対し、行政不服審査法に基づく申立を行い、本件 執行停止決定によって、原告の処分を覆すというもので、地方自治の本旨 からも重大な問題をはらむものです。その一連の手続きは、まさにプレイ ヤーとアンパイヤーが同一、自作自演という他なく、不公正かつ不公平と 言わざるを得ません。

2 裁判所におかれましては、地方分権改革による改正地方自治法の趣旨を踏

まえた、本来あるべき国と地方のあり方を示す判決を下されるよう希望する

次第でございます。

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