第 6 期 ブ ロ ・ ナ ト ゥ ー ラ ・ フ ァ ン ド ` 助 成 成 果 報 告 書 ( 1997)
大雪山国立公園における自然保護を目的とした
環境教育プログラムの作成
北大自然保護研究会
渡辺 修・渡辺展之・園山 希・千葉一成
M aki ng of Pr ac t i c eof Ec o- educ at i onal Pr ogr am f or N at ur e
Cons er v at i on i n Tai s et s uz an N at i onal Par k.
N at ur e Cons er v at i onRes ear c hGr ouP, H ok k ai do uni v el 7s i t y
O s am u W at anabe, N obuy uk i W at anabe, N oz om u Sonoy am aj s s ei Chi ba
1.はじめに
近年野外レクリエーションや自然観察会が盛ん になってくるにしたがい、白然の紹介を行なうガ イドやガイドブックの需要は高まってきている。 しかし生物の分布や種名といった表面的な知識に とどまらずに、より詳しく白然生態を紹介するに は、敦科書的な知識では不十分である。実際にそ の地域の自然・社会についてデータを蓄積する必 要がある。
本活動では、北大自然保護研究会が1989年より ひがし大雪博物館とともに白然賎察会事業に取り 組み、白然生態調査/社会調査を行なってきた成
図 1 . 活 動 の 流 れ
果を「生態観察ガイドブック」という形でまとめ た。束大雪地域における初めての自然観察ガイド であるとともに、従来の自然観察ガイドブックを 踏まえて新しい視点を持たせることを目指した。
2 . 活 動 全 体 の 構 成
本 活 動 の 肋 成 の 対 象 と な っ た の は 自 然 観 察 ガ イ ド ブ ッ ク の 作 成 の 部 分 で あ る が 、 こ れ は ひ が し 大 雪 に お け る 当 研 究 会 の 活 動 の 中 に 位 置 づ け ら れ る 活 動 の 一 つ で あ る 。 1990年 か ら の 賤 光 客 へ の 白 然 案 内 や 白 然 / 杜 会 調 査 を 踏 ま え て い る だ け で な く 、 今 後 の 調 査 に も ガ イ ド ブ ッ ク 作 成 時 に 必 要 と な っ
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表1.ガイドブック作成の日程
年 月 項 目 作 業 内 容
1 9 9 0 ,
0 4 ∼ 謂 査 デ ー タ の 取 集
1 9 9 6 .
0 5
●d - 4 ・ ●Mb ●●M●■- ■・ ●■d ・ ■・ ●●●- y ●¶¶- ・ - 6 ●h t t p :/ / www.ふ 心 〃 - ・ ■JJjJjJj- ●●●●・ i- 4 ¥●4 4 M・
1 9 9 5 .
0 9 計 画 構 成 の 決 定
1 9 9 い o 計 画 文 章 執 筆 の 分 担 決 定
ふ U4 X Uよ j・ ●■・ ・ ■●・ ■●■●哺 ■・ 一 - ・ ¥- ¥S id - M・ ¥- ●- 〃 S ●・ 『 ・ ■■- ■■■㎜ h t t p :/ / www.乙 ・ = 1 9 9 6
, 0 4 作 成 イ ラ ス ト 原 案 完 成
1 9 9 6 ,
0 4 作 成 図 表 原 案 完 咸
1996. 05 調 査
M●■■・ ●■¶■¶- W← W- ら U¢ ふ ふ ー ¥U4 Uふ JU- - 皿 〃 ■皿 ■㎜ ■■■J■- W■- ・ 4 一 - ・ 4 ⇒ - − 1 9 9 6
. 0 5 作 成 使 用 写 真 決 定
八 一 ド ウ ェ ア ソ フ ト ウ エ ア 野 外 調 査 迦 具
M S Wo rd / Write
-還 a ■四 ■-■■■■■¶-■¶¶■¶y ■¥¶●¥哨 ・
Del t aGr aph Phot Q Shop
力
-4 U ・ 心 U 心 j4 〃
1998. 02 計 画 使 用 図 表 リ ス ト の 作 成 ・ 9 担
1996. 03 鴉 査 澗 斜 の 収 集 1996, 0a 執 筆 文 章 原 案 の 完 成
- ‥- ‥… … … - - - -
現 地 ゛ ご の ヂ エ ヽ I J ク ・ 写 真 揖 影
バ ソ コ ン
- マ W〃 皿 m- − 四 - ← 心 - - - - S d- M- ¥dぺ ・ 一 4 ●- S ●・ ■- - ■- ■■■・ ■●●■¶- ■・ - ■ャ ー ●¥f ・ - 吟 ・ ・ 哨 = = ベ ン 類 ・ ス キ ャ ナ
バ ソ コ ン
メ う
1 9 9 6 .
0 6 綱 集 レ イ ア ウ ト 作 成 ・ 図 の 調 整 バ ソ コ ン P a g o Ma k e r
ス キ ャ ナ P h o t o S h o p
la 9 6
、
0 7 循 集 最 終 謂 整 ・ 色 校 正 パ ソ コ ン P a g e Ma k e r
- ・ ■- ■■・ ■・ ■R - ・ 4 - μd - 〃 M- ・ ●『 - ●喝 ■■・ 「 ■- ■■y ■- - d d + iを 4 u ふ Jy JJWlu ふ Ju f Ju ・ ・ ■9 ●■j●■・ F 回 ●〃 ●・ ●●w●w中 4 4 1 1 ●- - S - - MS - - MI JS - ・ ■- ●■・ ■■- ■- 「 ■- - ●- ・ d ig ・ = ヴヾ 乙 ・ = = 〃 = ミ “= = - = 乙 〃 ゜ 〃 ゜ = ミ ¶ミ = - ミ S ` 1 9 9 6
、
0 7 印 刷 印 刷 ・ 製 本 ・ 出 版 − − 《 印 刷 会 社 》 − −
− - - - −
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表2.図表の処理手順
《 文 》 チ キ ス ト つ ? イ J し 作 成 一
( り ー プ ロ リ つ 卜 )
《 写 爽 》 ク 撮 影 I ' 4' ( ネ ガ / ポ ジ )
・ 一 − − −
D T P に 取 り 込 み
( Pag eMak er ) 一 , 一 - - - - aa- as J k s
取 り 込 み 4 ’ ト リ Ξン ク ・ 白 黒 化 ・ ・ サ イ ズ 変 更 ( ス キ ャ ナ )
《 グ ラ フ 》 デ ー タ 作 成 → ( Bx c 涌
《 図 》 下 杏 色 → ( 鉛 筆 )
ク う つ 作 成 → ( Del t aGr apb)
ミ ー - =- - - aJ 遍 s 昌
滑 害 → ( ペ ン )
取 り 込 み ( ス キ ャ ナ )
≪ イ ラ ス ト 》 下 審 き 一 瀦 槽 ・ 色 付 け →
《 表 》
( 鉛 筆 ) - - - 一 一 一 一 - - - ・ 一 S デ ー タ 作 珀 → ( Ex c ・ 1)
( ペ ン ・ 絵 の 具 )
・ ==一 一 - - - - D T P 'ご 表 作 成
{ pa g e Ma k e r }
… … … - - -
た デ ー タ の 収 集 が 反 映 さ れ る 。 ま た 、 1996年 度 に 試 験 的 に 実 施 し た F 自 然 観 察 ・ 調 査 体 験 ツ ア ー く エ コ ツ ア ー ) 」 に お い て 、 こ の ガ イ ド ブ ッ ク は テ キ ス ト と し て 使 用 さ れ 、 ま た そ の 結 果 か ら 改 良 が 進 め ら れ る と い う サ イ ク ル づ く り も 目 指 し て い る ( 図 1 ) 。
3 . 作 成 の 手 順
作 成 の 日 程 は 表 1 に ま と め て 示 し た 。 扱 う 範 囲 が 対 象 地 域 の 白 然 全 般 の た め 、 内 容 を 。 5つ に 分 け て 「 章 」 と い う 単 位 で ま と め 、 そ れ ら ご と に 作 業 を 進 め る よ う 、 に し た 。
本 ガ イ ド プ ッ ク の 作 成 上 の 特 徴 と し て は 、 全 て の 図 ・ イ ラ ス ト ・ 写 真 を 調 査 デ ー タ に 基 づ い て 白 作 し て い る こ と と 、 D T P ( コ ン ピ ュ ー タ に よ る
( Phot oS hop) 一 一 − ・ ・ g S S ヤ S f
‘r lF F つ ア イ Jし 化
(P h o t o S h o p )
I ■■I I ■I ■■■■■■■■㎜ ㎜ ㎜ ㎜ ㎜ ㎜ ㎜
− 4
→ d d d − ・
D T P ・
( Pa g e Ma k ・ r )
− 一 一 a J a g a J ・ 一 -
→ D T P
( Pa g e Ma k a r )
一 - − ・ − ・ 一 - ・ 一 一 ・
ト ー ン 貼 り / 色 付 け → 文 宇 入 れ
( phot oS hop)
… … … − − − −
( pa a i Ma k e r )
… … … - ・
取 り 込 み 一 文 字 入 れ
( ス キ ャ ナ ) ( p a g e Ma k e r )
■■■■■■■■・ ■■■− − − −■■■■■・ ■・ ■■■■■■㎜ ㎜ ㎜ ㎜ ㎜ 一 = - - - ㎜ 還
デジタル出版)を本格的に用いて執筆から編集ま でを一貫して行なっていることが挙げられる(表
2)。特にDTPの導人は、最近の技術進歩もあっ て高品質かつ安価な出版物をつくることを可能に した。この種のガイドブックでは、図・写真を豊富 にしカラーを多用することが理解の大きな助けと なるが、ごれらは印刷費を大きく上昇させる要素 でもある。また特殊な図表など扱いの難しいもの があることも合わせて考えると、白由に編集を行 なえるDTPは大きな魅力である。設愉投資と技 能の習熟が必要ではあるが、ガイドブックのよう に1冊のボリュームがそれほど大きくなく、改訂 やシリーズ化を頻繁に行なう出版物にはDTPは 鏝適である。
実際に本ガイドブックは写真・図表が200余点、
表3.ガイドプックの構成
* . 麦 紙 … …
* . は じ め に / 目 次
0 . ポ イ ン ト マ ツ プ ∼ 対 象 地 域 の 紹 介 ∼ 1 . 草 原 に 咲 く 花 Q - ・ 白 樺 峠 草 原 の 多 樵 性 と 花 履 ∼
ベ ー ジ 数 ( カ ラ ー ) 1 ( い 2( 1) 2( 2)
1 3 ( 8 )
2 . エ ソ シ カ 達 の 生 活 ∼ 十 勝 Ξ殴 草 原 と エ ソ シ カ ∼ … ・ 12く 4 ) 3 . 巍 林 を 綿 り な 首 樹 4 ∼ 大 備 山 田 立 公 回 の 森 林 群 集 ∼ ‥1 2 ( 8 ) 4 . 川 を 取 り ま く 生 態 系 ・ ヽ ・ 洵 畔 林 と 渓 流 魚 ∼ ‥・ ‥‥‥‥1 2 く 4 〕 5 . 自 然 を 取 り ま く 社 会 一 国 立 公 圖 と 植 光 ∼
* . 参 老 文 猷 / 出 演 / 制 作
* . 畠 表 紙 … ‥
フ ル カ ラ ー ペ ー ジ が 34ペ ー ジ あ り 、 通 常 の 印 刷 で は 150万 円 近 く か か る ( 1000部 ) と こ ろ を 、 D T P に よ っ て 65万 円 で 印 刷 ・ 出 版 し て い る 。 そ し て 全 て の デ ー タ が デ ジ 幻 レ 化 し て 磁 気 装 匿 に 記 録 さ
れ て い る た め 、 改 訂 が 容 易 に な っ て い る 。
4.内容・構成
本ガイドブックはA5版全68ページ(表紙4頁 十64頁)で、内34ページがフルカラー、残りが単 色刷である。内容構成は表3のようになっており、 さまざまなジャンルを網羅して全体的な自然理解 に役立つようになっている。
また、このガイドブックの特徴としては以下の ようなことが挙げられる。
田生態学的視点に基づいている。
自然観察会を環境教育として位置付けるとき、 生物の名前のような断片的知識の屯授に偏よらな いことが重要なこととして認識されつつある。し かしそのテキストとなるガイドブックにおける対 応は立後れており、地域の事物の紹介や図鑑的な 生物名の羅列に終始しているものが現在も多い。 本ガイドは分類学的説明をあえて取払って(コラ ムなどで対応)、生態学的祖点を中心に据え、生き 物の生活の面白さ・複雑さや生き物同士のつなが りに注目するようにした。したがって特定の生物 や地域に限定されることのない広い視野を持って おり、自然に対する新しい見方を提供しようとす
9 ( 4 ) 4 ( O )
1 ( 1 )
計 6 8 ( 3 4 )
図 点 数 写 喪 イ ラ ス ト ク ' ラ フ
1
1
0
1 4
3 2
1 7
1 3
5
0
1 4
9 7
OONCX︶
1
16 16
LrM90﹁
1
71 00OGv8βりQvQり00
41
る 試 み を 多 く 行 な っ て い る も の と な っ て い る 。
( 2) オ リ ジ ナ ル デ ー タ に 基 づ く 図 表 を 用 い て い る 。 本 ガ イ ド ブ ッ ク で は 図 表 を 活 用 し て 生 態 学 的 事 象 を 分 か り や す く 説 明 し た 。 こ れ ら の 図 表 は 基 本 的 に 当 研 究 会 が フ ィ ー ル ド で 調 査 を 行 な っ て 収 集 し た デ ー タ に 基 づ い て い る 。 概 念 的 な 内 容 も 実 際 の 結 果 に 基 づ い て い る と 説 得 力 が あ り 分 か り や す く な っ て い る と 思 わ れ る 。
( 3聡 合 的 ガ イ ド で あ る 。
対 象 と す る 白 然 の 要 素 と し て “ 花 の み ‥ 大 型 哺 乳 類 の み ” と い っ た 偏 よ り を 避 け て 全 体 的 な 理 解 が 出 来 る よ う な 構 成 を 心 掛 け た 。 扱 っ て い る 「 シ カ 」 [ 草 原 ] 「 森 林 」 「 河 川 」 と い っ た 区 分 は 対 象 生 物 の 多 様 性 だ け で な く 、 対 象 と す る フ ィ ー ル ド ・ 生 態 系 の 多 様 性 も 表 現 し て い る 。 ま た 、 各 要 素 が バ ラ バ ラ に 独 立 し た 内 容 と な ら な い よ う に 、 統 一 め 視 点 ( 生 態 学 ・ 現 地 調 査 に 基 づ く ) と テ ー マ ( 自 然 の 多 様 性 ・ 人 間 社 会 と の 関 わ り ) を 持 た せ た 。
( 4服 察 会 で の 応 用 利 用 が 容 易 で あ る 。
観 察 会 で の 利 用 が 前 提 と な っ て い る が 、 即 物 的 な 解 説 事 項 の 羅 列 で は な い た め 、 地 域 的 季 節 的 変 化 に も 対 応 し や す く な っ て い る 。 ま た 「 実 習 コ ー ナ ー 」 と し て 簡 単 な 調 査 に よ る 体 験 法 に つ い て も 記 戟 し た 。 こ の 「 実 習 」 は お 遊 び 的 な も の で は な く 、 研 究 会 で 行 な っ て い る 調 査 手 法 と 同 等 の も の で あ り 、 継 続 的 に 実 施 す る こ と が で き る 。
「 観 察 」 よ り も 自 然 に “ 密 着 ” し た 体 験 が 可 能 で 長
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期的な関係を志向したものとなっている。
㈲地域の自I 然保護問題を積極的に扱っている。 従来のガイドではイデオロギー色を排すること や対立や批判を回避することを念頭に、自然保護 問題を扱うことをタブー視してきたきらいがある。 しかし、現代の自然を語る上で人間社会との関係 を無視することはできない。むしろ我々の生活と の関わりや自然破壊の問題に多くの人々の関心が 寄せられている。したがって本ガイドブックでは 各章でさまざまな問題を積極的に取り上げ、問題 の構造を整理して提示するようにした。これらは 決して扇情的なものや抽象的なものではなく、具 体的なデータに基づくように配慮してある。 ( 6) 単‐ 地域を対象としている。
本ガイドは幅広い視点を持っていることから、 様々な地域での活用が可能であるが、あくまで「ひ がし大雪」という一つの地域を対象としたものに
現地調査(1996年5月).・.
音更川河畔林で樹木分布・シカの痕跡を調ぺる.
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なっている。この地域での調査結果や観察をもと にしており、敦科書的な内容を流用してただ紹介 しているようなものは全く含まれていない。 巾作成・編集をー元的に行なっている。
以上のような特徴は、本地域で長期間にわたっ て継続的調査を行なってきた当研究会が担当して いることで実現している。学術的な調査研究を行 なっていない団体が担当したり、分野別に研究者・ 専門家が分担したりしたのでは、このような総合 的な視点にもとづくガイドブック作成はなかなか 困難であると思われる。
5.今後に向けて
上記に挙げたような特質は、全てが十分に発輝 されているとは言えない。今回の結果をフイード バックさせながら発展させていくことが重要であ る。
ガイドブック完成版