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ウォーミングアップ
ウォーミングアップ
生物の体内環境の維持
免疫
⑴ 紫外線や化学物質,病原体などの異物から,からだを守るしくみを
( )という。
⑵ 体内に侵入した異物や体内で生じたがん細胞などを排除しようとする
働きのことを( )という。
⑶ 免疫には , 血液成分のうち( )が関係している。これに
はマクロファージ,樹状細胞,リンパ球などの種類がある。
⑷ 免疫には生まれながらに備った( )と,病原体に特異的
にはたらく( )に分けられる。
⑸ 白血球の一種である好中球や( ),樹状細胞は細菌や
ウイルスを( )によって細胞内に取り込み消化する。
⑹ 体内で免疫反応を引き起こす異物を( )という。
⑺ 取り込んだ抗原の情報をT細胞に示すことを( )という。
これは主に,白血球の一種である( )によって行われている。
⑻ 体内に侵入した抗原に特異的に結合する物質を( )という。
( )細胞が分化した( )細胞によって産生される。
⑼ 抗原と抗体が特異的に結合して無毒化する反応を( )
反応という。
⑽ 抗体による免疫を( )免疫という。
⑾ 侵入した病原菌やウイルスに感染した細胞をリンパ球の( )
細胞が直接攻撃する免疫を( )免疫という。
⑿ 免疫反応がおこるとリンパ球の一部は( )として残る。
⒀ 一度侵入し,排除した抗原が再度侵入すると,抗体産生が一度目より
速やかに大量に行われる。この反応を( )という。
⒁ 殺したり弱めた病原体や毒素を( )といい,これを注射
して感染症を予防する方法を( )という。
⒂ 抗体を多量に含む血清を注射することで,ヘビ毒などをすばやく無毒
化する方法を( )という。
⒃ 花粉症やじんましん,気管支ぜんそくなどのように,体内での免疫反
応が過敏にあらわれる現象を( )という。
⒄ 移植した皮膚や臓器を異物とみなし,激しく細胞性免疫がはたらくこ
とを( )という。
⒅ HIV(ヒト免疫不全ウイルス)がヒトの体内に侵入した結果,
( )を破壊して免疫作用が極端に低下し,様々な感
染症にかかりやすくなる病気が( )である。
基 本 問 題
基 本 問 題
70. (異物の侵入を防ぐしくみ-1)以下の文の( )に適する語句
を語群から選び,記入せよ。
ヒトのからだには,異物の侵入を防いだり,体内に侵入した異物を排
除したりするしくみが備わっている。これを(
1)という。
例えば,(
2)は,病原体や有害な物質が体内に入り込む
のを防ぎ,気管上皮などの(
3)は,(
4)運
動や,せき,くしゃみによって,侵入した微生物や異物を体外へ排出す
る。また,だ液や涙に含まれる酵素である(
5)には殺菌・
抗菌作用がある。
これらの生体防御の方法は,(
6)的な生体防御と呼ばれ
る。これ以外に,体内に侵入した異物を(
7)が排除する
免疫というしくみがある。
語群 物理・化学 白血球 粘膜 皮膚 繊毛
リゾチーム 生体防御
71. (異物の侵入を防ぐしくみ-2) 以下の文の( )に適する語句
を語群から選び,記入せよ。
異物から体をまもる方法には三つの段階がある。第一段階では皮膚や
粘膜が異物の侵入を防ぐ。第一段階が破られて病原体が体内に侵入する
と,第二段階のしくみがはたらき白血球が病原体を取り込んで消化する。
動物はこのしくみを生まれながらにもっており,(
1)と呼
ばれる。白血球が異物を取り込んで消化する働きを(
2)
と い う 。⑵ を も つ 白 血 球 の な か ま に は 好 中 球 , (
3),
(
4)などがある。第三段階はリンパ球が主役となって特定
の病原体を攻撃する(
5)である。⑸には,リンパ球が抗
体をつくって細胞の外にいる病原体を攻撃する(
6)と,
リンパ球が病原体の入ってしまった細胞などをみつけて直接攻撃して破
壊する(
7)の二種類がある。
第二段階と第三段階のしくみを免疫という。
語群 細胞性免疫 マクロファージ 食作用 自然免疫
樹状細胞 体液性免疫 獲得免疫
生物の体内環境の維持
8272. (免疫を担当する細胞と器官)以下の問いに答えよ。
⑴ 免疫を担当する細胞について示した次の図の( )に適する語句を
語群から選び,記入せよ。
語群 T細胞 マクロファージ B細胞 樹状細胞
⑵ 右の図はヒトのリンパ系とそれに関係する器官を模式的に示
したものである。次の文に関係のある部位を図のア〜ウから選
び,その名称を答えよ。
①リンパ球などの血球がつくられる場所。
( , )
②リンパ球の一種であるT細胞を成熟(分化)させる。
( , )
③リンパ系のろ過器の役割をし,細菌や異物を取り除く。異物
の侵入で腫れることがある。
( , )
73. (体液性免疫と細胞性免疫-1)以下の文の( )に適する語句
を語群から選び,記入せよ。
生物体が後天的に得た特定の病原体や異物(タンパク質)を排除する
しくみを(
1)という。⑴には体液性免疫と細胞性免疫と
がある。
体液性免疫では,病原体や毒素などの異物が体内に侵入すると,その
異物だけに作用する(
2)がつくられて,これがその異物
と結合する。このような異物を(
3)という。この⑵をつ
くる細胞の一部はその後も記憶細胞として体内に残り,ふたたび侵入し
た同じ異物にすばやく反応する。⑵は(
4)とよばれるタ
ンパク質でできている。
細胞性免疫では,(
5)とよばれるリンパ球が直接異物を
攻撃する。臓器移植の際の(
6)もこの免疫反応によるも
のである。
語群 抗原 抗体 免疫グロブリン 拒絶反応
獲得免疫 B細胞 キラーT細胞
ア
イ
ウ
免疫を担当する(白血球)細胞
リンパ球
食作用で細菌を殺す。 旺盛な食作用を示し, 一部のT細胞を活性化する。 抗原を提示し,獲得免疫の きっかけとなる。
( 好 中 球 )
(a )
(b )
(ナチュラルキラー細胞)
(c )
(d ) がん細胞など異常な
細胞を排除する。 抗原の情報を認識し, 異物を攻撃する。 抗体をつくる。
74. (体液性免疫と細胞性免疫-2)獲得免疫に関する以下の文を読み,
下の問いに答えよ。
体内に異物(抗原)が侵入すると,白血球の一種である(
a)
がその
①抗原を取り込んで消化したのち,抗原の断片を細胞の表面に
出して,ヘルパーT細胞に抗原の情報を提示する。ヘルパーT細胞は,
この情報を(
b)に伝えて刺激する。⒝は増殖・分化し
てからだのいろいろな場所に移動し(
c)となる。⒞によっ
て産生された(
d)は,血液によって運ばれ,マクロファー
ジが処理できなかった多量の
②抗原と結合して凝集させ,排除する。
⒟によって抗原を排除するしくみを(
e)という。また,
ウイルスなどの抗原に感染した細胞は , キラーT細胞によって直接破
壊されることもある。このしくみを(
f)という。これ
らの抗原の情報は T 細胞や B 細胞の一部が(
g)となる
ことで体内に残るため,2度目以降に同一の抗原が侵入してきたときに
は,直ちにそれを排除することができる。
⑴ 文の( )に適する語句を語群より選び,記入せよ。
語群 抗体 樹状細胞 抗体産生細胞(形質細胞)
B細胞 細胞性免疫 体液性免疫 記憶細胞
⑵ 下線部①のはたらきを何というか答えよ。 ( )
⑶ 下線部②のはたらきを何というか答えよ。 ( )
⑷ 抗体を形成しているタンパク質の名称を答えよ。( )
14444444244444443144424443
抗 原 増 殖 分 化
抗原提示
感染細胞 を攻撃
感染細胞
ヘルパーT細胞
活性化
活性化
キラーT細胞
抗原の凝集
体液中に ⒟を分泌
⒜
①
⒡ ②
⒠
⒝
⒟ ⒞
生物の体内環境の維持
8475. (免疫系の病気)次の①〜④はヒトの免疫に関する病気または症状
について述べている。下の問いに答えよ。
① 自分自身の組織を誤って抗原と認識し,リンパ球が攻撃することで
起こる病気。
② ハウスダストや花粉などの抗原が再度侵入した場合,咳(せき),
鼻水,発疹などが過剰に起こり,生体に不都合となる症状。
③ ②の反応が急性かつ全身で重度に起こる症状。
④ リンパ球がウイルスによって破壊され,免疫が低下した状態になること。
⑴ ①〜④に最も適するものを語群から選び記入せよ。
①( ) ②( )
③( ) ④( )
語群 AIDS(エイズ:後天性免疫不全症候群) アレルギー
自己免疫疾患(自己免疫症) アナフィラキシーショック
⑵ ①,②の具体的な例をそれぞれ答えよ。
①( )②( )
⑶ ④のウイルスの名称と,これが特異的に破壊するリンパ球を答えよ。
ウイルス( )リンパ球( )
⑷ ④や加齢・ストレスなどによって免疫力が低下すると,健康な状態で
は感染や発症をしない病原性の低い病気にかかることがある。これを何
というか答えよ。 ( )
76. (予防接種と血清療法)ヒトの免疫療法について説明した次の文の
( )に適する語句を語群から選び記入せよ。
インフルエンザのように発病すると急激に症状が悪化する疾病に対
し,健康な時に人為的に抗原を接種する予防法が(
1)
である。あらかじめ無毒化,弱毒化した抗原である(
2)
を接種すると,抗体産生の一次応答が起こり,リンパ球の一種である
(
3)の一部が記憶細胞として残る。抗原が記憶されている
ため,同じ抗原が再度侵入してきた場合に,速やかに抗体産生の二次応
答が起こり,発病を防ぐことができる。このように,⑴には即効性はな
く,効果が出るまでに(
4)かかる。
一方,ヘビ毒や破傷風などは⑴による予防治療が困難で,このような
場合には(
5)が有効である。これはウマなどに⑵を接種
して体内に(
6)をつくらせ,⑹を含む血清を利用する治
療法である。⑹を含む血清を注射するため即効性があり,回復していく
様子がはっきりとわかるほどである。ただし,ウマの血清はヒトにとっ
ては異物なので(
7)として認識されるために,再度の接
種による激しい(
8)に注意する必要がある。
語群 血清療法 予防接種 B 細胞 抗体 アレルギー
ワクチン 2〜3週間 抗原
77. (獲得免疫が関係する現象)以下の文はそれぞれ,①体液性免疫に
関係する現象,②細胞性免疫に関係する現象,③どちらとも関係のない現
象のいずれかである。どれと最も関係するか答えよ。
⑴ ハブなどの毒ヘビにかまれた人に血清療法を行う。 ( )
⑵ 他の人から臓器移植を受けたが拒絶反応が起こった。( )
⑶ インフルエンザの予防接種を行った。 ( )
⑷ 結核の診断にツベルクリン反応の検査をする。 ( )
⑸ 傷などにより出血しても,血液はすぐに凝固する。 ( )
■免疫のはたらき
体の中で免疫反応はどのように起こっているのだろうか。インフルエンザウイルスや細菌などの 病原体が鼻や口から体内に侵入すると,組織にいたマクロファージや樹状細胞が病原体を食べ,他 の免疫細胞にはたらきかける物質を出す。この物質によって感染部位に白血球があつまったり,血 流量が増えたりして赤く腫れる。これを炎症作用という。さらにマクロファージのはたらきかけで 体温が上がり,免疫細胞を活発化させる。すなわち,腫れや発熱は免疫細胞が戦っているサインで ある。ウイルスは細胞内に侵入して増殖し,死んだ細胞から放出されて他の細胞にどんどん広がっ ていく。リンパ球の一種であるNK細胞(ナチュラルキラー細胞)は感染した細胞やがん細胞など を探し出し,攻撃して排除する。また,樹状細胞は組織からリンパ節に移動して,入ってきた病原 体がどのような形のものかをT細胞に知らせる。これを抗原提示という。知らせを受けたヘルパー T細胞は活発に増殖する。ヘルパーT細胞はサイトカインによってマクロファージの食作用を強め たり,キラーT細胞やB細胞を活性化させたりする。キラーT細胞はウイルスが感染している細胞 や非自己の細胞などを直接攻撃し排除し(細胞性免疫),B細胞は抗体産生細胞(形質細胞)とな り,抗体をつくってウイルスや毒素を排除する(体液性免疫)。このように,いろいろな免疫細胞が 連携して病原体が排除され病気が治る。病気が治った後でも,T細胞やB細胞の一部は記憶細胞と して体内に残り,侵入した病原体をおぼえている。はじめて病原体に感染したときは,抗体が産生 されるまでに1週間以上かかるが,記憶細胞が残っているとすみやかに多量の抗体ができる。予防 接種でワクチンを注射すると,免疫記憶ができて,病原体が侵入した時にすばやく免疫反応が起こ り,発症を防ぐことができる。しかし,インフルエンザウイルスは形が変化しやすいので,ワクチ ンと違うタイプのインフルエンザウイルスが入ってくると発症してしまうこともある。
ヒトの細胞には他人と自分を区別する標識がついている。T細胞などの免疫細胞はこの標識をき ちんと見極めてはたらいており,自分の細胞は攻撃しない。これを自己免疫寛容という。他者から 移植した臓器はT細胞によって異物と判断され攻撃される。これは拒絶反応と呼ばれる。移植はな るべく標識が似ている人との間で行われると拒絶反応は弱くなる。
T細胞のはたらきが悪くなると自分を攻撃する自己免疫疾患がおこる。関節に炎症が起こり変形 する関節リュウマチはその例である。
— 20 —
食後血糖濃度が上昇すると,健康なヒトではイン スリンの分泌量が増加し,グルカゴンの分泌量が低 下することで,血糖濃度は正常値にもどる。よって 血糖濃度変化は図Aのようになる。糖尿病のヒトは インスリン作用の不足によって高血糖が解消されな いので,グルコースのろ過量が多すぎて,細尿管(腎 細管)ですべて再吸収できず,尿中に糖がみられる ようになる。よって血糖濃度変化は図Bのようにな る。
70.(異物の侵入を防ぐしくみ−1)
1 生体防御 2 皮膚 3 粘膜 4 繊毛 5 リゾチーム 6 物理・化学 7 白血球
<解説>
生体防御には異物の侵入を防ぐしくみと侵入した 異物を排除するしくみがある。侵入を防ぐしくみと して物理・化学的な防御があり,侵入した異物を排 除するしくみとして免疫がある。
71.(異物の侵入を防ぐしくみ−2) 1 自然免疫 2 食作用
3・4 マクロファージ・樹状細胞(順不同) 5 獲得免疫 6 体液性免疫 7 細胞性免疫
<解説>
自己と非自己を見分け,非自己を排除したり攻撃 される。
高温を間脳視床下部が感知すると副交感神経が興 奮し,心拍数の抑制,筋肉や肝臓での代謝の抑制が 起こり,熱発生の減少が起こる。また,交感神経の 興奮により汗腺での汗の分泌が促進され,熱放散の 促進が起こる。
68.(血糖濃度の調節−3)
⑴ 実験 1 インスリン 実験 2 グルカゴン 実験 3 インスリン
⑵ 実験 1 減少する 実験 2 増加する 実験 3 減少する
<解説>
実験1では,注射したグルコースによってAの血 糖濃度が増加するため,Aのすい臓からインスリン が分泌される。インスリンはAのすい静脈を通って Bの大たい静脈よりBに流れ込み,Bの血糖濃度を 減少させる。
実験2では,注射したインスリンよってAの血糖 濃度が減少するため,Aのすい臓からグルカゴンが 分泌される。グルカゴンはAのすい静脈を通ってB の大たい静脈よりBに流れ込み,Bの血糖濃度を増 加させる。
実験3では,注射したグルカゴンによってAの血 糖濃度が増加するため,Aのすい臓からインスリン が分泌される。インスリンはAのすい静脈を通って Bの大たい静脈よりBに流れ込み,Bの血糖濃度を 減少させる。
69.(糖尿病−2)
⑴ ① 図 2 ② 図 1 ③ 図 3 ⑵ ウ
<解説>
Bが糖尿病患者である。糖尿病は,Ⅰ型糖尿病と
Ⅱ型糖尿病の大きく2つに分けられる。Ⅰ型糖尿病 では,インスリンを分泌する(ランゲルハンス島の B細胞)がウイルス感染などが引き金となり免疫細 胞によって破壊される。そのため食後でもインスリ ンがほとんど分泌されなくなる。Ⅰ型糖尿病は自己 免疫病の1つである。Ⅱ型糖尿病では,生活習慣な どさまざまな原因によってインスリンの分泌量が低 下したり,標的細胞がインスリンを受け取れなく なったりする。
発 展 問 題
《免疫》
ウォーミングアップ
⑴ 生体防御 ⑵ 免疫 ⑶ 白血球
⑷ 自然免疫,獲得免疫
⑸ マクロファージ,食作用 ⑹ 抗原
⑺ 抗原提示,樹状細胞
⑻ 抗体,B,抗体産生(形質)
⑼ 抗原抗体 ⑽ 体液性
⑾ キラーT,細胞性 ⑿ 記憶細胞
⒀ 二次応答 ⒁ ワクチン,予防接種
⒂ 血清療法 ⒃ アレルギー
⒄ 拒絶反応
⒅ ヘルパー T 細胞,
AIDS(エイズ:後天性免疫不全症候群)
基 本 問 題
— 21 —
細胞からの命令を受け,抗体産生細胞(形質細胞) となり,抗体をつくり,ウイルスを排除する。キラー T細胞はヘルパー T 細胞からの命令を受け,ウイ ルスが感染した細胞を破壊する。
このように,いろいろな免疫細胞が連携してウイ ルスが排除され病気が治る。病気が治った後,T細 胞やB細胞の一部は記憶細胞として体内に残る。
75.(免疫系の病気)
⑴ ① 自己免疫疾患(自己免疫症)
② アレルギー
③ アナフィラキシーショック
④ AIDS(エイズ:後天性免疫不全症候群)
⑵ ① 関節リュウマチ,筋無力症 など
② 花粉症,アトピー性皮膚炎 など
⑶ ヒト免疫不全ウイルス(HIV), ヘルパーT細胞
⑷ 日ひ和より見み感染
<解説>
⑴ 免疫の過剰反応によって生体に不都合が生じるこ とをアレルギーという。アレルギーの原因となる花 粉,ダニ,卵白などの抗原をアレルゲンと呼ぶ。ハ チ毒や食品などのアレルゲンに対するアレルギーの 二次応答が激しく起きることをアナフィラキシーと いい,これによって呼吸困難 ・ 意識低下 ・ 血圧の低 下などが起こり生命が危険な状態になることをアナ フィラキシ-ショックという。血清療法においても, 同種の動物から精製した血清を再度接種した場合 に,アナフィラキシーショックを引き起こすことが ある。
⑶ HIV(ヒト免疫不全ウイルス)がヘルパー T 細 胞に感染し,破壊した結果,免疫反応が起こらなく なる疾患を,後天性免疫不全症候群(Acquired ImmunoDeficiency Syndrome :AIDS)といい,一般 にエイズという。
HIV は,感染者の血液,精液などに多く含まれ, 輸血・性交などを通じて侵入するが,空気を通じて は感染しない。
76.(予防接種と血清療法)
1 予防接種 2 ワクチン 3 B細胞 4 2~3週間 5 血清療法 6 抗体 72.(免疫を担当する細胞と器官)
⑴ a マクロファージ b 樹状細胞 c T細胞 d B細胞
⑵ ① イ・骨髄 ② ア・胸腺 ③ ウ・リンパ節
<解説>
⑴ リンパ球を含む白血球は他の血球成分と同様に骨 髄でつくられる。B 細胞の「B」は,骨髄(Bone marrow)の頭文字である。また,T 細胞の「T」は 胸腺(Thymus)の頭文字である。
リンパ液は血液のように循環しておらず,毛細リ ンパ管→リンパ管→リンパ節→胸管→リンパ総管→ 左鎖骨下静脈(血管)へと移動している。またリン パ液の移動は心臓のようなポンプで行われるのでは なく,骨格筋の収縮に伴って行われている。
73.(体液性免疫と細胞性免疫−1) 1 獲得免疫 2 抗体 3 抗原 4 免疫グロブリン 5 キラーT細胞 6 拒絶反応
<解説>
免疫には自然免疫と獲得免疫がある。獲得免疫は 排除の対象を特異的に認識することではじまる。排 除の対象となる細胞や異物を総称して「抗原」とい うが,実際に抗原として認識されるのは,細胞膜表 面などに存在する特定のタンパク質や多糖類であ る。
74.(体液性免疫と細胞性免疫−2)
⑴ a 樹状細胞 b B細胞 c 抗体産生細胞(形質細胞) d 抗体 e 体液性免疫 f 細胞性免疫 g 記憶細胞
⑵ 食作用
⑶ 抗原抗体反応
⑷ 免疫グロブリン
<解説>
ウイルスが細胞内に侵入すると,その内部で増殖 する。リンパ球の一種であるNK細胞(ナチュラル キラー細胞)は感染した細胞を見つけると攻撃して 排除する。また,樹状細胞は組織からリンパ節に移
— 22 —
反応は行わず,BCG 接種のみを行う場合が多くなっ ている。
⑸ 血液凝固は血しょう中に生成される繊維タンパク 質のフィブリンと血球との絡み合いであるので,獲 得免疫とは別の働きである。
78.(獲得免疫のしくみ)
⑴ ア 樹状細胞 イ B細胞 ウ マクロファージ
⑵ 骨髄
⑶ 胸腺
⑷ ⒜ ヘルパーT細胞 ⒝ キラーT細胞
⑸ ツベルクリン反応,移植組織への拒絶反応
⑹ アレルギー
⑺ スギなどの花粉に対する抗体が過剰に産生され, 目のかゆみやくしゃみといったアレルギーを引き起 こす現象
<解説>
T 細胞には B 細胞に抗体をつくるよう指示をす るヘルパーT細胞や,非自己の細胞を直接攻撃して 破壊するキラーT細胞,抗体産生の停止を告げる制 御性 T 細胞などがある。
ツベルクリン反応については,75. の⑷の解説を 参照。
予防接種はワクチンを接種することで生体に免疫 記憶を持たせることを目的としている。ツベルクリ ンと同様に注射はするが,目的もしくみも異なる。
79.(体液性免疫と細胞性免疫−3)
⑴ 抗原 ⑵ 免疫グロブリン ⑶ B細胞
⑷ キラーT細胞 ⑸ ワクチン
⑹ アレルギー
⑺ ① ア ② ウ ③ イ ⑻ ② ⑥
<解説>
ある抗原の体内への侵入によって抗原抗体反応を 生じたことがある生物に,再び同じ抗原が侵入した 場合,2回目の侵入の方がすみやかに大量の抗体が 作られる(二次応答)。これは,一度活性化された 免疫細胞(B細胞やT細胞)の一部が,最初の抗原 情報を記憶する記憶細胞として残っているためであ る。
初めて病原体に感染したときは抗体産生量の 7 抗原 8 アレルギー
<解説>
生体防御において , 病原体などの異物(抗原)が 侵入した場合 , 樹状細胞などが食作用によって攻撃 する(自然免疫)。 また,リンパ球(B 細胞)が抗 体を産生し,その抗体によって抗原を排除したり(体 液性免疫),リンパ球(キラー T 細胞)が直接抗原 を攻撃したりする(細胞性免疫)。
予防接種ではワクチンを接種すると抗体が産生さ れ(一次応答),その抗原に対する記憶細胞がつく られる。次にワクチンと同じ病原体が侵入すると, 抗原記憶をもとにすばやく大量に抗体を産生する
(二次応答)ことができ,病気が発症しなかったり 軽症で完治したりする。インフルエンザ,ポリオ(小 児まひ),結核,狂犬病の予防接種などがある。 過剰な免疫反応の結果,生体に不都合な反応を引 き起こすことをアレルギーといい,花粉症やアト ピー性皮膚炎もアレルギーの一つである。
血清療法は,他の動物にワクチンを注射して抗体 をつくらせ,その抗体が含まれた血清を用いて治療 を行う。血清療法は,破傷風やジフテリア,ヘビ毒 の治療などに用いられる。
77.(獲得免疫が関係する現象)
⑴ ① ⑵ ② ⑶ ① ⑷ ② ⑸ ③
<解説>
「 抗体 」 が関与すれば体液性免疫,キラー T 細胞 が「直接攻撃」をしていれば細胞性免疫である。
⑴ 血清療法は,ワクチン接種によりつくられた抗体 を含む血清を用いる。
⑵ 移植臓器はキラー T 細胞によって直接攻撃され る。
⑶ 予防接種の目的は,ワクチンにより,免疫記憶を つくらせることである。それによって目的の抗原が 二度目に侵入したとき,いち早く抗体を生産するこ とができる。
⑷ ツベルクリン反応は結核菌由来のタンパク質(ツ ベルクリン)を少量皮下注射し,結核菌に対する免 疫を持っているかどうかを調べる反応である。この 反応は細胞性免疫の二次応答を利用している。接種 した部分に記憶されているキラー T 細胞がすばや く増殖し集まって赤く腫れ陽性となる。反応がなけ れば BCG(結核菌のワクチン)を接種し,免疫記 憶をつくらせる。近年,乳児に対するツベルクリン
発 展 問 題