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0019
吉野 航平
労働市場の効率性
(
1
) 職探しとマッチング
労働市場のマッチング機能に負荷をかける要因
非正規雇用の増加などによる雇用の流動化。
知識経済化が進むなか、賃金による需給調整
離職率の高まり、雇用者の高齢化や非正
規化が構造的失業に影響
失業をもたらす要因
大きく需要不足から生まれる
需要要因。
1.
企業が求める人材と求職者の能力のかい離
2.
求める待遇とのかい離
1.2.などから生じる
構造的要因
求職側・求人側、お互いの情報が不完全なため
生じる
摩擦的要因
•
離婚率の上昇
•
雇用の非正規化
•
雇用の高齢化
等が進んでいる。
(構造的失業を増加させる方 向。)
結果
離職率等の動きから、構造的失業率を推計。
これらの要因がミスマッチの拡大をもたらしてきたことを確認。
推計( 3 通り)
1. 構造的失業率が離職率、高 齢雇用者比率の動きに沿っ て変化。
2. 構造的失業率が非正規雇用 比率の動きに沿って変化。
3. 1と同じ考えのもと、 雇用「
動向調査 の欠員率を用いた」
もの。
結果
雇用情勢の悪化が職探しの努力を強めた
が、必ずしも就職には結びつかず
構造的失業率が高止まりしている現状。
労働市場のマッチング機能を向上するに
求職者が職探しの効率性を高めるよう努力すること
。
(
例
)
ハローワーク
求職者がコンピューター端末から情報を入手。
それを窓口に持参し紹介を受ける回数を増やす。
結果
自然と就職に結びつく確率も高まる。
※ 努力の度合い
紹介件数は実際に増加してるのか
2000 年代のデータからすう勢的に
増加。
2000 年度の求職者
1 人 1 カ月平均 0.23 回 ↓
2010 年度 0.48 回となっている。 求職者は職探しの努力を強めている 。
努力の強まりは、労働市場の需給の 悪化を受けたものか?
統計的に調べる。
2000 年代前半は両者が無関係 。
後半は有効求人倍率が低下
↓
高度な職種では賃金による需給調整が機能しに
くい
就職成功確率を高めようとする場合
求職者の受入可能な最低の賃金水準を現実的にする
。
「職業安定業務統計」の「希望賃金」に着目。
希望賃金は、留保賃金にある程度連動すると推測。
その度合いについて、職種や年齢による特徴を調べる
希望賃金は職種では専門的・技術的職業などで高い。
希望賃金の変化が就職件数に及ぼす影響の職種による違いの問題。
そこで高度職種と一般職種に分類。 グループごとに弾性値を推計。
結果
いずれのグループも弾性値はマイナス。
希望賃金が低くなればなるほど就職件数は増加。
この関係は高度職種より一般職種で強く、求職者の希望賃金の引き
下げが就職に結びつきやすい。
長期
失業の構造
(
我が国における長期失業の要因や特性を明らかにする。)長期失業者比率は高止まりの後、大幅に上昇
基本的には失業率全体の動きに 沿って動いている。
2003 年に一度ピークに達した後 、景気改善に伴い減少。
失業者に占める長期失業の割合 の動きは 2000 年代初めに上昇 。
2009 年には、短期失業者が増え 、長期失業者比率は一時的に大 きく低下。
長期失業者はどのような属性、理由の者が多いのか
(2003年と 2010 年を対比しつつ、その内訳を調べてみる。)
年齢構造
25 ~ 34 歳が最も多く、 2010 年に
はその割合が増。
35 歳~ 44 歳は 2010 年に大きくウ エイトを高めている。
続柄別
世帯主の割合がさらに高まっている 。
失業理由
「希望する種類・内容の仕事がな い。」が最も多い。
2010 年
•「条件にこだわらない仕事」が増加。 •景気悪化を受けた需要不足要因が重要
長期
失業者は雇用需要回
復
の影響を受けにくい
傾
向
最近の仕事に就けない理由
需要不足要因を挙げる長期失業者の増加。
都道府県データを用い
有効求人倍率の変化と長期無業率・無業率の関係をみる。
•有効求人倍率の増加
•無業率、長期無業率とも下落する傾向。
•長期無業率の改善の幅の小。
長期失業率と有効求人倍率、失業率と有効求人倍率を年齢別に分析
。
失業率、長期失業率の労働需要に対する弾性値を計測。
年齢別
失業率の需給感知度は
45
歳以上の中高年齢層で高い。
45
歳以上の中高年齢層で顕著に高い。
中高年齢層では
2
つの感知度が大きくかい離。
失業しても過去スキルの蓄積があるため再就職先を見つけ
やすい。
長期失業に陥るとスキルが衰え優位性を失う。
我
が
国
の高めの
長期
失業者比率は労働市場の流動性の
低さを
反映
長期失業者が占める割合
各国の労働市場の構造に根差した部分も少なくない。
OECD 諸国の中では長期失業率は低い水準。
長期失業者比率では、中位よりやや高め。
各国の分布をみる
長期失業者比率は国によって大きな差がある。
長期失業は一度失業のプールに入ると脱出が難しい場合に増加。 労働市場の流動性が低い国ではその比率が高い。
その度合いの一つ、解雇規制の強さ( EPL )をとる
長期失業者比率との間に弱い相関。
労働市場の流動性に関連するもう一つの指標、平均就業年数を考え る。
長期失業者比率との相関はより明確。 平均就業年数が高いグループに属する。