文 部 科 学 省 委 託 事 業
平 成 2 9 年 度
報
告
集
発
刊
に
よ
せ
て
青 森 県 道 徳 教 育 推 進 協 議 会
八 木 橋
房
代
会
長
平 成 2 7 年 3 月 の 学 習 指 導 要 領 等 の 一 部 改 正 に よ り 、 道 徳 の 時 間 が 「 特 別
の 教 科
道徳
」
( 道 徳 科 ) と し て 位 置 付 け ら れ 、 平 成 3 0 年 度 か ら 小 学 校 で 、
平 成 3 1 年 度 か ら 中 学 校 で 全 面 実 施 と な り ま す 。 こ の 「 道 徳 科 」 で は 、 多 様
で 効 果 的 な 指 導 方 法 を 積 極 的 に 導 入 す る こ と な ど が 示 さ れ 、 道 徳 教 育 の よ り
一 層 の 改 善 ・ 充 実 を 図 る た め の 大 き な 転 換 期 を 迎 え て い ま す 。
そ の よ う な 中 、 今 年 度 、 蓬 田 村 立 蓬 田 小 学 校 、 蓬 田 村 立 蓬 田 中 学 校 に お い
て 、 道 徳 教 育 の 抜 本 的 改 善 ・ 充 実 に 係 る 支 援 事 業 の 委 託 を 受 け 研 究 が 行 わ れ
ま し た 。
蓬 田 小 学 校 で は 、 自 分 の 経 験 や 考 え 方 な ど と 照 ら し 合 わ せ て さ ら に 考 え を
深 め た り 、 物 事 を さ ま ざ ま な 視 点 か ら 理 解 し た り す る た め に 、 自 己 を 見 つ め
よ う と す る 態 度 の 育 成 を 図 る こ と 、 指 導 過 程 や 指 導 方 法 の 改 善 に 取 り 組 む こ
と 、 家 庭 や 地 域 社 会 と の 連 携 に よ る 道 徳 教 育 を 推 進 す る こ と を 柱 に 、 実 践 を
積 み 重 ね て こ ら れ ま し た 。
蓬 田 中 学 校 で は
、
「 考 え 、 議 論 す る 道 徳 」 の 授 業 研 究 を 要 に 、 教 育 活 動 の
様 々 な 場 面 に お け る 話 合 い 活 動 に 力 を 入 れ た 取 組 を は じ め 、 多 面 的 ・多 角 的 に
考 え る 道 徳 の 授 業 づ く り 、 各 教 科 、 特 別 活 動 、 総 合 的 な 学 習 の 時 間 の 指 導 と
の 関 連 を 意 識 し た 指 導 等 に つ い て の 研 究 ・ 実 践 を 積 み 重 ね て こ ら れ ま し た 。
両 校 と も 年 間 を 通 し て 、 道 徳 の 時 間 に お け る 内 容 の 充 実 に 向 け て 、 質 的 転
換 を 図 る た め の 工 夫 を 重 ね る と と も に 、 そ こ で 高 め ら れ た 道 徳 的 価 値 が 道 徳
的 実 践 へ と つ な が る よ う に 、 教 育 活 動 全 体 を 通 じ て 、 道 徳 教 育 が 推 進 さ れ て
お り ま し た 。 両 校 の 実 践 は
、
「 道 徳 科 」 全 面 実 施 に 向 け て の 一 つ の 指 針 と な
る べ き も の で あ る と い え ま す 。
両 校 の す ば ら し い 実 践 を も と に 、 各 学 校 に お か れ ま し て は 再 度 、 自 校 の 取
組 の 見 直 し を 図 り 、 活 用 で き る よ う な 取 組 に つ い て は 各 学 校 の 実 態 に 即 し た
形 で 生 か す こ と で
、
「 道 徳 科 」 の 全 面 実 施 に 向 け て の 取 組 を 進 め て い た だ け
れ ば と 思 い ま す 。
最 後 に 、 本 事 業 推 進 に 当 た り 御 支 援 、 御 尽 力 い た だ き ま し た 蓬 田 小 学 校 、
蓬 田 中 学 校 、 蓬 田 村 教 育 委 員 会 を は じ め 関 係 の 皆 様 に 御 礼 を 申 し 上 げ ま す と
と も に 、 本 報 告 集 が 道 徳 教 育 の 指 針 の 一 つ と し て 活 用 さ れ る こ と を 祈 念 い た
あ
い
さ
つ
青森県教育庁
一
戸
利
則
学校教育課長
青森県道徳教育推進協議会は、文部科学省指定による道徳教育関連事業の一
環として、道徳教育を推進し、事業の充実を図ることを目的に平成14年度か
ら設置され、現在に至るものであります。
今年度は、文部科学省委託事業「道徳教育の抜本的改善・充実に係る支援事
業」において、1年間の指定を受けた蓬田村立蓬田小学校、蓬田村立蓬田中学
校、蓬田村教育委員会、東青教育事務所、県教育委員会が連携・協力して、道
徳教育の充実を図ることにより、本県児童生徒の豊かな心の育成を目的に取り
組んで参りました。
今年度の第1回協議会では、両校から、全教員による教育活動全体を通じた
道徳教育の充実に向けた取組が発表されました。また、第2回協議会において
は、両校における取組の成果の発表とともに、県PTA連合会や県社会福祉協
議会からの御助言や御意見を得ながら、多くの方々による意見交換が行われま
。
、
、
した
この2回の協議会により
年間を通して実践を積み重ねた成果を共有し
これからの道徳教育についての展望をもつことができました。
また、道徳教育パワーアップ協議会では、全県から集まった参加者に対し、
両校の実践を発表することで、今年度の研究成果を広く周知することができた
とともに、各校における道徳教育の取組について、大いに参考になったのでは
と思います。
県教育委員会では、子どもたちがこれからの社会の中で自立した人間として
成 長 で き る よ う
、
「 豊 か な 心 の 育 成 」 に 向 け 、 様 々 な 教 育 施 策 を 展 開 し て い る
ところです。子どもたちの他人を思いやる心・命を大切にする心や規範意識・
倫理観を醸成し、人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念を具体的な生活の中
に生かし得るよう、道徳教育を充実させていくことがますます重要となってお
ります。
本報告集は、両校の取組の成果等をまとめたものですが、県内すべての学校
、
、
、
において
児童生徒の豊かな心の育成のため
こうした成果を積極的に活用し
教育活動全体を通して、自校の道徳教育の充実に役立てていただきたいと思い
ます。
最後に、本報告集の作成に当たり、日々の教育実践を積み重ね、大きな研究
、
、
、
成果を得られた蓬田小学校
蓬田中学校
御指導いただいた蓬田村教育委員会
も
く
じ
○発刊によせて
青森県道徳教育推進協議会
会長
八木橋
房代
○あいさつ
青森県教育庁
学校教育課長
一 戸
利 則
○蓬田村立蓬田小学校
道徳教育の抜本的改善・充実に係る支援事業完了報告書
1
道徳教育に関する改善状況の概要… ………
1
2
実施した研究内容……… ………
1
3
実施経過……… ………
7
4
取組の成果と課題……… ………
7
学習指導案
第2学年1組……… ………10
第4学年1組……… ………14
第6学年1組……… ………18
資料
1
道徳アンケート……… ………22
2
道徳教育全体計画……… ………23
3
心と体を育む指導計画~道徳科と体 験活動等との関連表………24
○蓬田村立蓬田中学校
道徳教育の抜本的改善・充実に係る支援事業完了報告書
1
道徳教育に関する改善状況の概要… ………27
2
実施した研究内容……… ………28
3
実施経過……… ………33
4
取組の成果と課題……… ………34
学習指導案・研究協議記録
第1学年A組……… ………37
第2学年A組……… ………41
第3学年A組……… ………44
資料
1
道徳教育全体計画……… ………49
2
道徳教育全体計画
別葉……… ………50
3
第1学年
年間指導計画……… ………51
- 1 -
〔授業づくりと関連した取組 関係図〕
道徳の抜本的改善・充実に係る支援事業
完
了
報
告
書
(蓬田村立蓬田小学校)
1 道徳教育に関する改善状況の概要
本校では、道徳の抜本的改善・充実を図るために、児童の実態や教師や保護者の願いを踏まえ、校 長の方針の下、平成30年度から実施される「特別の教科 道徳」(以下、道徳科)を今年度から校 内研修のパイロット教科として位置付け、全校体制で研究に取り組んできた。
また、道徳教育を充実させるに当たり、これまでの自分の経験や考え方などと照らし合わせてさ らに考えを深めたり、物事をさまざまな視点から理解したりするために、次の3点を柱として掲げ、 道徳教育の充実を目指すこととした。
○内面に根ざした道徳性を養うための指導を目指すことで、自己を見つめようとする態度の育成 を図る。
○児童が主体的に学習し、物事を多面的・多角的に捉える力を育てるために、指導過程や指導方 法の改善に取り組む。
○目指す児童像の具現化のため、体験活動や地域の人との関わりに道徳の視点を取り入れること によって、家庭や地域社会との連携による道徳教育を推進する。
2 実施した研究内容
この事業における研究内容を、 ○教材の活用方法や道徳的諸価値を
実感させるための指導方法を工夫 することで、よりよい生き方を考 えさせる道徳の授業を実践する。 ○指導過程に道徳的価値を自分事と して捉えさせる場を設定したり、 活動の終わりに振り返りの場を取 り入れたりすることで、児童が自 ら考え理解できるような指導の充 実を図る。
○家庭や地域社会との連携を意識し たり、教科指導や特別活動等にも 道徳の視点を取り入れたりしなが
ら、道徳教育全体計画の別葉「心と体を育む指導計画」を作成し、道徳科の充実を図る。 として実践した。これらを授業づくりと関連した取組に分け、関連を示したのが上の関係図で ある。この関係図を基に、今年度の実践について報告する。
(1)授業づくりの工夫 ア 教材提示の工夫
(ア)アンケートの活用
自分自身の生活を振り返ることができることや学級の傾向が明らかになり道徳的価値を 方向付けする上でも有効であった。さらに、アンケートを活用することで、自分自身の生 活を振り返ることができるようになった。
- 2 -
〔動作化の様子〕
(イ)具体物の提示
教材に出てくる物(児童にとって一般的でない物)等につい て、前もって提示することで、教材の内容の理解につながった り、提示物をより理解させるための物(具体物)を準備したり することで、相違点が明確になり学習課題をつかむ手がかりと なった。
(ウ)紙芝居的提示
自分との関わりで考えさせるために、教材を準備せずに授業 を行う場合、拡大した挿絵を提示しながら教師が範読すること で、児童が教材を理解する手助けや児童を教材に引き込むため のツールとなった。
(エ)ICTの活用
NHK for schoolの番組を大型テレビに映すことで、番組
(内容)が理解しやすくなり、それが、中心発問について 考え話し合う活動を積極的に行うきっかけとなり、道徳的 価値を深く学ぶことにつながった。また、大型テレビを活 用することは、児童の意欲を高めることにもつながった。
イ 発問の工夫
(ア)発問の役割や意味
それぞれの場面を捉える発問の後、中心発問を出しても道徳的価値の理解はなかなか結 び付かないことがある。そのため、中心発問につなげるための補助発問(中心発問で考え させるべき内容についてのきっかけとなる言動や中心発問後の登場人物の言動)が重要で ある。
(イ)多面的・多角的に考えさせるための発問
教材に出てくる人物について、主人公の心の様子を自分と の関わりで考えさせるだけでなく、主人公でない人物にも焦 点を当て、主人公の時と同じように自分との関わりで考えさ せることで、多面的・多角的に考えられることが明らかにな った。思考ツールを取り入れることで、児童一人一人だけで なく思考の相関性が分かり、それぞれの立ち位置での発言が、 多面的・多角的に考えるための手がかりになった。
(ウ)自分との関わりで考えさせるような発問
自分との関わりで考えさせるためには、「自分だったらどう するか……」や「自分が登場人物の立場だったら……」のよ うに自分と主人公を重ねたり、客観的に見たりするといった 観点を与えたりしていかなければならないことが分かった。 そうでなければ、読み取り中心の主人公を中心とした心情理 解のみの指導に陥ることが明らかになった。
また、動作化では教材の内容をもう一度振り返ることになり十分に理解した上で自分と の関わりで考えられること、役割演技では、即興性があることから、自分との関わりで考 えやすいことが明らかになった。
〔動画を集中してみる児童〕
〔思考ツールを基に発表する児童〕
- 3 -
〔思考を整理した板書〕 〔心情曲線をコンセプトとした板書〕
〔思考ツールを活用したノート〕
ウ 板書の工夫
(ア)構造的な板書
思 考 ツ ー ル を 活 用 し た 図 表 化 や 対 比 構 造 、 ハ ー ト を 用 い た 思 考 の 視 覚 化 、 心 情 や 行 動 の 様 子 を 矢 印 で 示 し た り 書 き 出 す 位 置 を 変 え た り す る こ と で 、 変 容 や 変 化 を 捉 え 、 道 徳 性 を 養 う た め のツールになることが明ら かになった。
(イ)道徳の授業を回数表示
「第○回 道徳」という表示を行うことで、「今日は 何回目の道徳だ」という発言から、児童の道徳科に対 する意識の向上につながった。また、教師も年間35 時間の授業を見通すことにつながり、週に1時間の道 徳科の授業を積極的に行うようになった。
エ 学び合い
(ア)話し合うためのベース(土台)を作る
話合いをするためには、まず自分の考えをもつことを スタートと捉え、自分の考えをもたせるための手立てを 講じた。道徳ノートに考えを(理由を加えて)書くこと、 考えを文章で表すことに抵抗がある児童に対しては、思 考ツールを活用したり、色で気持ちを表現させたり、数 直線図で自分の考えをネームプレートで貼らせたりと、 すべての児童に自分の考えをもたせることで、話合いへ スムーズに展開することにつながった。
(イ)話し合わせるための手立ての工夫
話し合わせるために多様な指導法について、「『特別の教科 道徳』の指導方法・評価等 について(報告) 平成28年7月22日 道徳教育に係る評価等のあり方に関する専門 家会議」を参考に、①読み物教材の登場人物への自我関与が中心の学習、②問題解決的な 学習、③道徳的行為に関する体験的な学習の3つについての実践を行った。①については、 自分の気持ちや考えを素直に話すことにつながった。②については、教材を分割して取り 上げることで、問題場面の焦点化が図られたこと、③については、動作化や役割演技を行 うことで児童が意識していなかったものが意識されるようになり、より実感を伴って考え ることができるようになった。
(ウ)ベースを基に話し合う
ペアやグループでの話合いの場を意図的に取り入れることで、話合いが充実するように なった。一方で、ペアやグループ学習で話し合わせる観点を明確にしておかなければ、単 なる発表で終わってしまうことも明らかになった。
(エ)話し合わせた後
友達の意見と自分の意見を比較し、どのようにしたらよいかを考えさせる場面を取り入 れたことで、道徳的価値について深く考えることができるようになった。その後、発表し
- 4 -
〔現職教育の様子〕
〔自分との関わりで考えたノート〕 〔振り返り後のノートから〕
たことで、道徳的価値についての理解を学級で共有できた。
オ 道徳ノートの活用
(ア)考えたことを残す
考えたことを残す観点として、1つ目は、自分との関わりでねらいとする道徳的価値に ついて考えたことについて記述させる。2つ目は、話合いを行い、考えを深める(振り返 り)場面を設定し、自分の考えがどうなったかを記述させる。これらのことを通して、児 童の変容が自分自身でも振り返られるようになってきた。
(イ)評価の資料
道徳ノートを活用することで、道徳科で学習した同じ内容項目について1学期に考えた こと、2学期に…、3学期に…と比較することができたことから、道徳的価値の理解を深 めようとしていたか、自分との関わりで考えたか等の成長を見取ることができた。また、 教師が児童の考えに「認め、励ます」コメントを付けてからノートを返却する。このコメ ントが蓄積されることで、通信簿における評価の参考となる。
カ 道徳科の理論研究
(ア) 現職教育における道徳科についての理論研究
秋田公立美術大学、毛内嘉威教授を講師として招き、現職 教育として3回にわたり講義を行っていただいた。道徳教育 や道徳性、そして、道徳科を進めていく上で大いに参考にな った。また、現職教育実施後のアンケートでは、回数が進 むにつれて内容が深まっていった等の意見があり、道徳科 の進め方や目標等について理解できる内容になった。
(2)授業づくりと関連した取組 キ 諸計画の見直し
(ア)心と体を育む指導計画の見直し
本校では、「心と体を育む指導計画」を全体計画別葉とし て取り組んでいる。「心と体を育む指導計画」とは、心(主 に道徳に関すること)と体(心身の安全に関する指導とし ての命の指導や登下校指導等の安全面の指導や給食や歯磨 き指導等の健康や食育に関する指導)と学級活動や学校行 事を併記することで、道徳科を、教育活動全体を通じて行
- 5 -
〔道徳教育の視点を取り入れた学校行事のねらい〕
〔挨拶に関する言葉の掲示〕
〔気持ちのいい挨拶掲示板〕
うための道徳教育として位置付けるために作成したものである。年度当初に作成した道徳 科の計画を児童の実態を踏まえて望ましい方向に向かわせるために、道徳科の年間指導計 画の配列を変更することについて弾力的に行った(赤ペンで修正箇所を記入)。このことで、 児童の活動に対応した道徳的価値を指導することが容易に行えるようになり、児童の道徳 的価値に対する意識も高まってきた。
(イ)各教科、特別活動、学校行事等の関連を意識した指導
「心と体を育む指導計画」に各教科、特別活動、学校行事を取り込んだことで、教師が 道徳科を要として学校の教育活動全体を通じて行うことを意識しながら指導することがで きた。また、児童も道徳的価値を意識した言動(思いやりのある言葉や進んで挨拶する等) が見られるようになってきた。
ク 学校行事の工夫
(ア)学校行事を計画するに当たって ねらいについて道徳性を養 うための観点を含め、教職員 が共通理解し、取り組んだ。 教職員が道徳性を養うことを 意識しながら指導(機会を捉 えた指導)を行ったことで、 児童が道徳科と関連させなが ら進めることができた。 (イ)学校行事を終えて
学校行事を終えた後、感想や作文等を書く活動を取り入れることで、行事の振り返り(反 省)を行うようにした。その際、学校行事のねらいに即して振り返りが道徳性について記 述され、次の学校行事へ向けてどのようにしたらよいかを考えさせるきっかけとなった。
ケ 環境づくり
(ア)教室の環境整備
道徳の授業を常に意識すること、学習内容の想起という 観点で行った授業の内容項目、主題名、主な挿絵を教室内 に掲示した。2学期に同じ内容項目で授業する際に以前の 学習内容の想起につながった。学習したことが掲示される ことから、週1回の道徳の時間を確保しようとする教師の 意識の向上にもつながった。
(イ)教室外の環境整備 挨拶や返事、言葉遣 いに関わって、玄関前 のホールに各学級全員 の写真と挨拶に関する 言葉を掲示した。また、 気持ちのいい挨拶をし たりされたりしてうれ
しかったことを書いて掲示するスペースを設置した。このような活動を通して、休み時間 や教室移動の際、目に触れることになり、児童が意識して挨拶をするようになった。
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〔地域住民と協力して行った海岸清掃〕
コ 小中連携
(ア)授業の相互参観
本校での3回の要請訪問、東青管内道徳教育研究協議会を小中が連携した道徳科の授業 における相互参観と位置付けた。それぞれの道徳科の授業には、蓬田中学校から複数名の 参観者があった。また、本校からも蓬田中学校の要請訪問に参加し、研究協議会では小学 校の視点で中学校の授業に対する考えを述べていた。
(イ)合同学習会
本校が主催となって行った毛内教授を講師として招いた学習会に、蓬田中学校の先生方 も参加する形となった。また、蓬田中学校が主催して行った講師を招いた学習会にも本校 の先生方が参加し、互いに道徳教育をよりよくしていこうということを確認する機会とな った。
サ 家庭や地域との連携
(ア)道徳科の授業公開 平成29年10月、東青管 内道徳教育研究協議会に保 護者の参観を募り、授業の 様子を参観していただいた。 この様子は、村広報誌(広 報 蓬田 2017年11月号) にも記載され家庭への連携 にとどまらず、村全域にわ
たり本校の取組を紹介することができた。平成29年11月に は、これまでの道徳の取組について全学級道徳科の参観日を 行った。この参観日において保護者参加型の授業を行う学級 があった。参観後のアンケートでは、「(保護者が)子供と同 じ年代だったら~」や「(教材として取り上げた内容が)難し かったが、今後このような出来事に遭遇することがあると思 うので~」等の意見があり、道徳科の授業についての理解を 深めるとともに、本校の教育活動が保護者と連携できている ことの再確認の場にもなった。
(イ)地域で行われる行事を生かした教育活動の取組
平成 29 年7月に、村内にある海水浴場の清掃をする奉 仕活動を、蓬田中学校、地域住民の方と協力して行った。 このねらいには「自分たちの地域の名所のよさを知り、み んなの力できれいにしようとする態度を育てる」とあり、 道 徳 の 内 容 項 目 と し て 集 団 や 社 会 と の 関 わ り に 関 す る 内 容が含まれている。この活動を行った後に児童アンケート を行ったところ、「自分たちの海水浴場をきれいにできて よかった」等、ねらいとして設定した内容項目についての 感想が書かれており、この活動を通して道徳性が培われた のではないかと考える。
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3 実施経過
月 取 組 内 容 備 考
4
・全体計画、心と体を育む指導計画、別葉の見直し ・校内研修計画の共通理解
・「児童アンケート」の実施
5 ・研究授業(第3学年) ・要請訪問
6
・研究授業(第5学年)
・道徳教育に関わる学習会①(講師:秋田公立美術大学 毛内嘉威教授) ・道徳教育に関わる学習会②(講師:秋田公立美術大学 毛内嘉威教授)
・計画訪問
7
・道徳教育に関わる学習会③(講師:秋田公立美術大学 毛内嘉威教授) ・研究授業(第1学年)
・研究の概要説明(青森県道徳教育推進協議会) ・先進校視察(札幌市:1名)
・1学期のまとめ
・要請訪問
8 ・研究授業(10月実施)指導案検討 ・校内研修
9
・研究授業(第4学年:特別支援学級)
・研究授業(10月実施)指導案検討 ・要請訪問
10
・研究授業(第2学年、第4学年、第6学年) ・「東青管内道徳教育研究協議会」アンケート集計
11 ・道徳一斉授業参観日
12
・「児童アンケート」の実施 ・2学期のまとめ
1
・研究のまとめ(成果と課題の共通理解) ・研究結果報告(青森県道徳教育推進協議会)
・研究の評価
2 ・研究のまとめ(次年度の計画)
4 取組の成果と課題
(1)授業等による児童の変容分析
道徳アンケートについて、今年度4月に実施したものと比較すると、今年度の道徳教育の 重点目標にある思いやりと挨拶について、どの学年でも「人が困っているときに進んで助け ていますか」という質問に対しての「そう思わない」と「進んで挨拶していますか」という 質問に対して「そう思わない」と答えた児童が減少していることが明らかになった。これは、 学校として重点目標に掲げてあるものを達成するためにさまざまな手立て(主に教室外にお ける環境づくり)を講じてきた結果と考える。全校朝会等で挨拶や思いやりについての啓発 を行ったりするといった環境づくり以外の活動も重要な役割を果たしたものと考える。
道徳ノートの活用したことで、自分の考えを何らかの形でもつことができるようになって きつつあること、自分との関わりで考えることができたこと、話合いを通して、もう一度考 えることによる深い学びができるようになった。
挨拶について、年度当初は教師側から積極的に声を掛けることによって児童が返事を返し ていたが、さまざまな啓発を行ったことで、児童側から声を掛けるようになってきている。 思いやりについては、相手のことを思いやった言葉掛けや、困っている友達に手助けをし たりする児童が見られるようになった。しかし、児童の中には自分中心に物事を考える児童 が見られることや、小さなグループでの活動では自分たちにとって有利になることを考える
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といった行動が見られた。このことから、どんな状況においても、思いやりのある態度を育 てなければならないと考える。
(2)保護者へのアンケートの実施
平成29年7月上旬に東津軽郡小学校校長会が保護者へ向けてアンケートを行った。 本校の子供達の育っているものは何かという質問の結果は、
①思いやりの心 53名
②美しいものや自然に感動する心 27名 ③物事の善悪を判断する心 21名 ③挑戦する意欲 21名
また、本校の子供達に不足、または欠けているものは何かという質問の結果は、 ①物を大切にする心 35名
②感情や欲求をコントロールする心 29名 ③公衆道徳や社会のルールを守る意識 24名
これらのことから、道徳科の重点目標にある「思いやりの心」について保護者の目から見 ても育ちつつあることが明らかになった。また、総合的な学習の時間で行われた蓬田村の農 業や地域の自然等を取り上げた学習により、「美しいものや自然に感動する心」を興味や関心 を徐々にもつようになってきているものと考える。
他方、不足、欠けているものとして挙げられたものについて、③は集団や社会の関わり関 すること、①と②については主に自分自身に関することについての課題があることが明らか になった。保護者は、まずは自己の在り方を自分自身との関わりで考えることで、自己の人 間形成を図ってほしいということが明らかになった。
(3)研究授業の実践と研究協議会
ア 教材の活用方法や道徳的諸価値を実感させるための指導方法の工夫について ○指導方法の工夫①<アンケートの活用>
友達との関わりを想起させること、本時における価値の方向付け、自分自身の問題とし て捉えさせる手立てとして有効であることが明らかになった。
アンケートを活用するのであれば、自分事として考えさせる場面(主に展開後段~終末) での再活用を位置付けなければならない。児童の変容が見て取れるというメリットがある 一方、再活用して落としどころの想定をしておかないとまとまりのない授業になってしま う。導入でアンケートを活用する場合は、自分事として考えさせた後、どのようにアンケ ート結果を活用するかについても考えておかなければならない。
○指導方法の工夫②<役割演技>
意欲的に取り組むための手立てになったことが成果として挙げられたが、「意欲的に取り 組む=自分事として捉える、多面的・多角的に考える」でなければならないと考える。と いうことは、自分事として捉えさせたり、多面的・多角的に捉えさせたりするための手立 てとして役割演技をさせる必要があると考える。
言葉を十分に伝えられない児童に対しては、焦点化や視覚化等のユニバーサルデザイン の方法や心のものさし等の活用で児童の考えを引き出すことも考えられる。
ねらいを考えると、主人公と周りの動物を全て児童が演じることが、主体的な学習と捉 えることができるが、主人公の動作化を教師が意図的に仕掛けることで、ねらいに即した 展開ができると考える。
- 9 -
○指導方法の工夫③<動作化> ・教材を捉えやすくなったこと
・見ている児童も動作化した児童に同化していること ・自分のこととして考えやすいこと
等の点から、有効な手立てである。しかし、発達の段階としては扱うのが難しいことや、 全員に動作化をさせるとより想像しやすくなるという課題も明らかになった。
イ 児童が自ら考え理解できるような指導の充実について ○指導の充実①<考えを深めること>
それぞれの立場で考えさせることで、多面的・多角的に考えることができたこと、「自分 の意見をもつ→意見を聞く→自分の意見を再考する」と展開していくことで、自分事とし て深く考えられる(深い学びになる)こと、教材からすぐに離れることで、自己決定に時 間がかからない(←児童の本音が出やすい)ことが明らかになった。
他方、児童のつぶやきに対する効果的な切り返しの発問や教師の立ち位置(少数意見へ の加担、コーディネーターとしての振舞)について考えていかなければならないことも明 らかになった。また、ペアやグループでの話合いにおいて何の目的でどのような変容をね らっているのかを考えていく必要がある。
○指導の充実②<意見交流の場と振り返り>
ワークシートの回し読みや振り返りが重要である。『小学校学習指導要領解説 特別の教 科 道徳編』には、「発達の段階に応じ、答えが一つではない道徳的な課題を一人一人の児 童が自分自身の問題と捉え、向き合う『考える道徳』『議論する道徳』へ転換を図る」とあ る。議論する道徳とは、多様な考えに出会う、自分の考えを深めるという意味で、討論す るというものではない。その際、多様な考えに出会って(出会ったが)……、~という意 見を見て(聞いて)自分の考えを深めるというように、振り返りが大切なのではないかと 考える。指導者が意見交流をどのように捉えているか(ディベートなのかそれとも……) が鍵になると考える。そして、振り返りは、どのように学んだかということで、それをま とめと区別して書くことで、評価にもつながる。考えの変化を捉えることができる。
(4)まとめと今後の方向付け
指導方法の工夫や指導の充実で成果の共通点には、教師が明確な指導観(価値観、児童観、 教材観)をもち取り組んでいること、加えて、児童に考えさせたり、振り返らせたりする活 動を取り入れていることが挙げられる。つまり、教師が目的意識をもって指導し、児童にさ まざまな活動を通して考えさせることで、よりよく生きるための基盤となる道徳性を養うこ とが必要であると考える。
- 10 -
第2学年1組
道徳科学習指導案
日 時 平成29年10月5日(木) 授業者 前田 まり子
1 主題名 気持ちのよい挨拶〈内容項目B-8 礼儀〉
2 教材名 たびに 出て(出典 わたしたちの道徳 文部科学省)
3 主題設定の理由
(1)ねらいとする道徳的価値について
本主題で取り上げる内容は、小学校学習指導要領解説特別の教科道徳編〈B-8〉小学校第1学年及び 第2学年「気持ちのよい挨拶、言葉遣い、動作などに心掛けて、明るく接すること。」である。人と の関わりにおける習慣の形成に関するものであり、相互の心を明るくし、人と人との結びつきをより 深いものにするための適切な礼儀正しい行為に関する内容項目である。
礼儀とは、相手を尊重し相手に対して敬愛する気持ちを具体的に示すことであり、心と体が一体に なってこそ、そのよさが認められる。また、礼儀は、具体的には挨拶や言葉遣い、動作など作法とし て表現されるが、それは、人間関係を豊かにしていくことで、社会生活を円滑に進めようとするため に作り出されたものである。よい人間関係を築くには相手に対して真心のこもった気持ちのよい対応 ができなければならない。また、真心のこもった気持ちのよい対応には、時や場をわきまえること等 も必要であると考える。
そこで、これから生活していく上で、相手のことを親身に思いやり、形として表すことが大切であ ると考え、この主題を設定した。
(2)児童について
明るく元気で、好奇心旺盛な児童たちである。18名のうち、14名が同じ保育園からの入学であ り、小さい頃から同じ環境で過ごしてきた期間が長い。そのため、お互いの性格をよく知っており、 言いたいことをそのまま伝えてしまうので、言い争いになることが多い。他の幼稚園から入学した4 名は、周りの児童による褒め言葉・温かい言葉・誘いの言葉などにより、全員がすぐに打ち解けるこ とができた。2学年になり学級の児童も学級担任も変わらないので、昨年度の雰囲気やルールがその まま継続され、伸び伸びと生活している。
1学期の道徳の授業では、「おじいさん こんにちは」(内容項目〈B-8礼儀〉)という教材を使用し、 気持ちのよい挨拶について学習した。登場人物のおじいさんやふみおさんになりきって役割演技をす ることによって、それぞれの気持ちを考えて発表することができた。また、ふみおさんの出来事を自 分との関わりで考え、挨拶をしたとき、挨拶をした方もされた方も笑顔になりいい気持ちになるとい うように、両方の立場で考えることができた児童も見られた。その意見に「同じです。」「ああ。(な るほど)」というつぶやきもあり、学級全体として礼儀についての価値理解が一歩進んだと考える。 しかし、実際の日常生活での挨拶について見てみると、価値理解はできているものの自分から進ん で気持ちのよい挨拶ができている児童は少ない。朝、校内ですれ違う先生方への挨拶や、教室に入る ときの挨拶などは、恥ずかしそうにしながら小さな声で「おはようございます。」と言ったり、挨拶 を返さなかったりする児童もいるということもあり、気持ちよく学校生活を送るにはどのようにした らよいのかを礼儀という観点で考えさせることが必要であると考え、この主題を設定した。
(3)教材について
本教材は、挨拶を面倒に思う主人公さるのけいたが、これまで住んでいた元気な挨拶にあふれた「あ いさつじま」から、挨拶のない「あいさつのないしま」へ旅立つところから始まる。とても静かな「あ いさつのないしま」をすっかり気に入ったけいただったが、水飲み場を尋ねたときのさるたちの対応
- 11 -
に戸惑う。その夜、けいたは、木の上で「あいさつじま」のことを思い出して考える。その次の日か らけいたは、みんなに挨拶をするようになり、「あいさつのないしま」に、段々と明るく元気な挨拶 があふれるようになる。はきはきとした気持ちのよい挨拶などに心掛けて、身近な人と明るく接する と、気持ちよく生活できることに気付いたけいたの気持ちを考えることを通して、自分も相手も気持 ちよく過ごすためにはどうすればよいかについて考えることができる教材である。
事前のアンケート結果では、自分も2年1組の友達も「進んで挨拶をしている」と答えた児童が多 いことより、挨拶が無い、挨拶が返ってこないという経験をしたことがない児童もいると考えられる。 そこで、本時では、挨拶が全くない「あいさつのないしま」という状況を把握・体験させるために、 学級を「あいさつのないしま」と設定した上で動作化をさせたい。そして、挨拶がないとどのような 気持ちになるのかを考えさせることにより、教材の中の出来事を自分との関わりとして捉えさせ、け いたの気持ちに寄り添って考えさせていきたい。その際、いい気持ち、嬉しい気持ちなど上向きの気 持ちを赤いハートマークで表現し、寂しい気持ち、悲しい気持ちなど下向きの気持ちを青いハートマ ークで表現することにより、心情の変化などを視覚に訴え登場人物の心情を考えるときの支援とする。 また、けいたが、木の上でどんなことを考えていたのかを一人一人にじっくり考えさせることにより、 これからの生活の中で、自分も相手も気持ちよく過ごせるような元気で明るい挨拶をしようとする心 情を養いたい。
以上のことより、礼儀の中で特に日常生活を送るために欠かせない基本的な挨拶について、学校生 活全般や校外学習等、具体的な状況の下での体験を通して実感的に理解できるようにしたい。そして、 児童自らが進んで真心のこもった気持ちのよい挨拶をすることを通して、言葉遣いや動作にも気を配 り明るく接しようとする児童を育てていきたい。
教材分析「たびに 出て」
主要場面 登場人物の言動・心の動き 気付かせたいこと
①いつもみんな元気に挨拶をす る「あいさつじま」から、挨 拶のない「あいさつのないし ま」へ旅に出る。
・いちいち挨拶をするなんて面 倒だ。
・挨拶のない島がすっかり気に 入る。
・けいたは、挨拶を面倒だと思 っていたこと。
②挨拶のない島で、さるに話し かけたが、みんな黙って行っ てしまう。
・水飲み場を尋ねたときのさる たちの対応に戸惑う。
・挨拶が面倒だと思っていたけ いたが、挨拶や返事がないこと に戸惑っている様子。
③「あいさつじま」のことを思 い出しじっと考える。次の日 から、進んで挨拶をするよう になる。
・出会ったさるに思い切って挨 拶をしてみる。
・次の日、もっと元気な声で挨 拶をする。
・次の日も-。
・けいたが、挨拶の大切さに気 付き、自分から進んで挨拶を したこと。
④「あいさつのないしま」に、 元気な挨拶があふれ出す。
・はじめは、びっくりしていた さるたちも、挨拶をするよう になる。
・けいたも、明るく大きな声で 挨拶を返す。
・挨拶をすることによって、け いたもさるたちも笑顔になっ ていること。
4 研究仮説との関連
① 「あいさつのないしま」での出来事について動作化を行うことにより、けいたが体験したことを 自分との関わりで捉え、返事が返ってこないときのけいたの気持ちを想像することができるのでは ないか。
② 展開後段で、「あいさつのないしま」で挨拶がないときと挨拶をするようになったときのけいた の気持ちを比較・確認することにより、木の上のけいたの思いを考えることができ、身近な人々と 明るく接することのよさに気付くのではないか。
道徳科の授業において,道徳的価値に迫る発問をしたり,目的をもった学び合いをさせたりす ることにより,豊かな心をもち,共に生きようとする態度が育つのではないか。
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に戸惑う。その夜、けいたは、木の上で「あいさつじま」のことを思い出して考える。その次の日か らけいたは、みんなに挨拶をするようになり、「あいさつのないしま」に、段々と明るく元気な挨拶 があふれるようになる。はきはきとした気持ちのよい挨拶などに心掛けて、身近な人と明るく接する と、気持ちよく生活できることに気付いたけいたの気持ちを考えることを通して、自分も相手も気持 ちよく過ごすためにはどうすればよいかについて考えることができる教材である。
事前のアンケート結果では、自分も2年1組の友達も「進んで挨拶をしている」と答えた児童が多 いことより、挨拶が無い、挨拶が返ってこないという経験をしたことがない児童もいると考えられる。 そこで、本時では、挨拶が全くない「あいさつのないしま」という状況を把握・体験させるために、 学級を「あいさつのないしま」と設定した上で動作化をさせたい。そして、挨拶がないとどのような 気持ちになるのかを考えさせることにより、教材の中の出来事を自分との関わりとして捉えさせ、け いたの気持ちに寄り添って考えさせていきたい。その際、いい気持ち、嬉しい気持ちなど上向きの気 持ちを赤いハートマークで表現し、寂しい気持ち、悲しい気持ちなど下向きの気持ちを青いハートマ ークで表現することにより、心情の変化などを視覚に訴え登場人物の心情を考えるときの支援とする。 また、けいたが、木の上でどんなことを考えていたのかを一人一人にじっくり考えさせることにより、 これからの生活の中で、自分も相手も気持ちよく過ごせるような元気で明るい挨拶をしようとする心 情を養いたい。
以上のことより、礼儀の中で特に日常生活を送るために欠かせない基本的な挨拶について、学校生 活全般や校外学習等、具体的な状況の下での体験を通して実感的に理解できるようにしたい。そして、 児童自らが進んで真心のこもった気持ちのよい挨拶をすることを通して、言葉遣いや動作にも気を配 り明るく接しようとする児童を育てていきたい。
教材分析「たびに 出て」
主要場面 登場人物の言動・心の動き 気付かせたいこと
①いつもみんな元気に挨拶をす る「あいさつじま」から、挨 拶のない「あいさつのないし ま」へ旅に出る。
・いちいち挨拶をするなんて面 倒だ。
・挨拶のない島がすっかり気に 入る。
・けいたは、挨拶を面倒だと思 っていたこと。
②挨拶のない島で、さるに話し かけたが、みんな黙って行っ てしまう。
・水飲み場を尋ねたときのさる たちの対応に戸惑う。
・挨拶が面倒だと思っていたけ いたが、挨拶や返事がないこと に戸惑っている様子。
③「あいさつじま」のことを思 い出しじっと考える。次の日 から、進んで挨拶をするよう になる。
・出会ったさるに思い切って挨 拶をしてみる。
・次の日、もっと元気な声で挨 拶をする。
・次の日も-。
・けいたが、挨拶の大切さに気 付き、自分から進んで挨拶を したこと。
④「あいさつのないしま」に、 元気な挨拶があふれ出す。
・はじめは、びっくりしていた さるたちも、挨拶をするよう になる。
・けいたも、明るく大きな声で 挨拶を返す。
・挨拶をすることによって、け いたもさるたちも笑顔になっ ていること。
4 研究仮説との関連
① 「あいさつのないしま」での出来事について動作化を行うことにより、けいたが体験したことを 自分との関わりで捉え、返事が返ってこないときのけいたの気持ちを想像することができるのでは ないか。
② 展開後段で、「あいさつのないしま」で挨拶がないときと挨拶をするようになったときのけいた の気持ちを比較・確認することにより、木の上のけいたの思いを考えることができ、身近な人々と 明るく接することのよさに気付くのではないか。
道徳科の授業において,道徳的価値に迫る発問をしたり,目的をもった学び合いをさせたりす ることにより,豊かな心をもち,共に生きようとする態度が育つのではないか。
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5 各教科及び特別活動等との関連
6 本時の指導 (1)ねらい
挨拶をしても相手から挨拶が返ってこない状況を把握・体験したり、感想を発表し合ったりす ることを通して、「あいさつのないしま」で起こったけいたの出来事を自分との関わりで考え、 挨拶の大切さに気付き、自分から進んで真心のこもった挨拶をしようとする心情を養う。
(2)展開
段階 主な発問と児童の反応 留意点:・ 評価:★(評価方法)
導 入
1 アンケートの結果を見てみましょう。 ・自分から進んで挨拶をしている人が多い
です。
・ 挨 拶 を す る と 上 向 き の 気 持 ち に な り ま す。
・2年1組では、挨拶を進んでしている児童が 多いこと、挨拶をしたとき、されたとき共に、 いい気持ち(上向きの気持ち)だと感じてい る児童が多いことの2点を押さえる。
展
開
前
段
2 お話を聞いて、どんなことを思いました か。
・「あいさつのないしま」でも挨拶をする ようになってよかったと思いました。 ・けいたさんが、挨拶を好きになってよか
ったなと思いました。
・挨拶が面倒だったけいたさんが、何で挨 拶をしたのかなと思いました。
・挨拶がないと暗いと思いました。 ・挨拶があると、みんな笑顔になっていま
す。
3 2年1組が「あいさつのないしま」だっ たらどう思いますか。
実際にやってみましょう。どんなことを思 いましたか。
・挨拶をしてくれなくて寂しい気持ちにな りました。
・話しかけても黙っていると、悲しい気持 ちになりました。
・みんなに無視されているみたいで嫌な気 持ちでした。
・挨拶を面倒に思っている主人公のけいたを紹 介してから、教材文を読む。
・けいたの気持ちを考えながら聞くという観点 をもたせる。
・お話を聞いた感想を自由に発表させる。
・教室の入り口で「おはようございます。」の挨 拶をさせたり、「水飲み場はどこですか。」と
尋ねさせたりする。 【研究仮説①】
・周りの児童は挨拶や返事をしないという設定 で動作化を行う。
・動作化を行うことで、挨拶や返事が返ってこ ないと寂しい・悲しいなど下向きの気持ちに なることが多いことを押さえる。
「たびに 出て」〈内容項目B-8 礼儀〉 道徳科
「おじいさん こんにちは」 〈内容項目 B-8 礼儀〉
気持ちのよいあいさつを心 掛けようとする心情を養う。
全校朝会 「校長先生のお話」
自 分 も 相 手 も 気 持 ち よ く 過 ご せ る よ う な 明 る い 挨 拶 や返事、言葉遣いができる子 を育てる。
校外学習
バスの運転手さんや施 設の方へ進んで気持ちの よい挨拶をする。 家庭との連携
学年便りで道徳の授業の 様子や児童の発言等を知ら せ、家庭でも挨拶について 話 し 合 う 場 を 設 け て も ら う。
道徳科
「あいさつで えがおに」 〈内容項目B-8 礼儀〉
場に応じ、心のこもった挨 拶や動作を心掛けようとす る心情を養う。
生活科 「村たんけん」
挨拶や言葉遣いに気を付 けて見学したり、インタビュ ーをしたりする。
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5 各教科及び特別活動等との関連
6 本時の指導 (1)ねらい
挨拶をしても相手から挨拶が返ってこない状況を把握・体験したり、感想を発表し合ったりす ることを通して、「あいさつのないしま」で起こったけいたの出来事を自分との関わりで考え、 挨拶の大切さに気付き、自分から進んで真心のこもった挨拶をしようとする心情を養う。
(2)展開
段階 主な発問と児童の反応 留意点:・ 評価:★(評価方法)
導 入
1 アンケートの結果を見てみましょう。 ・自分から進んで挨拶をしている人が多い
です。
・ 挨 拶 を す る と 上 向 き の 気 持 ち に な り ま す。
・2年1組では、挨拶を進んでしている児童が 多いこと、挨拶をしたとき、されたとき共に、 いい気持ち(上向きの気持ち)だと感じてい る児童が多いことの2点を押さえる。
展
開
前
段
2 お話を聞いて、どんなことを思いました か。
・「あいさつのないしま」でも挨拶をする ようになってよかったと思いました。 ・けいたさんが、挨拶を好きになってよか
ったなと思いました。
・挨拶が面倒だったけいたさんが、何で挨 拶をしたのかなと思いました。
・挨拶がないと暗いと思いました。 ・挨拶があると、みんな笑顔になっていま
す。
3 2年1組が「あいさつのないしま」だっ たらどう思いますか。
実際にやってみましょう。どんなことを思 いましたか。
・挨拶をしてくれなくて寂しい気持ちにな りました。
・話しかけても黙っていると、悲しい気持 ちになりました。
・みんなに無視されているみたいで嫌な気 持ちでした。
・挨拶を面倒に思っている主人公のけいたを紹 介してから、教材文を読む。
・けいたの気持ちを考えながら聞くという観点 をもたせる。
・お話を聞いた感想を自由に発表させる。
・教室の入り口で「おはようございます。」の挨 拶をさせたり、「水飲み場はどこですか。」と
尋ねさせたりする。 【研究仮説①】
・周りの児童は挨拶や返事をしないという設定 で動作化を行う。
・動作化を行うことで、挨拶や返事が返ってこ ないと寂しい・悲しいなど下向きの気持ちに なることが多いことを押さえる。
「たびに 出て」〈内容項目B-8 礼儀〉 道徳科
「おじいさん こんにちは」 〈内容項目 B-8 礼儀〉
気持ちのよいあいさつを心 掛けようとする心情を養う。
全校朝会 「校長先生のお話」
自 分 も 相 手 も 気 持 ち よ く 過 ご せ る よ う な 明 る い 挨 拶 や返事、言葉遣いができる子 を育てる。
校外学習
バスの運転手さんや施 設の方へ進んで気持ちの よい挨拶をする。 家庭との連携
学年便りで道徳の授業の 様子や児童の発言等を知ら せ、家庭でも挨拶について 話 し 合 う 場 を 設 け て も ら う。
道徳科
「あいさつで えがおに」 〈内容項目B-8 礼儀〉
場に応じ、心のこもった挨 拶や動作を心掛けようとす る心情を養う。
生活科 「村たんけん」
挨拶や言葉遣いに気を付 けて見学したり、インタビュ ーをしたりする。
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・挨拶がなくても普通の気持ちです。
展
開
後
段
④ けいたは、木の上でどんなことを考えた のでしょう。ワークシートに書きましょ う。
・「あいさつじま」のみんなは、どうして いるかなあ。元気かなあ。
・「あいさつじま」のみんなは、元気に挨 拶していたなあ。
・なんだか、寂しい気分になるなあ。 ・やっぱり挨拶があった方が、気持ちがい
いから、挨拶をしよう。
・挨拶がないから、話しかけても答えてく れないのかなあ。挨拶はあった方がいい のかなあ。
・挨拶があれば、みんな笑顔でいい気持ち になるから、挨拶をしてみようかなあ。
・挨拶を面倒だと思っていたけいたが、木の上 で考えごとをした次の日から挨拶をし始めた ことを確認する。
・「あいさつのないしま」で挨拶がないときと挨 拶をするようになったときのけいたの気持ち を比較・確認してから、けいたの思いを考え
させる。 【研究仮説②】
・動作化をしたときの気持ちを思い出させなが ら、ワークシートに自分の考えを書かせる。 ・考えることに時間がかかる児童には、挨拶が
面倒だと思っていたけいたが、なぜ挨拶をし ようと思ったのかを考えさせ、けいたの気持 ちに寄り添わせる。
★挨拶の大切さや、挨拶があると日常の会話も 気持ちよく行われることに気付くことができ
る。 〈ワークシート、発表〉
終
末
5 挨拶でいっぱいになった「あいさつのな いしま」に行って、挨拶をしたり話しかけ てみたりしましょう。どう思いましたか。 ・笑顔で挨拶をしていたので、よかったと
思います。
・元気な声で挨拶をされて、いい気持ちに なりました。
・「水飲み場はあっちだよ。」と優しく笑顔 で教えてくれて嬉しかったです。
・みんなが挨拶を返してくれて嬉しかった です。これからも、元気に挨拶をしたい です。
・教室の入り口で「おはようございます。」と挨 拶をしたり、水飲み場を尋ねたりするという 設定で行う。
・事前アンケートの結果より、元気で明るい挨 拶をしている児童に、お手本となってもらう。 その後、挨拶や返事をした児童にもされた児 童にも、挨拶や返事をされたときの感想を聞 く。
★自分から進んで真心のこもった挨拶をしよう
としている。 〈観察、発表〉
(3)板書計画
だい19かい 「たびに 出て」
あいさつじま あいさつのないしま
もし,2年1くみがあい
さ つ の な い し ま だ っ た ら…
・あいさつをしてくれな
くて、さみしい気もち
になりました。 ・みんなにむしされて
・・・・・・・・・ けいた
2年1くみ あ い さ つ ア ン ケート
いちいちあいさつをする なんでめんどうだ。そう だ。たびに出よう。
・なんだかさみしい気 もちになるなあ。 ・やっぱりあいさつが
あ っ た ほ う が 気 も ちがいい。
だい19かい
「たびに 出て」
あいさつのないしま もし,2年1くみがあい
さ つ の な い し ま だ っ た
ら…
・あいさつをしてくれな
くて、さみしい気もち
になりました。
・みんなにむしされて
・・・・・・・・・ けいた
2年1くみ
あ い さ つ ア ン
ケート
いちいちあいさつをする
なんでめんどうだ。そう
だ。たびに出よう。
・なんだかさみしい気
もちになるなあ。
・やっぱりあいさつが
あ っ た ほ う が 気 も
ちがいい。
挿絵 挿絵 挿絵 挿絵 挿絵
あいさつじま
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第4学年1組
道徳科学習指導案
日 時 平成29年10月5日(木)
授業者 鹿内 亜里
1 主題名 思いやる心〈内容項目B-6 親切、思いやり〉
2 教材名 絵はがきと切手(出典 4年生のどうとく 文溪堂)
3 主題設定の理由
(1)ねらいとする道徳的価値について
本主題で取り上げる内容は、小学校学習指導要領解説特別の教科道徳編〈B-6〉小学校第3学年及
び第4学年「相手のことを思いやり、進んで親切にすること。」である。よりよい人間関係を築く上
で求められる基本的姿勢として、相手に対する思いやりの心をもち親切にすることに関する内容項目
である。
思いやりとは、相手の気持ちや立場を自分のことに置き換えて推し量り、相手に対してよかれと思
う気持ちを相手に向けることである。そのためには、相手の立場を考えたり相手の気持ちを想像した
りすることを通して、励ましや援助する姿勢が求められる。他者への思いやりは、ぬくもりのある人
間関係を築く上で大切な心情である。親切な行為を受けた者には、感謝の心が生まれ、他者への思い
やりの心、親切な行為となって広がっていく。中学年では、単に相手を思いやるにとどまることなく、
親切な行為を自ら進んで行うことができるようにしていくことが必要であると考え、この主題を設定
した。
(2)児童について
一村一校で学級編制もなく、ほとんどの児童が保育園から一緒に生活してきている。そのため、男
女関係なくとても仲がよく、お互いの性格をよく理解している。しかし、仲がよすぎるがゆえの遠慮
のない言葉により、相手の心を傷付けてしまうことが度々ある。また、男子の人数が多いということ
もあり、体育でのドッジボールなど、勝負事になると思いやりや配慮に欠ける言動がある。
普段の様子から、児童は、何気なく親切な行為をしていることが多い。褒められるとか教師に言わ
れたからなどという他律的な行動から、相手のために自ら考え行うという自律的な行動に移ってきた
ようである。しかしながら、それはこの学級内、学校内であるからこそできることである。前回、「親
切、思いやり」に関する授業をした際、困っている人を助けたいと思いやる心はあるがそれを実行に
移すことができないという実情が浮き彫りになった。具体的には、街で目の不自由な人や重い荷物を
持った高齢者を見かけても、助けたいとは思うが行動に移すほどの勇気はないということである。児
童は、思いやる心はあっても、それが実行に移せる場となかなかそうはいかない場があるというジレ
ンマに気付いているようであった。
このことから、(1)で前述したように中学年で求められる「親切な行為を自ら進んで行う」とい
う点においては、まだ十分でない。また、親切な行為といっても、それは些細なことが多く、鉛筆や
消しゴムを貸したり、保健室へ連れて行ったりという類いであった。真に相手の立場や心情を思いや
った親切な行為というものについて経験が少ない児童に対し、それをじっくりと考えることが必要だ
と考え、この主題を設定した。
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(3)教材について
本教材は、「未納不足」と書いてある紙が貼ってある大きめの絵はがき(料金不足の定形外郵便)
を受け取ったひろ子が主人公であり、身近である友達に対する思いやりがテーマとなっている。
ある日、転校した友達の正子から絵はがきが送られてくる。それは、正子が心を込めて書いたであ
ろう絵はがきで、ひろ子に蓼科高原の美しさを伝えたいがために大きなはがきを使用しており、定形
外郵便となっていた。しかし、それを知らない正子は、普通のはがき料金で送ってしまい、「未納不
足」としてひろ子の元へ届く。「きれいな景色を見せたい。」と、せっかく正子が送ってくれたのに、
自分が指摘することで相手を嫌な気持ちにさせてしまうのではないかと、返事を書きながら郵便料金
不足を伝えることをためらうひろ子。そんな中、母からは「お礼だけ言う方がよい。」と、兄からは
「教えてあげるべきだ。」という助言を受け、気持ちが揺れ動く。本当に相手のことを考えて行動す
るならばどちらを選択するのか、葛藤の中で自分なりの答えを導き出していける教材になっている。
本時では、母と兄の助言を受け、迷ってしまうところで教材文をカットする。自分ならどうするの
か、理由をもとにして考えを明確にし、その上で話合いを深めていく。伝えたらどうなるだろう、逆
に伝えなかったらどうなるだろうと、双方のシチュエーションを想像させながら自分との関わりで考
えさせたい。さらに、自分が正子だったらと、反対の立場に立ったときにどうしてもらいたいのかを
考えさせることにより、さらに自分が選択した方の理由に深みをもたせたい。授業の後段では、正子
からの絵はがきへの返事を自分の言葉で書かせる。書き方によって受け取る側の印象が変わってしま
うことも含め、思いやりの心を言葉で表すことの大切さも感じさせることができるよう指導していき
たい。
教材分析「絵はがきと切手」
主要場面 登場人物の言動・心の動き 気付かせたいこと
①正子から絵はがきをもらう。 ・心をこめて書いてくれたんだ ね。ありがとう。
・うれしいな。
・景色の素晴らしさが伝わって くるはがきだ。
・正子が景色の素晴らしさを伝 えたくて、わざわざ大きなは がきで送ってくれたことによ り、料金不足になってしまっ たこと。
② ひ ろ 子 が 返 事 を 書 こ う と す る。
(ひろ子)
・せっかくきれいな景色を見せ たいと送ってくれたのに、「料 金が不足していました。」なん て書きたくない。
・正子を嫌な気持ちにさせたく ない。
・相手を嫌な気持ちにさせたく ないというひろ子の思い。
③母と兄から助言を受ける。 (母の助言から)
・相手を嫌な気持ちにさせたく ないからお礼だけ伝えよう。 (兄の助言から)
・違っていることをきちんと伝 えることも大切だよね。
・どちらも相手を思いやっての 考えであるということ。
④ひろ子なりの考えをもち、絵 は が き へ の 返 事 を 書 き 始 め る。
(ひろ子)
・正子さんは、ほかの人にも、 この大きい絵はがきをそのま ま の 料 金 で 送 る か も し れ な い。
・同じことを繰り返さぬよう、 間違いを教えてあげることも 思いやりだということ。 ・ひろ子は伝えるという考えを
とったが、これが必ず正解だ というわけではないこと。