17Seika2-quiz1
生化学Ⅱ 第 1 回小テスト2017年 5 月 16 日 問題 1.右の図は「パルミトレイン酸」と呼
ばれる分子の略式構造式である。この図を 参考にし,以下の問題に答えなさい。
i) パルミトレイン酸の系統名は「9-ヘキサデセン酸」であり,脂肪酸の構造を表す数値表現では
「16:1n-7」,または「16:1D9」と標記する。以上の情報を元に,次の 3 種類の脂肪酸の構造式を 正しく書きなさい。
(a) リノール酸(18:2 D9 D12) (b) ステアリン酸(18:0) (c) オレイン酸(18:1n-9) ii) 小問 i)の 3 種類の脂肪酸を融点の高い順から低い順に並べなさい。また,その様に並べた理由を
説明すること。なお,回答は脂肪酸の名前でも,小問 i)の(a)~(c)標記のいずれでも良い。 iii)「トリアシルグリセロール」と「グリセロリン脂質」の構造の類似点と相違点,そして生物にお
ける働きの違いについてそれぞれ説明しなさい。
iv) 「アラキドン酸(20:4n-6)」は体内のある重要なホルモンを合成する「前駆体物質」である。ア ラキドンから合成されるホルモンの総称(「炭素 20 個からなる疎水性ホルモン類」)と,これら のホルモン合成を阻害することで沈痛,解熱作用など様々な薬効を見せるある化合物(くすり) の名称を答えなさい。最後に,この化合物が阻害する,上記ホルモンの合成に必要な「酵素」の 名称も答えなさい。
v) 細胞膜の中には通常,ステロイドホルモンの原料であるコレステロールも存在する。このコレス テロールは時に,細胞膜内で膜タンパク質と一緒に会合し, ① と呼ばれる膜内構造を形 成する。空欄①に入る適当な言葉を答えなさい。
vi) 次の 2 つの単語について簡単に説明しなさい。
a.クラスリン b.シグナルペプチド
問題 2.「タンパク質の機能」についてまとめた以下の小問に答えなさい。
i) 次の<文章>を参考にして,ミオグロビン,ヘモグロビンの「酸素結合曲線」を正しく解答用紙 のグラフに書き込みなさい(ミオグロビンの曲線は実線,ヘモグロビンの曲線は破線で記入す ること)。また,なぜこの 2 種類のタンパク質は異なる酸素結合様式を持つように進化したの か,グラフにも適当な補助線を引いて講義で紹介した仮説を簡単に説明しなさい。
<文章>タンパク質は,細胞内において様々な働きを実現するために「ものに結合する」能力を究 極まで進化させた生体分子である。例えばミオグロビンは,低い酸素濃度でも効率よく酸素に 結合できる性能を持つ。しかし,赤血球の中で見るヘモグロビンはミオグロビン共通の祖先タ ンパク質から進化しているものの,その構造は 2 種類のタンパク質分子が 2 個ずつ,合計 4 個 の「オリゴマー」を形成している。この構造が「協同性」という,低い濃度では酸素を結合せ ず,ある濃度以上で急激に結合力をアップさせる酸素結合のメカニズムを持つようになった。 ii) ミオシンがアクチンの上を移動し,筋肉などで力を生み出す仕組みを簡単に説明しなさい。な お,説明にはこのタンパク質の機能を説明する「重要なキーワード」がいくつか含まれていな ければ評価されませんので,注意すること。
<裏に続く>
O
OH
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問題 3.酵素はタンパク質の結合能力を高めた結果,「化学反応の触媒」として機能するようになったものです。酵素に関する以下の問いに答えなさい。
i) 「触媒」とは,どのような定義を満たす物質ですか?正しく説明しなさい。
ii) ある化学反応A+B→P について考える。基質 A+B の合計自由エネルギーGは 5.6
kcal/mol,生成物のGは 3.4 kcal/mol であった。この反応においては A とBが衝突して形成 される「遷移状態」A…B‡が有り,この状態のGは 9.7 kcal/mol である。
以上の情報を利用して,解答用紙に反応A+B→P の遷移状態図(反応座標図)を作成し,遷 移状態図の Y 軸に上記 3 つの数値(下線部)を正しく記入なさい。なお,作成に当たり,反応 の自由エネルギー変化DG,活性化自由エネルギーDG‡に相当する両方向矢印を書き込み,用意 された別の欄にこれらの値も導出して記入すること。
iii) 小問 ii)の反応A+B→P を特異的に触媒する酵素「X」が存在する。この酵素 X を標記の反応 に加えたとき,反応の活性化自由エネルギーは 2.3 kcal/mol に変化した。以上の情報を元に, 酵素 X が存在するときに遷移状態A…B‡の自由エネルギーGの値を求めなさい。
iv) 酵素は小問 iii)のように活性化自由エネルギーを低下させる際,様々な「戦略」を用いる。 講義で紹介した 5 つの酵素触媒の「基本戦略」のうち,
a. 金属イオン触媒 b. 遷移状態優先結合 の 2 つの戦略について簡単に説明しなさい。
解答用紙 学籍番号 氏名
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問題 1.43点i) (a)
3点
(b)3点(c)
3点
ii)順番3点 (b) -> (c) -> (a)
(ステアリン酸 -> オレイン酸 -> リノール酸)
<理由> 4点
3分子とも 18 個の炭素からなり炭化水素の長さに差がないので脂肪酸の融点は「不飽和結合
(2 重結合)の数」に従って減少する。 iii)構造類似点 4点
共にグリセロールを骨格にし,3 箇所の水酸基に別の分子を結合する 構造相違点 5点
トリアシルグリセロールはグリセロールの 3 箇所の水酸基すべてに脂肪酸をエステル結合で 結合するのに対し,グリセロリン脂質は 3 位の水酸基がリン酸+親水性化合物を結合する点 が異なる。
生理的機能の違い 4点
トリアシルグリセロールはエネルギー貯蔵に,グリセロリン脂質は細胞膜の原料に利用され る。
iv)総称 2点
エイコサノイド類 薬品名 2点 アスピリン
酵素名 2点
プロスタグランジン H2 シンターゼ(合成 酵素)
v)① 2点 ラフト,いかだ
vi) a.クラスリン 3点
細胞内でタンパク質などを細胞膜の小さな「泡,小胞」に包んで輸送する「被覆小胞」の外 側を覆うタンパク質の名称
b) シグナルペプチド 3点
膜を通過しなければならないタンパク質が自身のアミノ酸配列の中に持つ特徴的なアミノ酸 配列の名前。
<裏に続く>
O
OH
O
OH
O
OH
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問題 2.25点i)酸素結合曲線 曲線各5点,補助線4点 仮説の説明 5点
肺における高い酸素分圧(①)ではヘ モグロビンがたくさん酸素を結合でき るが,細胞の低い酸素分圧(②)では この酸素が離れ,同じ条件で酸素を強 く結合するミオグロビンに酸素を受け 渡すことを可能にする為。
ii) 6点
ミオシンにATPが結合し,これがADPに加水分解される酵素反応と連動してアクチン と結合・「引き寄せ」・解離を繰り返してミオシンがアクチンの上を「這う」様に移動するこ とで力を生み出す。(「ATP」と「加水分解」が正解のキーワード)。
問題 3.32点 i)
4点 化学反応に添加するとその反応の反応速度を大幅に促進する分子のこと。触媒は通常反応の 前後でその形や性質を変えない。
ii)
8点満点 DG‡
DG
反応の自由エネルギー変化DG
2.2 kcal/mol 4点(符号逆は2点)
活性化自由エネルギーDG‡ 4点
4.1 kcal/mol
iii) 4点
5.6 + 2.3 = 7.9 kcal/mol iv) a.金属イオン触媒 4点
酸化反応などを触媒でき,強い正電荷を利用するために結合部付近に金属イオンを配位させ る触媒の仕組み
b. 遷移状態優先結合 4点
反応の遷移状態に優先的に結合することで基質との平衡を偏らせ,生成物が生産されやすく する触媒の仕組み
5.6
9.7
3.4
A + B
A•••B
‡P
①
②