HEPES pH 7
Time (hour) 0
Glycine-NaOH pH 9
10 15
5
L ig h t in te n s it y ( c o u n ts /s e c )
0 1.0x10
71.0x10
61.0x10
51.0x10
31.0x10
41.0x10
210
HEPES pH 8 Tris-HCl pH 8 Tris-HCl pH 9 Glycine-NaOH
pH 10 water
HEPES pH 7
Time (hour) 0
Glycine-NaOH pH 9
10 15
5
L ig h t in te n s it y ( c o u n ts /s e c )
0 1.0x10
71.0x10
61.0x10
51.0x10
31.0x10
41.0x10
210
HEPES pH 8 Tris-HCl pH 8 Tris-HCl pH 9 Glycine-NaOH
pH 10
HEPES pH 7
Time (hour) 0
Glycine-NaOH pH 9
10 15
5
L ig h t in te n s it y ( c o u n ts /s e c )
0 1.0x10
71.0x10
61.0x10
51.0x10
31.0x10
41.0x10
210
HEPES pH 8 Tris-HCl pH 8 Tris-HCl pH 9 Glycine-NaOH
pH 10
菌類、キノコ類は植物における根の役割を持つ器官は存在せず、体表面全体で水分を 吸収する。そのため、ヤコウタケ子実体切片は水中でも持続発光し、また切片が浸漬緩 衝液を吸収するため緩衝液
pH
の影響により発光量に対する影響が出ると予想した。本 実験において、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液など発光量が時間と共に低 下していく傾向がある緩衝液も存在したが、その他多くの緩衝液、pH
においてヤコウ タケの発光は長時間初期発光量を維持した。このことから、ヤコウタケ切片の発光は多 くの緩衝液、様々なpH
において安定であると言える。また、今回の測定からはpH
と 発光量に直接的な相関はなく、緩衝液に用いた試薬に影響を受けるという結果が得られ た。また、特徴的なヤコウタケの発光量変化が
pH 4
酢酸緩衝液中で起こった。pH 4酢 酸緩衝液中では約10
分で発光量が急激に低下した。ゆっくりとした発光低下は他の緩 衝液でも確認できるが、このような素早い発光量低下がおこったのは酢酸緩衝液だけで あった。しかし対照的にpH 6
酢酸緩衝液を添加した場合は発光量に影響はなく、ヤコ ウタケ切片の発光量は初期発光量で長時間持続した。このように、酢酸緩衝液では他の 緩衝液とは異なりはっきりとpH
変化でヤコウタケ切片の発光量が変化した。Fig.2-14
測定開始から15時間後に残存している発光量をpH順にプロットしたグラフL ig h t in te n s it y ( c o u n ts /s e c )
2 2 2 2----8. 8. 8. 8. 酢酸緩衝液中 酢酸緩衝液中での 酢酸緩衝液中 酢酸緩衝液中 での での でのヤコウタケ ヤコウタケ ヤコウタケ発光 ヤコウタケ 発光 発光 発光
前項において、ヤコウタケ発光の最も急激な発光量変化が
pH 4
の酢酸緩衝液を用い た発光測定で観測された。また、酢酸緩衝液のpH
によって発光に対する影響が顕著に 異なっていたため、その原因を探索することにした。2 2
2 2----8 8 8 8----1. 1. 1. 1.
酢酸酢酸酢酸酢酸、、、、酢酸酢酸酢酸酢酸Na Na Na Na
中中中中でのでのでのでのヤコウタケヤコウタケヤコウタケ発光量変化ヤコウタケ発光量変化発光量変化発光量変化ヤコウタケ切片の発光量変化に最も影響のあった緩衝液である酢酸緩衝液に関連し て、発光減少の原因を特定するために、緩衝液調製に用いた酢酸、酢酸ナトリウム水溶 液中でのヤコウタケ切片の発光量変化を測定した。その結果、酢酸水溶液中ではヤコウ タケ切片の発光が素早く低下した。それに対して酢酸
Na
水溶液を添加した場合はヤコ ウタケ切片の発光量に変化なく持続的に発光した(Fig.2-15)。このことから、酢酸はヤ コウタケ発光を阻害するが、酢酸塩になると阻害活性が全くなくなることがわかった。Fig.2-15
酢酸、酢酸Na
水溶液中 でのヤコウタケ切片の発光経時変 化(n=4)
太い黒線:酢酸水溶液 細い黒線:酢酸
Na
水溶液 灰線:超純水Distilled water
Sodium acetate
Acetic acid
L ig h t in te n s it y ( c o u n ts /s e c )
1.0x10
71.0x10
61.0x10
51.0x10
31.0x10
41.0x10
210
Distilled water
Sodium acetate
Acetic acid
L ig h t in te n s it y ( c o u n ts /s e c )
1.0x10
71.0x10
61.0x10
51.0x10
31.0x10
41.0x10
210
L ig h t in te n s it y ( c o u n ts /s e c )
1.0x10
71.0x10
61.0x10
51.0x10
31.0x10
41.0x10
210
この測定結果から、酢酸緩衝液の
pH
によってヤコウタケ発光に与える影響が異なる という現象の原因は、緩衝液中のpH
によって酢酸の解離する割合が変化することが原 因であると考えられる。Henderson-Hasselbalch
の式(pH = pKa + log[A
-]/[HA])
を用い て中性の酢酸分子の濃度を見積もると、酢酸緩衝液pH 4
では解離する割合が低く(85%が非解離)、
pH 6
では解離する割合が高い(6%
が非解離)。つまり酢酸緩衝液が酸性に 偏ると緩衝液中の非解離の酢酸の割合が増加するため、ヤコウタケ切片への発光阻害が 強くなっていたと考えられる。酢酸がなぜヤコウタケの発光を阻害するかの原因はよくわかっていない。酢酸は生体 内において
TCA
サイクルなどの代謝と生合成のプロセスに関与している物質であるた め、ヤコウタケにおいても何らかの生合成経路に関わる物質である可能性が高い。酢酸 をヤコウタケに添加することで酢酸が関与している生合成経路が酢酸過剰で異常を引 き起こし、それが発光物質の生成機構に影響を及ぼし発光が阻害された可能性が考えら れる。2 2 2
2----8 8 8 8----2. 2. 2. 2.
異異異異なるなるなるなるpH pH pH pH
のの酢酸緩衝液のの酢酸緩衝液酢酸緩衝液酢酸緩衝液をををを用用用用いたいたいたいたヤコウタケヤコウタケヤコウタケ発光ヤコウタケ発光発光発光ののののスイッチングスイッチングスイッチングスイッチング酢酸緩衝液は
pH
の変化によってヤコウタケ切片に対する影響が異なることを利用 して、ヤコウタケ切片の発光量のコントロールを酢酸緩衝液を用いて試みた。酢酸緩衝 液pH4
はヤコウタケ切片の発光を阻害する効果、酢酸緩衝液pH 6
は阻害しないので 低下していた発光が回復する効果があると予想し、その2
種の緩衝液を交互にヤコウタ ケ切片に添加することで発光量の変化を測定した。その結果、酢酸緩衝液の添加による ヤコウタケ発光の阻害と回復が観察され、また酢酸緩衝液添加による発光阻害と回復で 起こる発光量の増減操作が同一のヤコウタケ切片において複数回行うことができた。具 体的な現象としては、pH 4
緩衝液で低下した発光量はpH 6
緩衝液を加えると増加し、その増加量は
10
2~10
3倍のオーダーで変化した。またこの発光量変化は同一切片にお いて緩衝液の交換をすることで、繰り返し変化させることができた(Fig.2-16)。酢酸緩衝液を用いて繰り返し発光の増減が行える事から、酢酸による発光阻害は可逆 的な阻害であると推測することができる。今回の測定ではヤコウタケの発光量を増減さ せるたびに徐々に最大発光量が低下しているという不安定要因も存在するものの、この 現象はヤコウタケの外部からの可逆的な発光操作である。よって、オワンクラゲの発光 タンパク、イクオリン抽出において用いられた、金属イオンのキレート剤である
EDTA
と同様の役割を果たすものとして酢酸を用いることができる。つまり発光操作の可能な 試薬、要因を得ることができた。これにより、今後酢酸での発光操作を用いた発光物質 抽出が期待できる。Fig.2-16
酢酸緩衝液を用いた発光量操作 (n=4) 白い領域:pH4酢酸緩衝液 発光量が低下 灰色の領域:pH6酢酸緩衝液 発光量が回復
ドキュメント内
発光キノコ、ヤコウタケ生物発光機構研究
(ページ 49-54)