ソフトウェア販売ビジネスの 最新動向と
U- net電子宅配サービス
インターネット活用による デジタル・コンテンツの販売
河本 太都夫
日本ユニシス情報システム株式会社 マーケティング部長
加藤 芳彦氏
ソニーマーケティング株式会社 情報システムマーケティング本部
デジタルシステムウェアマーケティング部 統括部長
河本 太都夫 加藤 芳彦氏
デジタル・コンテンツの
国内電子流通市場は1兆円規模
ESD(Electronic Software Distribution)とは、いわ ゆるEコマースのうち、ソフトウェアの電子流通(イン ターネットなどのネットワーク上で、ソフトウェアを電 子的に流通させること)を意味する。
日本のコンピュータ・ソフトウェアの市場規模は、
パッケージ形式、PCにバンドル形式の流通で、約6,400 億円(99年見込み)。ESDの対象市場は、2000年には1兆 円規模になるものと予想される。
このうち、ESD(ソフトウェアの電子流通)市場は、非 常に新しく、99年に日本ユニシス情報システムをはじ めとする数社による商用サービスがようやく開始された 段階である。しかし今後は、ESD形式で提供されるコ ンテンツの充実、それを販売するオンライン・ショップ の増加、また、ダウンロード形式のみで販売される商品 の登場など、ESD市場は急速な拡大・活性化が予想され
る。さらには、音楽データ配信の盛り上りなどもあり、
電子流通が可能なデジタル・コンテンツ市場のポテンシャ ルは極めて高い。
インターネット先進国アメリカでは、ESDは、すでに 一般用語として理解されるほどに普及しており、そのた めの商用システムのデファクトとして高い評価を得てい るのが、Preview Systems社の開発した「ZipLock ESD System」である。日本国内では、ソニーマーケティ ング㈱が販売総代理店として活動しており、99年より 販売を開始している。
ソフトウェア販売形態を変革
従来のパッケージ形式でのソフトウェア流通では、一 般的に、アプリケーションはCD-ROMやフロッピー・
ディスクなどのメディアに大量に複製される。マニュア ルなどの付属ドキュメントは紙媒体に印刷される。それ らをひとパッケージに梱包したものが、トラックなどで
デジタル・コンテンツのための電子流通ソフトウェア「ZipLock ESD System」
ソニーマーケティング 加藤 芳彦氏
STORE SOFT
WARE
Engineering Manufacturing Application Bits Duplicating
Documentation Masters
Package Design (Physical+
Graphics) Packaging/
Marketing
Printing
: ESDにより省略される工程 Boxes
Manuals
Inserts AssemblyComplete
Kits Shipping The Channel
Printers
Finished Media Gold Master
(CD or Floppies) 図1 ESDによるソフトウェア販売
倉庫・卸業者・販売店等に輸送され、ようやく店頭に並べ られる。
これに対しESD形式とは、アプリケーションの複製、
マニュアルの印刷、パッケージング、輸送といった工程 が省略される、革新的なソフトウェアの流通形態である (図1)。このため、ESDの採用には、次のようなさまざ まなメリットが期待できる。
●ソフトウェア・パブリッシャー
(コンテンツ・ホルダー)のメリット・販売コストの削減
・ニッチターゲットの少量販売可能(機会損失減少)
・社内資産の再発見(手持ち資産の商品化)
・アップデートへの迅速な対応が可能
・新製品投入と既存製品の入れ替えがスムーズ
・販売の場の拡大が容易
・試用版→購入へのチャンス拡大
・確実なユーザ登録とライセンス管理が可能
・安全な不正使用対策が可能
●オンライン・ディストリビューター/
リセラーのメリット
・流通コスト、在庫コストの削減
・豊富な品揃えが可能
・ユーザ情報のデータベース化が可能
・販売価格設定に自由度
・新しいソフトをすぐに流通可能
・アップグレード、バグフィックスの敏速な市場対応
ZipLock ESD Systemの優位点
ZipLock ESD Systemとは、ESDを実現するための 商用システムで、ソフトウェアの電子流通に必要な①E パッケージング(暗号化によりアプリケーションを電子 的にパッケージング)、②Eマーケティング(パッケージ 化したアプリケーションにマーケティング情報を付加)、
③Eフルフィルメント(ソフトウェアを電子的に配信)と いう3つのセグメントを総合的にサポートする。
ZipLock ESD Systemの優位点として、以下の3項 目に分けて説明する。
(1)技術とインフラストラクチャの構築
(2)ソフトウェア・ライフサイクルへの対応
(3)商用システムとしての実績
*デジタル・コンテンツ配信技術の優位性
まず取り上げたいのが、技術的優位性・信頼性である。
ZipLock ESD Systemは、デジタル・コンテンツ配信に 関する20以上の特許を持っている。また、暗号化につ いて世界でもトップクラスの技術を備えており、ネット ワーク上での安全なソフトウェア流通が可能である。
*柔軟なビジネス・モデルへの対応
流通形態についても、さまざまなビジネス・モデルへ の対応が可能である。①ダイレクト販売モデル(コンテ ンツ・ホルダーが直接エンドユーザに販売)、②1-Tier販 売モデル(オンライン・リセラーを経由しての販売)、③2-Tier販売モデル(オンライン・ディストリビューター、オ ンライン・リセラーを経由しての販売)のすべてに対応し ており、オンライン上のビジネスにおいても、パッケー ジ販売同様に柔軟な販売チャネル構築が可能である。
*多様な流通形態をサポート
コンテンツの提供方法にも、柔軟な対応が可能となっ ている。
流通させるコンテンツは、①お試しのみ、②お試し後 購入、③購入後にダウンロード、④予め入手しているソ フトウェアに、後から使用を可能にする鍵を配信、とい った形式で提供可能であり、流通手段に関しては、①オ ンライン・ショップからのダウンロード形式、②CD-ROM/DVDなどのメディアを配布し、後から使用を可 能にする鍵を配信、③PCなどにプリインストールし、
後から使用を可能にする鍵を配信、といったさまざまな 流通方法の実現が可能である。
単にソフトウェアの販売を目的とするのではなく、マー ケティングや開発へもつながるソフトウェア・ライフサ イクルを側面的にサポートする。
商用システムとして、すでにアメリカを中心に約30社 以上に採用されている。米国での採用実績としては、ディ ストリビュータでは、世界でもトップ規模のIngram Micro社、リセラーでは、NetSales社、Beyond.com社、
ソフトハウスでは、Symantec社、Macromedia社など
ZipLock ESD Systemの流れ
がある。
日本では、後述の、日本ユニシス情報システムでいち 早く採用している。
ZipLock ESD Systemは、Vbox Builder・ZipLock Builderという2つのビルダー(ソフトウェアを電子的に パッキング)、ZipLock Server(電子流通システム全体を 管理する)、ZipLock Gateway(ZipLock Serverや決済 シ ス テ ム と の イ ン タ フ ェ ー ス ) 、 Z i p L o c k Merchandizer (パッキングされたソフトウェアに情報 を付加)といったモジュールによって構成される。
これらのモジュールを用いて、実際にどのように E S D を実現可能かを、分かり易い例として、T r y Before You Buy版(お試し後購入形式)として電子パッ ケージ化されたソフトウェアをオンライン・ショップか ら提供する場合を例にとって解説する。
*ソフトウェアを電子パッケージ化(暗号化)し、オンラ
インショップのサーバへ。
*ユーザは、オンライン・ショップから使用したいソフ トウェアをダウンロード。
*ユーザは、試用期限内であれば、機能制限のないフル 機能の状態で使用可能。この期間、起動時に、試用限 度と同時に、ユーザに購入を促す『購入申し込み』ボ タンやWebサイトへの誘導のリンクなどが表示され る。
*試用限度を過ぎると、お試し版としての使用はできな くなる。また、試用限度以上の不正な試用継続対策も 万全。
*インストールしたソフトの『購入申し込み』ボタンを 押すと、自動的にインターネット上の購入手続きのサ イトにアクセス。
*一連の購入手続きが完了すると、解除キー(試用制限 を解くためのカギ)が送られ、自動的に制限を解除。
購入済みソフトとして使用可能。ユーザは、再インス トールやライセンスキー番号の入力といった、面倒な
作業の必要はない。 (図2)
コンテナに入った コンピュータ・ソフト
コンピューター・ソフトウェア
インターネットで ソフトウェアをダウンロード
コンテナに収納
(暗号化)
製品登録 決済
システム 購入者情報
購入の証明
鍵の要求
鍵の配信 利用者
お試し *1
鍵を使って コンテナを開ける
使用可能な ソフトウェア
*1 お試し版有りの場合。無い場合は購入のみ。
購入 オンライン・リセーラー
(ダウンロード販売サイト)
日本ユニシス情報システム ZipLock ESD Server ソフトウェア・パブリッシャー 図2 ZipLock ESD Systemの流れ(イメージ)
コンテンツ販売の国内動向・市場規模
①ECの市場規模
アメリカにおけるインターネットによるB to Cビジ ネスは、98年後半以来爆発的に伸びている。98年に2兆 2,250億円であったが、2003年には21兆3,000億円にな ると見込まれている。これに対し日本では98年に650億 円であったが、2003年には3兆円を突破するものと予測 されている。
一方、B to B市場は、アメリカでは98年に19兆5,000 億円であったのが、2003年には165兆円へ、日本でも8兆 6,000億円から68兆円へと拡大するものと推察される。
この4年間のアメリカでのEC分野の成長率は175%
で、産業全体が2.7%であることを考えると驚異的な成 長を遂げつつある。アメリカでは、「ECに何らかの形 で関わらない限り生き残りの道はない」とさえ言われて
いる。
②PCソフトウェア市場規模
U-net電子宅配サービスの対象となるデジタル・コン テンツのうちPCソフトウェアの市場は、98年で6,000億 円規模である。PC本体の伸びと併せて市場規模は拡大 するものと思われる。PC本体の約30%はオンライン販 売が可能とみている。
③コンテンツ市場規模予測
コンシューマ系のコンテンツとしては、ゲーム、エン ターテイメントのコンテンツが主流であり、今後も急速 に伸びるものと予想される。
ECへの取り組み
こうしたECの進展に呼応して、日本ユニシス情報シ ステムでは、アウトソーシング・サービス事業の一環と 日本ユニシス情報システム 河本 太都夫
コンテンツ販売 物品販売
個人市民
企業 企業
アプリケーション サービス
U-netECサービス The Internet アウトソーシング 21世紀の
インフォメーション・サービスを目指して アウトソーシングとECサービス
を提供
製造・流通 通販業界 繊維業界
食品業界 商社
インターネットEDI
インターネット・サービス プロバイダ U-net SURF
ネットワーク・サービス U-netオープンEDI
サービス(仮称)
ビジネスパートナー
(決済サービス等)
行政・公共機関 ネットワーク・セキュリティ
サービス U-net電子宅配
サービス 電子決済 企業間EDI
CII/EDIFACT
ペーパレス
ホスティング サービス
I/Eネットワーク サービス
メッセージング サービス
オンライン ショップ
フレームリレー サービス
図3 日本ユニシス情報システムのECの取り組み