サ
93
}
19
ア
*
管 理 会言
1
学 第2巻 第1号法
人税
の実効 税 率
を財 務 会 計
上の税 引 前 利
益 に乗
じて推 定
す る な ど大
ま か な場
合 が多い.
設
備 投 資
も一 段 落
し,平 常
な事 業状 態
に移行
し た子 会社
につ い て は そ れ で も大
き な支 障
は ない かも知
れ ない が.
いず
れ にせ よ経 営 管
理の た めの情 報
シス テ ム を構 築 す
る際
に税 務 情 報
の 作 成に適 切 な 配 慮 が さ れてい ない との 印象
が 強い.
原 因
の一
つ は,外 国
の税 制
が複 雑
で ある こ と, 言 語
の問題
,例
外は あるが 企業側
に十分
な知 識
が ない こ と, 適切
なア ドバ イ ザー
に相 談
し て い ない こ と な どが あげ
ら れ よう .海外 進 出
に絡
む 日本
お よび外 国
で の税 務
の問題
は, も はや一 部
の大
企業
だけ
の問 題
で は なく
な り.
中 堅 企業 も
同様な 問 題 に直面 して い る.
米国で は外
資系企業特
に 日本 系
企業
は米
国の自 由
な市場で事 業
を行 え
る機 会
を享 受
して い る割
には親
予 問の移
転価 格 操 作
によ り米
国の 税金 を
免
れ てい る という
イメー
ジ が 固定 化
しつ つ あ る.
日米 間
で税
金の取 り合
い合 戦
に なる と,結 局
は進 出
企業
が不利 益
を受 け
る こ とに なる.現 在
の法 人所 得税
に関す
る税 務 環 境
は,企 業 が
事
前 に適
切 に自
己 防衛
の 対 策を
とっ て い れば問 題 が 起こ っ た と して も 最 小 限 に抑 え
ら れ る,
と実 感 してい る.
以下
, 海外 進
出 し た 企業
に関す
る税 務
上の規 制
を一 覧
し,最
も懸念
する とこ ろ の国際 間
の
移 転 価 格
の問 題
を どの よう
に捉
ら えるべき
か , そ し て, それ にどの よう
に対 処 す
るべき
かの一一 端
を 論 ず るこ ととす る.
2 . グ
ロー バ
ル企 業 と税 務 2 . 1
日本企業の利 益率の 内外格差
松
田修 一 数 授
が「
グロー
バ ル企
業の経営
目標
の 変 質」と 題 して , 論文を寄稿され て い る. 教授
は目本
の親 会 社
は米 国子 会社
に何
を期 待 す
るか, 1984 年
と1989 年
につ い て比 較
されて い る
製 造業
につ い て は,量 的拡 大
へ の反
省と質的
向上へ の 転換
, 新製品 開発
力の強
化,子 会社
の利 益 を
再投
資に向ける傾向,米 国
地域 統 括 機 能
の強化
等の傾
向を指 摘
して い る.
1989
年で は調
査の対 象
と し た 日本
の親 会 社
の税 引前 利
益率
が5
% を超
えて い る反面
, 米国
の
子 会 社
の それ は0
% か ら2
%未 満
の会 社
が70
%弱
, マ イ ナス を含め る と85
%弱
ある こ と が指
摘 さ れて い る.
1990 年 7
月の米 国
連邦議 会 ,税
制委
員 会 の監視
小委 員会
で米 国
連邦議 員
はIRS
か らの資 料
を 基 に外 資 系 ,特
に,
口本 系
企業
と米 国系
企業
を比 較
し, 日本 系
企業
は関連 者
間移 転 価 格
を操 作
し,米
国法
人税
を適
正 に納 付
して い ない と批 判 して い る.
その
議 員
に よ る と,1984 年
か ら1987 年
に か けて, 日本 系企業の投 資
総 額 が2 . 6 倍 ,売
上 高 総額
が1 . 6
倍 に増 加 して い る に も か か わ らず ,
逆 に連邦 法
人税 納 付 総 額
は10 分
の1 強
に海 外進 出 企 業の現 在 直面 す る 税務]/tの問 題
減 少
し て い る と指 摘
し て い る.
こ の証 言
の 基礎 資 料
の信 頼 性
につ い て は,別
に確
か め なけ
れ ば な ら ないが , 営 業 利益 率
の低 さは我 々実 務 に携 わ る もの と して認 識 する と こ ろ であ
り,先
の松
田教 授
の 調査 結
果 とも符 合 す
る点
は多
い.
こ れ ら の デー
タの示 す 問題
に対
し て個 別
の 日
本 系
グロー
バ ル企業
は移 転 価格 操 作
以外
に原 因
が ある こ と を合
理 的 に立証 す
る こ と が 急 務 となっ て い る.
国 際 間の
移 転価 格
の本
題 につ い て は後 節
で ま とめ て検 討 す
る こ とに し て, まず
グ ロー
バル企
業
の活動
を規 制 す
る 基本 的
な税
制 につ い て概略
してお くこ とにす
る。
2
.2
グロー
バル企 業 を取り
巻 く税制主
要
な国々 は ,財
政赤 字
の状 況
下で内
政 上 の妥 協
と し て一 部
の減税 措 置
を行
なう
とし て も, 全体 的
に は増 税 措 置
を とり,
その執 行
を強化
する傾 向
が み ら れる,
そ して , 各国
の税 体 系
は多様
で は ある が , ボー
ダー
レス な 企業 活動
に対 して は各
国 とも
類 似 な 税 制 で規 制 して い る
.
以 下の項
目はその主 要
な例
であ
る.
2 . 2 . 1 タ
ック
スヘ イブ
ン税制
い わ ゆ るパ ッ シ ブ な
所 得
が税
の軽 課 税
国に逃
れ る こと, 企業 実 体
の薄弱
な い わゆ るペー
パ
ー
カ ン パ ニー
が軽 課 税
の所 得
を累積 す
る こ と を防
止す
る た めの税 制
は先 進
各国
で導入 されて い る
.
日本
でも
「内国
法人の 特定外国 子
会社等に係る所得の課
税の 特例」が制
定さ れてい る
.
2 . 2 . 2 グ
ループ企業 間
での支払利 子
の損金性
の規
制例
え
ば, 日本
の税 収
の観 点
か ら み て ,利
子の受 領 者
であ
る法
人が 日本
の法
人税
の納 税 義 務
を負 う場 合
に は,支払 側
と受 領 者側
を 同時
に み る と プラ スマ イ ナス ゼ ロ と なり, あ
えて規制
を す る 必要
は ない が,非居 住
者で ある場
合 に は源
泉 税20
% また は租
税条 約
に よ り軽減
さ れた源 泉 税 (多 くの例 では10
%)
が 課 さ れ る だ けで ある.
支 払 者 側 で の支 払 利 子 は損
金 とな り
,徴 収
で きる源 泉 税
の額
より大
き な法
人税
の額
を徴 収 す
る機 会
を失 う
こ とに なる.
そ こ で, 各 国
と も子 会 社
の負 債 資本
比率
を問題
とす
る よう
に なっ て き た.
日本
で も「国外
支 配株
主等
に 係 る負 債
の 利 子の課 税 の特 例 」 を 制 定 し, 規 制す
るこ と に なっ た.
管理会計 学 第2巻 第1号
2 . 2
.3
連結 納税
申告
制度
こ の
制 度
は国 際 間
の取 引
を規 制 す
るも
の で はな
い.
よく知
ら れて い る よう
に米 国, 英 国 ,
ド イツそ
れ ぞ れ方式
は異
なる が, 一 定
の資 本
グ ルー
プ を構成 す
る国 内
企業
の損
益 の合 算
に よる納 税
申告
を認
め て い る.
日本
で は依然 認
め られて いな
い た め, 日本
の国 内
で の 企業
グル
ー
プの財務 体 質
の強化
に税 制
は貢献
して い ない,
2 . 2 . 4
外 国税 額控
除制 度
多
く
の国
は 自国
の 企業
の所 得 課 税
に つ い て は, 全世 界 所
得課税 制 度
を採用
して い る.
そこで
,
二重
課 税 の解消
の た め の制 度
と して , 国外
で 課 税 さ れた所 得 を本
国の課税
所得
に含め
な
い方 式 (
国外 源泉 所 得
の課 税 免
除方 式 )
と自
国の納 税額
か ら一 定
の外
国で の納 付 税 額
を控
除す
る方式 ( 外
国税 額控 除方 式 ) を認
め てい る. 従 来
は子会社
の納付
した外
国の税 金
を税 額 控 除
の対 象
と して い た が,外 国
の孫 会 社
が外 国
の子 会社
を通
し てB 本
の親 会 社
に利 益 配 当
した場 合
に,孫 会杜
が納 付
した外 国
の税
金につ い て も一 定
の計 算
に より
日本
の親 会 社
の外 国税 額控 除
の対 象
とす
る よう
に 日本
の税 制
が1992 年
に改
正 さ れ た.
これに よ り,
企業の
海
外展 開
の 資本
系列の パ ター
ン決定に余裕が生 ず
る と期待され て い る.
3
.国 際 的移 転 価 格 の 問 題 と
日本 の グ
ロー
バル企 業 を取
り巻 く環 境
税 制
は国 際
間の企業 活 動 を
規制 ま
た は促 進 す
る ため の手 段
と して利 用
され てき
た. 2
に列 挙
したも
の以外
に,輸 出促 進
,ま
たは,輸
入促 進
の ため の準 備 金 制 度
,海外 投 資
の損 失
を 補愼
す るた め の準 備 金
,使 用 料 等
の所 得 控
除,な
ど が 日本
の例
であ
る.
これらの制 度
は個 別
の企 業
に とり重 要
であ
る に は違
い ない が ,税 務
調査
で企業
の申告 所得 額
が更
正 さ れた場 合
の金額
の大
き さ,価 格
政策
という
企業
の根 幹
に起 因す
る ため , こ こ数 年
の間
に 日本 企
業の問
に国際 間
の 移転価 格の税
務調
査へ の対 応
が緊
急かつ 重要
な問 題
と して認 識
さ れる よう
に なっ てき
た,
以 下,
移転 価 格
の問 題
を取 り巻 く環 境
につ い て考察
して み る.
3 . 1
単体財 務諸表の重視の傾 向日 本の企
業
は過 去 におい て は, 株 主へ の 事業 報 告
書で その 親 会 社の単体
の計 算 書 類
だけ
を 報 告 して い た.
日本
の 親 会 社が株 式
を 公 開 して い る場 合で あっ て も 親 会 杜単体
の財務
諸表
を重視 す
る傾 向
は依 然
とし て残
っ て い る.
この こ とが 子会 社
の利 益
をす
く なく
し,親 会
社
に多 く
の利 益
を集 中
さ せ るべく操 作
して い る との疑
い の背 景
と なる. 連結
決算 制 度
が 導海外 進 出企 業の現在 直 而する税 務上の問題
入 さ れ
子
会社
の 損益
を統合
し グルー
プ と して の財 政 状態, 経営 成
績を開示 す
る よ うに なった が ,
株 主
へ の 開示
は最 少 限度
に止
め た い との願望
が経営 者
に強
い.経 営 管
理の た め に必 要 な資 料
とし て有 効
な分 析
デー
タ を制 度 的
に作 成
し てい る 企業
で も他 社
に先
ん じ て自
発 的に
開示
しよう
とす
る企業
は ない.
米 国の移 転 価 格 税 制 を 支 え る 税 法 規 則 の
一
つと して
記
録 保 存 の 義 務 と その提 出の義務
を外 資 系
の米 国 子 会 社
に課
して い る.米 国子 会社
との取 引
に関係
す る もの で あ れ ば, 外 国
の 親 会 社 等 が 保 有 す る記 録 で あっ て も, 提 出の対象
と さ れて い る.
海 外の 親 会 社 等 が記
録の提 出
を拒
否す
れ ば米 国子 会社
に対
して金銭 的罰 則
を課 す
と規 定
して い る.移
転価
格の税
務調 査
で し ば しば米 国子 会社
が販 売
して い る製 品
に関 す
る企業
グルー
プ 全体
の連 結
ベー
ス での セ グメ ン ト別
損
益 計 算 書 が 要 求 さ れて い る.
本 来,
グルー
プ 全 体の 利 益 が 親子
会 社の 間で どの よ
う
に 割 り振 られ て い る かを知
る た め の経営 管
理資
料 と して当
然重
要 な資
料で ある.
しか しなが ら, 現在
日本
の公
開 企業
でも売
上高
,売
上 原価
,販 売 費
,一 般 管
理費 ま
で主
要製品 別
かつ連 結
ベー
ス で,
それ も,制 度
とし て継 続 的
に分析
でき
て い る企 業
は多 く
ない.
世 界経 済
の不況
の 中で 日本 系
グ ロー
バ ル 企業
は 国内事 業
の み な らず
,海 外 事 業 を見直
し す る機
運にあ り,場 合
によ っ て は海 外 事 業
を 縮 小,究極
には撤
退 す る ケー
ス まで報 道
さ れ て い る.
い わゆ る リス トラ ク チ ャ リン グ を検討 す
る前 提
と して,子 会 社
の単 体
の損
益 を検
討 す る と同 時 に,
グルー
プ 企 業 全 体 と して の セ グメ ン ト別損
益 計 算 を 作 成 してみ るこ と が第 一
の作 業
と な る.
不適
切 な移
転 価格
の設定
の結
果海
外子
会 社 が 営業損 失
に 陥 っ て い る として , 撤 退 の 決 断 を す るな ら早 計 す ぎる
.
連 結ベー
スで の製 品セ グ メ ン ト別 損 益 計 算 書 を
まず見
るべき
であ
り, その よう
な情 報
を提 供
でき
る管
理情 報
シ ス テ ム の構 築
が望 ま
れ る. 単
に税 務
だけ
の 目的
で情報
を必 要
と してい るの で は ない の であ
る.
3 . 2
移転価格の問題 に対 す
る伝
統的
対処
等の問題
点日
本 国 内
で の法 人税
の調
査の際
に は経
理課 ,税 務 課
の担 当者
が常 時 税 務 調査 官
に応 対 す
るの が 通常
で あ る.一 般
に税務
調 査で調
査官
は税 法
規則
の 適用
よ り事実の把
握に多
くの時 間
を費
や す.
移転 価 格
の税務
調 査で も税 務
の問
題 と して,経
理課 ,
税務 課
あ るい は海外 子 会 社
の 問 題 と して 海 外事 業
部 が担 当
してい る 場 合 が多い.彼
らの時
間の か な り が 情 報集
め に費や さ れる.
ま た, 移転 価 格
税 務の 専 門 家の 多くは外 国
の 税務
当 局 か らの 資料 要請
に対
し, その
資 料
を提 出す
べき
か,断
るべき
か とい っ た駆 け引 き
, 更正 され た後
の税 務 争
訟 の法 律 対 策 ,租 税 条 約
に基
づ く二 重課 税 救 済
の た め の 両 国協 議
の申
し立て な どが移転 価 格
の税務 調 査 対 策
の全
て であ
る よう
な印象
を・ 一 般
に与
えてき
た嫌
い があ
る.
そ
れ ら は移転 価 格
の問 題
の 重 要 な 側 面で あ るこ と は否 定
し ない が,
適iE
な 価格
設定
の方
ドキュメント内
The Japanese Association of Management Accounting NII-Electronic Library Service
(ページ 147-153)