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図2:想定される航空ネットワークのタイプ

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3 数値分析

(1 )分析の・設定

ここでは,前述のモデルを使った数値分析について説明する.本研究の目的は航空輸送, 特に,空港施設整備計画におけるグローバル・ローカル問題の存在を示し,新規の空港建 設が必ずしも社会厚生を改善するわけではないことを示すことである.ここで,構築した モデルの内,タイプ1,4,7については解析的に均衡解を計算することが可能であるが,必 ずしも実行可能解が得られるわけではない.さらに.他のタイプについては解析的に均衡 解を計算することはできない.したがって,社会厚生の比較を行なうためには数値的に解

を計算する必要がある6.

まず,パラメータと外生変数は表1のように整理される.

表1 :外生変数とパラメータ

外生変数  Hx 、 (ュH,ノ hンヨ Hマ ,ゥ│「ツ

ODBC:BC間の潜在oD交通量,  ODApc:AC間の潜在oD交通量, 

AC7l(t')(:EG7l(n)):アクセス(イグレス)コスト,  EL:路線Zでのラインホール時間, 

F:空港建設固定 

パラメータ  陶N w ,ト Hマ ,ゥ│ィ‑h,ノ&Y│ル ク7 8 ク5篦

β(>o):需要側の輸送密度の経済性パラメータ, 

a(>o):供給側の輸送密度の経済性′てラメ一夕,  γ(>o):時間の費用換算パラメータ 

表1を元に数値分析を行なうための外生変数の条件設定について説明する.まず,潜在 的oD交通量については,簡単化のため5万JW ;面BC =面Ac =1のように基準化する.次 に,アクセスコストについては,前節で説明したように, C国でのみ無視できないことを 仮定している.このとき, (仮定1)でのC国には人々が一様分布しているという仮定に加 えて, C国の長さが1であり,かつ,アクセスコストは距離に比例すると仮定する7.ライ

ンホール時間は簡単化のため, t12=113=114=1,t23=E24=( ∈(0,1)のように設定する・ここ

で,リンクは始点と終点のノード番号により表記している.このとき, Jは(仮定1)に矛 盾しないよう, 1に比べて十分に小さい値を設定することとする.最後に,今回の分析でF はoを仮定する8.

以上の設定の下で,旅客の費用に占めるアクセスコストの相対的な上昇,あるいはBC間 の距離の変化が消費者余剰や社会的余剰,航空市場の運航パターン等に与える影響を見る

6今回は解析的に得られる定性的な性質については検討していない.これについては今後の課題としたい・

7 C国でのアクセスコスト(イグレスコスト)の平均は,d(>0)をパラメータとして以下のように計算される・

タイプ1‑タイプ3 : d′4 (…dL/2kdk/(1′2),・タイプ4‑タイプ6 : d′8 (=dL/4kdk/(1/4),I

タイプ7:5d/16 (=d

(i/4kdk ・k4kdk) ,

8今回は,空港を幾つ整備すべきかどうかを目的とした数値分析は行なわない. C国における最適な空港数

に関する議論を行なう場合には∫は非常に重要な外生変数であるが,今回は簡単のための設定である.

ことで主題に接近する.

(2)分析盾果

数値分析の結果を図3, 4に示す.図3, 4はそれぞれ需要側の輸送密度の経済性(β) と供給側の輸送密度の経済性(♂)の組み合わせの下での消費者余剰と運航パターン,社 会的余剰と運航パターンに関する数値分析結果の要約である.あわせて基本ケース,及び アクセスコストの相対的な上昇とBC間の時間距離の上昇に関する感度分析の結果が示さ れている.時間的制約から調べたパラメータ領域が限定されているため,あいまいな点が 多く残されるが得られた結論は以下の通りである.

分析の結果,供給側,需要側の輸送密度の経済性が上昇するほど,社会的余剰の観点か らC国に1つの空港のみ存在することが支持され,複数空港が存在することは支持されな くなる傾向にある.これは,相対的に需要側供給側双方の輸送密度の経済性が強くなると 輸送密度の集約による効果が大きくなるためである.ただし,非常に大きな∂の下ではC 国に2つの空港が存在することが望ましい場合もある.この理由としては,需要側の輸送 密度の経済性が相対的に小さく供給側の輸送密度の経済性が非常に強い場合には,スケジ ュールコストの増加よりも,航空会社の費用低下による運賃低下の効果が大きくなるため であると考えられる.ただし,この解釈は一つの可能性として考えられることであり,よ

り強い結論を得るためには多くのパラメータの下での数値分析結果を行なう必要がある.

消費者余剰の観点から見た場合にもパラメータの組み合わせに対する社会的余剰の結果 と似たような傾向が見られるが,相対的にスケジュールコストが小さい状況の下では, ♂ の上昇とともに, C国に一つの空港が存在することが有利になる場合がある.これは,非 常に大きなβの下では,運航費用の低下による運賃低下の効果が大きく,旅客の費用を低 下させるためであると解釈される.

さらに,供給側の輸送密度の経済性(♂)が市場に与える効果として, βの上昇は,あ る一定の値までは輸送密度を上昇させるような運航パターン(たとえばhub‑spoke network)

を支持するが,非常に高い∂ (及び適度に高いβ)の下では,費用条件が改善されること で少ない需要でも利潤を得ることができるようになり,直行便のみのルートから構成され

る運行パターン(すなわちpoint‑to‑pointnetwork)が支持される傾向にある・なお,後者の

指摘は直感的には十分想定可能なことであるが,これまでの航空輸送に関する研究では筆 者の知る限り指摘されてこなかったものである.

次にアクセスコストの相対的な上昇(d)は,旅客の費用の総額を増加させる効果があり,

全体的に解の存在する領域が狭くする.特に,複数空港を支持する解の領域の方が1つの

空港を支持する解の領域に比べて狭くなる点に注意する必要がある.さらに解釈を容易に

するため, dの減少による効果(アクセス交通手段が整備される効果)として見ると,社

会的余剰の観点からdの減少は複数空港の整備を支持する傾向にある.直感的には上記と

は逆にアクセス交通手段の整備は空港への集中化を生じさせると考えられる.なぜなら,

輸送密度の経済性の利益を十分に享受できるようになるからである.したがって,社会的

余剰へのdの影響をみる限り,現実とは矛盾したような印象を受ける.ただし,消費者余

剰へのdの影響を見ると,適度に輸送密度の経済が働いている嶺域では路線を集中化させ

るような解の領域の増加が見られ 直感と一致する.他方,輸送密度の経済性が非常に強

い飯域で2つの空港が存在する方が有利な額域が増加していることがわかる.これらの一 見 矛盾するような結果がでた一つの可能性としては,パラメータの変化を調べるときの 刻み幅が大きいことが影響しているものと考えられる.この間題を解決するためには各タ イプの支配的な領域の境界付近について,もう少し,刻み幅を小さくとるなどする必要が ある.しかしながら,今回の結果を見る限りでは,上記の直感と反対の結果を完全に否定 することは難しい.以上で見てきたように,空港整備とアクセス交通手段の整備が常に集 中化を促進するわけではなく,輸送密度の経済性が非常に強い場合には,アクセス交通機 関の整備が旅客の消費者余剰の観点からみて複数空港建設を支持する可能性もあるのであ

る.

最後に,本研究の主題である個人のアクセスコストの減少を目指して複数空港をおくこ との是非については,次のように結論づけることができよう.すなわち,需要側の輸送密 度の経済性が強く働いている状況の下で,言い換えれば,旅客がスケジュールコストを相 対的に重視している状況の下では,必ずしも旅客の消費者余剰や社会的余剰の観点から好 ましくないと言えよう.これは,図3, 4で∂が小さくβが大きい嶺域でC国に2つの空 港が存在する嶺域がなくなっていることから判断される. βが大きくβも大きい場合にも 同様の傾向はあるものの,図3,4それぞれ左半分の2つの図では判断することができない.

この点についても,よりパラメータの刻み幅を小さくした分析が必要である.

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