線も含めた全強度は
52000cps
であった。測定時間は、28.5時間になる。白色X
線を使用し、回折X
線強度をエネルギー分散して測定しているため、1 つの反 射面に対して複数の高次の逆格子点を同時に測定できる。このことが白色X
線 を利用する利点の一つである。図4-13
の(210)面では420、630
の2
つの逆格子 点の回折強度が同時に測定されている。低次の210
逆格子点(3.64keV)、および、10 5 0
逆格子点(18.21keV)以上の高次の逆格子点は測定することができなかった。また、840 逆格子点(14.56keV)に関しては
YK
の蛍光X
線(14.96keV)と完全に重 なってしまったため測定することができなかった。得られた回折強度のスペクトルには各逆格子点の強度プロファイルの他に
Y
原子からのK
、K の蛍光X
線およびYK
のエスケープピークが観測される。これらの不要なピークは白色
X
線を使用することおよび検出器にGe
の半導体検 出器を使用することに起因する。これら不要なピークの影響が磁気効果の算出 において問題になることがあるが、それは4-4-3
蛍光分離の項で説明する。磁気効果の導出は図
4-13
に示したI
+とI
の2
つの強度プロファイルを利用 した。0 5 10 15 20
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 [ 10 8 ] 1.2
X-ray photon energy E (keV)
in te n si ty I ( co u n ts ) 4 2 0 6 3 0 Y K Y K
4-4-2.磁気効果
磁気効果は以下の(4-4)式により求める。
( ) ) (
I I
I
R I
(4-4)
ここで、I 、および、 I はそれぞれ、試料の磁化を 方向、および、 方向に向 けたときの回折強度である。(I
I )の差のスペクトルと(I I )の和のスペクトル
を、それぞれ、図4-14(a), (b)に示す。
(a)
と(b)
の強度を比較すると、(a)
の強度は、(b)
の強度に比べ4
桁小さくなっ ている。このことから、XMD
実験では非常に小さな変化を測定していることに なる。(a)
は、YK
、YK
の蛍光X
線およびYK
エスケープピークは概ね除去さ れ、420
、630
回折のプロファイルのみが残る。また、420
回折のプロファイル の向きは正であるが、630
回折のプロファイルは負であり、逆になっている。こ れは420
逆格子点と630
逆格子点のスピン磁気形状因子の位相が だけずれてい ることを意味している。磁気効果導出のため図4-14(a), (b)
からそれぞれのピーク プロファイルの積分強度を求めた。積分範囲は、図4-15(a), (b)
において斜線で示 した部分になる。図
4-14 (a) I I
のスペクトル(b) I I
のスペクトル0 5 10 15 20
-8 -6 -4 -2 0 2 [ 104] 4
X-ray photon energy E (keV)
intensityI (counts) 420 630
YK escape peak YK YK
0 5 10 15 20
0 0.5 1 1.5 2 [ 10
8] 2.5
X-ray photon energy E (keV)
intensityI (counts) 420 630 YK YK
YK escape peak
(a) (b)
図
4-15(a), (b)から求めた、それぞれの積分強度の比が磁気効果になる。以上の方
法により得られた(210)面の磁気効果を、逆格子点のエネルギーに対してプロッ トし、図4-16
に示す。6 7 8 9 10 11 12
-6 -4 -2 0 2 [ 10 -4 ] 4
X-ray photon energy E (keV)
fl ip p in g r a ti o R 4 2 0 6 3 0
図
4-15 I I
のスペクトル、および、(b) I I のスペクトルにおける積分範囲。図
4-16 (210)面より得られた磁気効果 R
。6 7 8 9 10 11 12
0 0.5 1 1.5 2 [ 108]2.5
X-ray photon energy E (keV)
intensityI (counts) 420 630
6 7 8 9 10 11 12
-8 -6 -4 -2 0 2 [ 104] 4
X-ray photon energy E (keV)
intensityI (counts) 420 630
(a) (b)
6 7 8 9 10 11 12
0 0.5 1 1.5 2 [ 108]2.5
X-ray photon energy E (keV)
intensityI (counts) 420 630
6 7 8 9 10 11 12
-8 -6 -4 -2 0 2 [ 104] 4
X-ray photon energy E (keV)
intensityI (counts) 420 630
6 7 8 9 10 11 12
0 0.5 1 1.5 2 [ 108]2.5
X-ray photon energy E (keV)
intensityI (counts) 420 630
6 7 8 9 10 11 12
-8 -6 -4 -2 0 2 [ 104] 4
X-ray photon energy E (keV)
intensityI (counts) 420 630
(a) (b)
4-4-3.蛍光除去
測定された
X
線強度プロファイルで回折ピークと蛍光ピークの分離が十分 でないときは、その取り扱いに注意を要する。図4-17
は、(430)面の回折 X
線強 度プロファイルである。図4-17
で、16keV~17keV付近に860
逆格子点とYK
の 回折強度プロファイルが重なって観測されている。そのため蛍光X
線の影響を 除去する必要がある。この蛍光分離法を以下で説明する。図
4-18
に(430)面の回折スポットをはずして測定した蛍光X
線のみのプロフ ァイルを示す。蛍光分離法は、測定強度プロファイル(回折X
線 蛍光X
線)から 蛍光のみのプロファイルを差し引くことで、回折のみのプロファイルを得る、という方法である。蛍光のみのプロファイルは、回折格子面を
45°位置から 0.5 1°ほどずらし、回折スポットを受光スリットから外れるようにして、検出
器に回折X
線を入射させないようにすることで測定する。図4-17
の強度プロフ ァイルの測定時間は25
時間で、図4-18
の蛍光プロファイルの測定時間は1
時間 であるため、回折ピークと重なっていないYK
の積分強度が等しくなるように、図
4-18
の蛍光強度プロファイルを増大させて表示している(YK 積分強度によ るプロファイルの規格化)。図
4-19
に回折 蛍光のプロファイル(黒色)と、蛍光のみのプロファイル(青 色)を重ねて示す。黒のプロファイルから青のプロファイルを引くことにより赤 で示した回折のみのプロファイルが得られる。得られた回折X
線のみのプロフ ァイルを図4-20
に示す。図
4-17
のプロファイルと比較をすると860
回折と重なっていたYK
の蛍光X
線の影響が除去されていることがわかる。(430)面のXMD
データ解析にはこ の図4-20
に示した回折X
線のみのプロファイルを使用した。0 5 10 15 20
0 0.5 1 1.5 2 [ 108]2.5
X-ray photon energy E (keV)
intensityI (counts) 430 YK YK860
YK escape peak YK escape peak
0 5 10 15 20
0 0.5 1 1.5 2 [ 108]2.5
X-ray photon energy E (keV)
intensityI (counts) YK YK
YK escape peak YK escape peak
図
4-17 (430)面の回折 X
線強度スペクトル。 図4-18
蛍光X
線のみのスペクトル。14 15 16 17 18 0
0.5 1 1.5 2 [ 10 8 ]
X-ray photon energy E (keV)
in te n si ty I ( c o u n ts ) Y K Y K
8 6 0
―(1) total intensity
―(2) fluorescent X-ray
― (3) diffracted X-ray =(1)-(2)
図