u2=1 u2=0.9 u2=0.8 u2=0.7 u2=0.6 u2=0.5
u2=0.4 u2=0.3 u2=0.2 u2=0.1 u2=0 z
y
z z z z
z z z z z
z
y
y y y
y
y y
y y y
(Ⅲ) c軸方向
図
4-3
パラメーターu,v
による波動関数の変化。(I)a軸投影図, (II)b軸投影図,
-2 -1 0 1 2
-1 -0.5 0 0.5 1
H (T) m a g n e ti c m o m e n t ( B /T i a to m )
a-axis
b-axis c-axis
4-2 .偏光因子の評価
偏光因子
f
Pは放射光源の性質に関係するパラメーターである。また、測定 される磁気効果はf
Pに比例するため、事前にf
Pの値を知っておく必要がある。この
f
Pは蓄積リングから放射されるビームの垂直方向の角度発散 y’に依存する。蓄積リング電子ビームの y’が判れば、fPを知ることができる。本項では、Fe単 結晶を用いた偏光因子評価法を説明する。評価法は、2通りあり、一つ目は、磁 気効果から y’を決定する方法と、二つ目は、Orbital Scan(OS)から y’を決定す る方法である。
4-2-1.磁気効果による評価
試料は
Fe
単結晶の220
回折を用いた。220
逆格子点を測定対象としたのは、3
章の3-5-4
と同様の理由からである。S
配置のXMD
実験により、Fe220
回折の磁気効果を、入射
X
線の放射光発光点からの見込み角 を変えながら測定した。ここで、注意しなければならないこととして、2006 年にビームラインの移動が あり、その前後で発光点から試料位置までの距離が異なっている。2006 年以前
図
4-4
試料温度5K
における磁化測定の結果。赤, 緑, 青の実線はそれぞれ
c
軸, a軸, b軸方向での結果である。では、発光点から試料までは
37m
であったが、2006年以後では、発光点から試 料までは21m
である。ここでは、2008年のデータを用いて、評価法の説明をす る。XMD
回折計を、電子軌道面位置を中心に0.4mm
の範囲で上下に移動させ て測定した。見込み角の範囲は、0.019mrad
になる。測定された磁気効果R
obsを図
4-5
に示す。図4-5
から磁気効果は に依存しており、Robsは= 0.014mrad
すなわち電子軌道面位置を基準とした高さh= 0.3mm
付近で最大値となり、= 0.014mrad(すなわち h= 0.3mm)付近で最小値を取ることがわかる。
-3 -2 -1 0 1 2 3
[ 10 -2 ] -4
-2 0 2 10 -3 ] 4
-0.5 0 0.5
viewing angle (mrad) fl ip p in g r a ti o R o b s
h (mm)
y’を評価するため、得られた
R
obsと計算によるR
calcと比較する。磁気効果 の計算には、計算プログラムSPECTRA
55)を使用した。SPECTRAは、任意の見 込み角 での直線偏光度P
L、および、円偏光度P
Cを計算することが出来るプロ グラムである。SPECTRAを用い、様々な y’に対する P
LとP
Cを計算する。PL、図
4-5
さまざまな見込み角 において測定したFe220
回折強度。横軸は水平面から放射光ビームの見込み角
(mrad)と観測点における水平面を基準とした
上下方向の高さh (mm)
-3 -2 -1 0 1 2 3 [ 10 -2 ] -4
-2 0 2 [ 10 -3 ] 4
-0.5 0 0.5
viewing angle (mrad) fl ip p in g r a ti o R o b s , R c al c
h (mm)
―
y'=12.6 rad
―
y'=13.8 rad
―
y'=14.9 rad
―
y'=15.9 rad
―
y'=16.9 rad
―
y'=17.8 rad
―
y'=18.6 rad
―
y'=19.4 rad
―
y'=20.2 rad
●
R obs
および、
P
Cから、偏光因子f
p=P
C/(1-P
L)が得られ、 (4-3)式から、 R
calcを計算する。
) 220 ( 2
) 220
S
(
P
calc
F
f μ γ
R
(4-3)
ここで、
3
章の3-5-4
と同様、F(220)=11.55、
s(220)=0.3574
の値を用いた。図4-6
にR
obsとR
calcを示す。Robsを黒丸で示し、Rcalcを実線で示した。多少ばらつきが あるがR
obsは、 y’=1.49~1.78
におけるR
calc近いことがわかる。より正確に y’を 決めるため、残差の二乗和= (R
obs-R
calc)
2の計算を行なった。 y’に対する のグ ラフを図4-7
に示す。図4-7
より、 y’の値を y’=16.9 rad
と評価した。Robsとy’
=16.9 rad
のときのR
calを図4-8
に示す。図
4-6
実測したFe220
反射のflipping ratio R
obs(黒丸)と様々な y’に対し て得られたR
cal(実線)との比較。 y’は12.6μrad~20.2μrad
まで変化させた。15.5 16 16.5 17 17.5 18 3.7
3.8 3.9 4 4.1 [ 10 -6 ] 4.2
y' ( rad)
= ( R o b s - R ca lc ) 2
y'
=16.9 ( rad)
図
4-8 R
obsと y’=16.9 rad
のときのR
calcとの比較。横軸は水平面から放射光 図4-7 flipping ratio
の実測値R
obsと y’=15.9~17.8 rad
におけるflipping ratio
の計算値R
calcとの比較。縦軸は残差の二乗和である。-3 -2 -1 0 1 2 3
[ 10 -2 ] -4
-2 0 2 [ 10 -3 ] 4
-0.5 0 0.5
viewing angle (mrad) fl ip p in g r a ti o R o b s , R ca lc
h (mm)
図
4-8
で、RobsはR
calとおおむね一致している。磁気効果の絶対値は、電子軌道 面位置から0.3mm
のところで最大となっている。これは、0.3mm
位置が最適 偏光状態となることを意味している。そのため、YTiO3のXMD
実験は、電子軌道面から
0.3mm
の位置で行なう。4-1-4.OS
による評価試料には、Fe単結晶の
220
回折を用い、OSを測定した。その結果を図4-9
に黒丸で示す。比較のため、いくつかの y’の値に対して、SPECTRA
により計算 した垂直方向のフラックス密度を実線で示す。精密に y’を決めるために、残差 の二乗和を計算した。その結果を、図4-10
に示す。図4-10
から、 y’=18.7 rad
と評価した。-1.5 -1 -0.5 0 0.5 1 1.5
[ 10 -2 ] 0.6
0.7 0.8 0.9 1 1.1
viewing angle (mrad)
n o rm ar iz ed i n te n si ty
y'
=17.8 rad
y'
=18.0 rad
y'
=18.2 rad
y'
=18.4 rad
y'
=18.6 rad
y'
=18.9 rad
y'
=19.0 rad
y'
=19.2 rad
y'
=19.4 rad
y'
=18.7 rad
図
4-9
実測したFe220
回折強度(黒丸)と様々な y’で計算した垂直フラックス密度(白丸)の比較。縦軸は
=−1.45mrad
のデータで規格化した強度である。横軸は 水平面から放射光ビームの見込み角 である。17.5 0 18 18.5 19 19.5 20 1
2 3 4 [ 10 -3 ] 5
= ( R o b s - R c a lc ) 2
y' ( rad)
y' =18.7 ( rad)
図
4-11 OS
から得られたFe220
回折強度とy
’=18.7 rad
のときの垂直フラックス密度。図
4-10
実測した220
回折強度と y’=17.4~19.4 rad
で計算した 垂直フラックス密度との残差の二乗和の結果。-1.5 -1 -0.5 0 0.5 1 1.5
[ 10 -2 ] 0.6
0.7 0.8 0.9 1 1.1
viewing angle (mrad)
n o rm a ri z e d i n te n si ty
y '=18.7 rad
y’
=18.7 rad
のときの結果を図4-11
に示す。実験と計算の結果は、おおむね一致 している。以上のように、y’は上記の
2
通りの方法から評価することができる。本来、磁気効果から評価した y’の値と、
OS
から評価した y’の値は等しくなるはずであ るが、本論文で示した例では、等しくならなかった。この原因については現在 のところ不明であるが、fp の導出に用いる y’の値は、2 通りの方法を考慮してy
’=17.09 rad
と決めた。本方法により定めた y’を用いて、SPECTRA から任意の
X
線光子エネルギ ーでのf
pを求めることができる。なお、YTiO
3のスピン磁気形状因子の導出にお いて用いる y’の値は、PF 蓄積リングパラメーターの改変に伴い2006
年以前の データは y’=11.98 rad
を、2006年以後のデータは、 y’=17.09 rad
とした。4-3 .試料の初期セッティング
BL3C
において試料のセッティングは、以下①~⑩の手順で行なう。① 入射
X
線を単色光モードから白色光モードに切り替える。・モノクロメーターの分光結晶の角度を変え、白色
X
線を入射スリット直 前まで導く。② 回折計の回転中心を出し、入射スリットを回転中心に合わせる。
・ゴニオヘッドに針を取り付け、モニターで確認しながら回折計の回転中心 を見つける。
③ 試料を取り付けた冷凍機を回折計の 軸ゴニオメーターに取り付け、試料の 半割りを行なう。
・これは試料表面を回折計の回転中心に合わせるためである。
④ バックラウエ写真を撮り、結晶の方位を合わせる。
・ポラロイドフィルムあるいはイメージングプレート(IP)を使用する。
・本実験手法では、散乱角
2 =90°(ブラッグ角
B=45°)に固定し測定を行な
うため、基準となる格子面を入射X
線に対して垂直になるように調整する。⑤ 試料を回転させ、測定する格子面のブラッグ角 B
=45°にする。
⑥ 電磁石により試料に磁場を印加する。
⑦ 受光スリットを調整する。
・回折
X
線のみを測定するように受光スリットを調節する。⑧ スキャンを行う。(多重散乱の回避)
・本測定で、回折条件によっては多重散乱がおきる場合がある。多重散乱を 避けるために、回折格子面を散乱ベクトル周りで回転させ(アジマス角スキ
ャン)、多重散乱の起こらない位置を見つける。
⑨ 計数率の調整を行なう。
・SSD の計数率上限は
10
5cps
までなので、上限を超えないように入射スリ ットサイズを調節する。⑩
OS
を行う。⑪ 測定開始
4-4 .実験結果
高度化された実験システムの写真を図
4-12
に示す。入射X
線は、写真手前 方向から入射スリットを通過し、回折計の中央に位置する電磁石の間に配置さ れた試料に照射される。試料によって回折されたX
線は、90°方向に配置され た純Ge
半導体検出器で測定される。測定は、印加磁場2.15T、および、試料温
度15K
の実験環境下で行った。測定した反射面は(010), (210), (310), (320), (410),(430), (510), (530), (540), (011), (021), (025), (027)面の計 13
反射面である。4-4-1.回折強度スペクトル
XMD
により得られた(210)面の回折強度のスペクトルを図4-13
に示す。X 線のエネルギーに対して計測されたフォトン数をプロットした。黒色の実線が 磁場を+方向にかけたときの回折強度I
のスペクトルであり、赤色の実線が磁場 を 方向にかけたときの回折強度I
のスペクトルである。回折X
線および蛍光X
図
4-12 PF BL-3C
内に設置されたXMD
実験システムの写真。線も含めた全強度は
52000cps
であった。測定時間は、28.5時間になる。白色X
線を使用し、回折X
線強度をエネルギー分散して測定しているため、1 つの反 射面に対して複数の高次の逆格子点を同時に測定できる。このことが白色X
線 を利用する利点の一つである。図4-13
の(210)面では420、630
の2
つの逆格子 点の回折強度が同時に測定されている。低次の210
逆格子点(3.64keV)、および、10 5 0
逆格子点(18.21keV)以上の高次の逆格子点は測定することができなかった。また、840 逆格子点(14.56keV)に関しては
YK
の蛍光X
線(14.96keV)と完全に重 なってしまったため測定することができなかった。得られた回折強度のスペクトルには各逆格子点の強度プロファイルの他に
Y
原子からのK
、K の蛍光X
線およびYK
のエスケープピークが観測される。これらの不要なピークは白色
X
線を使用することおよび検出器にGe
の半導体検 出器を使用することに起因する。これら不要なピークの影響が磁気効果の算出 において問題になることがあるが、それは4-4-3
蛍光分離の項で説明する。磁気効果の導出は図