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Weblog ツール

ドキュメント内 phdthesis dvi (ページ 93-99)

5.5 マネジメント層

5.5.1 Weblog ツール

現在のWeblogの普及においてWeblogツールはなくてはならない存在である.これらの

ツールが書き手の時間的・心理的コストを下げ,コミュニケーションの形態を変え,結果とし て先に述べたような数のWeblogサイトを生み出したといえる.

Weblogツールはこれまでに述べた Weblogサイトを容易に構築することのできるソフト

ウェアである.Weblogサイトが登場し始めた1998年前後から,CGI等を用いてブラウザか らコンテンツを記述・公開するためのツールはいくつか存在した.こういったツールは徐々に 高機能化し,2000年から2001年にかけてBLOGGER*5やMovable Type*6といった代表的

*3http://jibbering.com/foaf/

*4http://beta.plink.org/

*5http://www.blogger.com/

*6http://www.movabletype.org/

第5章 WeblogとセマンティックWebによる個人の情報流通モデル 80

5.1 RSS 1.0の記述例

なWeblogツールがリリースされるに至り,このようなシステムを利用したサイト管理が一般

化した.日本でも,以前よりWeb日記のためのツールが多数あり,現在でも多くのユーザが 利用している.一方で,海外産のWeblogツールを導入する際には文字コード等の問題があっ たが,有志によって日本語化パッチが提供され,初期段階での普及の一助を担った.Weblog ツールの多くは,比較的小規模な,かつ個人を対象としたコンテンツマネジメントシステム

第5章 WeblogとセマンティックWebによる個人の情報流通モデル 81

(CMS)である.Weblogツールは以下の3つのタイプに大別することができる.個々のツー ルの詳細は文献[67]などにまとめられている.

• スクリプト型

ユーザが自分でサーバに設置するCGIスクリプトやPHPスクリプトである.カスタ マイズの自由度が高い.ツールによってはMySQL等のDBMSが利用できる環境でな ければ動作しないものもある.例:Movable Type,Blosxom*7,Nucleus*8など.

• サービス型

アカウントを登録するだけで利用できる Weblog サービス.非常に多くのサービス があり,それぞれ特徴が異なる.例:ココログ*9,livedoor Blog*10,はてなダイア リー*11など.

• クライアント型

WindowsやMacOS X用のアプリケーションとして提供されるもの.クライアント側

でコンテンツ管理を行い,HTMLの生成やFTP・WebDAVによるアップロードを自 動的に行う.例:Radio UserLand*12,iWeblog*13など.

Weblogツールの動作を,代表的なスクリプト型ツールであるMovable Typeを例に取り説 明する.図2.1はMovable Typeを用いて作成したWeblogサイトの例である.

ユーザはインターネットブラウザに表示されるフォームにテキストを記述し,保存する(図 5.2参照).

WeblogツールはWebブラウザ上でのコンテンツ記述・編集を可能にし,その結果は即座

にHTML化されて公開される.多くのWeblogツールでは,書き手は一度Viewテンプレー トを定義しておけばその後はHTMLタグ等の記述をすることなしにコンテンツを公開するこ とができる.これにより,情報公開のためのコストは従来の HTMLマークアップとFTP等 によるファイルのアップロードによる方法と比較して劇的に低減する.このコストの低減が,

スモールコンテンツの生産を可能にしているといえる.

ユーザが記述したコンテンツ(エントリと呼ぶ)はWeblogツール内のデータベースにて 個別に管理されている.サイトの基本設定(サイト名など)は別に管理されており,ユーザ

*7http://www.blosxom.com/

*8http://nucleuscms.org/

*9http://www.cocolog-nifty.com/

*10http://blog.livedoor.com/

*11http://d.hatena.ne.jp/

*12http://radio.userland.com/

*13http://www.lifli.com/

第5章 WeblogとセマンティックWebによる個人の情報流通モデル 82

5.2 Movable Typeにおけるコンテンツ入力画面

がサイトの再構築を指示すると,Weblogツールは各データベースより必要な情報を取得し,

HTMLページを自動的に生成する(図 5.3参照).その際のサイトのデザインは,ひな形と なるテンプレートHTMLとCSSスタイルシートによって制御されており,ユーザは容易に カスタマイズすることができる.また,Weblogツールは1つのエントリから単純に 1つの HTMLを生成するだけではなく,最新のエントリの複数個を並べたindex ページや月ごとの アーカイブ,カテゴリごとのアーカイブなどを同時に生成する.このように,ワンソース・マ ルチユースを実現するシステムアーキテクチャとなっている.この特徴は,前述のRSS配信 にも生かされている.

Weblogツールには豊富なコミュニケーション支援機能が付加されている.各エントリに対

して来訪者がコメントを残すことができる掲示板機能はほぼ全てのWeblogツールに搭載され ているほか,来訪者がどのページのリンクを通じてアクセスしたかというReferrer情報を抽 出し,リンクとして表示する機能も一部のツールで用意されている.

また,Weblogツールに特有のコミュニケーション手段として「TrackBack(トラックバッ

ク)」の存在を挙げることができる.TrackBackはWeblogサイト間の逆リンクを生成する機

第5章 WeblogとセマンティックWebによる個人の情報流通モデル 83

5.3 Weblogツールのアーキテクチャ

構である.ユーザA がユーザ Bのサイトのコンテンツを引用してエントリを記述した際に,

その旨をXML形式のPingメッセージとしてサイトBに通知すると,サイトBのWeblog ツールはそのメッセージを受けてBのエントリからAのエントリへのリンクを自動生成する.

TrackBackによって,普通に張ることのできる順リンクとは逆方向の,相手から自分の側に

来訪者を引き込むようなリンクを生成することが可能になる.この機能を利用して,引用関係 を伝うことで議論の流れを時系列的に追うことが可能になる.

これまでのWebは順リンクのみで構成されているために,ページ間のリンクを移動するだ けでは特定のサイトに到達できないという蝶ネクタイ構造が形成されるといわれている[68]. 全てのページへ到達可能にするには,多くのページおよびリンク情報を格納したアーカイブや 検索エンジンが必要となる.WeblogではTrackBackの導入によって,双方向リンクが容易 に実現できる.このため複数のサイト間を行き来しながら渡り歩くようなブラウジングや,自 分に関連する情報を集めるための小規模なクローリングといった新しい利用法が可能になると 思われる.

他にも,WeblogツールにはXMLを用いたメッセージの送受信で簡易的なWebサービス

第5章 WeblogとセマンティックWebによる個人の情報流通モデル 84 を実現するXML-RPCや,標準的な文字コードにUTF-8を採用するなど,Webにおける先 進的な規格や技術が盛り込まれている.これらは商用サイトにも波及し始めており,今後の Webはこういった新しい技術を下敷きに発展していくものと思われる.

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