1 μM 0.1 μM Compound DMSO DMSO Baricitinib NQ801 BBI608
IL-6 - + + + +
Compound DMSO DMSO Baricitinib NQ801 BBI608
IL-6 - + + + +
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第8節 Reportergene assayによるJAK/STAT阻害剤の探索 第1項 ヒット化合物の同定
第1節から第6節にかけて、ナフトキノン類の JAK/STAT 経路への阻害作用 について議論を進め、NQ801 およびその周辺化合物はウェスタンブロットで
STAT3のリン酸化を用量依存的に抑制することを明らかにし、NQ801はJAKの
キナーゼ活性は阻害しないこと、STAT3のSH2ドメインへの結合能を有しない ことを明らかにした。また NQ801 およびその周辺化合物は Autodock によるド ッキングシミュレーションにて、STAT3 の hinge 領域に結合するという結果を 得た。このことから、Tabebuia avellanedaeの抗腫瘍活性効果はNQ801を始めと するフラのナフトキノン類が関与している可能性が示された。
しかしながら、Tabebuia avellanedae が有する抗腫瘍活性の評価を十分に行った とは言い難く、他のTabebuia avellanedae天然物やその類縁体についてJAK/STAT 経路への阻害能を評価する意義はあるものと考えた。
そこで、第 7 節で議論したレポータージーンアッセイを活用してより広範囲
にJAK/STAT経路の阻害活性を有する化合物の探索を行った。
65
Figure 52 レポータージーンアッセイの結果2
Figure 53 WST-8の結果2
0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0.12 0.14 0.16
0.18 reportergene assay 1µM
0.1μM
0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3 0.35 0.4 0.45 0.5
WST-8
1 μM0.1 μM Compound DMSO DMSO Baricitinib NQ011 NQ-a039 MY-k098 KU30
IL-6 - + + + + + +
Compound DMSO DMSO Baricitinib NQ011 NQ-a039 MY-k098 KU30
IL-6 - + + + + + +
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次に、KU30のIC50値を算出するために最大濃度30 μM、公比3でレポータージ ーンアッセイを実施したところ、そのIC50値は0.050 µMであった。
0 5 0 1 0 0
- 8 - 6 - 4
N Q 0 0 8
m o l / L
%
0
I C5 0 = 0 . 0 5 0 M
Figure 54. NQ008のIC50値
レポータージーンアッセイでNQ008のJAK/STAT経路への阻害活性を確認で きたため、次にウェスタンブロットで STAT3 のリン酸化への影響を評価した。
Figure 55. NQ008のSTAT3リン酸化阻害活性
67
NQ008はSTAT3のリン酸化を用量依存的に抑制し、8 µM, 4 µM, 2 µMでの阻
害率はそれぞれ96%, 74%, 72%であった。ウェスタンブロットにおいても阻害活 性がみられたため、次にNQ008のがん細胞に対する成長阻害を評価した。
Table 5. NQ008のがん細胞に対する成長阻害
Compound
Growth inhibition (IC50 µM) MDA-MB-231 MCF7 A549
NQ008 0.50 0.77 0.49
NQ008はMDA-MB-231, MCF7, A549に対し同程度の成長阻害作用を示し、そ
のIC50値はそれぞれ0.50 µM, 0.77 µM, 0.49 µMであった。
68
第2項 レポータージーンアッセイによるスクリーニング結果
レポータージーンアッセイにより、さらなるスクリーニングを実施したが、ヒ ット化合物として得られたのはNQ008の1化合物のみであった。レポータージ ーンアッセイについては生命資源化学研究室で保有するTabebuia avellanedaeに 含まれる天然物、合成中間体、その他の植物から単離された天然物など、約100 化合物に対してスクリーニングを実施したが、NQ008 以外にヒット化合物とし て見出された化合物は皆無であった。
69 第9節 総括
第3章の第1 節では、Tabebuia avellanedaeに含まれる代表的なナフトキノン 類をウェスタンブロットで評価し、NQ801 をはじめとするフラノナフトキノン
類は STAT3 の用量依存的なリン酸化抑制作用を有することを見出した。また
SARにより、5位の水酸基の除去によりSTAT3のリン酸化抑制作用が増強され ることを明らかにした。NQ801はSTAT3のリン酸化に加え、JAKのリン酸化も 抑制することを明らかにした。
第2節では、第1節で評価したナフトキノン類についてMCF7, MDA-MB-231, A549の 3つのがん細胞を用いて WST8 assayによる成長阻害を評価した。フラ ノナフトキノン類はいずれもがん細胞に対する成長阻害が確認された。一方で2 位の側鎖がケトン型の化合物は、がん細胞に対する成長阻害作用が強く、この傾
向は STAT3 のリン酸化抑制作用と一致しないという興味深い結果が得られた。
この不一致を考察するにあたり、①オフターゲットへの影響、および②膜透過性 について議論することは意義のあるものと考える。NQ801 および BBI608 の
STAT3以外のオフターゲットへの影響についての文献報告は少ないが、BBI608
処置によりウェスタンブロットで Bmi-1, β-catenin, Klf などの JAK/STAT3 経路 と関連の薄いタンパクについても抑制作用を示しており、オフターゲットへの 影響が示唆される。31) 同様にNQ801を始めとするナフトキノン類についても オフターゲットへの影響は考慮するべきであろう。
膜透過については一般に極性の高い化合物は細胞膜を構成するリン脂質二重 膜を透過しにくい傾向が知られている。35) 2位側鎖の側鎖の酸化段階(ケトン or2 級水酸基)は STAT3 のリン酸化レベルに影響を及ぼさなかったが、極性の 高い水酸基を有する化合物(8 および 26)の膜透過性の低さを考慮するのであれ ば、化合物8 および 26 は細胞質中でさらに低濃度で STAT3のリン酸化を阻害
70
している可能性がある。それらの検証についてはSTAT3のHinge領域への結合 能を評価するためのタンパク質レベルでのバインディングアッセイ系の構築な らびに検証、parallel artificial membrane permeability assay (PAMPA)などの人工膜 を使った細胞膜透過能の評価36)、Caco-2細胞による透過モデルによる検証37) は 価値があると考えられる。
第3節ではJAK1, JAK2そしてJAK3に対するキナーゼ阻害能をMSAで評価
し、NQ801およびBBI608 はJAK に対する阻害能を有していないことを確認し
た。第 4 節では STAT3 の SH2 ドメインに対する NQ801 の結合能を評価し、
NQ801は結合能を有していないことをあきらかにした。第5節ではAutoDock4.3
によるドッキングシュミレーションを実施し、NQ801 およびその類縁体は STAT3のhinge領域に結合する可能性が示され、Boston Biomedical Inc,のX線構 造解析の結果と良好な一致を示した。
本研究では、NQ801の標的タンパク質の同定には至らなかったが、JAK/STAT 経路の阻害剤探索における主要な標的であるJAKキナーゼおよびSTAT3のSH2 ドメインに作用しないことを示せたことは科学的に意義があると考えられる。
NQ801がSTAT3のhinge領域に結合はAutoDock4.3による推定のみではあるが、
hinge領域を標的とした先行事例が少ないこと、ウェスタンブロットでのSTAT3
リン酸化抑制作用のIC50値は1 µM以下であること、分子量は258であることを 考慮すると創薬研究の起点となるシード化合物として有望であると考えられる。
第 7 節ではレポータージーンアッセイにより、JAK/STAT 経路の阻害剤探索 を実施し、約 60 化合物を評価し、唯一のヒット化合物として NQ008 を見出し た。NQ008 はウェスタンブロットにおいて STAT3のリン酸化抑制が確認され、
そのIC50値は1 µM以下であることが推定された。NQ801およびBBI608はその
71
細胞毒性によりレポータージーンアッセイで評価不能であった。構造的に類似
したNQ008で評価はアッセイ可能であったが、その理由は不明である。
NQ801 をはじめとするナフトキノン類は創薬の現場ではしばしば、プレミス
カスヒット化合物と呼ばれ、創薬研究の評価対象から除外する研究方針が存在 する。38) オフターゲットへの作用という課題は依然として存在する一方で、ヒ ット化合物の発見という意味ではナフトキノン類は重要な構造群ととらえるこ とも可能ではないだろうか。今回の我々の知見はナフトキノン類の評価を再考 するきっかけとなることを期待したい。
応用生命化学科 生物環境学研究室においては本研究で得られた知見をもと
にNQ801およびBBI608のさらなる類縁体の合成および類縁体評価に着手した。
より薬らしい化合物の創出に向け合成展開が進行中である。
Figure 56. NQ801およびBBI608をシード化合物とした創薬展開の可能性
72 第10節 実験項
第1項 細胞培養
MDA-BB-231, MCF7, and A549 were purchased from KAC. All cells were maintained in DMEM supplemented with 10% (vol/vol) FBS and 1%
penicillin/streptomycin/amphotericin B (Nacalai tesque) at 37 °C in a humidified incubator with 5% CO2.
第2項 Western Blot
MCF7 cells were seeded at a density of 2 × 106 cells/well in a 6-well microplate. After overnight incubation, the growth medium was changed, and cells were incubated at 37 °C under serum-free conditions for 24 h. Test compounds (or DMSO) were added to the wells and incubated for 1 h and then stimulated by IL-6 (final concentration was 10 ng/mL). After incubation for 1 h, cells were lysed and the proteins were extracted using cell lysis buffer for 30 min at 4 °C and then centrifuged at 10,000 rpm for 30 min at 4 °C.
Denatured proteins (14 µg/lane) were electrophoresed in 6%–12% sodium dodecyl sulfate-polyacrylamide gel electrophoresis (SDS-PAGE) gels and transferred to a PVDF (polyvinylidene difluoride) membrane (Bio-Rad). After blocking with 5% BSA (bovine serum albumin) or 5% non-fat milk in 0.1% TBST (tris-buffered saline tween) for 1 h, the membranes were incubated with the primary antibodies of interest for 18 h at 4 °C, followed by an incubation with secondary HRP (horseradish peroxidase)-conjugated antibodies (1:15,000) for 1 h at room temperature. The signal was visualized using ECL western blotting substrate (Chemi-Lumi One, Nacalai tesque).
MDA-MB-231 cells were seeded at a density of 2 × 106 cells/well in a 6-well microplate.
After overnight incubation, the growth medium was changed and the test compounds (or
73
DMSO) were added to the wells and incubated for 2 h and cells were lysed and conducted Western blot analysis same as MCF7.
抗体 メーカー カタログNo.
anti-actin (20-33) Sigma Aldrich A5060
beta Actin antibody GeneTex GTX629630
Phospho-Stat3 (Tyr705) (D3A7) XP® Rabbit mAb
Cell Signaling Technology 9145
Stat3 (124H6) Mouse mAb Cell Signaling Technology 9139 Phospho-Jak2 (Tyr1007/1008)
Antibody
Cell Signaling Technology 3771
Jak2 (D2E12) XP® Rabbit mAb Cell Signaling Technology 3230 Table 6. 一次抗体一覧
抗体 メーカー カタログNo.
Anti-Mouse IgG (H+L), HRP Conjugate
Promega W4021
Anti-Rabitt IgG (H+L), HRP Conjugate
Promega W4011
Table 7. 二次抗体一覧
74 第3項 WST8 assayの手順
Cell proliferation was measured using a WST8 assay kit (Nacalai tesque), according to the manufacturer’s instructions. Briefly, cells (MDA-MB-231, MCF7, or A549) were seeded at a density of 5 x 103 cells/well in a 96-well microplate. Following overnight incubation, cells were treated for 72 h with test compounds (0–30 μM). Absorbance was recorded at 450 nm, and viability was calculated as a percentage of cell proliferation relative to the vehicle control (0.1% DMSO).
第4項 Graphpadprismの設定について
WST8 assayでのIC50値算出はGraphpad Prism ver. 7.03を用いた。
75 1. Welcome画面での設定
GraphPad Prism7.0.3を起動し、Enter/Import data: X: Numbers、Y: Enter 3 replicate values in side-by-sideを選択し、createをクリックした。
2. 濃度および吸光度の入力
X軸に測定濃度を、プレートリーダーで読み取った吸光度の実測値を入力した。
76
Analyzeのアイコンをクリック。
3. X軸の設定
X軸(濃度)は対数変換して用いた。Transformを選択し、OKをクリックした。
77
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79 4. Y軸の設定
基準化(normalize)して算出した。設定は以下の通り。
Transform, Normarize…からNormalizeを選択し、OKをクリックした。
80
上記のパラメータを選択し、OKをクリックした。
IC50値が表示される。
5. 非線形回帰について
非線形回帰モデルはlog(inhibitor) vs. response -- Variable slope (four parameters) を用いた。
81 Constrain(制約)の設定は以下の通り。
82
パラメータ名 制約の種類 値
Bottom 定数は次と等しい 0
Top 定数は次と等しい 100
算出されたIC50値をWST8 assayの結果として採用した。
83 第5項 キナーゼアッセイの手順 Preparation of test compound solution
The test compound was dissolved in and diluted with dimethylsulfoxide (DMSO) to achieve 100-fold higherconcentration which was specified by the sponsor. Then the solution was further 25-fold diluted with assaybuffer to make the final test compound solution. Reference compounds for assay control were prepared similarly.
Kinase
Kinases Description
JAK1 Human JAK1, catalytic domain [850-1154(end) amino acids of accession numberNP_002218.2] was expressed as N-terminal GST-fusion protein (62 kDa) usingbaculovirus expression system. GST-JAK1 was purified by using glutathione sepharosechromatography.
JAK2 Human JAK2, catalytic domain [826-1132(end) amino acids of accession numberNP_004963.1] was expressed as N-terminal His-tagged protein (39 kDa) using baculovirusexpression system. His-tagged JAK2 was purified by using Ni-NTA affinitychromatography and gel filtration chromatography.
JAK3 Human JAK3, catalytic domain [795-1124(end) amino acids of accession numberNP_000206.2] was expressed as N-terminal His-tagged protein (41 kDa) using baculovirusexpression system. His-tagged JAK3 was purified by using Ni-NTA affinitychromatography and gel filtration chromatography.