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○ピリドキシン塩酸塩

ビタミン B6の代謝経路は下記のとおりであった44)

■代謝経路

○アスコルビン酸

アスコルビン酸とデヒドロアスコルビン酸の相互変換は生体内で可逆的である。デヒド ロアスコルビン酸は生体内で加水分解を受けて不可逆的にジケトグロン酸となり、更に 脱炭酸され、L−リキソン酸とL−キシロン酸となって分解されていく。これらの反応は 肝などで酵素的に起こり動物種による差が著しく、ヒトでの分解は比較的おそい。アス コルビン酸の代謝産物としてシュウ酸が尿中に排泄されることが知られているが、これ はジケトグロン酸が非酵素的にシュウ酸とL−トレオン酸となるのであろうと考えられ ている。しかし、アスコルビン酸をヒトに大量に投与した場合、未変化体のまま尿中に 速やかに排泄され、尿中のシュウ酸はほとんど増加しないという結果が得られている。

■代謝経路

(第十六改正日本薬局方解説書 2011, C−63 廣川書店)

なお、脱炭酸の代謝経路はヒトでは主要な代謝経路ではない87)。また、デヒドロアス コルビン酸の水解活性は他の動物に比べて弱い88)

PLASMA

○エルゴカルシフェロール

ビタミン D3は肝臓で 25 位が水酸化されて 25− OHD3となり、腎臓で 1a位又は 24 位が 水酸化されて 1a, 25−(OH)2D3あるいは 24R, 25−(OH)2D3に代謝される。24R, 25−(OH)

2D3は更に下記のように代謝されるが、1a,25−(OH)2D3も 25−OHD3と同様に代謝される89)

■主要代謝経路

■側鎖の代謝経路

ビタミン D2及び D3は生体内で同様に代謝され、同様の代謝物を生成して生理作用を発 揮する。

(ビタミンの事典 日本ビタミン学会編 1996, p68 朝倉書店)

HO 1

25

Iiver

D3

HO

OH kidney

25-OHD3

serum Ca

<8-9 mg/dL

serum Ca

>9 mg/dL

24R, 25-(OH)2D3

HO OH

OH

1α, 25-(OH)2D3

HO

OH OH

O O OH

OH OH HOOC OH

St

O OH OH St

23S, 25-(OH)2-24-oxo-D3

23β-glucuronide

23S, 25-(OH)2-24-oxo-D3

O St OH

25-OH-24-oxo-D3

OH St OH

24R, 25-(OH)2D3

OH St

23-OH-tetranor-D3

OOH 25R-OHDSt3 26, 23S-lactone

O OH St OH

25R-OHD3 26, 23S-lactol OH OHOH 23S, 25R, 26-(OH)St 3 D3

OH St OH

25S, 26-(OH)2 D3

OH OH 23S, 25-(OH)St 2 D3

25-OHD3

HO St:

O

O

○トコフェロール酢酸エステル

a

−トコフェロールの代謝産物として、腸管、腎、肝などの動物組織中に

a

− tocopherol−

p− quinone と di−

a

− tocopherone が存在することが認められている。尿中の代謝物の大 部 分 は 2 −( 3 − hydroxy − 3 − methyl − 5 − carboxypentyl)− 3,5,6 − trimethyl − 1,4 − benzoquinone(tocopheronic acid)又は tocopheronolactone のヒドロキノン体のグルク ロン酸抱合体である。これらに加えて微量の E 酸−Ⅰ、E 酸−Ⅱの抱合体がウサギの尿 中から同定されている。

(第十六改正日本薬局方解説書 2011, C−3026 廣川書店)

○パントテン酸カルシウム

パントテン酸は活性のある誘導体 Coenzyme A(CoA)及びアシルキャリアプロテイン

(ACP)になって作用し、代謝はその逆の機構でパントテン酸とヒポタウリンに分解さ れる。

(ビタミンの事典 日本ビタミン学会編 1996, p255 朝倉書店)

○ニコチン酸アミド

ニコチン酸アミドは生体内でニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、ニコチンアミド アデニンジヌクレオチドリン酸になって生理作用を示す。また、尿中にはN−メチルニ コチンアミド、N−メチル− 2−ピリドン− 5−カルボキサミド、N−メチル− 4−ピリドン−

3−カルボキサミドとして排泄される。

(ビタミンの事典 日本ビタミン学会編 1996, p228 朝倉書店)

○葉酸

尿中代謝物としては動物体内で葉酸の 9 位と 10 位の間が切断されたp− aminobenzoyl−

glutamate、pteridine や、その他、N10− formyl−テトラヒドロ葉酸、N10− formyl−葉酸、

N5−methyl−テトラヒドロ葉酸、葉酸、isoxanthopterin などが見いだされている。

(第十六改正日本薬局方解説書 2011, C−5038 廣川書店)

5 − 2 代謝に関与する酵素(CYP450 等)の分子種 該当資料なし

CH3

H3C O

CH3 CH3

COOH

CH3

O

O

COOH H3C

CH3

CH3

O

E酸−Ⅰ E酸−Ⅱ

5 − 3 初回通過効果の有無及びその割合 該当資料なし

5 − 4 代謝物の活性の有無

○チアミン硝化物

生体内でビタミン B1からチアミンキナーゼによってリン酸化されたビタミン B1二リン 酸エステルが活性体である。

(ビタミンの事典 日本ビタミン学会編 1996, p150 朝倉書店)

○リボフラビン

ビタミン B2は、生体内ではフラビンアデニンジヌクレオチドやフラビンモノヌクレオ チドの形で存在してタンパク質と結合してフラビン酵素となり、作用を示す。

(ビタミンの事典 日本ビタミン学会編 1996, p168 朝倉書店)

○ピリドキシン塩酸塩

ビタミン B6はピリドキシン、ピリドキサール,ピリドキサミン、これらのリン酸エス テル型であるピリドキシン 5'−リン酸、ピリドキサール 5'−リン酸、ピリドキサミン 5'−

リン酸の総称であり、生体内でビタミン B6としての生理活性を示す。また、生体内で は相互に代謝転換される。

(ビタミンの事典 日本ビタミン学会編 1996, p201 朝倉書店)

○アスコルビン酸

デヒドロアスコルビン酸以下の代謝物には活性はない。

(ビタミンの事典 日本ビタミン学会編 1996, p354 朝倉書店)

○エルゴカルシフェロール

代謝物 1a, 25−(OH)2D3が活性体であり、24R, 25−(OH)2D3の活性は弱い89)

○パントテン酸カルシウム

活性のあるパントテン酸誘導体 Coenzyme A 及びアシルキャリアプロテインとして作用 する。

(ビタミンの事典 日本ビタミン学会編 1996, p255 朝倉書店)

5 − 5 活性代謝物の速度論的パラメータ 該当資料なし

6 .排  泄 6 − 1 排泄部位

○レチノールパルミチン酸エステル

ビタミン A は未変化のままでは尿中に排泄されず、ふん便中にわずかに排泄されるだけ で、残りは途中で分解されて排泄される。

(第十六改正日本薬局方解説書 2011, C−5289 廣川書店)

レチノイン酸は抱合、脱炭酸、酸化、エポキシ化、異性化などを受け、不活性化され、その 80〜85%が胆汁中に、15〜20%が尿中に排泄される。

○チアミン硝化物

チアミンの尿中への排泄は速やかで、静注したチアミンの生物学的半減期はラットで 20分 以下、ウサギでは45〜50分で、1時間以内に総排泄量の60%以上が尿中に排泄される。

(第十六改正日本薬局方解説書 2011, C−2729 廣川書店)

○リボフラビン

尿中には主として B2として排泄される。

(第十六改正日本薬局方解説書 2011, C−5208 廣川書店)

○ピリドキシン塩酸塩

ピリドキシンを投与したヒトでは 20 %以下がそのままの形で尿中に排泄される。残り の大部分は 4−ピリドキシン酸として排泄され、これは肝でピリドキサールを経て酸化 されるものと考えられる。

(第十六改正日本薬局方解説書 2011, C−3779 廣川書店)

○シアノコバラミン

B12の体外への排泄は、肝臓から胆汁を経て糞便中に出るのが主要経路であるが、腸の 上皮細胞の 離脱落に伴って排泄される量もかなりあるとされている。

(ビタミンの事典 日本ビタミン学会編 1996, p324 朝倉書店)

○アスコルビン酸

Ⅶ− 5 − 1 の項参照

○エルゴカルシフェロール

主に胆汁排泄を受けてふん便中に排泄され、尿中への排泄はわずかである。

(第十六改正日本薬局方解説書 2011, C−908 廣川書店)

○トコフェロール酢酸エステル

ウサギに14C で標識したコハク酸トコフェロールを経口投与すると 3 日間で 74 %がふん 便に排泄され、尿中排泄は極めてわずかであった。皮下注では 11 日間でふん便に 10 % が、4 %が尿中に排泄され、また静注では 20 日以内で全排泄率 75 %のうち 70 〜 80 % がふん便中に、20 〜 30 %が尿中に排泄された。このように体内に取り込まれた放射能 のかなりの量がふん便中にみられることから、a−トコフェロールの排泄には胆汁内排 泄の関与が考えられる。

(第十六改正日本薬局方解説書 2011, C−3028 廣川書店)

○パントテン酸カルシウム

(参考)〔ラット〕

ラットにパントテン酸カルシウム 10.28mg/kg を単回静脈内投与したときの 24 時間の尿 中排泄は投与量の 87 %が遊離体として、99 %が総パントテン酸として排泄された19)

○ニコチン酸アミド 主に尿中に排泄される。

(ビタミンの事典 日本ビタミン学会編 1996, p228 朝倉書店)

6 − 2 排 泄 率

○チアミン硝化物

健康成人 6 例(年齢: 20 〜 26 歳)を対象に総合ビタミン液剤※※1 管(チアミン硝化物 5mg)

を単回経口投与したときの尿中排泄は下記のとおりであった13)

■尿中排泄量

※※総合ビタミン液剤: 1 管中にチアミン硝化物 5mg、リボフラビンリン酸エステルナトリウム 5mg、ピリドキシン塩酸塩 5mg、ニコチン酸アミド 20mg、無水カフェイン 50mg、イノシト ール 50mg、タウリン 1000mg 含有

○リボフラビン

健康成人 6 例(年齢: 20 〜 23 歳)を対象に総合ビタミン剤2 錠(リボフラビン 7mg)を 単回経口投与したときの尿中排泄は下記のとおりであった14)

■尿中排泄量

※総合ビタミン剤: 1 錠中にレチノールパルミチン酸エステル 1,000 単位、エルゴカルシフェロ ール 100 単位、フルスルチアミン 5mg、リボフラビン 3.5mg、ピリドキシン塩酸塩 4.5mg、ニコ チン酸アミド 37.5mg、シアノコバラミン 6.5mg、アスコルビン酸 125mg、トコフェロール酢酸 エステル 5mg、パントテン酸カルシウム 15mg、カルシウムして 30mg、マグネシウムとして 15mg を含有

投与前値

(24h)

154±72 178±108 98±54 191±92

0−3h 3−6h 6−24h 0−24h(前値補正)

排泄量 314±91

投与量に対する比率(%)

7.8

µ

g、mean±SD

投与前値

(24h)

59±39 623±432

0−6h 0−24h(前値補正)

排泄量 808±454

投与量に対する比率(%)

10.7±6.5

µg、mean±SD

○ピリドキシン塩酸塩

健康成人 5 例(年齢: 20 〜 23 歳)を対象に総合ビタミン剤2 錠(ピリドキシン塩酸 塩として 9mg)を 1 週間連日経口投与したときの尿中排泄量の推移は下記のとおりで あった15)

■総ビタミン B6尿中排泄量の推移

○アスコルビン酸

健康成人 6 例(20 〜 23 歳)に前日からビタミン C の摂取を制限し、アスコルビン酸 250mg を単回経口投与したときの尿中アスコルビン酸排泄量は下記のとおりであった90)

■ 24 時間までの尿中アスコルビン酸排泄量

mean ± SD、( )内は投与量に対する排泄率

〔外国人データ〕

健康成人 11 例に 1,000mg/日を 5 日間経口投与したときの 24 時間までの尿中アスコル ビン酸排泄量は下記のとおりであった33)

■ 5 日間の 24 時間までの尿中アスコルビン酸排泄量

4

3 2 1

1 2 3 4 5 6 7

(mg/day)

総ビタミン

B

6

排泄量(mg) 11.5±2.3

−24〜0(h) 0〜6(h) 0〜24(h)

40.0±7.6

(16.0±3.0)

98.2±12.1

(34.7±  4.4)

0 12 24 12 24 12 24 12 24 12 24

1日 2日 3日 4日 5日

800 600 400 200 0

mg