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20201130

倫理申請⽤計画書

研究の名称

遺伝性乳がん患者とその⾎縁者を対象としたニーズ調査

研究の実施体制(研究機関の名称及び研究者等の⽒名を含む。)

研究責任者 ⻄垣 昌和

研究協⼒者 ⾚間孝典(福島県⽴医科⼤学),井沢知⼦(京都⼤学医学部附属病院),⾼

嶺理恵⼦(東京医科⻭科⼤学附属病院),太宰牧⼦(ゲノム医療当事者団体連合会)

研究の⽬的及び意義

乳がんは,⽇本⼈⼥性の 9 ⼈にひとりが罹患する頻度の⾼いがんである。乳がんの中に は,⽣殖細胞系列の遺伝⼦の病的バリアントが原因によって⽣じる遺伝性乳がんが 7~10%

を占めるといわれている。中でも BRCA1,BRCA2 を原因遺伝⼦とする遺伝性乳癌卵巣癌 症候群(Hereditary Breast and Ovarian Cancer: HBOC)は,遺伝性乳がんの中でも頻度が

⾼く,浸透率が⾼い疾患である。近年,HBOC 医療の進展は⽬覚ましく,BRCA1/2病的バ リアントを有する⼀部の乳がん患者に対する分⼦標的薬オラパリブおよびコンパニオン診 断としての BRCA1/2 遺伝学的検査が 2018 年 7 ⽉に保険適⽤になったほか(卵巣がん初回 治療後の維持療法に対する適応は 2019 年 6 ⽉),2020 年 4 ⽉には,乳がんもしくは卵巣が んを発症した HBOC 患者に対するリスク低減乳房切除術(Risk Reducing Mastectomy: RRM)

およびリスク低減卵管卵巣摘出術(Risk Reducing Salpingo-Oopherctomy: RRSO)が保険 適⽤された。また,これらの治療・リスク低減法に加え,HBOC が疑われる乳がん,卵巣 癌患者に対する BRCA1/2 遺伝学的検査も保険適⽤とされている。

上記のように,HBOC が疑われるがん患者に対する医療体制は着実に整備され始めてい る。それによって,これまで遺伝医療を専⾨とする医療職(臨床遺伝専⾨医,認定遺伝カウ ンセラー等)が主たる担い⼿となっていた HBOC(疑い含む)患者とその⾎縁者への医療 は,乳腺外科,婦⼈科といった診療科の主治医に⼀部をタスクシフトすることが期待される。

しかしながら,急速に進んだこれらの医療体制整備に,臨床現場が適切に対応し,タスクシ フトが実現しているかどうかは検討する必要がある。実際に,本邦に先んじてオラパリブや リスク低減⼿術が実施されている⽶国の研究においては,卵巣がん患者の多くが適切な HBOC 医療の利益を享受できていなかったことが明らかにされている(Hoskins, 2017)。同 様の unmet needs は本邦でも存在しうる問題であり,(1)現時点で HBOC(疑い含む)患者 とその⾎縁者にどのようなニーズが存在し,(2)それらニーズへの対応がどの程度適切にな されているかを検討することは,急速に進む HBOC 医療の適切な実装のために不可⽋であ る。

そこで本研究では,上記(1)について患者とその⾎縁者に対するインタビュー調査,およ

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びそれをもとにした横断調査(研究 A)を実施し,さらに(2)について全国の乳腺外科,婦

⼈科を対象に,(1)で明らかにしたニーズへの対応状況を調査(研究 B)する。

研究の⽅法及び期間 研究 A1

対象:遺伝性乳がん*の診断および疑いで医療を受けた患者およびその⾎縁者

*遺伝性乳がんと関連する他部位のがん(膵がん,卵巣がん,前⽴腺がん等)

をきっかけに遺伝性乳がんを疑われた者も含む。以下同じ。

除外基準:未成年者,⽇本語によるコミュニケーションが不可能なもの

リクルート⼿順:研究協⼒者の関連施設および団体を経由して,掲⽰物・web サイト・メ ールにより募集⽂書を配布し,参加希望者に登録をしてもらうオプトイ ン⽅式.⽬標症例数は,期間内に分析可能な実現可能性を鑑み,患者,

⾎縁者それぞれ 10 名程度とする。データの飽和の状況によって増減を 検討する

データ収集期間 倫理申請承認後〜2021 年 2 ⽉(予定)

データ収集⽅法:web プラットフォームによるインタビューを実施する.使⽤するプラッ トフォームは,Zoom もしくは Skype を予定している。下記の項⽬につ いて,半構造化インタビューを実施する

インタビュー項⽬

・遺伝性乳がん医療を受けることとなったきっかけ

・遺伝性乳がん医療の経験

・遺伝性乳がん医療に対して抱いていたニーズ 応えられたニーズ,応えられなかったニーズ

・遺伝性乳がん医療への要望

分析⽅法:逐語録を作成し,意味内容をもとに断⽚化し,テーマ分析の⼿法を持ちいて,

対象者がうけた遺伝性乳がん医療の実態を,ニーズへの対応を中⼼に記述する 研究 A2

対象:遺伝性乳がんの診断および疑いで医療を受けた患者およびその⾎縁者 除外基準:未成年者,⽇本語でのアンケートへの回答が不可能な者

リクルート⼿順:研究協⼒者の関連施設および団体を経由して,掲⽰物・web サイト・メ ールにより web アンケートサイトを案内する.仮説検証を⽬的とした 調査ではないため,⽬標症例数は設定せず,期間内に可能な限り多数の 協⼒者を募集する

データ収集期間:2021 年 3 ⽉(予定)

データ収集⽅法:web アンケートサイトによる横断調査.Surveymonkey により web アン ケートサイトを作成する.調査項⽬は,研究 A1 によって明らかになっ

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た遺伝性乳がん患者およびその⾎縁者のニーズとして,それらのニーズ をどれぐらい重視するか,そのニーズへの対応にどの程度対応されたと 認識しているかを 5-point Likert スケールを⽤いて問う(質問項⽬が決 定次第追加申請予定).また,⾃信が受けた遺伝性乳がん医療への意⾒・

予防等について⾃由記載を依頼する 分析⽅法:各ニーズ項⽬の記述統計,⾃由記載の内容分析

研究 B

対象:BRCA1/2 遺伝学的検査算定要件を満たす施設の乳がん治療担当医,卵巣がん治療 担当医

除外基準:特になし

リクルート⼿順:BRCA1/2 遺伝学的検査の施設要件に合致する施設代表者あてに,依頼

⽂書・説明⽂書とともに,乳がん治療担当医⽤,卵巣がん治療担当医⽤

の調査票を 1 通ずつ,返信⽤封筒とともに同封する。対象者は,施設要 件に合致する全施設とする

データ収集期間:2021 年 4 ⽉以降(予定)

データ収集⽅法:⾃記式質問紙による横断調査.質問項⽬は,⾃施設の遺伝性乳がん診療 体制,診療実績,研究 A で明らかにしたニーズへの対応実績,遺伝性乳 がん医療を実施するうえでの課題(⾃由記載)等(質問項⽬が決定次第 追加申請予定)

分析⽅法:各項⽬の記述統計を⽰すとともに,ニーズ対応の充⾜状況と,診療体制との関 連を検討する

研究対象者の選定⽅針

研究 A 遺伝性乳がんの診断および疑いで医療を受けた患者およびその⾎縁者を,研究 協⼒者の関連施設および団体を経由して募集する。

研究 B BRCA1/2 遺伝学的検査算定要件を満たす施設の乳がん治療担当医,卵巣がん治 療担当医*。

* BRCA1/2 遺伝学的検査算定要件

1)卵巣がん患者に対して治療法の選択を⽬的として実施する場合には、化学療法の経験を5年以上 有する常勤医師⼜は産婦⼈科及び婦⼈科腫瘍の専⾨的な研修の経験を合わせて6年以上有する常 勤医師が1名以上配置されていること。

2)乳がん患者に対して治療法の選択を⽬的として実施する場合には、化学療法の経験を5年以上有 する常勤医師⼜は乳腺外科の専⾨的な研修の経験を5年以上有する常勤医師が1名以上配置され ていること。

3)HBOC の診断を⽬的として実施する場合には、1)または2)のいずれかを満たすこと。

4)遺伝カウンセリング加算の施設基準に係る届出を⾏っていること。ただし、遺伝カウンセリング 加算の施設基準に係る届出を⾏っている保険医療機関と連携体制をとっており、当該患者に対し て遺伝カウンセリングを実施することが可能である場合は、この限りでない。

5)BRCA 遺伝学的検査の施設基準に係る届出を⾏っていること。

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研究の科学的合理性の根拠

研究の⽬的と意義の項で述べたように,遺伝性乳がんに関する医療制度整備は近年急速 に進んでいる。⼀⽅で,その担い⼿である診療科の⼈材育成や体制整備は⼗分とはいえず,

その結果実臨床では様々な unmet needs が存在することが推察される.そのため,HBOC に対する保険医療が始まった今こそ,unmet needs を洗い出し,それへの対応を考案する重 要な時期といえる。そのためには,まず医療の受け⼿である当事者の意⾒を聞きニーズを明 らかにし,そのニーズへの対応の現状を明らかにすることが必須である。本研究では,当事 者,医療機関双⽅を対象にしており,⽬的を達成するうえで最適なデザインといえる。

第 12 の規定によるインフォームド・コンセントを受ける⼿続等(インフォームド・コンセ ントを受ける場合には、同規定による説明及び同意に関する事項を含む。)

本研究は,研究 A,B ともに侵襲を伴わない⽅法(インタビュー,アンケート調査)によ り,情報を収集する横断観察研究である。対象者と直接対⾯で⽂書による同意を取得するプ ロセスは困難であるため,以下の⼿順で研究参加への同意を取得する。

研究 A1(患者・⾎縁者対象インタビュー調査)

研究情報を掲載した web サイトの案内を募集⽂書に記載し,研究協⼒施設・団体の患者 およびその⾎縁者に配布する。web サイトを閲覧し,参加を希望する場合には,説明を理解 し,同意する旨を⽰すチェックボックスにチェックをし,連絡先を⼊⼒する。

研究 A2(患者・⾎縁者対象 web アンケート調査)

Web アンケートサイトの案内を募集⽂書に記載し,研究協⼒施設・団体の患者およびそ の⾎縁者に配布する。Web アンケートサイトに記載された研究説明を閲覧し,参加を希望 する場合には,説明を理解し,同意する旨を⽰すチェックボックスにチェックをし,web ア ンケートに回答する。

研究 B(医療機関対象アンケート調査)

研究説明⽂書・返信⽤封筒とともに,調査票を対象施設に送付する。研究参加に同意する 場合は,調査票表紙に⽰した説明を理解し,同意する旨を⽰すチェックボックスにチェック をし,調査票に回答のうえ返送する。

個⼈情報等の取扱い(匿名化する場合にはその⽅法、匿名加⼯情報⼜は⾮識別加⼯情報を作 成する場合にはその旨を含む。)

研究 A1 においては,対象者の⽒名,連絡先を収集するほか,web プラットフォームを⽤い てインタビューを実施・記録するため,インタビュー時の⾳声と映像が収集される。インタ ビューデータは本研究の中でのみ使⽤する ID を付与する。⾳声と映像は,研究代表者のみ ダウンロード可能な設定とし,ダウンロードした⾳声と映像,暗号化された USB メモリに 保存する。逐語録は,ネットワークから切り離された PC 上で,個⼈の特定につながりうる

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