第4章 高速振動型魚類型泳動機構の開発
4.5 高速振動型泳動機構の性能評価
4.5.2 Subcarangiform 型泳動機構の推進力推定と泳動実験…
Fig. 4.5.5 Energy consumption, maximum forward speed and calculated average thrust of modified subcarangiform swimming mechanism
機構後半部のみを駆動することで、前後半部両方を駆動する場合に比べ直流モータに かかる負荷が小さくなり、泳動振動数を増加することが可能となる。最速の前進速度を 記録したのは駆動振動数が8.9Hzの場合で、そのときの最高前進速度は0.6m/secとな り、魚体長倍速度に直すと1.41BL/secである。また、泳動開始から最高前進速度に達 するまでの時間は約4secであり、消費電力は約31Wであった。単位エネルギー当たり の前進距離は、どの駆動振動数においてもさほど変化がなかった。この場合、駆動振動 数の増加とともに消費電力、最高前進速度、平均推力はほぼ線形に増加する。最高前進 速度においては、同じ駆動振動数で比較した場合には機構全体を駆動させたほうが高い が、同じ消費電力で比較した場合には機構後半部のみを駆動させたほうが高い前進速度 が得られた。
Subcarangiform型泳動機構を用いた機体の、頭部前端と尾鰭後端の体幅方向振幅の
計測を行った結果をFig. 4.5.6に示す。
Fig. 4.5.6 Measured amplitude of head and rear end of swimming mechanism imitating subcarangiform swimming
Fig. 4.5.6を見ると、全ての駆動振動数において機体頭部よりも尾鰭後端のほうが振幅
が大きいことが確認できる。ただし、機構の前後半部両方を駆動させた場合において、
駆動振動数が 4.7Hz の場合に機体頭部の振幅が大きくなって尾鰭後端の振幅が小さく なっている。これは、Carangiform 型泳動機構の場合と同様に、Lighthillが唱える理 想的な魚類の定常泳動の条件が満たされていないことを示しており、これにより最高前 進速度が低下したと考えられる。
機構の前後半部両方を駆動させる場合と、機構の後半部のみを駆動させる場合とでは 泳動方式が異なるので、それぞれの泳動方式における、前進及び加速の性能を比較する。
それぞれの泳動方式の前進速度の時間歴をFig. 4.5.7に示す。
Fig. 4.5.7 (a) Time histories of measured forward speed of subcarangiform swimming mechanism and (b) that of modified mechanism
両者の駆動振動数が一致する 6.1Hz では、前後半部両方を駆動する場合の最高前進
速度は 0.48m/sec、後半部のみを駆動させる場合で 0.4m/sec であった。同じく、駆動
振動数6.7Hzのときはそれぞれ0.5m/secと0.44m/secであった。また、機体が発進し てから最高前進速度に達するまでの時間は、駆動振動数 6.1Hz のとき、機構の前後半 部両方を駆動させる場合はで6sec、後半部のみを駆動させる場合は5secであった。ま た、駆動振動数が6.7Hzのときは両者ともに4secであった。このことより、機構の前 後半部両方を駆動させる場合と機構の後半部のみを駆動させる場合において、加速性能 にさほど差はないが、最高前進速度は前後半部両方を駆動させる場合のほうが高い性能 を発揮することが確認できた。