第2章 魚類型ロボット用泳動機構の開発
2.5 人工筋肉とサーボモータを併用する機体製作
本節では、前述のサーボモータを用いた機体胴体部の泳動機構と人工筋肉を用いた フィン機構を併用した魚類型ロボットの製作の詳細について述べる。
機体は全長230mm、重量 300gであり、機体の運動制御用マイコンには ARM 社製 のプロトタイピング用ワンボードマイコンであるmbed NXP LPC1768を、無線通信機 にはDigi社製のワイヤレスモジュールであるXBee S1を使用した。また、電源のバッ テリには、質量当たりの出力が比較的高いリチウムポリマ二次電池であるHYPERION
社製のCX G3 LiPo Power Packを採用した。このバッテリは3セルタイプであり、出
力電圧は11.1Vである。機体の外殻には厚さ2mmの塩化ビニル板を加工したものを使
用しているが、本機体は大深度での使用を想定していないため強度に関しては問題ない。
使用したマイコン、無線通信機、バッテリの外観をFig. 2.5.1に、マイコン「mbed NXP LPC1768」のピン配置[38]をFig. 2.5.2に示す。
Fig. 2.5.1 Photos of (a) mbed NXP LPC1768, (b) XBee S1 and (C) CX G3 LiPo Power Pack
Fig. 2.5.2 Pin arrangement of mbed NXP LPC1768
使用するバッテリの出力電圧はマイコンの駆動電圧範囲内に収まっており直接接続 することが出来る。また使用するマイコンにはシリアル通信、アナログ電圧データの読 み取り、PWM操作の機能があり、無線機を用いた遠隔操作やセンサー類からのデータ 読み取り、サーボモータの操作が単体で可能である。Fig. 2.5.2には表示されていない が、5~30までのピンはデジタル出力も可能であるため、このデジタル出力と電界効果 トランジスタを用いて、フィン機構内の人工筋肉への通電及び遮断の切り替えを操作す る。また、このマイコンには3.3V出力のピンがあるため、無線通信機への電源供給の 配線にはレギュレータなどの電圧調整用の電子部品介さずに駆動電圧が3.3Vの無線通 信機を接続することができる。製作した機体用の駆動回路をFig. 2.5.3に示す。
Fig. 2.5.3 Circuit diagram of the fish-type robot
ここで、胴体駆動用のサーボモータへの供給電圧は6.0~7.4Vであるため、電圧調整 用のレギュレータには7V出力のものを使用している。また、図中のフィン機構におけ る(P)と(S)はそれぞれPort sideとStarboard sideを意味している。プログラムの書き 込みにはmbed付属のUSBケーブルを使用し、ブラウザ上で作動するmbed専用のオ ンライン開発環境で制作したプログラムをマイコンへ送信する。また、開発のプログラ ム言語にはC++を用いている。運動制御プログラムのフローチャートをFig. 2.5.4に示 す。
Fig. 2.5.4 Flowchart of control program
機体の運動制御用プログラムは大きく分けて初期設定、前進動作、急旋回動作、急停 止停止動作の4つに分かれており、急旋回動作には左急旋回と右急旋回がある。機体へ の指令は陸上のパソコンから入力可能であり、パソコンに接続された無線通信機の親機 を通して、機体に搭載してある子機に送信される。初期設定では、サーボモータの往復 運動の振幅原点の設定とフィン機構の併用の有無の設定を行う。上記のフローチャート において、“Y”、“N”、“A”、“T”、“S”、“L”、“R”のコマンドはそれぞれ、陸上のパソコ ンに接続されたキーボードから対応するアルファベットを入力することで送信される。
製作された魚類型ロボットの外観をFig. 2.5.5に示す。
Fig. 2.5.5 Fish-type robot using artificial muscles and servo motor