AA A AAA AAAA
3.2 SIS データ処理装置 (DE)
ている。したがって、軌道上ではこの方式を用いてイベントデータを選出している。
しかしながら、
X
線起源の電荷を蓄積したピクセルであってもsplit threshold
を越えなければ、データとして切り捨てられることになるため
PH
を適切に足し合わせることができないというこ とが起こり得る。その結果として輝線が低エネルギー側に裾を引いてしまうことがあるという欠 点がこの方式にはある。3.1.5.2
フィッティング方式フィッティング方式では以下のようにしてイベントの
PH
を処理する。まず中心ピクセルがevent threshold
を越え、且つ5 × 5
ピクセルの中で最大であるピクセルをイベントピクセルと みなして抽出する。そして、5 × 5
ピクセルの値について電子雲の形状を再現する関数でフィッ ティングし、そのPH
の積分値からX
線のエネルギーを推定する。この方法は多数のピクセルに 十分広がったX
線イベントに対して特に有効であり、また、split threshold
という人為的な値を 設定しないため入射X
線のエネルギーがより正確に求まるという利点がある。一方で、電子雲分 布関数の計算やそのフィッティングに時間がかかるという欠点があるため、高速なデータ処理が 必要とされる場合はこの方式を採用することはできない。したがって、衛星上でのデータ処理に は現在のところ不向きである。3.2 SIS データ処理装置 (DE)
ここでは、先に述べたデータ処理が衛星上でどのように行なわれているかを具体的に示すため、
SIS
を例に取り説明していく。SIS
の データ処理はSIS-DE (Digital Electronics)
内のDigital Signal Processor (DSP)
上で走るソフトウェアによって行なわれる。3.2.1 SIS
の動作モードまず始めに、
SIS
の動作モードについて述べる。SIS
の動作モードは、観測モードと診断モー ドの2
種類に大別され、各々の動作モードはさらに3
種類のモードより構成される。以下に、そ の詳細を記す。3.2.1.1
観測モードFaint
モードイベントを検出し、検出したイベントについてイベントの中心
PH
データとそのアドレス、イベ ント中心の外周8
ピクセルのPH
データを抽出するモードである。Bright
モードイベントを検出し、検出したイベントについて
grade
毎に定義されたPH
データの総和と、イベ ントのアドレスとgrade
を抽出するモードである。Fast
モードBright
モードと同様にイベントを検出し、検出したイベントについてイベントの中心及びその両隣りの
split threshold
以上のPH
データの総和とそのアドレス、イベントのgrade
を抽出する。ただし、このモードでは
parallel
方向に複数のピクセルのPH
を加算しながら読み出したデータ を処理するので、Bright
モードで得られるイベントデータとはグレードの意味が本質的に異なる。3.2.1.2
診断モード診断モードは
CCD
の動作状況の診断に必要なデータを取得するモードである。Frame
モード1
フレームの内容をダンプするモードである。ただし、H-Underclocked Pixels
、Blank Pixels
に ついてはダンプしない。Dark Frame
モード現在の
Dark Image
が記憶されているRAM
の内容を全てダンプするモードである。Histogram
モード1
フレームのデータの内H-Underclocked Pixels
、Blank Pixels
を除く全てのピクセルについてそ のPH
データのヒストグラムを作成するモードである。3.2.1.3 Integration mode
Integration mode
は積分時間が160
秒と長いこと以外は基本的にframe mode
と同じもので ある。露光時間が長いため、photon counting
ではなくflux mode
に対応する。このモードは診 断と観測のどちらにも使えるようにという目的で設定されたものである。3.2.2
フレームの構成SIS-DE
で取得されるフレームデータの構成を図.3.9
に示す。水平方向の448 pixels
の集合をline
、垂直方向の441 pixels
の集合をcolumn
、448 pixels × 441 lines
を1 frame
と定義してい る。各領域の名称は図に示したの通りである。SIS-DE
においては、Blank Pixel
、V-Underclocked Pixel
、H-Underclocked Pixel
のデータは無条件に捨てられ何も処理をしない。(
その他の領域の データの使用法は後述。)
3.2.3 SIS
におけるデータの種類SIS
のデータ処理におけるデータは以下のように定義されている。各データは、用いるデータ 領域とそのピクセルデータに施す処理が異なっている。3.2.3.1 PH Data
PH data
とはAD
変換されたCCD
の生データのことを指す。すなわち、図.3.1
におけるFloating level
とSignal level
を用いてPH Data (12bits) = Signal Level − Floating Level (3.5) PH data
は、0
から4095
の範囲の12
ビット正数である。3.2.3.2 Bias Level
Bias Level
はCCD Pixel Data
の補正に用いられる値である。V-Overclocked Pixels
またはH-Overclocked Pixels
のある区画にある全ピクセルの平均値をBias Level
と定義する。3.2. SIS
データ処理装置(DE) 43
図
3.9: SIS
においてFast
モード以外のモードで取得されるフレームの構成。読み出し口は左下。3.2.3.3 Dark Level
Dark Level
はBias Level
では補正仕切れないゼロレベルのずれと暗電流によるオフセットを ダイナミックに補正するためのものである。Dark level
はNew Dark Level = Old Dark Level + Av . of Pixel Level
n + 1 (3.6)
から求められる。
上式において、
Old Dark Level
はデータ幅が8bit
でDark Level
の現在値を意味し、Av. of Pixel Level
はデータ幅が12 bit
でDark Level
の算出に用いる区画(
通常、16 × 16 pixels )
内のdiscrimination level
の条件( Discrimination level
の上・下限値の範囲内、且つEvent Threshold level
以下)
に相当する範囲内の値を持つPixel Level
の平均値を意味する。上記の区画と範囲に 該当するデータが無い場合はDark Level
の更新は行なわない。n + 1
は4
、8
、16
の内のいずれ かの値に設定する。n
はhistory parameter
と呼ばれる。3.2.3.4 Pixel Level
Pixel Level
とは、PH Data
にBias Level
、Dark Level
、PH Data Offset
の補正をしたデータ である。Pixel Level
の算出法は、x Pixel Level = PH Data − Bias Level − Bias Offset − dark Level (3.7)
である。このデータはイベント検出やDark Level
の更新処理の際に用いられる。Bias Offset
とは、Bias Level
と0
レベルの差がDark Level
では補正しきれないほど大きくなっ た場合に、Bias Level
に履かせる下駄であり、0
から510
の範囲内の偶数値をとる。Bias Offset
はDark Level
と打ち消しあってpixel level
には影響を与えない。また、
PH data offset
はPixel level
の計算が理想的に行なわれたときに、X
線光子が入射して いないピクセルにおいてはpixel level
が0
またはそれに近い正負の値をとるため、その値に下駄 を履かせることで全てを正整数となるようにするものである。こうすることでデータ処理速度の 向上を図っているが、これはDSP
の内部処理の都合上導入しているものであり本質的ではない。次に、
DE
で行なわれる各種データ処理を紹介する。3.2.4
イベント抽出処理イベントの定義は前述と同じであり、その条件を満たすような中心ピクセルをもった
3 × 3
のピ クセルPH
を抽出する。3.2.5
グレード判定・PH 加算処理3.1.5
で述べた処理を行なう。3.2.6 Discrimination
処理イベント検出に際して、多量のイベントが検出された場合には、メモリサイズ、フレームフォー マット・サイズの都合上、全てのイベントを地上に送出しきれない場合がある。この場合、地上か らコマンドで指定することによって、イベントを選択的に地上に送出することができる。この処理 は
discrimination
処理と呼ばれる。SIS-DE
におけるdiscrimination
処理は、Area Discrimination
処理とGrade Discrimination
処理、及びLevel Discrimination
がある。3.2.6.1 Area Discrimination
処理水平方向の
start address (
デフォルト値= 0)
、end address (
デフォルト値= 0)
と垂直方向のstart address
、end address
を指定し、そのアドレス範囲内もしくは範囲外のピクセルデータに ついてのみイベントチェックを行ない、それ以外のデータはdark level
の算出にのみ用いる。水 平、垂直方向のどちらか一方でもstart
、end address
が一致していた場合にはdiscrimination
処 理は行なわない。3.2.6.2 Level discrimination
処理イベント検出の際の選択処理を
Pixel Level
のデータレベルにより行なう方法である。upper discriminate level (
デフォルト値= 0)
、lower discriminate level (
デフォルト値= 0)
を指定し、その範囲内のデータのみイベントチェックを行ない、それ以外は
dark level
の算出にのみ用いる。upper
、lower level
が一致していた場合はdiscrimination
処理を行なわない。3.2.6.3 Grade discrimination
処理Grade discrimination
処理では、グレードによってDiscrimination
をかける。3.2.7 Dark Level
の処理Dark Level
は、Active pixel
領域をいくつかの区画に区切り(
水平、垂直方向共に最大64
分割)
、 その区画内のPixel Level
の平均値を用いて計算を行なう。Faint mode
では、算出区画の範囲を
ドキュメント内
main.dvi
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