• 検索結果がありません。

SICC の基本性能評価

ドキュメント内 博 士 論 文 (ページ 46-49)

3.3 実験支援の可能性

4.1.1 SICC の基本性能評価

SICC[18]は少人数のグループを対象にしたマルチキャスト方式SGM上で、TCP

Fairnessおよび高速輻輳回避、Intra Session Fairnessを提供する輻輳制御技術で ある。

SICCを提案しているグループによる、TCP Fairness、高速輻輳回避、Intra Ses-sion Fairnessに関する性能評価についての事例を紹介する。

まず、それぞれの性質について簡単に説明する。

TCP Fairness SICCはインターネット上の複数のフローの公平性を制御する。

現状のインターネットではTCPトラフィックが大半をしめるため、SICCで はセッション間のフローとの帯域の公平性のみ考慮している。この公平性を TCP Fairnessと呼ぶ。

高速輻輳回避 SICCではTFRCに準じて送信レートを制御する。TFRCはイン ターネット上で他のTCPフローとの公平性を保ちながら送信レートを変更 する方式である。これにより高速に輻輳を回避することが可能となる。

Intra Session Fairness マルチキャストを利用した場合に、ある受信者から見て、

送信者から受信者間の帯域が十分に空いている状態でも、その他のある受信 者の受信速度により、全体の受信速度が制限され、帯域を有効に活用できな い事がある。SICCではこの問題を解決する手法を提案している。

次に実験内容を紹介する。

TCP Fairnessの検証

TCP Fairnessの検証用トポロジを図4.1に示す。ボトルネックリンクの帯域およ び遅延、キューの種類、キュー長、TCP、SICCのセッション数を変更し、 Router-Router間でTCPとSICCのスループット比率を観測した。スループットは、SICC 受信側でのログを元に計算している。

実験実行環境には、StarBEDとns-2とmini-StarBED

を利用している。mini-StarBEDは実験実行者が自組織内に構築した、8台のPCからなる実験用の環境で

ある。ここでは支援ソフトウェアとしてSpringOSを利用している。ns-2で論理的 な性能検証を行い、その後、mini-StarBEDで実践的検証を行っている。StarBED と mini-StarBEDはノードの数による使い分けと、実験当時StarBEDでは最大

100Mbpsのネットワークインターフェースを持つPC しか存在していなかったた

め、ボトルネックリンクに1Gbpsの帯域が必要な場合には、mini-StarBEDを利用 した。

Sender

Router Router

SICC 1

TCP 1 SICC n

TCP n

SICC 1

SICC n

TCP 1

TCP n Reciever

Bottleneck Link

図 4.1: TCP Fairnessの検証用トポロジ

観測対象として明示的にボトルネックとなるリンクを持つトポロジを 利用し、ボトルネックリンクにTCPおよび、SICCのトラフィック を流す。ボトルネックリンクの性質を変更することで、さまざまなリ ンクの状態を対象リンク上に作り出し、それぞれの場合のスループッ トを観測した。

高速輻輳回避の検証

高速輻輳回避の検証用トポロジを図4.2に示す。SICCでの通信中に、あるタイ ミングでUDPによるバースト転送を行い輻輳を発生させた。UDPトラフィックの 生成後、どれだけの時間で輻輳回避アルゴリズムが働くのかと、輻輳回避アルゴリ ズム動作後、どの程度の時間でSICCのトラフィックが元に戻るのかを観測した。

パラメータとして、ボトルネックリンクの遅延とUDPトラフィックの帯域を変更 した。利用した実験実行環境はmini-StarBEDとns-2である。対象となるトポロジ がmini-StarBEDで構築可能な規模だったため、StarBEDではなくmini-StarBED が選択された。

Intra Session Fairness

Intra Session Fairnessの検証用トポロジを図 4.3に示す。図右側の各SICC re-cieverと図中央のRouter間の帯域および遅延をそれぞれ異なる値にし、Routerと SICC reciever間の帯域利用率を観測する。帯域利用率の計算はSICC recieverで のログを解析することにより行った。実験実行環境としては、StarBEDとns-2を 用いた。ns-2で論理的な検証および、ns-2のモジュール実装として公開されてい

UDP n

Router Router

SICC 1

SICC n

SICC 1

SICC n Reciever

Bottleneck Link Sender

UDP 1

UDP n

UDP 1

図 4.2: 高速輻輳回避の検証用トポロジ

TCP Fairnessの検証用トポロジと同様、ボトルネックとなるリンク を持つトポロジを利用し、SICCのバースト通信を行う。SICC通信 中に、UDP通信による輻輳を発生させ、観測を行った。

た競合技術との比較実験を行った。StarBEDではns-2で利用したパラメータを用 いて、実践的検証を行った。

これらの実験は、基本的に論理的な開発および検証をns-2で行い、その結果か ら実環境向け実装を構築し、StarBEDやmini-StarBEDでの実験を行っている。期 待した論理的性能がでるかソフトウェアシミュレータで検証し、実環境向け実装 で論理的性能に近い値が出るかどうかを大規模実証環境で検証している。ソフト ウェアシミュレータと大規模実証環境での実験結果を比較することで、実装の問 題とアルゴリズム的な問題とを切り分け、対策を行い、次の実験での検証といっ たフェーズを繰り返すことで、よりよりアルゴリズムおよび実装を構築する狙い があった。また、ソフトウェアシミュレータでは、パラメータの変更が容易なこ と、帯域など物理的な制限を受けないといった点が重要であった。

ドキュメント内 博 士 論 文 (ページ 46-49)