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REITの買収スキームにおける 法的問題点(下)

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不動産流動化・証券化と コンプライアンス (第5回)

J- REITの買収スキームにおける 法的問題点(下)

は不動産、土地の賃借権若しくは地上権を 信託する信託の受益権をいう。)の価額の合 計額の当該投資法人の有する特定資産の価 額の合計額に占める割合を100分の75以上と なるよう資産運用を行うものとする。」とい った内容の規定が設けられている(租税特 別措置法第83条の3第3項)が、運用資産の 全部売却により、投資法人の運用資産の大 部分は現金又は金銭債権となるので、かか る規定に觝触することとなる。さらに、投 資法人の規約では投資口の払戻しは認めら れていないが(投信法第67条第1項第3号)注4、 かかる運用資産の全部売却に係る売却代金 相当額を金銭の分配として交付するような 場合は、実質的に投資口の払戻しを認める ことに等しく、当該規約の規定に抵触しな いかといった疑問もある。また、上場廃止 基準として、上場規則第9条第2項第1号は

「運用資産等の総額に占める不動産等の額の 比率が70%未満となった場合において、1ヶ 年以内に70%以上とならないとき」と規定 し、また、同項第16号は「公益又は投資主 保護のため、当取引所が当該銘柄の上場廃 止を適当と認めた場合」と規定しているの で、これらの規定に抵触しないかにつき留 意する必要がある。

注3

ポートフォリオの総入替を行う目的で運用資 産の全部売却を行うとともに、それによって 得られた売買代金に相当する額の運用資産を 新たに購入するような場合には、「運用資産の 着実な成長及び中長期的な安定収益の確保」

に向けた行為といい得る場合もあろう。

注4

株式会社東京証券取引所が定める「不動産投 資信託証券に関する有価証券上場規程の特例」

(「上場規則」)において、投資法人の規約の変 更により投資主の請求による投資口の払戻しが 行えることとなる場合が上場廃止基準として規

定されている(上場規則第9条第2項第11号) 。

b.資産運用会社の権限の範囲

上述のとおり、投資法人による運用資産 の全部売却は、実質的に清算手続における 財産換価手続に類似した側面を有している ので、投信法上、かかる全部売却を行う権 限が、資産運用会社が行う「資産の運用に 係る業務」(投信法第2条第19号、第198条第 1項)として認められているかが問題となる。

投信法上、資産運用会社が、投資法人の 保有する資産の運用として、当該資産の全 部を売却することを禁止する明示的な規定 はない。しかしながら、投資法人の解散は 投資主総会の決議事項とされていること

(投信法第143条第3号)に照らせば、単なる 業務受託者に過ぎない資産運用会社の判断 のみで投資法人を実質的な解散状態にする ことを認めてよいのかについては慎重に検 討する必要がある。また、必ずしも同列に 論じることはできないが、株式会社がその 事業の全部の譲渡を行う場合には株主総会 の特別決議が要求されていること(会社法 第467条第1項第1号、第309条第2項第11号)

からすると、投資法人の場合にも、その保 有資産の全部を譲渡する場合には投資主の 意思が反映されるプロセスを要求すべきで あり、投信法上、資産運用会社の判断のみ で投資法人の運用資産の全部を売却するこ とは予定されていないといった考え方もあ ろう。仮に、投信法上、資産運用会社にか かる全部売却を行う権限まで認められてお らず、これが制限されているとすると、か かる行為を行った資産運用会社は、投信法 や資産運用委託契約に基づき授権された範 囲外の行為を行ったとして善管注意義務違

反に問われるおそれがあるし、また、無権 代理に基づく行為として、売買契約自体の 効力についても瑕疵が生じるおそれもある。

したがって、現状の実務対応としては、必 ずしも解釈上明確でない部分があること及 び仮にこれが認められないとした場合の効 果の大きさに照らし、監督官庁と事前協議 の上、慎重に売却手続を進める必要があろ う。

(2)投資法人の清算手続における 保有資産の全部売却

a.清算投資法人の財産の管理及び換価手続 の遂行主体

投資法人は、解散後の清算手続において、

残余財産分配のための換価処分として保有 資産を売却できるが、かかる売却の投資判 断を行う者が清算執行人または資産運用会 社のいずれであるかについては、投信法上 明確ではない。投信法上、清算執行人が、

①現務の完了、②債権の取立て及び債務の 弁済並びに③残余財産の分配(以下「清算 事務」と総称する。)を行う(投信法第153 条の2)とされており、債務の弁済や残余財 産の分配を行うためには、投資法人の財産 を換価することが当然に必要であることか らすると、債務の弁済等を行う権限を有す る清算執行人が財産の換価を行う権限を有 しているとも思われる。また、登録投資法 人は解散により「登録」投資法人としての 地位を失う(投信法第192条第2項)ところ、

「資産運用会社」とは「登録」投資法人の委 託を受けて「その」資産の運用に係る業務 を行う金融商品取引業者をいう(投信法第2

条第2項第19号)と定義され、かつ、「登録」

投資法人は、資産運用会社にその資産の運 用に係る業務の委託をしなければならない と規定されているので(投信法第198条第1 項)、条文を形式的に解釈すると、「清算」

投資法人(即ち、投信法第187条に定める登 録を有していない投資法人)の財産の管理 及び換価に係る業務は、投信法上、資産運 用会社が行うべきとされる「資産の運用に 係る業務」に含まれないようにも読める。

他方、投信法上、投資法人の解散を資産運 用委託契約の終了事由とする明示的な規定 はないことから、当事者間で別段の定めが ない限り、清算投資法人との間でも資産運 用委託契約は継続する。また、投資法人は 使用人を雇用することができず(投信法第 63条第2項)、清算執行人及び清算監督人の みで運用資産の管理や売却その他資産の運 用や清算事務を行うことは現実的には不可 能であることに照らせば、投信法は、資産 運用会社が行う「資産の運用に係る業務」

に清算投資法人の財産の管理及び換価に係 る業務も含まれることを前提にしていると も解される。慎重に検討すべき問題であろ う。

b.清算執行人は自然人に限られるか 仮に、清算投資法人の財産の管理及び換 価に係る業務が投資法人の「資産の運用に 係る業務」に含まれないとされる場合であ っても、清算投資法人及びその保有資産に ついて熟知している資産運用会社が財産の 管理や換価手続に関与することが望まれる。

この点、清算執行人は投資主総会の決議に よって選任された者がなることができるの で(投信法第151条第1項第3号)、資産運用

会社を清算執行人として選任することがで きないかが問題となるが、投信法第170条第 1項によれば、清算執行人の選任があったと きは2週間以内に清算執行人の「氏名」及び 住所を登記しなければならないと規定して おり、清算執行人の「名称」とは規定され ていない。投信法上、法人も予定している 場合には、「氏名又は名称」と規定している ことからすると注5、清算執行人は自然人の みが予定されていると解される。

注5

例えば、会計監査人の登記については、 「会計 監査人の氏名又は『名称』」と規定されている

(投信法第166条第2項第11号) 。

c.清算事務の委託の可否

清算投資法人の財産の管理及び換価に係 る業務が清算執行人の職務に属するとされ る場合、清算執行人がかかる業務の全部ま たは一部を資産運用会社に委託することが できるかが問題となる。この点、投信法上 明示的に清算事務の委託は禁じられておら ず(使用人を雇用できない投資法人におい て、投信法上、清算投資法人が清算事務を 第三者に委託することを予定していないと は考え難い。)、かつ、上述のとおり、これ を認める必要性は高い。また、資産運用会 社が清算投資法人の財産の管理及び換価を 行うのであれば、実質的に登録投資法人の 資産の運用に係る業務と異なるところがな いので業務の委託に係る弊害も少ないとい える。したがって、清算執行人は、資産運 用会社に清算事務の全部または一部を委託 することができると解すべきであろう。こ の点、資産運用会社は、原則として投資運 用業(金商法第2条第8項第12号イ)及びそ

の付随業務以外の業務を行うことができな いので、かかる清算事務の受託が金商法上 の兼業規制に反しないかが問題となる。上 述のとおり、資産運用会社が清算手続に関 与することが望まれること、清算投資法人 の清算事務は実質的に登録投資法人の資産 運用業務と同じであり、両者は密接に関連 していること、これを認めても資産運用会 社が行う投資運用業に悪影響を与えるおそ れは少ないことに照らせば、兼業承認(金 商法第35条第4項)の対象ではなく、付随業 務(同条第1項柱書)に位置づけられるべき であろう注6

注6

平成19年7月31日付で公表された「金融商品取 引法制に関する政令案・内閣府令案等」に対 する「コメントの概要及びコメントに対する 金融庁の考え方」211頁No  23によれば、金融 庁は、清算投資法人の清算手続において財産の 換価処分等を行う業務は投資運用業の付随業 務に位置付けられるとの見解を示している。

d.残余財産の分配と損金算入

投資法人が残余財産の分配として投資主 に交付する金銭について、租税特別措置法 第67条の15に定める損金算入が認められる かについては、同条が「投資法人が支払う 投資法人法第137条第1項の規定による金銭 の分配のうち利益の配当から成る部分の金 額・・・(中略)・・・は、当該事業年度の所得 の金額の計算上、損金の額に参入する。」と 規定していることから、投信法第158条に基 づく残余財産の分配に基づく金銭の交付に ついては適用されないと解される。したが って、投資法人が清算手続において換価処 分した保有資産に係る売却益については、

租税特別措置法第67条の15に基づく税務上

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