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吉井 一洋

ドキュメント内 untitled (ページ 108-114)

エイトは0%となる。

●国際開発銀行向け債権のうち、国際復興 開発銀行、国際金融公社、アジア開発銀行、

アフリカ開発銀行、欧州復興開発銀行、米 州開発銀行、欧州投資銀行、欧州投資基金、

北欧投資銀行、カリブ開発銀行、イスラム 開発銀行、欧州評議会開発銀行向けの債権 等のリスク・ウエイトは0%である。

●わが国の政府関係機関向け債権等のリス ク・ウエイトは10%、ただし、地方三公社

(土地開発公社、地方住宅供給公社、地方道 路公社)向け債権等は20%となる。

●銀行等向けの債権等は、銀行その他の預 金金融機関(保険会社を含まず)、外国銀行、

銀行持株会社等、郵政公社向け債権(債券)

を対象としている。これらの銀行等自身の 格付けではなく、銀行等の設立国(わが国 の銀行等の場合はわが国)に対する格付け 等に応じ、リスク・ウエイトを決定する。

わが国の銀行等の場合は、現状では20%の リスク・ウエイトが適用される。ただし、

金融機関等向け債権等がその金融機関の資 本調達手段(劣後ローン・劣後債)である 場合は、リスク・ウエイトは100%となる。

●証券会社向け債権等は、自己資本比率規

制において銀行と類似の規制・監督下にあ る証券会社の場合は、銀行と同じリスク・

ウエイトが適用される。わが国の証券会社 に適用される自己資本比率規制は、類似の 規制として取り扱われている。したがって、

現状ではリスク・ウエイトは20%である。

ただし、証券持株会社に対しては、わが国 では自己資本比率規制は適用されていない。

したがって、証券持株会社への債権等は、

事業法人等向け債権(債券)として取り扱 われることになる。

●事業法人の場合は図表1の格付けによる他 に、法人等(事業会社等)向け債権等すべ て(短期も含む)に継続適用することおよ び金融庁長官に事前に届け出ることを条件 に、100%のリスク・ウエイトを適用するこ とを認めている。この特例を適用する場合、

あるいはやむを得ない理由で取りやめる場 合は、事前に金融庁長官に届け出なければ ならない

●中小企業向け債権等または個人向けの債 権で、以下の要件(a)および(b)をすべて満た すものには75%のリスク・ウエイトを適用 することとしている。(a)は債権額が過大で ないこと、(b)は小口に分散していることを

AAA  A+  BBB+  BB+  B+ 

〜AA−  〜A−  〜BBB−  〜BB−  〜B− 

OECD加盟国 0% 

その他の諸国 0% 

国際開発銀行向け債権(原則)  20% 20% 150% 100%

銀行・証券会社向け債権  20% 20% 50% 150% 100%

法人等(事業会社等)向け 

債権(原則)  100% 20% 50% 100%

100%

100% 150%

100% 150% 100%

50% 100%

政府・中央銀行向け債権  0% 20% 50%

図表1 標準的手法のリスク・ウエイト 

属性      旧基準 

改正後 

B−未満  無格付 

求めている。

(a)その債務者向けの債権(信用リスク削減 手法適用前)の合計額が1億円以下

(b)その債務者向けの債権(信用リスク削 減手法適用前)の合計額が、(a)の要件を満 たす全中小企業向け債権の合計額の0.2%

以下

●抵当権付き住宅ローン債権は、従来は 50%であったリスク・ウエイトが35%に軽 減されている。ただし、対象となる抵当権 付き住宅ローンは、以下の要件をすべて満 たすものである。これらの要件を満たさな ければ、通常の個人向け債権として75%の リスク・ウエイトが適用され、従来よりも リスク・ウエイトが高くなってしまう。

①その住宅が債務者の居住用または賃貸用 で、抵当権が第一順位(住宅金融支援機構 等の公的機関が第一順位の場合は、担保余 力があり第二順位のときも可)である。

②債権が抵当権で完全に保全されている。

③住宅建設・宅地開発業者向け、社宅等の 増改築用、返済は専ら賃料に依存するが賃 貸が行われていない、のいずれにも該当し ないこと

このうち②の要件は、融資を実施した時 点だけでなくその後も満たされることとさ れている。ただし、2007年3月31日以前の契 約については融資実行時に満たしていれば よいこととされている。

●不動産取得等事業向け債権は従来は100%

のリスク・ウエイトであった。新規制でも 100%だが、リスク・ウエイトが150%の法 人等向けの債権に該当する場合は150%のリ スク・ウエイトが適用される。この不動産 取得等事業向け債権とは、次の要件のすべ てに該当する債権をいう。

・不動産の取得または運用を目的とした事 業を対象

・法人等、中小企業または個人向け債権で ある

・返済が専ら取得不動産の賃貸収入等に依 存

●その他に次のようなリスク・ウエイトを 定めている。

・取立未決手形20%、・信用保証協会の保 証付き債権10%

●延滞債権(元本または利息の支払いが約 定支払日の翌日から3ヵ月以上(または90日 超)延滞している、又はリスク・ウエイト が150%となる債権)の場合、個別貸倒引当 金、部分償却額控除後の金額に対してリス ク・ウエイトを乗じる点は従来と同じであ る。しかし、引当率に応じてリスク・ウエ イトに差を設けている点が異なる。引当率 が20%未満なら150%、50%以上なら50%と している。ただし、抵当権または売掛債権 で完全に保全されており、引当率が15%以 上20%未満である延滞債権や抵当権付住宅 ローンのリスク・ウエイトは100%、引当率 50%以上なら50%である。

●不動産による担保効果は従来の規制と同 様に、現行規則でも認められていない。

●出資(株式等を含む)、その他の資産(た とえば、金融機関の店舗を設置している土 地)のリスク・ウエイトは従来同様100%で ある。

(2)内部格付手法

銀行は、信用リスク管理のため、債務者 や貸し出し案件ごとに過去の与信データ等 を蓄積している。一般的には、そのデータ に基づき、債務者・貸し出し案件別に信用

格付け等の信用力評価(与信額の把握、デ フォルト率の推定、回収率の設定)を行っ ている。内部格付手法は、この銀行の内部 格付を利用し、予め規則により設定された 関数を用いて、リスク・ウエイトを算出す る方法である。

一般的に、信用リスク量は、期待損失と 非期待損失に分けて把握される。期待損失 とは、デフォルトにより生じ得る平均的な 損失をいい、与信額(EAD、エクスポージ ャー)にデフォルト確率(PD)とデフォル ト時損失率(LGD)を乗じて算出される。

一方、非期待損失額とは、最大損失から期 待損失を控除したものである。最大損失と は、一定の保有期間(M)経過後(たとえ ば1年)に、一定の確率(信頼区間、たとえ ば99.9%)の下で生じ得る最大の損失のこ とをいう。最大損失は信頼区間99.9%にお ける(すなはち、0.1%の確率で生じる)PD

( 倒 産 確 率 ) に 、 デ フ ォ ル ト 時 の 損 失 率

(LGD)と債務者がデフォルトを起こした時 の資産残高(エクスポージャー、EAD)を 乗じて算出する。

内部格付手法では、期待損失は引当金で カバーすることとしている。そこで、引当

金が期待損失を上回っている場合は、超過 額をTier2自己資本に算入し、引当金が期待 損失を下回っている場合は、引当不足額を 自己資本から控除する。一方、非期待損失 は自己資本でカバーする。非期待損失にマ チュリティ調整を加えれば、所要自己資本 額となる。

デフォルト確率(PD)、債務者のデフォ ルト時損失率(LGD)、債務者がデフォルト を起こした時の資産残高(エクスポージャ ー、EAD)、満期(M)といったパラメー タは、銀行が債務者に対して付与した内部 格付を利用し、内部格付区分ごとに算出し た数値を用いている。内部格付手法は、デ ータの利用方法によって、さらに次の2通り の方法に分けられる。

①基礎的内部格付手法

銀行はPDを推計。LGD、EADは監督当局 が設定。Mは、わが国では銀行が推計

②先進的内部格付手法 銀行がLGD、EADも推計。

内部格付手法の場合、銀行は資産等(エ クスポージャー)を(a)事業法人向け、(b)

政府・中央銀行向け、(c)銀行・証券向け、

(d)リテール向け、(e)株式に分類する。

(a)の事業法人向けのうち、プロジェク ト・ファイナンスなど特定の資産を返済源 とする特定貸付債権は、別途5種類に分類す る。(d)のリテール向けも居住用財産で担 保されたもの、リボルビング型消費者信用、

その他5の3種類に分類される。さらに、(a)

〜(c)の事業法人等向け、(d)のリテール 向けのうち、一定の条件に該当する購入売 掛債権は、区分して取り扱う。

(a)〜(c)の事業法人、政府・中央銀行、

銀行・証券向け債権等(事業法人等向けエ

図表2 信用リスク量 

(出所)大和総研制度調査部作成 

EL(期待損失)  UL(非期待損失)  損失額 

最大損失 

(平均地点)  (信頼区間99.9%地点) 

発 生 頻度 

クスポージャー)のリスク・ウエイトは同 じ方法で計算する。PDは1年間の推計値を 用い、推計に当たっては5年以上の観測期間 を必要とする。(b)の政府・中央銀行向け を除いて、PDは0.03%を下回らない。基礎 的内部格付手法の場合、LGDは45%(劣後 債権は75%)として計算する。EADは、債 権等のオン・バランスの資産については、

全額償却した場合の所要自己資本減少額と 個別引当金・部分直接償却額の合計額以上 とされている。すなわち、引当・償却前の 帳簿価額がEADとなるものと思われる。M

(マチュリティ)については、1年未満の場 合は1年、5年超の場合は5年として計算する。

先進的手法を用いている場合は、LGD、

EADも自行で推計する。

(a)の事業法人向けのうち中堅中小企業

(その企業を含む連結グループの売上高が50 億円未満〈バーゼルⅡ最終規則では5,000万 ユーロ未満〉)向けの債権は、売り上げ規模 に応じて修正した方法で計算することが認 められている。これにより、中堅中小企業

のリスク・ウエイトは 大企業に比べかなり削 減される。中堅中小企 業向けの債権は、大企 業向けに比べ小口分散 によるリスク削減効果 があることなど、わが 国の中小企業・リテー ル向け金融機関の主張 を反映した内容となっ ている。

(a)の事業法人向けの うち、特定貸付債権は、

プロジェクト・ファイ ナ ン ス 型 の 高 リ ス ク 商 業 用 不 動 産 貸 出

(HVCRE)を除き、通常の事業法人向けと 同じ方法でリスク・ウエイトを計算する。

PDの推計が困難な場合は、別途簡便的に定 めたリスク・ウエイト(スロッティング・

クライテリア)を用いる。

(d)のリテール向け債権等(リテール向 けエクスポージャー)用の計算式は、事業 法人向け等とは別に定められている。基礎 的手法採用行、先進的手法採用行の別なく、

PD、LGD、EADは自行で推計する。これ らの数値は、類似のものをプールして計算 する。計算式は居住用財産で担保されたも の、リボルビング型消費者信用、その他ご とに異なる。PDは1年間の推計値を用い、

推計に当たっては5年以上の観測期間を必要 とする。PDは0.03%を下回らない。Mの推 計は必要ない。リテール向け債権も、小口 分散によるリスク削減効果があることを反 映して、リスク・ウエイトは低く設定され ている。

(e)の株式は、PD/LGD方式による場合

図表3 債権エクスポージャーの区分(内部格付手法) 

(出所)大和総研制度調査部作成  事業法人等向け債権 

・事業法人向け債権 

・銀行向け債権 

・ソブリン向け債権 

通常の債権  売上高50億円以上 

売上高50億円未満 

特定貸付債権  プロジェクト・ファイナンス  オブジェクト・ファイナンス  コモディティ・ファイナンス  事業用不動産向け債権 

ボラティリティの高い  事業用不動産向け債権 

リテール向け債権  居住用不動産向け(住宅ローン債権等) 

適格リボルビング型 

(クレジット・カード債権等) 

その他 

ドキュメント内 untitled (ページ 108-114)