エイトは0%となる。
●国際開発銀行向け債権のうち、国際復興 開発銀行、国際金融公社、アジア開発銀行、
アフリカ開発銀行、欧州復興開発銀行、米 州開発銀行、欧州投資銀行、欧州投資基金、
北欧投資銀行、カリブ開発銀行、イスラム 開発銀行、欧州評議会開発銀行向けの債権 等のリスク・ウエイトは0%である。
●わが国の政府関係機関向け債権等のリス ク・ウエイトは10%、ただし、地方三公社
(土地開発公社、地方住宅供給公社、地方道 路公社)向け債権等は20%となる。
●銀行等向けの債権等は、銀行その他の預 金金融機関(保険会社を含まず)、外国銀行、
銀行持株会社等、郵政公社向け債権(債券)
を対象としている。これらの銀行等自身の 格付けではなく、銀行等の設立国(わが国 の銀行等の場合はわが国)に対する格付け 等に応じ、リスク・ウエイトを決定する。
わが国の銀行等の場合は、現状では20%の リスク・ウエイトが適用される。ただし、
金融機関等向け債権等がその金融機関の資 本調達手段(劣後ローン・劣後債)である 場合は、リスク・ウエイトは100%となる。
●証券会社向け債権等は、自己資本比率規
制において銀行と類似の規制・監督下にあ る証券会社の場合は、銀行と同じリスク・
ウエイトが適用される。わが国の証券会社 に適用される自己資本比率規制は、類似の 規制として取り扱われている。したがって、
現状ではリスク・ウエイトは20%である。
ただし、証券持株会社に対しては、わが国 では自己資本比率規制は適用されていない。
したがって、証券持株会社への債権等は、
事業法人等向け債権(債券)として取り扱 われることになる。
●事業法人の場合は図表1の格付けによる他 に、法人等(事業会社等)向け債権等すべ て(短期も含む)に継続適用することおよ び金融庁長官に事前に届け出ることを条件 に、100%のリスク・ウエイトを適用するこ とを認めている。この特例を適用する場合、
あるいはやむを得ない理由で取りやめる場 合は、事前に金融庁長官に届け出なければ ならない
●中小企業向け債権等または個人向けの債 権で、以下の要件(a)および(b)をすべて満た すものには75%のリスク・ウエイトを適用 することとしている。(a)は債権額が過大で ないこと、(b)は小口に分散していることを
AAA A+ BBB+ BB+ B+
〜AA− 〜A− 〜BBB− 〜BB− 〜B−
OECD加盟国 0%
その他の諸国 0%
国際開発銀行向け債権(原則) 20% 20% 150% 100%
銀行・証券会社向け債権 20% 20% 50% 150% 100%
法人等(事業会社等)向け
債権(原則) 100% 20% 50% 100%
100%
100% 150%
100% 150% 100%
50% 100%
政府・中央銀行向け債権 0% 20% 50%
図表1 標準的手法のリスク・ウエイト
属性 旧基準
改正後
B−未満 無格付
求めている。
(a)その債務者向けの債権(信用リスク削減 手法適用前)の合計額が1億円以下
(b)その債務者向けの債権(信用リスク削 減手法適用前)の合計額が、(a)の要件を満 たす全中小企業向け債権の合計額の0.2%
以下
●抵当権付き住宅ローン債権は、従来は 50%であったリスク・ウエイトが35%に軽 減されている。ただし、対象となる抵当権 付き住宅ローンは、以下の要件をすべて満 たすものである。これらの要件を満たさな ければ、通常の個人向け債権として75%の リスク・ウエイトが適用され、従来よりも リスク・ウエイトが高くなってしまう。
①その住宅が債務者の居住用または賃貸用 で、抵当権が第一順位(住宅金融支援機構 等の公的機関が第一順位の場合は、担保余 力があり第二順位のときも可)である。
②債権が抵当権で完全に保全されている。
③住宅建設・宅地開発業者向け、社宅等の 増改築用、返済は専ら賃料に依存するが賃 貸が行われていない、のいずれにも該当し ないこと
このうち②の要件は、融資を実施した時 点だけでなくその後も満たされることとさ れている。ただし、2007年3月31日以前の契 約については融資実行時に満たしていれば よいこととされている。
●不動産取得等事業向け債権は従来は100%
のリスク・ウエイトであった。新規制でも 100%だが、リスク・ウエイトが150%の法 人等向けの債権に該当する場合は150%のリ スク・ウエイトが適用される。この不動産 取得等事業向け債権とは、次の要件のすべ てに該当する債権をいう。
・不動産の取得または運用を目的とした事 業を対象
・法人等、中小企業または個人向け債権で ある
・返済が専ら取得不動産の賃貸収入等に依 存
●その他に次のようなリスク・ウエイトを 定めている。
・取立未決手形20%、・信用保証協会の保 証付き債権10%
●延滞債権(元本または利息の支払いが約 定支払日の翌日から3ヵ月以上(または90日 超)延滞している、又はリスク・ウエイト が150%となる債権)の場合、個別貸倒引当 金、部分償却額控除後の金額に対してリス ク・ウエイトを乗じる点は従来と同じであ る。しかし、引当率に応じてリスク・ウエ イトに差を設けている点が異なる。引当率 が20%未満なら150%、50%以上なら50%と している。ただし、抵当権または売掛債権 で完全に保全されており、引当率が15%以 上20%未満である延滞債権や抵当権付住宅 ローンのリスク・ウエイトは100%、引当率 50%以上なら50%である。
●不動産による担保効果は従来の規制と同 様に、現行規則でも認められていない。
●出資(株式等を含む)、その他の資産(た とえば、金融機関の店舗を設置している土 地)のリスク・ウエイトは従来同様100%で ある。
(2)内部格付手法
銀行は、信用リスク管理のため、債務者 や貸し出し案件ごとに過去の与信データ等 を蓄積している。一般的には、そのデータ に基づき、債務者・貸し出し案件別に信用
格付け等の信用力評価(与信額の把握、デ フォルト率の推定、回収率の設定)を行っ ている。内部格付手法は、この銀行の内部 格付を利用し、予め規則により設定された 関数を用いて、リスク・ウエイトを算出す る方法である。
一般的に、信用リスク量は、期待損失と 非期待損失に分けて把握される。期待損失 とは、デフォルトにより生じ得る平均的な 損失をいい、与信額(EAD、エクスポージ ャー)にデフォルト確率(PD)とデフォル ト時損失率(LGD)を乗じて算出される。
一方、非期待損失額とは、最大損失から期 待損失を控除したものである。最大損失と は、一定の保有期間(M)経過後(たとえ ば1年)に、一定の確率(信頼区間、たとえ ば99.9%)の下で生じ得る最大の損失のこ とをいう。最大損失は信頼区間99.9%にお ける(すなはち、0.1%の確率で生じる)PD
( 倒 産 確 率 ) に 、 デ フ ォ ル ト 時 の 損 失 率
(LGD)と債務者がデフォルトを起こした時 の資産残高(エクスポージャー、EAD)を 乗じて算出する。
内部格付手法では、期待損失は引当金で カバーすることとしている。そこで、引当
金が期待損失を上回っている場合は、超過 額をTier2自己資本に算入し、引当金が期待 損失を下回っている場合は、引当不足額を 自己資本から控除する。一方、非期待損失 は自己資本でカバーする。非期待損失にマ チュリティ調整を加えれば、所要自己資本 額となる。
デフォルト確率(PD)、債務者のデフォ ルト時損失率(LGD)、債務者がデフォルト を起こした時の資産残高(エクスポージャ ー、EAD)、満期(M)といったパラメー タは、銀行が債務者に対して付与した内部 格付を利用し、内部格付区分ごとに算出し た数値を用いている。内部格付手法は、デ ータの利用方法によって、さらに次の2通り の方法に分けられる。
①基礎的内部格付手法
銀行はPDを推計。LGD、EADは監督当局 が設定。Mは、わが国では銀行が推計
②先進的内部格付手法 銀行がLGD、EADも推計。
内部格付手法の場合、銀行は資産等(エ クスポージャー)を(a)事業法人向け、(b)
政府・中央銀行向け、(c)銀行・証券向け、
(d)リテール向け、(e)株式に分類する。
(a)の事業法人向けのうち、プロジェク ト・ファイナンスなど特定の資産を返済源 とする特定貸付債権は、別途5種類に分類す る。(d)のリテール向けも居住用財産で担 保されたもの、リボルビング型消費者信用、
その他5の3種類に分類される。さらに、(a)
〜(c)の事業法人等向け、(d)のリテール 向けのうち、一定の条件に該当する購入売 掛債権は、区分して取り扱う。
(a)〜(c)の事業法人、政府・中央銀行、
銀行・証券向け債権等(事業法人等向けエ
図表2 信用リスク量
(出所)大和総研制度調査部作成
EL(期待損失) UL(非期待損失) 損失額
最大損失
(平均地点) (信頼区間99.9%地点)
発 生 頻度
クスポージャー)のリスク・ウエイトは同 じ方法で計算する。PDは1年間の推計値を 用い、推計に当たっては5年以上の観測期間 を必要とする。(b)の政府・中央銀行向け を除いて、PDは0.03%を下回らない。基礎 的内部格付手法の場合、LGDは45%(劣後 債権は75%)として計算する。EADは、債 権等のオン・バランスの資産については、
全額償却した場合の所要自己資本減少額と 個別引当金・部分直接償却額の合計額以上 とされている。すなわち、引当・償却前の 帳簿価額がEADとなるものと思われる。M
(マチュリティ)については、1年未満の場 合は1年、5年超の場合は5年として計算する。
先進的手法を用いている場合は、LGD、
EADも自行で推計する。
(a)の事業法人向けのうち中堅中小企業
(その企業を含む連結グループの売上高が50 億円未満〈バーゼルⅡ最終規則では5,000万 ユーロ未満〉)向けの債権は、売り上げ規模 に応じて修正した方法で計算することが認 められている。これにより、中堅中小企業
のリスク・ウエイトは 大企業に比べかなり削 減される。中堅中小企 業向けの債権は、大企 業向けに比べ小口分散 によるリスク削減効果 があることなど、わが 国の中小企業・リテー ル向け金融機関の主張 を反映した内容となっ ている。
(a)の事業法人向けの うち、特定貸付債権は、
プロジェクト・ファイ ナ ン ス 型 の 高 リ ス ク 商 業 用 不 動 産 貸 出
(HVCRE)を除き、通常の事業法人向けと 同じ方法でリスク・ウエイトを計算する。
PDの推計が困難な場合は、別途簡便的に定 めたリスク・ウエイト(スロッティング・
クライテリア)を用いる。
(d)のリテール向け債権等(リテール向 けエクスポージャー)用の計算式は、事業 法人向け等とは別に定められている。基礎 的手法採用行、先進的手法採用行の別なく、
PD、LGD、EADは自行で推計する。これ らの数値は、類似のものをプールして計算 する。計算式は居住用財産で担保されたも の、リボルビング型消費者信用、その他ご とに異なる。PDは1年間の推計値を用い、
推計に当たっては5年以上の観測期間を必要 とする。PDは0.03%を下回らない。Mの推 計は必要ない。リテール向け債権も、小口 分散によるリスク削減効果があることを反 映して、リスク・ウエイトは低く設定され ている。
(e)の株式は、PD/LGD方式による場合
図表3 債権エクスポージャーの区分(内部格付手法)
(出所)大和総研制度調査部作成 事業法人等向け債権
・事業法人向け債権
・銀行向け債権
・ソブリン向け債権
通常の債権 売上高50億円以上
売上高50億円未満
特定貸付債権 プロジェクト・ファイナンス オブジェクト・ファイナンス コモディティ・ファイナンス 事業用不動産向け債権
ボラティリティの高い 事業用不動産向け債権
リテール向け債権 居住用不動産向け(住宅ローン債権等)
適格リボルビング型
(クレジット・カード債権等)
その他