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奥田 かつ枝

ドキュメント内 untitled (ページ 114-120)

1. 不動産鑑定評価基準に基づく 土地の評価手法

価手法は、

①取引事例比較法

②土地残余法

③再調達原価が把握できる場合に原価法

④面積が大きい場合に開発法 とされている。

①の取引事例比較法は、対象地と類似の 土地の取引事例価格について、地域要因や 個別的要因といった価格形成要因の比較等 を行って対象地の比準価格を求める方法で ある。この手法は、土地の価格を求めるにあ たって従来からもっともよく使われている。

②の土地残余法は、収益還元法の直接還 元法に位置づけられている手法であり、土 地に最有効使用の建物を建設し賃貸するこ とを想定して査定される純収益から土地に 帰属する純収益を求め、これを土地の還元 利回りで還元することによって土地の収益 価格を求める手法である。

③の更地に適用する原価法は、造成前の 土地の価格に造成費用や付帯費用を加算し て宅地としての更地の価格を求める方法で ある。もっとも、証券化対象不動産は既成 市街地にある場合がほとんどであり、既成 市街地においては、造成前土地の価格や造 成費用等を有効なものとして把握すること は困難である。したがって、一般に、この ような既成市街地にある土地評価の場合に は原価法を適用することはない。

④の開発法は、面積の大きな土地に最有 効使用の建物を建築し、できあがりの土地 建物を販売することによって得られる販売 収入の現在価値から建築費や付帯費用等の 現在価値を控除する、あるいは土地を分譲 することを想定して得られる販売収入の現

在価値から造成費や付帯費用等の現在価値 を控除することにより土地価格を求める手 法である。開発法は分譲マンションや住宅 用の分譲地、建売住宅等の住宅用途を最有 効使用とする土地の価格を求めるために用 いられている。

不動産鑑定評価基準においては、鑑定評 価の基本的な手法を原価法、取引事例比較 法および収益還元法の三手法に大別し、開 発法は「三手法の考え方を活用した手法」

と位置づけている。

上記いずれの手法も不動産鑑定評価基準 において明確に位置づけられた手法であり、

それぞれの適用方法については不動産鑑定 評価基準に明記され、また(社)日本不動 産鑑定協会の作成する研究成果物や留意事 項等においても解説がなされている。

各論第3章の要請

ここで、7月1日から施行された不動産鑑 定評価基準各論第3章(いわゆる証券化基準)

についてみてみると、各論第3章第4節の DCF法の適用等において「証券化対象不動 産の鑑定評価における収益価格を求めるに 当たっては、DCF法を適用しなければなら ない。この場合において、併せて直接還元 法を適用することにより検証を行うことが 適切である」と記載され、証券化対象不動 産の鑑定評価においてはDCF法を適用する ことを求めている。

これを開発型証券化にあてはめて考えて みると、開発型証券化では土地が証券化対 象不動産となるために、この土地の鑑定評 価を行う場合にもDCF法を適用することが 必要となるものと読める。それでは、開発

型証券化の対象不動産となる土地を鑑定評 価する場合のDCF法とは、前記4つの手法の いずれかに該当するのか、あるいは該当す る手法がないのか。

前記の通り、土地の評価手法のうち、収 益還元法としては土地残余法が位置づけら れている。しかし、土地残余法は収益還元 法の中で直接還元法に位置づけられている ために、DCF法とはいえない。

開発法についてみると、販売収入の現在 価値から建築費等の費用の現在価値を控除 する方法であることから、方法論としては DCF法と考えることができる。しかし、不 動産鑑定評価基準の整理では、この開発法 は「三手法の考え方を活用した」手法であ るとして、収益還元法とは必ずしも位置づ けていない。

開発法が収益還元法に分類されると言い 切れない理由に、開発法の適用に必要とな る販売収入を、現時点の類似不動産の販売 価格に比準を行った結果から、予測し求め ることにある。すなわちDCF法でいえば復 帰価格にあたる販売収入を収益価格で求め るのではなく、現時点の販売価格に取引事 例比較法に準じた方法を適用して求めるこ とにある。これはそもそも開発法が住宅用 途の不動産分譲を想定した手法として位置 づけられてきたことによる。

一方で、収益還元法と位置づけるために は、復帰価格も収益価格で求める、という のが基本的な考え方となる。

収益還元法は、そもそも対象不動産につ いて将来発生すると予測される純収益の現 在価値の合計としての価格を求める手法で ある。したがって、DCF法のように保有期 間という一定期間に区切って将来の純収益

を予測する場合においては、復帰価格に保 有期間以降の純収益を反映させる必要があ る。このために、DCF法では、復帰価格を 収益還元法(主として直接還元法)によっ て求めることとなる。

ところが、現在の不動産鑑定評価基準に明 記されている開発法では、復帰価格に相当 する販売収入を収益還元法で求めることは 想定されておらず、開発法は、「三手法の考 え方を活用した」手法であるとされている。

開発法を収益還元法に位置づけられない とすると、各論第3章で要求する証券化対象 不動産のDCF法とは、土地の場合にどのよ うに考えるべきか。

この問題については、(社)日本不動産鑑 定協会の証券化鑑定評価委員会にて検討さ れ公表されることと思われるが、現時点で は、従来の開発法を変形し、販売価格を収 益還元法で求める方法を鑑定評価手法の一 つとして位置づけることが考えられる(以 下では、この方法を仮に「賃貸型開発法」

とよび、不動産鑑定評価基準に明記されて いる「開発法」と区別する)。

賃貸型開発法を収益還元法と位置づける にあたっては、建物竣工後の土地建物の売 却価格を収益還元法により求め、この価格 から売却費用を控除したものを、DCF法に おける復帰価格と位置づけることが考えら れる。また、収益還元法のうち、DCF法と 位置づけるためには価格時点以降のキャッ シュフローの予測を説明するためにキャッ シュフロー表を作成し、価格査定の過程を 明記することが必要となる。

なお、この手法の基本的な考え方について は、(社)日本不動産鑑定協会主催の「証券 化対象不動産鑑定評価の実務者養成研修会」

において検討試案として紹介されている。

上記の通り、将来の販売収入を収益価格 で求める賃貸型開発法については、現在の 不動産鑑定評価基準においては明記されて いない。したがって、仮にこの手法を鑑定 評価手法として採用する場合には、その手 法が妥当かつ合理的な方法であることを、

適用する不動産鑑定士が公に説明できるこ とが求められる。

一方で、個々の不動産鑑定業者において 独自にこのような鑑定評価基準に記載され ていない手法を適用するとなると、かつて DCF法の適用において指摘されたように、

適用過程の不統一や収益費用項目の不統一、

それらによる比較可能性の欠如、場合によ っては鑑定評価額の不整合という問題が発 生する恐れがある。

したがって、できる限り早急に(社)日本 不動産鑑定協会において、この課題に対す る実務指針を検討し、公表をし、実務的な 問題をクリアーにしていく中で、不動産鑑 定評価基準の改正につなげ、鑑定業界にお ける統一見解を持つことが望まれるところ である。

以下では、一つの私案として賃貸型開発法 を検討してみる。

(1)復帰価格の査定

各論第3章における別表2(DCF法の標準 収益費用フォーマット)では、直接還元法 によって求められた売却価格から売却費用 を控除し復帰価格を求める方法が示されて

いる。

この方法に準じて賃貸型開発法を適用す る場合には、売却価格の査定において、竣 工後建物を賃貸することを想定して得られ るであろう純収益に直接還元法を適用して 収益価格を求めることが考えられる。もっ とも、土地建物一体の不動産にDCF法を適 用した場合の売却価格の査定に、直接還元 法を適用しているのは、複合不動産のDCF 法では復帰時点が10年程度先になることか ら、当該時点以降の純収益にさらにDCF法 を適用するのは実務的に煩雑になることに よる。

しかし、開発型証券化の場合は、建物の 竣工時期は1〜3年程度先のことであり、そ の時点から以降、何年かにわたるキャッシ ュフローを予測し、DCF法を適用すること は可能な場合が多いものと思われる。また、

この売却価格の査定に、DCF法を適用する ことが、各論第3章の趣旨にも沿うものと思 われる。

いずれにしても収益価格によって査定さ れた売却価格から売却費用を控除すること により復帰価格が査定される。

売却費用は、建物竣工後の土地建物を第 三者に譲渡する、あるいはビィークルに譲 渡することを想定した場合に必要となる費 用となる。

(2)費用の査定

土地取得後建物の竣工にいたるまでの費 2. 賃貸型開発法

①  売却予測価格  DCF法又は直接還元法  により求める 

②  売却費用 

③  復帰価格  ①−② 

売却費用は予測される  売却方法にしたがって査定 

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