図 3.47: IsaVizによるRDF(S)コンテンツの視覚化
RDF クラス クラス クラス クラス
プロパティ プロパティ プロパティ プロパティ
図 3.48: RDFAuthorによるRDF(S)コンテンツの視覚化
3.6. RDF(S)コンテンツ構築支援ツールの評価 67
RDF
クラス クラス クラス
クラス プロパティ プロパティ プロパティ プロパティ
図 3.49: MR3 によるRDF(S)コンテンツの視覚化
スクリーンショットを示している.RDFAuthorおよびMR3 はRDF要素およびRDFS要 素を分離して表示するため,ユーザはRDF要素とRDFS要素を容易に区別することがで きる.RDFAuthorは,RDFSクラスおよびRDFSプロパティのリストを名前空間URIご とに分類して,表示している.しかしながら,RDFAuthorは,RDFSクラスおよびRDFS プロパティの階層関係の表示および編集機能は支援していない.一方, MR3 は,RDFS クラスおよびRDFSプロパティの階層関係を表示および編集することができる.
以上より,IsaViz,RDFAuthor,MR3 におけるRDF(S)コンテンツの視覚的編集機能 の比較評価では,RDFAuthorおよびMR3 のデータグラフがIsaVizのデータグラフと比べ て,RDF要素およびRDFS要素の識別を容易に行うことが確認できた.RDF要素および RDFS要素の識別を容易に行うことができた理由の一つは,RDF要素およびRDFS要素 を分離して表示している点である.特に, MR3 は,データグラフをユーザが容易に理解 できるように,不要な要素はデータグラフ上に表示しないようにしている.例えば,MR3 では,rdfs:labelプロパティやrdfs:commentプロパティなどのRDFリソースの属性は データグラフ上には表示せずに,アトリビュートダイアログを通して編集を行うことがで きるようにしている.同様に,rdfs:label,rdfs:comment,rdfs:domain,rdfs:range などのRDFSクラスおよびRDFSプロパティの属性や関係も,データグラフ上には表示 せずに,アトリビュートダイアログを通して編集できるようにしている.rdfs:labelプ ロパティは,主に人間がリソースを識別する際に用いるラベルであり,rdfs:commentプ ロパティは,主に人間がリソースについて理解するための説明を記述する際に用いられ
3.7. オープンソースソフトウェアとしてのRDF(S)コンテンツ構築支援ツール 68
図 3.50: MR3 プロジェクトWebサイト
る.これらは,RDF(S)コンテンツ構築においては付加的な情報であり,データグラフ上 に表示してしまうと,その他のモデリングにとって重要なリソース間関係との区別が困難 となる. MR3 では,rdfs:labelプロパティの値は,各ノードを識別するためにURIの 代わりにノード上に表示することもできるようになっている.
以上より,MR3 を用いることで,RDFコンテンツおよびRDFSコンテンツの中でモ デリングに重要なリソース間関係の視覚的な表示および編集にユーザは注力することが できるといえる.
3.7 オープンソースソフトウェアとしての RDF(S) コンテ ンツ構築支援ツール
RDF(S)コンテンツ構築支援ツール MR3 をセマンティックWebコミュニティに利用し てもらえるように, MR3 のシステムおよびソースコードをWeb上で公開している(図 3.50)9.2007年12月現在,約40カ国,約750のユーザ登録がなされている. MR3 を 公開することによって,様々なユーザからコメントを得ることができている.例えば,厳 密なフレーム指向(クラスおよびプロパティを定義してからでなければ,モデルを構築 できない)ではなく,RDFコンテンツを構築できる点が良いというコメントや,具体化
9http://www.yamaguti.comp.ae.keio.ac.jp/mmm/mr3/
3.8. まとめ 69
(reification)10や数千クラスを扱うことができるようにしてほしいという要望を得ること ができた.また,rdf:Bagなどのコンテナモデルを扱うためのプラグインやRDFデータ ベースSesame [44]と接続するためのプラグインなどがMR3 のユーザにより開発されて いる.ユーザからのコメントは,将来的に MR3 に反映させていきたいと考えている.
3.8 まとめ
RDF(S)コンテンツ構築支援を目的として,RDF(S)コンテンツの視覚的編集機能およ
びRDF(S)コンテンツ管理機能を持つ,RDF(S)コンテンツ構築支援ツールの提案を行っ
た.RDFコンテンツおよびRDFSコンテンツはモデルとオントロジーの関係として捉え ることができることから,RDF(S)コンテンツ構築支援ツールでは,RDFコンテンツお よびRDFSコンテンツを分離し,それらの間の関係を半自動的に管理することができる.
本章では,RDF(S)コンテンツ管理を,モデルとオントロジーの間の関係(特にオント ロジーにおけるクラスおよびプロパティとモデルにおけるRDFリソースのタイプおよび RDFプロパティの対応)を適切に管理することと定義した.また,RDF(S)コンテンツ構 築支援ツールのプロトタイプ実装である MR3 (Meta-Model Management based on RDFs Revision Reflection)をJava言語を用いて実装した. MR3 と他の関連研究との比較評価 実験を行い,MR3 のRDF(S)コンテンツ管理機能の有用性およびRDF(S)コンテンツの 視覚的編集機能の有用性を示すことができた.
MR3は,プラグイン機構を用いて,4章で述べる領域オントロジー構築支援環境 DODDLE-OWLと連携可能となっている.DODDLE-OWLにより,半自動的に構築されたOWL形 式のオントロジー(クラス階層,プロパティ階層,プロパティの定義域および値域)をイ ンポートし,視覚的な編集行うことができる.しかしながら,OWLについては現状では MR3 は部分的にしか対応していないため,今後の課題として,OWL Liteレベルのオン トロジーの視覚的編集を支援することがあげられる.また,RDF(S)コンテンツ管理機能 についても,現状ではRDFSレベルの支援にとどまっている.OWLのクラス公理,プロ パティ制約などが定義されているオントロジーとそのモデルの間に発生する種々の整合性 管理機能を整理することは,今後の課題である.
10RDFにおけるステートメントそのものをリソースとして,ステートメントを記述できるようにするこ と.ステートメントに関する評価などを記述する際に用いられる.
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