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RAPDによるアズキの品種識別および系統分類

ドキュメント内 植物の系統分化及び遺伝変異の誘導と解析 (ページ 63-82)

PFGE

4.  RAPDによるアズキの品種識別および系統分類

ズキ系統に共通して存在した。図4は,プライマー5′‑TGGACACTGA‑3′

または5′‑TGCTCACTGA‑3′で増幅されたDNA断片のバンドパターン である。表4は12系統のうちの2系統ずつを対にしたとき認められた多型 数を示したものである。これにもとづいてイネの場合と同様にクラスター 分析を行い,その結果を図5に示した。これによると,系統1,5および10 が第1群を,系統3,7,8および12が第2群を,そして系統2,4,6,9および 11が第3群を形成した。第1群の全系統と第3群の系統9を除く4系統は

図4 アズキ12系統,インゲン1系統およびササゲ1系統において検出された DNA多型の例

プライマーA : 5'‑TGGACACTGA‑3′, B : 5′‑TGCTCACTGA‑3′左側 のレーンはHindIIIで切断したADNA.系統名は表3参照

表4 アズキ12系統において2系統間で検出された異なるバンド(RAPD)数

系統番号   系統名 1    祝大納言 2     アカネダイナゴン 3    能登大納言 4    北海大納言 5    北海小豆 b     ぺニダイナゴン 7     814‑2‑2 8     832‑2

。    ヰLLJt lO    エリモショウズ 11    音更小豆 12    京都大納言

151 071 23甘91 1426

9pO3uOTSS930V

1 2  3  4  r=) 6  7  8  9 10 11

4 つ「ノ 1 ′hU 4.月「 I Lr 4 2 7 Ll■ Ln

′hU LLノ rヽノ 2 ′b nu 7 Ln 8 8 ▲ぺノ Lt■

⊂「ノ 2

1   2    3    4    5    6    7    8

Number of different bands

図5 アズキ12系統の多型DNA (RAPD)を用いたスラスター分析による分

いずれも北海道品種であり,第2群は関西地方の在来品種またはその純系 分離系統から成っていた。そして第1群と第3群のすべての系統は早生で 草丈が低く,第1群の3系統は小粒であるのに対して,第2群の系統は晩 生で草丈が高く,かつ大粒であった。このように, RAPD分析によって供 試系統をそれぞれ由来や特性の異なる群に分類できたことは興味深い0

表4に示したように, 2系統間で互いに異なるバンド数の最大は9本で あった。また,表4と図5にみられるように,系統1,5および10,系統7

および12,系統9および11はそれぞれバンドパターンが同一で,これらを 互いに識別することはできなかった。先に記したイネの場合には,Japonica 系統内に限ってみても最大20本の異なるバンドが検出され,またすべての 系統が識別可能であった。このようにイネに比べてアズキにおける変異検 出頻度の低かった原因は,供試したアズキ系統の遺伝的多様性がイネより 小さかったためと思われる。

すでに述べたように,アズキがササゲ属とインゲンマメ属のいずれに所 属するかについては不明確な点がある。そこでアズキ品種のうち能登大納 言(系統番号3)を代表として選び,これとインゲンおよびササゲ各1品種 から抽出したDNAからPCRによって増幅されたDNA断片について比 較を行った。37種のプライマーによってアズキ,インゲンおよびササゲに おいて認められたDNA断片の数は,それぞれ180本, 170本および168本 であり,プライマー当りの平均値はそれぞれ4.9本, 4.6本および4.5本で あった。そしてアズキとインゲンとの間,アズキとササゲとの間およびイ ンゲンとササゲとの間では全てのプライマーで多型が検出され,その数は それぞれの間で276本, 276本および300本であった。一方,アズキとササ ゲとの間およびアズキとインゲンとの間にはいずれも36本の共通バンド が認められた。アズキは托葉と花柱の形態の特徴によってササゲ属の CeylatOlroPis亜属に分類されてはいるが,上記の結果によれば,アズキとサ サゲとの間の変異の大きさはアズキとインゲンとの間のそれとほとんど同 程度であるといえる。本実験ではそれぞれの種の特定の1系統を対象とし て分析したにすぎないので,これら3種の類縁関係について一一一般的な結論 を導くことはできない。しかし,Fatokumら2)はRFLP分析法によってこ れと類似の結果を得ている。

最近,加賀ら告)はCe71atOtrOPis亜属に分類されているアズキ,ツルアズキ

(V. umbellata),リョクトウ(V. 71adiata),モスピーン(V.aconitlfolia)お

よびケツルアズキ(V. mungo)とそれらの野生種の計23系統を用いて, 7 種のプライマーで再現性のある140のRAPDを検出し,クラスター分析に よって系統分類を行った。これによると,供試系統はまず地下子葉となる アズキ類(アズキおよびツルアズキ)と地上子葉となるリョクトウ類(リョ

クトウ,モスピーンおよびケツルアズキ)との2群に大きく分けられ,吹 いでこの2群は種に相当する5つの群に細分された。そして,アズキ類に 属する2種間の変異はリョクトウ類に属する3種間の変異より小さいこ と,野生種を含めてもアズキとツルアズキの種内変異は小さく,リョクト ウのそれは非常に大きいことなどを明らかにした。これらの結果は,従来 の形態的形質や交雑親和性あるいはRFLP分析2)などにもとづく分類結 果とほぼ一致している。

なお,加賀(未発表)は, CeraiotroPis亜属の4種間で3組合せの交雑を 行い,腔培養によって獲得したF.植物とその両親のRAPD分析により, 種間で認められた多くの多型バンドが次代に遺伝することを確かめてい

る。

5.お わ り に

RAPD分析によって検出される多型DNAは, RFLPに比べて再現性が 低く,また増幅されたDNA断片の実体が不明であるなどの欠点をもつこ

とが指摘されている。事実, Reiterら16)によれば,アラビドプシスの2系 統間で検出された392のRAPDのうち, 225のRAPDはメンデル式の遺 伝をするが,残りは非メンデル式遺伝をするか,または再現性のないもの であった。したがって, RAPDを遺伝的変異の解析に用いる場合には,そ れぞれのRAPDの遺伝様式が明らかになっていることが望ましい。しか し,系統分類や類縁関係の解析は,相互に交雑困難な種を含む多数の系統 を対象として行うのが一般的であるので, RAPD分析によって認められた 多型バンドのすべてが遺伝的変異にもとづいたものであるか否かを,交雑 実験などで確認することは難しい。そのため,同一条件で反復して実験を 行い,再現性のあるRAPDだけを用いてデータの解析をする必要がある。

このような制約はあるが, RAPD分析法は極めて簡便に行うことができ, しかもイネとアズキで得られた系統分類の結果は従来の分類結果とよく一 致していたことなどから, RAPD分析法は系統分類や品種識別などのため の有効な手段の1つであるといえよう。

参考文献

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花粉からの不定肱誘導と その細胞工学的利用

高 畑 義 人

1.は じ め に

単離花粉から効率的に不定腔を誘導させる培養系は,半数体育種法にお ける純系の獲得や遺伝的組換え体の早期固定として利用できるだけでな

く,さまざまな細胞工学的操作を可能とした。すなわち,花粉およびそれ

から誘導される腔が半数体あるいは二倍性半数体であり,劣性遺伝子型が

表現型に直ちに表れるため, in i)ilroでの人為突然変異源処理による変異 体の誘発と選抜が容易となり,また遺伝子導入する際のターゲットとして 利用できるなど新たな変異体の作出に有利である。さらに,不定腔は種子 腔と類似の発達過程を示すため,肺発生研究のモデル系として利用したり, 人t種子として有用遺伝子型の増殖にも応用可能である。

この様な細胞工学的操作を行うためには,高頻度に不定腔を誘導する花

粉培養系が必須となるo アブラナ属(B71aSSica)植物は,タバコと共にこの 系が開発されている数少ない植物である。ここでは,私共が行っているア ブラナ属植物について,単離花粉からの腔発生機構の特性について触れ,さ らにin i,itroでの人為突然変異体の誘発や乾燥系人工種子への利用ならび に腔発生研究のモデル系としての解析について述べたい。

2.単離花粉からの不定腫誘導

アブラナ属植物は,比較的効率の良い花粉培養系が確立されており,皮

岩手大学農学部

応の良い系統を用いるとナタネ(B. napus)では培養花粉の5%.前後,ハ

クサイ(B. campestris)やブロッコリー(B. ole71aCea)ではO.5‑1.0%が腫

発生をする。花粉は,薪内の花粉母細胞内で減数分裂後,花粉四分子,花

粉‑核期,第一花粉分裂を経て生殖核と栄養核を持つ花粉二核期になり,二

核性花粉の場合はそのまま成熟し,アプラナ科植物のような三核性花粉を

持つものは,さらに生殖核が分裂して三核性花粉となり成熟花粉となる。花 粉から不定腔を誘導するためには,このようなiE常な花粉発生のプログラ ムをどこかでな一んらかの方法で変更してやらなければならない。アブラナ

属植物では花粉から腫発生を誘導できる花粉の発達時期はごく限られてお

り, ‑核期後期から二核期前期とされている1)。特に‑核期後期の花粉が重 要と考えられており,大部分の腔はこの時期の花粉の核が対称分裂して誘 導される1・2)。また,一部の二核性花粉も栄養核が分裂を開始して,腔発生 に向かうと推察されている。

これらの発達段階の花粉を的確につかむことが,実用的に効率の良い系 を開発することにつながる。しかし,一つの管内の花粉の発達段階は同調 化しておらず,また‑核期後期から二核期前期の花粉を識別することは困 難であるため,発達段階を的確につかむことは難しい。そこで,培養に供

する花粉の発達ステージの指標として花粉集団の平均花粉核数を用い,腔

形成能との関係を調べたところ, 1.54‑1.84の平均核数を持つ集団が高い 腔形成を示した(表1)。また,パーコール密度勾配遠心で腫形成能の高い 花粉の選抜を試みたところ, 28/36%の境界の花粉が最も高い腫形成を示

し,それらの平均花粉核数は1.58であり,表1の腫形成能の高い花粉集団 と一致した3)。これらの結果は,50‑80%の二核花粉を含むステージの花粉 集団が高い腫形成能を持つことを示しており, ‑核性花粉だけでなく二核 性花粉の多くも腔発生へ向かう可能性を示唆しているのかも知れない。

‑核期後期から二核期前期の花粉を配偶体としての正常な発達から逸脱

させ,胞子体的な発生を誘導するには何らかの「引金」が必要である。ア

ブラナ属植物では高濃度簾糖と培養初期の高温処理が腔発生の鍵を握って

いる。培地内の10‑13%の濃度の薦糖が腔発生に必須であり,蕉糖にマン ニトールを加えて浸透圧を調節したものでは腔発生は誘導できず,浸透圧

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