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「IIlli--L 日

スラスターコントローラの目的は長周期動揺を抑止することにある。したがって、

スラスターの推力は波周期によって大きく変動しないことが望ましい。スラスター の推力程度では元来波周期の動揺を抑止することは不可能であり、振幅も小さいの で制御の必要がなく、波周期の動揺に対してスラスターが反応することは多大なエ ネルギーの損失であるといえる0・そこで、 フィルターを用い観測できる信号Yか

ら波周期成分を除去し、長周期動揺成分のみを取り出す必要がある。本研究では全 状態オブザーバーを使用し、観測できない状態変数だけでなく子の値にも推定値を 用いることにした。 これはYの値からカルマンフィルターを用いて波周期成分を

除去し、 長周期動揺成分のみを取り出すのと等価である26)。

実際のモデルはスラスターダイナミックスを含まないので、 Fig. 3.17に示すよう に設計された5次のコントローラにアクチュエーターダイナミックスをつなぎ、 7 次のコントローラを作り制御性能の検討を行う必要がある。これにより、実機のス ラスター特性を持つLQI制御による模型実験が可能となる。

(3) H∞コントローラの設計

スラスターのダイナミックスを含まないモデル本来の4次線形数学モデルが非線 形運動方程式から(3.12)式と同様にして得られる。 ただし、 H∞コントローラの場合 はLQIコントローラの場合と異なり、外乱である波浪外力を入力として取り扱う。

(3.22)

u=

l :: J

=

?

= y = Y -0.12Ø

(3.23)

この線形システムは以下により可制御、 可観測である。

ra!lk[Âl -A B]=

4

(Vλ(A)) rankい-AT CT]=

4

(Vλ(A))

Fig. 3.18に制御対象のゲイン線図を示す。 共振現象である長周期動揺が顕著に認 められる。制御目的はスラスターによる駆動力が線形波浪外力に反応しないように、

この共振現象である長周期動揺を抑制することである。このことより、コントロー ラ設計の際の制御仕様を次のように定める。

-仕様1

変動波漂流力と係留系の共振現象である長周期動揺を抑制する0

・仕様2

波浪外力Fywから制御力Fyrまでの伝達関数のゲイン特性を波周波数領域

4""'" 1 0 rad/secで出来るだけ小さくする。

・仕様3

実機のスラスター性能の限界を考慮、して、 スラスターの推力の範囲を

・0.2 Kg<FrJ,< 0.2 Kg とする。

Fig.3.19にH∞コントロールシステムの相互結合系を示す幻),28)。コントローラιct は積分動作とアクチュエータダイナミックスを含む。 アクチュエータダイナミック スはスラスターダイナミックスを持たないモデルを、 実機と同じスラスターダイナ ミックスを持つかのように動作させるために必要なもので・ある。 実機と同じ動特性 を持つ模型スラスターを作ることが可能であればいらないものであるが、 そのよう な模型スラスターを作ることは困難であると思われる。

プラントの伝達関数Gは次式で計算できる。

G

= C

(sI 4

-A)

-1

B (

3.24

)

またWzとW2は重み関数で、 トレードオフの関係にある、 波力 F からYまでyw の共振周波数付近における共振特性(長周期動揺〉を取り除くことと、 波力から制 御力Fyrまでのゲイン特性を波周波数領域で、十分小さくすることを、 共にできるだ け高い次元で満足させるように決定する。 本節ではFig.3.23に示すような重み関数 を選択した。

以上の準備のもとで、Fig.3.20に示す制約下、 できるだけ小さなァ>0に対して、

Fywから[Zl Z2Yまでの伝達関数のH∞ノルムを最小にするコントローラ K を求 める。

γ'

<

'A 't・

,ι・ ?ι・ pilli--L → w F T

( 3.25)

コントローラの設計にはMatlabのLMI Control Toolbo�9)を使用した。 重み関数 眠、院はそれぞれ4、4次の関数なので、コントローラKは 12次となり、積分器、

アクチュエーターダイナミックスを付加した最終的なコントローラ ιctは 16次と なる。 設計されたコントローラιctは状態空間表現に直され、離散化することによ り実装した。 離散化のタイムステップは、使用する AD、DA変換機の性能やCPU の能力、コントローラの次数によって決まり、本実験の場合約0.007秒である。 最 初Fig.3.2 0に示す制約を付けずに解いたところ、閉ループ系とコントローラの極に 10の4乗のオーダーのものが現れた。このままではハイゲインのためノイズを増幅 してしまい、スタートアップができず、高速サンプリングが必要となる。 そこで、

設計に要する時間は長くなるが、前記制約を付け、0.007秒のサンプリング周期でス タートアップ可能とした。

3.1ふ2 コントローラによる周波数特性

設計されたそれぞれのコントローラによる周波数特性をFig. 3.21、 3.22、 3.23 に 示す。 それぞれ図の上側は制御対象の波浪外力から左右揺へのゲ、イン線図、下側は 波浪外力から制御力へのゲ、イン線図と波力のパワースペクトルである。 波力は実験 で計測した不規則波をもとに生成したものを使用した。 また、 閉ループは制御をか けない場合、 閉ループは制御をかけた場合の特性である。

PID コントロールの場合(Fig.3.21)、波力から運動までの共振周波数付近におけ る共振特性( 長周期動揺〉は取り除くことができるが、波力から制御力までのゲイ ン特性を波周波数領域(4<ω<10)で・十分小さくすることができない。 これは位相 補償のための微分動作により、高域で制御力が大きくなるためである。 従って、無 駄なエネルギーを使わない制御を行うには、フィルターにより低域の観測信号のみ を取り出して使う必要がある。 ローパスフィルターはこの場合、 カットオフ周波数 が非常に小さいので、位相遅れが大きくなり適当とはし、えず、 カルマンフィルター

の使用が望ましいと思われる。 しかし、次に示すLQI制御と全状態オブザーバーの 組み合わせは、 カルマンフィルターの使用と等価であり、 こちらの方がPIn制御と

カルマンフィルターを使うよりも設計が合理的であると思われる。

LQI制御の場合、 閉ループ系とコントローラの極配置によりコントローラの性能 を議論する場合が多いようであるが、 H∞制御との比較のため、Fig.3.22 にコントロ ーラによる周波数特性を示した。 図より共振周波数における長周期動揺を取り除く ことができ、 波力から制御力までのゲイン特性も波周波数領域(4<ω<10)で十分

小さくすることができることがわかる。

H∞コントロールによる特性をFig.3.23に示す。 上側の図の重み関数院は共振周 波数付近における共振特性(長周期動揺〉を取り除くように、 下側の図の重み関数 院は波力から制御力までのゲイン特性を波周波数領域で・十分小さくするように選 ばれている。 重み関数院は2つのピークを持つ4次の関数である。 低域側のピー クは共振周波数における共振特性を抑え、 高域側のピークは閉ループの共振周波数 よりわずかに高域側にあるピークを抑える役割を持つ。 LQIコントロールの波力か ら左右揺への閉ループゲ、イン線図CPig. 3.22)と比べると、 H∞コントロールによる 閉ループの方が共振周波数付近で広い範囲にわたってピーク値が低く抑えられてい ることがわかる。 LQI制御では、 設計に要する計算時間は短いが、 重み行列の設定

や極配置の結果が周波数特性の改良と直感的に結ばれにくいのに対し、H∞制御では、

設計に時間がかかるが、 周波数特性そのものをきめ細かく整形することができると し、う特徴を持つ。

3.1.5.3 実験方法

線形ノくネ係留による位置保持実験状態をFig.3.24 に示す。 係留は左右揺の長周期 動揺が 20秒になるように調節した。 これは実機で約3.5分に相当する(鎖により係 留した場合と同ししリ。

実験は3.1 .3節と同様の方法で・行った。コンピューターは制御則に従って演算を行 い、 スラスターの制御信号を出力する。 出力はDA変換された後、 スラスター駆動 用サーボノミックに入力されスラスターが制御される。 すべてのデータはサンプリン

グ周波数 10Hzで 410秒間記録した。

3.1.5.4 実験結果及び考察

Fig. 3.12に模型実験で使用した平均波周期 1.0秒、 有義波高0 .04mの不規則波の JONSWAP型パワースペクトノレ、 時系列を示す。実機ではそれぞれ 10秒、4mに相

当する。

Fig. 3.25 に制御を行わない場合の運動の時系列とそのパワースペクトルを示す。

図は上からJI原に左右揺、 横揺の(A)が実験結果、 (B)がシミュレーション結果 を示している。なお、 シミュレーション結果は(3.3)、(3の、(3. 5)式に示す非線形運 動方程式を使用して行った。図より、左右揺に対して長周期動揺が顕著に現れてい ることが確認することができる。 また、 不規則波中でも実験と計算は良く一致して いる。

Fig.3.26、3.27にPID制御を行った場合の運動・スラスター推力の時系列のパワー スペクトルを示す。図は上からJI慣に左右揺、 横揺、 スラスターの推力、 Fig. 3.26 が 実験結果、 Fig. 3.27 が計算結果を示している。推力の実験結果は実際のスラスター 入力電圧から(3.9)式を用いて計算した結果である。計算結果と実験結果は良く一致 しており、 数学モデルの精度が良いことがわかる。制御を行わない場合と比べると 長周期動揺振幅が小さくなっているが、スラスターが波周波数領域(4<ω(rad/sec)<8)

の運動に激しく反応している。波周期の運動は起振力が大きく、 スラスター程度の 制御力では制御できない上に振幅も小さいので制御の必要がない。したがって、 ス ラスターが波周波数領域で反応するのはエネルギーの無駄遣いであり、 効率的な制 御とはいえない。

Fig.3.28 、3.29にLQI制御結果を示す。制御なしの場合と比べると、長周期動揺振 幅も小さくなり、 マイナス側へのオフセットもなくなっていることがわかる。さら に、 スラスターは波周波数領域(4<ω(rad/sec)く8)の運動にほとんど反応していない。

H∞制御の結果(Fig.3.30 、3.31)もオフセットがなく、長周期動揺が良く抑制され ている。パワースペクトルの図より、 波周波数領域 でスラスター推力のパワーが認 められない。 また、 低周波数領域 における推力ノミワーがほとんど同じであるにもか かわらず、 周波数特性そのものをきめ細かく整形することができるため、 長周期動 揺がLQI制御よりもよく抑制されていることがわかる。また、 制御された場合の横 揺を制御なしの場合と比べると各コントローラともに制御が横揺に悪影響を与えて いないことがわかる。

以上各種コントローラを設計、 比較検討した結果(コントローラによる制御性能 を左右揺の有義値で比較する〉、H∞制御が長周期動揺を最も小さく抑え、 スラスタ

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