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P. aeruginosa のエラスターゼ活性への AmiE の影響

第4章 アシル化ホモセリンラクトン分解細菌の解析

4.8. P. aeruginosa のエラスターゼ活性への AmiE の影響

4.8.1. 緒言と実験方法

本節では,AHL 合成細菌に amiE 遺伝子を導入したときの,AmiE の AHL 分解による

QQ (Quorum Quenching)の確認を行った.QQ用のモデル細菌としてPseudomonas aeruginosa

PAO1株を選定した.P. aeruginosaはLasIおよびRhlIを介して,それぞれ3OC12-HSLお

よびC4-HSLをQSシグナル物質として合成しており,このうち3OC12-HSLを介したQS

によって,病原性にかかわるエラスターゼ活性を制御している[29].そこで,本節ではamiE を組み込んだプラスミドを有する P. aeruginosa のエラスターゼ活性を確認することで,

AmiEが細菌内で生産されたAHLを分解しQQを示すかどうか確認を行った.

① pBBR1-amiEプラスミドの作製

まず,Ooi24株の染色体からamiE配列を増幅させた.プライマーには5’-TCT AAG CTT

CCG ATC ATG AGC TTC AAT ATT GCA CC-3’および5’-TCT GGA TCC TCG TCA ATC AAT

TGA TTT CTA GTC GG-3’を用いた.なお,下線部にHindIIIおよびBamHIの制限酵素認

識部位を設けた.DNAポリメラーゼにはBlend Taqを用い,PCRを実施した.PCR産物

HindIIIおよびBamHIによる制限酵素処理を実施後,同じ制限酵素処理を実施したベク

ターpBBR1MCS5へライゲーションし,pBBR1-amiEを作製した.

なお,ポジティブコントロールとして,Solibacillus silvestris StLB046株由来のAHLラ クトナーゼ遺伝子ahlSを選定し,pBBR1-ahlSを作製した[30].また,ネガティブコントロ ールとして,pBBR1MCS5を用いた.

P. aeruginosa PAO1株への導入

pBBR1MCS5, pBBR1-ahlS, pBBR1-amiEそれぞれのP. aeruginosa PAO1株への導入はエ

レクトロポレーションにより行った[31].まず,P. aeruginosaをLB液体培地(4 mL)で培養 し,坂口フラスコに用意した LB 液体培地(100 mL)で本培養を行った.OD600の値が 0.4 前後になったところで,これを分取(40 mL)し遠心分離後,上清を除去した.これに300 mM スクロース水溶液(40 mL)を加えてボルテックス後,再び遠心分離し,上清を除去した.

さらに同スクロース水溶液を20 mL加え,同様の操作を行った.得られた沈殿物に同ス クロース水溶液600 μLを加え,ボルテックス後,これを100 μLずつ分取し,それぞれに

pBBR1MCS5, pBBR1-ahlS, pBBR1-amiEのプラスミド溶液2 μLを加えた.これを電極間隔

2 mmのエレクトロキュベットに入れ,パルス電流を流した.直後にこの溶液をマイクロ チューブに移し,LB液体培地(900 μL)を加えてインキュベーター中で放置した(30°C, ~24

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h).これをLB寒天培地(ゲンタマイシン100 μg/mL)にて培養し,生育したコロニーを プラスミド導入後のPAO1株として採取した.

③ エラスターゼ活性試験

プラスミド導入後のPAO1株をLB液体培地で前培養し,新しいLB液体培地へ1%濃 度で接種した.これにIPTG(1 mM)を加え,15 hの振とう培養を行った.培養物のOD600

を測定後,遠心分離し,上澄みを採取(600 μL)した.

ここからAHLを抽出するため,等量の酢酸エチル(600 μL)を加え,10 minのボルテッ クス混合を行った.水相は廃棄し,残った酢酸エチルを減圧下で蒸発させ,残留物を

DMSO(100 μL)に溶解させた.

エラスターゼ活性は上記の上澄みをサンプルとしてエラスチンコンゴーレッド(Elastin

Congo Red, ECR)アッセイによって評価した[23].まず,上澄み(100 μL)にECR (20 mg)およ

びECRバッファ(100 mM Tris, 1 mM CaCl2, pH 7.5, 900 μL)を加え,振とう培養を行った(4 h).その後,溶けずに残留したECRを遠心分離で沈殿させ,波長495 nmにおける上澄み の吸光度を測定した.得られた値をOD600の値で除してエラスターゼ活性を算出した.

4.8.2. 実験結果

エラスターゼ活性の測定結果をFig. 4-16に示す.実験はn=3で実施し,その標準偏差を グラフ上にエラーバーで示した.pBBR1MCS5 ベクターを導入したPAO1 株と比較して,

pBBR1-amiEを導入した株はpBBR1-ahlSを導入した株とともに,エラスターゼ活性が50%

以上低下した.

抽出したAHLを確認した結果,pBBR1MCS5ベクターを導入したPAO1株の上澄みから は,P. aeruginosaが生産する3OC12-HSLおよびC4-HSLの両方が検出されたが,他の2つ のサンプルからはいずれも検出されなかった.AmiE に関しては C4-HSL の分解活性がな いにもかかわらず C4-HSL も検出されなかったが,これは C4-HSL を生産するための rhl

系QSが,3OC12-HSL存在下で活性化するlasR遺伝子により制御されている[32]ためであ

ると考えられる.過去の研究におけるAHLアシラーゼPA0305についても50%以上のエラ スターゼ活性低下を示すと同時に,AmiE と同様の分解特性をもちながら C4-HSL は検出 されなかったと報告されている[23]

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Fig. 4-16 Elastase activities in the culture supernatant of PAO1 harboring AHL-degrading gene

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