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第4章 アシル化ホモセリンラクトン分解細菌の解析

4.6. 系統解析

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95 4.6.2. Acinetobacter属細菌の16S rRNA系統解析

全ゲノムが判明しているAcinetobacter属細菌を対象に,amiE相同遺伝子を有するものを 探索したところ,Ooi24株以外の2種類の細菌についてamiE相同遺伝子が確認された.こ れらの細菌の近縁性について確認するため,他のAcinetobacter属細菌のうち全ゲノムが判 明している8種を含めた計11種のAcinetobacter 属細菌について,近隣結合法により16S rRNA系統解析を実施した.その結果をFig. 4-12に示す.

カッコ内の文字列は DNAデータベース(DDBJ/EMBL/Genbank)のアクセッション番号を 示す.また,amiE 相同遺伝子を持つ菌株については太字で示した.この結果より,amiE を有する菌株同士の近縁性は薄く,Acinetobacter 属細菌に広く保存された配列ではないこ とが確認された.さらに,amiEを有する3種の菌株について,amiEの上流および下流の 配列を比較した.それぞれのORFを模式化した結果をFig. 4-13に示す.

黒塗りの矢印は amiE を示す.灰色の矢印は保存された遺伝子,線入りの矢印はトラン スポゾン性の遺伝子をそれぞれ示す.保存性の高い遺伝子領域における塩基配列の相違は ほとんどなく(2塩基以下),その周囲にトランスポゾン性の遺伝子が点在していた.さら に,AmiEのアミノ酸配列は他のAcinetobacter属細菌のアミダーゼファミリータンパク質 との類似性はなく,-プロテオバクテリア門に属する Thalassolituus oleivorans MIL-1 株 (M5E2I7)およびMarinobacter algicola DG893株(A6F504)のアミダーゼとそれぞれ46.0%お

よび39.9%の一致率を示した.これらのことから,Ooi24株のamiE遺伝子はトランスポゾ

ンによって外部から転移してきた可能性が高いと考えられる.

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Fig. 4-12 Neighbor-joining trees of the 16S rRNA gene sequences obtained for Acinetobacter strains

Fig. 4-13 Arrangement of predicted ORFs in the upstream and downstream regions of amiE genes in the genome of amiE-possessing Acinetobacter strains

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4.6.3. 補足 ~トランスポゾンについて~

トランスポゾンとは,染色体やプラスミド間,もしくは内部で転移する特徴的な構造を もつ DNA 断片の遺伝単位である.転移遺伝因子(動く遺伝子)と呼ばれ,非常に特異な 配列を持ち,遺伝子内に組み込まれたトランスポザーゼにより,細菌間,細菌-真核生物間,

細菌-動物間などの生物圏をかなり自由に動き回ることができると考えられている.この移 動現象のことを一般に遺伝子水平伝播(Horizontal Gene Transfer, HGT or Lateral Gene

Transfer, LGT)と呼び,トランスポゾン以外にもプラスミドやバクテリオファージなどもこ

の移動現象に寄与している[26]

トランスポゾンが染色体やプラスミドの他の場所へ移動することによって,種々の遺伝 的変化を生じる.ある遺伝子の間にトランスポゾンが挿入されることにより,その遺伝子 の活性が失われたり変調をきたしたり,染色体の一部が失われたりする[27].このような遺 伝子の配置転換とそれに伴う形質の変化は生物の進化に重要な役割を果たしていると考 えられる.自然界における形質転換がどの程度の頻度で発生しているかは定かではないが,

定期的に起こっているものと考えられており[27],本研究で解析を行った amiE 遺伝子も外 部から転移してきたものである可能性が高い.

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