1 PFM - Agent for WebLogic Server の概要
1.3 PFM - Agent for WebLogic Server を使った パフォーマンス監視の例
システムを安定稼働させるためには,パフォーマンスを監視してシステムの状態を把握 することが重要です。この節では,PFM - Agent for WebLogic Serverを用いてパフォー マンスを監視する方法について説明します。
1.3.1 パフォーマンス監視の概要
パフォーマンス監視の概要について説明します。
(1) パフォーマンス監視の目的
パフォーマンスを監視することは,WebLogic Serverの運用管理では重要な作業です。
PFM - Agent for WebLogic Serverを用いたパフォーマンス監視は,主に次の目的で使用 できます。
• WebLogic Serverが正しく動作しているか監視する
• パフォーマンスデータを分析し,パフォーマンス低下の原因を発見する
WebLogic Serverが正しく動作しているかどうかは,WebLogic Serverの稼働状態の監 視によって確認できます。
WebLogic Serverでは,システムダウンやスローダウンなどパフォーマンスが低下する
場合があります。パフォーマンスに影響を与える要因としては,次のようなものがあり ます。
• JavaVMのヒープ使用率
• スレッドプールの待機リクエスト数
• JDBC接続の待機リクエスト数
WebLogic Serverを安定稼働させるためには,PFM - Agent for WebLogic Serverを用い て,これらのパフォーマンスを正しく監視することが重要です。
(2) ベースラインの選定
ベースラインの選定とは,システム運用で問題なしと想定されるラインをパフォーマン ス測定結果から選定する作業です。
PFM製品では,ベースラインの値を「しきい値」とすることで,システムの運用を監視 します。ベースラインの選定は「しきい値」を決定し,パフォーマンスを監視するにあ たっての重要な作業となります。
なお,ベースラインの選定は,次のように実施することをお勧めします。
• 運用環境の高負荷テスト時など,ピーク時の状態を測定する
• WebLogic Serverの構成によってしきい値が大きく異なるため,システムリソースや 運用環境を変更する場合は,再度ベースラインを測定する
次に,それぞれのパフォーマンスの監視方法について例を挙げて紹介します。なお,こ こで説明するパフォーマンス監視のしきい値はあくまで参考値です。具体的なしきい値 については,ベースラインを測定し,決定してください。また,具体的な設定項目につ いては,WebLogic Serverの運用形態に合わせて,検討する必要があります。
1.3.2 WebLogic Server の稼働状態の監視
予期しないサーバの停止に備えるために,WebLogic Serverの稼働状態を監視します。
WebLogic Serverの稼働状態は,監視テンプレートで提供している「Server State」ア ラームを使用することで監視できます。
監視テンプレート「Server State」アラームを次の表に示します。
表1-1 監視テンプレート「Server State」アラーム
しきい値に対する考え方
Stateフィールドが0の場合,次のような要因が考えられます。
• PFM - Agent for WebLogic Serverのインスタンス環境の設定が誤っている
• 監視対象のWebLogic Serverが停止している
• 監視対象のWebLogic Serverがハングアップしている 対処方法
PFM - Agent for WebLogic Serverのインスタンス環境の設定に誤りがないかを確認 してください。
セットアップに誤りがない場合は,監視対象のWebLogic Serverが停止していない か,またはハングアップ状態になっていないかを確認し,必要に応じてWebLogic Serverを再起動してください。
Server Stateアラームの詳細については,「5. 監視テンプレート」の「Server State」
を参照してください。
1.3.3 JavaVM のヒープ使用率の監視
WebLogic Serverの動作基盤であるJavaVMのヒープ使用率を監視することで,
WebLogic Server全体の処理性能の低下を検出したり,予測したりできます。
アラーム 使用レコー ド
使用フィー ルド
異常条件 警告条件 値の見方
Server State PD State State =
0
State = 0
WebLogic Serverの稼 働状態。稼働している
場合は1,それ以外の
場合は0。
JavaVMのヒープ使用率は,監視テンプレートで提供している「Java Heap」アラーム を使用することで監視できます。
監視テンプレート「Java Heap」アラームを次の表に示します。
表1-2 監視テンプレート「Java Heap」アラーム
しきい値に対する考え方
Javaヒープの使用率が高い場合,十分な空きメモリー量を確保できなくてガベージ コレクションが頻発したり,メモリー不足によるアプリケーションエラーが発生し たりして,WebLogic Serverがダウンするおそれがあります。
対処方法
ヒープ使用率が高くなった要因を調査してください。主な要因としては,リクエス ト数の増大や,アプリケーションのメモリーリークの発生が考えられます。リクエ スト数の増大が要因の場合は,メモリー量を調整してください。
Java Heapアラームの詳細については,「5. 監視テンプレート」の「Java Heap」を参 照してください。
1.3.4 スレッドプールの待機リクエスト数の監視
スレッドプールのキューに滞留中のリクエスト数を監視することで,ユーザーに対する 応答速度の低下を検出したり,予測したりできます。
スレッドプールのキューに滞留しているリクエスト数は,監視テンプレートで提供して いる「Thread Pool Queue」アラームを使用することで監視できます。
監視テンプレート「Thread Pool Queue」アラームを次の表に示します。
表1-3 監視テンプレート「Thread Pool Queue」アラーム
しきい値に対する考え方
スレッドプールのキューに滞留しているリクエスト数が多くなるに従って,リクエ ストへの応答が遅くなると考えられます。
アラーム 使用レコー ド
使用フィール ド
異常条件 警告条件 値の見方
Java Heap PI_JVM Heap Size % Heap Size %
>= 95
Heap Size %
>= 75
Javaヒープの使 用率(%)。
アラーム 使用レ コード
使用フィー ルド
異常条件 警告条件 値の見方
Thread Pool Queue
PI_THRP Queue Length
Queue Length >=
20
Queue Length >= 1
スレッドプールの キューに滞留している リクエスト数。
対処方法
スレッドプールのキューに滞留しているリクエスト数が多くなった要因を調査して ください。主な要因としては,リクエスト数の増大が考えられます。この場合,十 分な応答性能が維持できるようにスレッドプールサイズを調整してください。
Thread Pool Queueアラームの詳細については,「5. 監視テンプレート」の「Thread Pool Queue」を参照してください。
1.3.5 JDBC 接続の待機リクエスト数の監視
データベース接続を待機しているリクエスト数を監視することで,ユーザーに対する応 答速度の低下を検出したり,予測したりできます。
JDBC接続の待機リクエスト数は,監視テンプレートで提供している「JDBC Waiting Conns」アラームを使用することで監視できます。
監視テンプレート「JDBC Waiting Conns」アラームを次の表に示します。
表1-4 監視テンプレート「JDBC Waiting Conns」アラーム
しきい値に対する考え方
JDBC接続を待機しているリクエスト数が多くなるに従って,リクエストへの応答 が遅くなると考えられます。
対処方法
JDBC接続を待機しているリクエスト数が多くなった要因を調査してください。主 な要因としては,リクエスト数の増大が考えられます。この場合,十分な応答性能 が維持できるようにJDBC接続数を調整してください。
JDBC Waiting Connsアラームの詳細については,「5. 監視テンプレート」の「JDBC Waiting Conns」を参照してください。
アラーム 使用レコー ド
使用フィール ド
異常条件 警告条件 値の見方
JDBC Waiting Conns
PI_JDBC Waiting For Conn Count
Waiting For Conn Count
>= 10
Waiting For Conn Count
>= 1
JDBC接続を待 機しているリク エスト数。