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PEG/PR-KG6、 L-PEG/PR-KG6 の合成

第3章 デンドリマー修飾型オーバーハウザー効果 MRI 造影剤の開発  3-1  緒

H- PEG/PR-KG6、 L-PEG/PR-KG6 の合成

KG6・128TFA、carboxy-PROXYL、HOBt、HBTUをDMFに溶解し、1.6 mM KG6溶

液、60 mM PROXYL、HOBt、HBTU溶液を調製した。これらの溶液とトリエチルアミ

ン(TEA)を表3-2(上段)に従って混合したのち、室温で一晩振盪攪拌してPROXYL を修飾した。続いて、PEG5K- NHSをDMFに溶解して13.2 mMとした溶液を表3-2(中 段)に従って添加し、さらに3日間攪拌した。溶媒を留去したのち、水を溶出溶媒とし

てMWCO. 100,000の限外濾過膜で精製した。計1/5,000量まで濃縮と再分散を繰り返し

た後、凍結乾燥を経てPEG/PR-KG6の白色粉末を得た。収量は表3-2(下段)に示す通 りである。尚、以降の評価には、PROXYLが量論通り修飾され、かつ収率100%と仮定

した時のPROXYL濃度で調整して利用した。

      表 3-2  PEG/PR-KG6 の合成の仕込み量及び収量 

PR-PEG-KG6の合成

各原料をDMFに溶解し、1.6 mM KG6溶液、60 mM carboxy-PROXYL, HOBt, HBTU、

3章  デンドリマー修飾型オーバーハウザー効果MRI造影剤の開発

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13.2 mM Boc-PEG5K-NHS溶液, PEG5K-NHSを調製した。表3-3(最上段)に従って試薬 を混合し、室温で3日間攪拌してKG6にBoc-PEG5K-NHSを修飾した。続いて、表3-3

(次段)に従ってPEG5K-NHSを添加し、室温で3日間攪拌してBoc基を持たないPEG を追加して修飾した。Ac2O(表3-3三段)を添加してKG6末端のアミノ基をアセチル 化したのち、溶媒を留去し、水を溶出溶媒としてMWCO. 100,000の限外濾過膜で精製

した。計1/5,000量まで濃縮と再分散を繰り返し、未結合のPEGを除去した。TFAを添

加して Boc基を脱保護した。過剰なTFAを風乾し、さらにオイルポンプで留去したの ち、水を加えて凍結乾燥して NH2-PEG-KG6 の白色粉末を得た。この段階で仕込みの KG6全てが残存している仮定のもと、TNBSアッセイにより導入されたNH2-PEGの修 飾率を算出した。NH2-PEG の修飾率は 1.2, 5.5, 10, 25 mol%であった。得られた各

NH2-PEG-KG6 を DMF に溶解し、表 3-3 四段に従って PEG の末端のアミノ基に

carboxy-PROXYLを縮合させた。室温で8時間攪拌し、Kaiserテストが陰性である事か

ら反応の終結を確認した。DMFを溶出溶媒としてMWCO. 70,000の限外濾過膜で精製

した。計1/1,000量まで濃縮と再分散を繰り返し、未反応のPROXYLを除去した。溶出

溶媒を変更して溶媒を水に置換し、凍結乾燥を経てPR-PEG-KG6を得た。収量は表3-3

(最下段)に示す通りである。

    表 3-3  PR-PEG-KG6 の合成の仕込み量及び収量

1.2mol% 5.5mol% 10mol% 25mol%

KG6・128TFA(μl) 326 293 293 293

Boc-PEG5K-NHS(μl) 152 455 909 2270

TEA(μl) 4 4 4 4

DMF(μl) 519 248 3790 2430

Sourcereagents 3mol% 5mol% 10mol% 20mol%

PEG5K-NHS(μl) 2370 1820 1360 0

TEA(μl) 4 4 4 0

Sourcereagents 3mol% 5mol% 10mol% 20mol%

Ac2O(μl) 62 62 62 62

TEA(μl) 8 8 8 8

Sourcereagents 3mol% 5mol% 10mol% 20mol%

carboxy-PROXYL(μl) 67 200 400 1,000

HOBt(μl) 80 240 480 1,200

HBTU(μl) 80 240 480 1,200

TEA(μl) 4 4 8 20

Yield(mg) 3mol% 5mol% 10mol% 20mol%

PR-PEG-KG6 94.6 86.1 57.6 47.6

Sourcereagents PROXYLmodification

ニトロキシルラジカル修飾KG6のプロトンの緩和度r1の測定

MRIパルスシーケンスの繰り返し時間(TR)を50 msから3,000 msまで変化させ た場合のMRI信号強度(Mz)をMRIシグナル解析ソフト(Rosetta, 日本レドックス株 式会社)により読み取った。

Mz(TR) = M0(1-e-TR/T1) ・・・ ①

Mz と TRには①の式が成り立つ。ここでM0は最大信号強度、T1 は緩和時間であ る。まず、各濃度系列において縦軸に Mz、横軸にTR をとり、得られた値をプロット した。次に

Mz (TR) = M0(1-e-TR/T1) + Y ・・・ ②

が成り立つようにWindows Excelの「ソルバー機能」を使ってフィッティングを行い、

T1を求めた。緩和時間の逆数である1/T1と緩和度r1は、

1/T1(contrast agent) = 1/T1 (water)+ r1! C ・・・ ③

が成り立つ。ここでCは造影剤の濃度である。この定義式を利用し、横軸に1/T1横軸 にKG6濃度をプロットして傾きからr1を算出した。

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3章  デンドリマー修飾型オーバーハウザー効果MRI造影剤の開発

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一例として、以下にL-PEG/PR-KG6 (3 mol%PROXYL) の緩和度の算出操作と結果

示す。図3-30 aは、PROXYL濃度0.5 mMにおける②式へのフィッティングを示してい

る。フィッティングの結果、T1は956 msであった。PROXYL濃度が1、1.5、2 mMに おいても同様のフィッティング操作を行い、各濃度における T1 を算出した(表 3-4)。

続いて算出したT1を③式に代入してr1を算出した。図3-30 bは、式③のプロット結果 である。緩和度r1はこの傾きに相当する。

MRIの測定条件は以下の通りである。

・パラメータ・・・MR RF screen : 425 kNz (0.01 T), Repetition time (TR) : 50 ~ 3,000 ms, Echo time (TE) : 40 ms, slice thickness : 20-100 mm, field of view : 64 mm.

PEG-KG6に修飾したニトロキシルラジカルの電子スピンのT1緩和時間の評価

ESRスペクトル測定

PROXYL濃度で0.02 ~ 0.2 mMに調製した各ニトロキシルラジカル修飾PEG-KG6 水溶液を、セル厚1.0 mmのディスポーサブル偏平セルにロードし、修飾したPRのESR スペクトルを測定した。ESRシグナル強度については、スペクトルの2回積分値から算

出した PROXYL の実効濃度から標準化して濃度誤差を修正して評価した。ここで線幅

ΔHppとは、スペクトル中央のピークの最大値­最小値間の幅を指す。ΔHppが狭い事 は、この領域のパルス磁場の吸収効率が高い、つまり、プロトンに受け渡すエネルギー の吸収効率が高いという事である。装置の都合上、照射する ESR パルスの磁場変化は

0.1 G刻みであり、したがってΔHpp評価の最小単位は0.1 Gとなる。したがって、よ

り詳細な評価を行うため、ESRシグナル強度を同時に評価した。装置の測定条件は、以 下の通りである。

・ 装置:Bruker EMX-Plus ESR spectrometer

・ パラメータ・・・Microwave frequency : 9.8 GHz、Microwave Power : 0.502 mW、center field : 3511 G, sweep width : 100 G, receiver gain : 3.99 103, modulation frequency : 100 KHz, modulation amplitude : 1 G, time constant : 10.24 msec, conversion time : 24 msec ニトロキシルラジカル修飾PEG-KG6のOMRIシグナル増強効率の評価

OMRI測定

各ニトロキシルラジカル修飾PEG-KG6の濃度系列を200 µlずつ作製して、1 mlシ リンジにロードしたものを測定した。ESR励起を行う場合と行わない場合の MRI像を 取得した。MRIと同様に解析し、ESR励起有りの値をESR励起無しの値で割った値を OMRI増強効率とした。測定条件は以下の通りである。

・パラメータ・・・MR RF screen : 425 kNz (0.01 T), Repetition time (TR) : 1000 ms, Echo time (TE) : 40 ms, slice thickness : 20-100 mm, field of view : 64 mm, ESR field : 20 mT, ESR frequency : 565 Hz

3-4-2  シグナル OFF→ON 型オーバーハウザー効果 MRI 造影剤の開発  uPA応答型OMRI造影剤の合成

uPA基質ペプチド(PRsub(protect))の合成

2-Chlorotrityl chloride 樹脂(0.3 mmol)を担体として、Fmoc 固相合成法により PROXYL 修飾 uPA 基質保護ペプチド(PROXYL-LGGS(tBu)GR(Pbf)S(tBu)AN(Trt)AIL

-E(OtBu)-OH)を合成した。作製した保護ペプチドをMALDI-TOF-MSより同定した(Mw.

2091.6)。また、一部を97.5%TFA水溶液で処理して側差を脱保護し、純度を逆相HPLC

にて分析した。uPA基質ペプチドが主成分であることを確認した。粗収率は82.9%であ った。

逆相 HPLC分析

測定条件及び結果は以下の通りである。

・Eluent ・・・ solution A : H2O, solution B : AcCN.

・Column ・・・ 10 $ 150 mm COSMOSIL® Protein-R(Nacalai).

・RP-HPLC gradient ・・・ 0 min : B 10%, 20 min : B 30%.

・Elution time ・・・ Product:18.5min, N-term fragment : 15.5 min.

PEG/PRsub-KG6の合成

KG6・128TFA (23 mg, 0.75 µmol) とPRsub(protect) (100 mg, 48 µmol) をDMF/DMSO

= 1/1混合溶媒8 ml中に溶解し、2等量のHBTU (36 mg, 96 µmol), HOBt (15 mg, 96 µmol) 及びTEA (40 µl , 290 µmol) を添加して室温で3日間攪拌した。続いて、PEG5K-NHS (240

mg, 48 µmol) を添加し、さらに室温で3日間攪拌した。溶媒を留去した後、97.5%TFA

水溶液 10 mlを添加して 2時間静置し、ペプチドの側鎖を脱保護した。過剰なTFAを

風乾し、さらにオイルポンプで留去したのち、水/DMF = 1/1の混合溶媒10 mlに溶解さ せた。うち10 µlを未精製サンプルとしてGPC分析した。DMFを溶出溶媒として、MWCO.

9,000の限外濾過膜で精製し、計1/5,000量まで濃縮と再分散を繰り返した。さらに水を

溶出溶媒として、MWCO. 100,000の限外濾過膜で精製し、計1/5,000量まで濃縮と再分 散を繰り返した。フィルタ濾過した後に、再度10 mlにメスアップした。10 µlを精製サ ンプルとしてGPCにて分析し、残りを凍結乾燥してPEG/PRsub-KG6を得た。

未精製サンプルと精製サンプルの GPC スペクトルから得た、質量濃度当たりの屈 折率変化を利用して、PEG、uPA 基質ペプチドの修飾率を算出した。算出法の詳細は、

4-3-2項「PEG-Kn-KG6の合成」に譲る。相違点として、こちらはuPA 基質ペプチドを

含む 3 成分系であるため、[質量当たりの屈折率変化] のパラメータを、目的物だけで なくPEGについても求める必要がある。合成に用いたPEG5K-NHSをpH 9.0の炭酸緩衝 液で処理してNHSエステルを加水分解したのち、0.1 mg相当をGPC測定して、[質量 当たりの屈折率変化] を決定した。PEGのピークが溶媒のピークと重なる事を避けるた め、より低分子量側に分解能を持つカラムを使用した。

3章  デンドリマー修飾型オーバーハウザー効果MRI造影剤の開発

106 GPC測定

各サンプルをGPC bufferに希釈して測定した。条件は以下の通りである。

・カラム ・・・ TSK GEL G3000 PWXL + TSK GEL G4000 PWXL ※直列式

・溶出溶媒 ・・・ 0.5 M AcOH-AcNa buffer, 0.1 M NaNO3 pH 4.0(3$GPC buffer)

・流速 ・・・ 0.55 ml/min

・測定サンプル量 ・・・ 0.1 mg程度。

・備考 ・・・ インジェクターループ体積の1.5倍相当量(150 µl)をロードし、測定間の 誤差を低減させた。

GPCより算出した結果、uPA基質ペプチド:導入率:35 mol%、PEG導入率:11 mol%、

平均分子量163,000、収率79%であった。

還元型 PROXYL の酸化

ESRスペクトルの2回積分値から残存ラジカル量を定量した。セルの設置角度及び セル毎の誤差を回避するため、セルの向きを揃えて同じセルを繰り返し利用して、定量 性を確保した。スタンダードとしてcarboxy-PROXYLの段階希釈を利用したところ、uPA 基質ペプチド量を 100%とした場合のラジカル量は 11%であった。失活が想定される PROXYLの1.2等量のフェリシアン化カリウムK3Fe(CN)6 8.7 mgを添加して、37℃で40 時間静置し、還元型となったPROXYLを酸化させた。EDTAを溶かした5%NaHCO3水 溶液を溶出溶媒として限外濾過し、さらに 1%アンモニア水を溶出溶媒として限外濾過 してFeイオンを除去した。凍結乾燥により、PEG/PRsub-KG6の黄色粉末を得た(88 mg,

0.59 µmol, 99%)。再度ESR測定し、造影剤として活性なニトロキシルラジカルを定量

した。その結果、uPA基質ペプチド修飾量の28%が活性型であった。以降の実験では、

この値からラジカル濃度を算出して利用した。

uPA応答型OMRI造影剤の酵素応答性の評価 酵素反応

表3-5に従ってサンプル及び緩衝液を混合し、酵素反応溶液とした。37℃で一定時 間静置して反応させたのち、HPLC 分析または ESR 測定を行った。ESR シグナル強度 の経時変化を追う際は、測定溶液を回収して、同サンプルを繰り返し測定した。

OMRIシグナルの増強効率の酵素応答的変化の評価

表3-6に従ってサンプル及び緩衝液を混合し、酵素反応溶液とした。37℃で6間静 置して反応させたのち、OMRI増強効率を測定した。また、測定サンプルは事前にESR シグナル強度の変化を測定して、酵素反応の進行を確認した。

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