第3章 デンドリマー修飾型オーバーハウザー効果 MRI 造影剤の開発 3-1 緒
tfaK 3 -KG6 の合成
(Boc/tfa)-K3-KG6(320 mg, 2.7 µmol)に対して「Boc基の脱保護」を行い、tfa-K3-KG6・
128TFAを得た(320 mg, 2.8 µmol, 101%)。
K3-KG6の調製
微量のtfa-K3-KG6に対して「tfa基の脱保護」を行い、K3-KG6・512TFAを得た。
表 4-5 α-Boc/ε-tfa 保護デンドリティックポリリジンの理論分量
4-4-2 単分オリゴ核酸キャリアの合成とその基礎物性の評価 PEG-Kn-KG6の合成
PEG-KG6あるいは PEG-tfaKn-KG6(n = 1 ~3)の合成
KG6またはtKn-KG6 (0.48 µmol) と、PEG5K-NHS (310 mg, 61 µmol)、TEA (25 µl, 180 µmol) をDMF 5 mlに溶解し、室温で72時間揺とう攪拌してPEGを修飾した。tKn-KG6 については、Ac2O (200 µl, 2.1 mmol)、TEA (280 µl, 2.1 mmol) を添加してさらに2時間 振とうし、未反応の"アミノ基をアセチル化した。溶媒を留去した後、水に再溶解して
10 mlにメスアップした。うち未精製サンプル10 µlをGPCにて分析した。水を溶出溶
媒として、MWCO. 100,000の限外濾過膜で精製した。計1/5,000量まで濃縮と再分散を α-position ε-position withTFAsalt withoutTFAsalt
KG6 64NH2 64NH2 30,950 16,350
Boc-tfaK1-KG6 128Boc 128tfa 57,860
tfaK1-KG6 128NH2 128tfa 59,640 45,040
Boc-tfaK2-KG6 128Boc 256tfa 86,550
tfaK2-KG6 128NH2 256tfa 88,330 73,740
Boc-tfaK3-KG6 128Boc 384tfa 115,200
tfaK3-KG6 128NH2 384tfa 117,000 102,400 Numberoffunctionalgroup Mol.weight Entry
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152
繰り返し、フィルタ濾過した後に、再度10 mlにメスアップした。10 µlを精製サンプル としてGPCにて分析し、残りを凍結乾燥してPEG-KG6あるいはPEG-tfaKn-KG6(n = 1
~ 3)を得た。
未精製サンプルと精製サンプルの GPC スペクトルから得た、質量濃度当たりの屈 折率変化を利用して、PEG導入率を算出した。例として、PEG-tfaK3-KG6の算出過程を 以下に示す。
1. 精製サンプルのGPCスペクトルのピーク面積値と分析対象分の質量から、目的物
の質量当たりの屈折率変化を算出した。
[GPC分析した精製サンプル] : 70.6 µg
[目的物に相当するピークの面積値] : 3.69 & 106
[質量当たりの屈折率変化] : 3.69 & 106 / 70.6 µg = 5.10 & 104 µg–1
2. GPC分析した未精製サンプルに含まれる、PEG及びtK3-KG6の質量を算出した。
[GPC分析した未精製サンプル中のPEG] : 102.8 µg [GPC分析した未精製サンプル中のtK3-KG6] : 16.4 µg
3. 「1」で求めた [質量当たりの屈折率変化] を利用して、未精製サンプル中の目的 物の質量を算出した。
[未精製サンプル中の目的物の量] : 3.84 & 106 / 5.10 & 104 µg–1 = 75.2 µg
4. PEG修飾率には、以下の関係が成立する。
[修飾率] = ([未精製サンプル中の目的物の量] –[未精製サンプル中のtK3-KG6])
/ [未精製サンプル中のPEG]
「2」「3」で算出した各値を代入し、PEG導入率を算出した。
[PEG修飾率] = (75.2 µg – 16.4 µg) / 102.8 µg & 100 = 57.2 mol%
5. この値を利用して、PEGの本数、平均分子量、収率を算出した。
以上の計算結果に基づく各サンプルの収率は、PEG-KG6・57 TFA : 31%、PEG-tfaK1- KG6 : 58%、PEG-tfaK2-KG6 : 89%、PEG-tfaK3-KG6 : 94%であった。尚、世代による収率 の違いは、限外濾過膜の選択と実験手技上の問題であり、Vivaspin (Sartorius Stedim
Biotech 社) の利用により、90%程度の収率で回収可能である。尚、以下のGPC 測定条
件において、PEG修飾デンドリマーが約38分に、未反応PEGが約48分に溶出した。
GPC測定
各サンプルをGPC bufferに希釈して測定した。条件は以下の通りである。
・カラム:TSK GEL G5000 PWXL + TSK GEL G6000 PWXL ※直列式
・溶出溶媒:0.5 M AcOH-AcNa buffer, 0.1 M NaNO3 pH 4.0(3&GPC buffer)
・流速:0.45 ml/min
・測定サンプル量:0.1 mg程度。
・備考:インジェクターループ体積の 1.5倍相当量(150 µl)をロードし、測定間の誤 差を低減させた。
PEG-Kn-KG6(n = 1 ~ 3)の合成
PEG-tfaK1-KG6 (100 mg, 0.20 µmol)、PEG-tfaK2-KG6 (130 mg, 0.30 µmol) または PEG-tfaK3-KG6 (190 mg, 0.40 µmol) に対して「tfa基の脱保護」を行い、PEG-K1-KG6・
128TFA (92 mg, 0.18 µmol, 88%)、PEG-K2-KG6・256TFA (120 mg, 0.27 µmol, 90%)、
PEG-K3- KG6・384TFA (190 mg, 0.41 µmol, 102%) を得た。
PEG-Kn-KG6と核酸の相互作用の評価・EtBr滴定実験
キャリアストック溶液の調製
キャリアストック溶液を以下の様に調製した。
表 4-6 キャリアストック溶液の濃度
EtBr滴定実験
dsDNAあるいはpDNA 0.3 µgとEtBr 0.125 µgを超純水42.5 µlに溶解し、5分間静 置した。キャリアストック溶液の段階希釈7.5 µlと300 mM NaCl水溶液50 µlを添加し、
15分間静置した。キャリアストック溶液の原液がC/A比32に対応する。プレートリー
ダーで530 nmの蛍光を測定した。dsDNA、pDNA及びキャリアを含まないサンプルを
ブランクとし、相対蛍光強度を算出した。
動的光散乱測定によるPEG-Kn-KG6と核酸の相互作用の評価・動的光散乱測定 動的光散乱測定
キャリアストック溶液を以下の様にdsDNAあるいはpDNAと混合して動的光散乱 を測定した。測定はHellma社の微量分析用セル(光路長3 mm、体積 50 µl)で行い、3 回の測定値の平均値とした。測定結果はIntensityに基づく分布で示した。
表 4-7 動的光散乱測定時の Carrier/DNA 溶液の調製表
Carrier PEG-KG6 PEG-K1-KG6 PEG-K2-KG6 PEG-K3-KG6
10 carriersol.(mg/ml) 26.6 16.6 6.91 4.97
C/Aૻ 16 8 4 2 1 0.5
Carriersol.(μl) 5 5 5 5 5 5
1.5MNaCl(μl) 5 5 5 5 5 5
[a]dsDNAorpDNA(μl) 40 40 40 40 40 40
※DNAweight(μg) 0.4 0.8 1.6 3.2 6.4 12.8
[a]事前に※のDNA含量となるように段階希釈したもの
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PEG-Kn-KG6と核酸の相互作用の評価・ゲル電気泳動遅延実験
サンプル調製
0.04 µg/µl dsDNAまたはpDNA水溶液5 µlに、前述のキャリアストック溶液の段階
希釈5 µlを添加し、15分間静置した。キャリアストック原液がC/A比32に対応する。
20%ポリアクリルアミドゲル電気泳動
10&TBE buffer (90 mM Tris-borate, 2 mM EDTA, pH 8.5)、2&ポリアクリルアミド溶液
(AAm/Bis = 19/1, 40% (w/v))を作製した。10&TBE buffer 1 ml、2&ポリアクリルアミド 溶液 5 ml、超純水3.9 ml, TEMED 29 'l、20 wt% APS 50 µlを混合し、4℃で一晩冷却し て20%ポリアクリルアミドゲルを作成した。サンプル10 'lと0.05 wt% BPB溶液2 'l を混合してゲルにロードした。定圧電流 100 V を 60 分間印加して核酸を泳動した。
1&SYBR Gold TBE bufferに15 分間浸漬して核酸を染色し、UVゲルイメージャーで撮 像した。
アガロースゲル電気泳動
1& TAE buffer (40 mM Tris-acetate, 1 mM EDTA, pH 8.5) に終濃度1 wt%または2.5
wt%のAgalose Sを加熱溶解した。型に導入し、室温で一晩冷却してアガロースゲルを
作製した。サンプル10 'lと6 & Orange G 2 'lを混合してゲルにロードした。定圧電流 100 Vを30分間印加して核酸を泳動した。1&SYBR Gold TAE bufferに15 分間浸漬して 核酸を染色し、UVゲルイメージャーで撮像した。
4-4-3 抗がん剤キャリアへの適৷とその特性の評価 DOX内包能の評価
PEG-KG6のアセチル化(アミノ基のアセチル化)
4-2-2にて作成したPEG-KG6・57TFA (110 mg, 0.30 µmol) をDMF 10 mlに溶解し、
Ac2O (140 µl, 1.5 mmol)、TEA (280 µl, 2.1 mmol) を添加して2時間振とうし、未反応の"
アミノ基をアセチル化した。MWCO. 10,000 の透析膜で透析精製し、凍結乾燥を経て PEG-KG6 (100 mg, 0.28 µmol, 92%) を得た。
PEG-pynK3-KG6の合成
Pyn-COOH (17 mg, 60 µmol), HOAt (18 mg, 120 µmol)、HATU (46 mg, 120 µmol) を DMF 3 mlに溶解した。さらにDIEA (50 µl, 270 µmol)、DMF 2 mlに溶解したPEG-K3- KG6・384TFA (38 mg, 0.081 µmol) を添加し、室温で72時間攪拌した。Ac2O (100 µl, 1.1 mmol)、TEA (200 µl, 1.4 mmol) を添加してさらに2時間攪拌し、未反応の"アミノ基を アセチル化した。DMF を溶出溶媒とし、MWCO. 70,000 の限外濾過膜で精製した。計
1/10,000 量まで濃縮と再分散を繰り返した後、溶出溶媒を水に変更してDMFを除去し
た。凍結乾燥を経てPEG-pynK3-KG6を得た。質量増分よりpynの修飾率は45% ~ 100%
であると考えられる。簡単のため、全ての反応点がpyn化されたと仮定して以後の検討 に使用した (40 mg, 0.076 µmol, 94%)。
PEG-AcK3-KG6の合成
PEG-K3-KG6・384TFA (20 mg, 0.043 µmol) に対して「アミノ基のアセチル化」を 行い、PEG-AcK3-KG6 (19 mg, 0.043 µmol, 100%) を得た。
DOX の内包
DOX・HCl (20 mg, 34 µmol) をDMSO 20 mlに溶解し、TEA (10 µl, 69 µmol) を添加 して 1 mg/ml DOX baseを調製した。1 mg/ml DOX base 2.5 mlと 5 mg/mlに調製した各
キャリアDMSO溶液2.5 mlを混合し、室温で3時間静置した。MWCO. 1,000の透析膜
で24時間透析し、内包されていないDOXを除去した。途中、0.5、1.5、3、5時間後に 外水相を交換した。凍結乾燥を経てDOX内包キャリアを得た。
内包 DOX量の定量
各DOX内包キャリアをDMSO 1 mlに溶解し、495 nmにおけるDOXの吸収スペク トルを測定した。モル吸光係数#495 nm, DMSO = 8,030として、内包DOX量を定量した。
PEG/PR-tfaK3-KG6の合成
未反応点のアセチル化を行わない事を除き、「PEG-tfaKn-KG6(n = 1 ~ 3)の合成」
と同様にしてtfaK3-KG6・128TFA (51 mg, 0.43 µmol)をPEG修飾した。GPC測定の結果か ら、目的物は平均分子量515,000、PEG導入本数82であった。凍結乾燥を経て、PEG-tfaK3- KG6・36TFAを得た (220 mg, 0.42 µmol, 98%)。carboxy-PROXYL (0.074 mg, 0.4 µmol)、
HOBt・H2O (0.061 mg, 0.4 µmol)、HBTU (0.15 mg, 0.4 µmol) をDMF 16 µlに溶解した。さ らにTEA (6 µl, 4 µmol)、DMF 1 mlに溶解させたPEG-tfaK3- KG6・36TFA (9.3 mg, 0.018
µmol) を添加し、室温で48時間攪拌した。微量のAc2Oを添加してさらに2時間攪拌し、
未反応の"アミノ基をアセチル化した。MWCO. 10,000の透析膜で透析精製し、凍結乾
燥を経てPEG/PR-tfaK3-KG6を得た (8.1 mg)。
PEG/PR-tfaK3-KG6の ESRスペクトル測定
水に溶解して3.0 mg/ml PEG/PR-tfaK3-KG6に調製し、セル厚1.0 mmのディスポー サブル偏平セルを用いて、修飾したPRのESRスペクトルを測定した。装置の測定条件 は、以下の通りである。
・ 装置:Bruker EMX-Plus ESR spectrometer
・ パラメータ・・・Microwave frequency : 9.8 GHz、Microwave Power : 0.502 mW、center field : 3511 G, sweep width : 100 G, receiver gain : 3.99 103, modulation frequency : 100 KHz, modulation amplitude : 1 G, time constant : 10.24 msec, conversion time : 24 msec
CDDP担持能の評価
PEG-Kn-KG6(n = 1 ~ 3)のカルボキシル誘導体の合成
PEG-Kn-KG6(n = 1 ~ 3, 0.1 µmol)とεアミノ基に対して50 等量の無水コハク酸あ
るいはcis-アコニット酸を10 mlのDMFに溶解し、εアミノ基に対して100等量のTEA
を添加して4時間攪拌した。Kaiserテストが陰性である事から、反応の終結を確認した。
MWCO. 50,000の透析膜で4日間透析した。1、2日目は0.5 wt% NaHCO3/waterを外水
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156
相に透析を行い、カルボン酸加水分解物を除去した。3、4日目は外水相を0.05% TEA/
waterに変更して脱塩した。凍結乾燥を経てTEA塩として目的物を得た。具体的な仕込
み量及び収量・収率は以下の通りである。
表 4-8 PEG-Kn-KG6(n = 1 ˜ 3)のカルボキシル化誘導体の仕込み及び収量
PEG-Kn-KG6(n = 1 ~ 3)のカルボキシル化誘導体への CDDPの担持
PEG-Kn-KG6(n = 1 ~ 3)のコハク酸の誘導体をカルボキシル基濃度2 mM、cis-ア コニット酸の誘導体をカルボキシル基濃度4 mMとなるように調製し、CDDPキャリア ストック水溶液とした。2.2 mM CDDP水溶液1.5 mlとキャリアストック溶液1.5 mlを 混合し、37℃で72時間インキュベートした。0.05% TEA水溶液を溶出溶媒とし、MWCO.
10,000の限外濾過膜で精製した。計1/10,000量まで濃縮と再分散を繰り返し、未結合の
CDDPを除去した。フィルタ濾過した溶液を凍結乾燥し、CDDP担持キャリアを得た。
ICP-MS 測定
各サンプルは0.1% HNO3で希釈して終濃度50 ppb以下に調整し、内部標準として
終濃度10 ppbの硝酸タリウムを添加して測定した。測定条件は以下の通りである。
・測定機種:Agilent 7500c
・測定メソッド:Pt-Tl ※10~50 ppb付近の検出用にプログラムを調整した。
CDDP担持 PEG-sucK2-KG6、PEG-cacK2-KG6の動的光散乱測定
0.75 mg/ml CDDP担持PEG-sucK2-KG6あるいは1.4 mg/ml CDDP担持PEG-cacK2- KG6 45 µlと1.5 M NaCl 5 µlを混合し、動的光散乱を測定した。
cis-アコニット酸アミドの pH応答的切断の評価
PEG-sucK2-KG6あるいはPEG-cacK2-KG6キャリアストック溶液2 mlに、DMF 2 ml に溶解したTEMPO-NH2 (0.34 mg, 2 µmol) 及びWSC (1.9 mg, 10 µmol) を添加し、37℃
で一晩インキュベートした。DMFを溶出溶媒とし、MWCO. 7,000の限外濾過膜で精製
した。計 1/10,000 量まで濃縮と再分散を繰り返して未結合の TEMPO-NH2を除去し、
PEG-(TM)sucK2-KG6及びPEG-(TM)cacK2-KG6を得た。1 mlのDMF溶液として回収し た各サンプルを、100 mMクエン酸緩衝液 (pH 4.0) または100 mMリン酸緩衝液 (pH
tKn-KG6 (mg)
Carboxylic
anhydride(mg) TEA(μl) (mg) (μmol) (%)
PEG-sucK1-KG6 52.2 64 180 59.5 0.11 110
PEG-cacK1-KG6 52.2 100 180 61.0 0.11 110
PEG-sucK2-KG6 43.6 128 360 59.6 0.13 129
PEG-cacK2-KG6 43.6 200 360 64.4 0.13 128
PEG-sucK3-KG6 46.8 192 540 57.0 0.12 120
PEG-cacK3-KG6 46.8 300 540 54.6 0.10 102
[a]全てのアミノ基がカルボキシル化され、TEA塩として得られたと仮定。
Entry
Sourcesamplesandreagents Prodectyield[a]