Hybrid
C: PCPDT-SO 3 H/TiO 2 /SiO 2 , dark, 48 h
A B C
A: TiO
2, hν, 6 h B: TiO
2, dark, 48 h
C: PCPDT-SO
3H/TiO
2/SiO
2, dark, 48 h
もの(焼結なし)でもanataseの構造をとっていると記載されていたため、本研究で作製したハイブ
リッド粒子も同様にanataseの結晶構造を有していると考えた。
しかし、測定結果はアモルファスであった。そこで、ポリマー添加なしの TiO2/SiO2 を作製し、
XRDを測定したが、焼結なしの状態ではアモルファスであり、結晶構造に由来するシグナルを観 測することはできなかった。焼結の検討は後に記載する。
5-2 ハイブリッド粒子の光触媒特性評価
5-2-1 coumarinを用いたOHラジカル検出実験34)35)
上に示したcoumarinはOHラジカルの検出実験によく用いられている。CoumarinはOHラジカル が存在すると7位に水酸基を与え、umbeliferoneとなることで、蛍光を発するようになり、PLス ペクトルでOHラジカルの存在を確認できる。
前章でも記述したが暗所で有機物を分解している可能性が考えられ、その分解に活性種としてOH ラジカルが関与していると仮定し、その仮定を証明する為の実験として行った。以下に詳細を記 述する。
146 用いた触媒、反応時間は以下のTableにまとめた。
No, Catalyst
Mg
Solvent mL
time
h Fluorescence
1 run 2
20
coumarin
3 96 ○
2 run 3
20
coumarin
3 96 ×
3 run 4
20
coumarin
3 96 ×
4 run 5
20
coumarin
3 96 ○
5 run 6
20
coumarin
3 96 ×
6 run 2
20
H2O
3 96 ×
7 run 5
20
H2O
3 96 ○
8 run 6
20
H2O
3 96 ×
run 6~8では、比較用に蒸留水にそれぞれのハイブリッド粒子を添加し、同様の実験を行った。
結果的に、ドーパントなしのハイブリッド(run 2) が最もよい結果となった。
ポリマーの含有量が多いrun 5では、coumarin溶液の代わりに蒸留水を用いた場合でも蛍光を観測 してしまった。これは、結合できていない微量のポリマーが溶出したことに起因すると考え、何 度も洗浄を行ったが、再度同じ実験を行っても蛍光を観測してしまった。
ドーパントを添加したハイブリッドでは蛍光は観測できず、これは、ドーパントが二酸化チタン へのエネルギー移動を阻害する結果となっていることを示している。
次のページに、run 2用いたPLスペクトルの結果を記載する。
※ 黒線のものは二酸化チタン光照射6hである。
147
400 500 600
Wavelength (nm)
このスペクトルから、run 2で作製した三成分系ハイブリッドにおいてはcoumarin溶液のみで蛍光 を観測できた (No, 1)。この蛍光スペクトルは二酸化チタンに光照射を行った波形と類似しており、
ポリマーの溶出による影響などではなく、暗所においてもOHラジカルが発生し、umbeliferoneが できたためであると考えられた。また、比較用にメタンスルホン酸を含有した三成分系ハイブリ ッド粒子においては、coumarin 溶液での蛍光は観測されず、スルホン酸の高い酸性度による影響 でもないことが確認できた(No, 6)。続いて、暗所での分解機構解明のため、前章でも行ったアミ ノ酸の分解実験を行った。
5-2-2 L-Alanineの暗所分解評価32)
【使用した触媒】 【反応条件】 【測定機器】
・TiO2/SiO2/PCPDT-SO3H (run 2) [i] ・暗所、rt、72h ・500MHz NMR
・TiO2/SiO2/CH3SO3H (run 6) [ii]
※ 前項での結果から、ドーパントの添加なし、及びポリマー10mg が最もよい分解能を示したた め、今回はこの触媒のみ用いた。
TiO2 光照射6h
No, 1
No, 5
No, 6
148
0 1
2 3
4
0 1
2 3
4
alanine Acetate anion MeOH DSS
0 1
2 3
4
0 1
2 3
4
[i]
[ii]
○72h後のスペクトル
反応後のスペクトルでは、触媒 [i] でのみL-alanienの分解物と思われるacetate anionのシグナル が観測できた。前章のコンポジット型二酸化チタンではacetic acid (2.08 ppm)であったのに対し、
今回の三成分系ハイブリッドではacetate anion (1.91 ppm)であった。これは、OHラジカルが発生 し、系内が塩基性になっていることで説明することができる。そのため、今回作製した三成分系 ハイブリッドの方は、ポリマーが吸収したエネルギーを二酸化チタンへ伝えられていると示唆し た。一応確認のため、測定後のNMRチューブにHClを添加し。、再度NMRを測定した。
HCl添加後のスペクトルでは、1.91ppmから2.08ppmへとシグナルのシフトを確認することがで き、分解生成物がacetate anionであったと断定した。
acetate anion (1.91ppm)
acetic acid (2.08ppm)
149
0 1
2 3
4
0 1
2 3
4
Acetate anion DSS cysttine
cystein e
[i]
[ii]
5-2-3 L-Cysteineの暗所分解実験33)
前項に引き続き、アミノ酸の分解実験を行った。
【使用した触媒】 【反応条件】 【測定機器】
・TiO2/SiO2/PCPDT-SO3H (run 2) [i] ・暗所、rt、72h ・500MHz NMR
・TiO2/SiO2/CH3SO3H (run 6) [ii]
○72h後のスペクトル
反応終了後のスペクトルからは、触媒[i] を用いた場合のみ L-alanine と同様に分解物と考えられ
るacetate anionのシグナルを観測した。比較用に用いた触媒[ii] では、分解物と思われるシグナル
を観測していないことからも、ポリマー含有三成分系ハイブリッド粒子では、エネルギー移動が 円滑に進行し、暗所においても有機物を分解する可能性を強く示唆する結果となった。L-Alanien の時と同様に、分解物がacetate anionであると確認するため、反応後のNMRチューブにHClを 少量添加し、再度測定した。結果を次ページに示す。
150
0 1
2 3
4
0 1
2 3
4
10 20 30 40 50 60
0 20 40 60
結果、L-Alanineと同様に分解物はacetate anionであったと断定することができた。
以上の結果から、暗所において OH ラジカルの発生に伴って分解反応が起こっている可能性を強 く示唆したが、さらなる暗所での分解性能向上のため、二酸化チタンコア構造を調査することに した。つまり、XRDにて二酸化チタン部位がアナターゼの結晶構造を保持しているのかを調査し た。
5-3 焼結検討22)23)
二酸化チタンの構造については緒言に詳細を記載したため、割愛するが、目的であるanatase型結 晶構造を保持させるには一般的には焼結 (500 oC 1h) という操作を必要とする。しかし、ある文献 では、室温で1ヶ月間放置することでanatase型の結晶構造を有するようになったという報告も上 げられている。そこで、作製した3成分系ハイブリッドのXRDを測定した。
しかし、左図に示す測定結果を見ると結晶由来 シグナルが出ておらず、アモルファスになって いることがわかった。
ポリマーを添加することで結晶構造をとれない 可能性が考えられたため、ポリマーをいれてい ないTiO2/SiO2でも同様に測定したが、アモルフ ァスであった。
acetate anion (1.91ppm)
acetic acid (2.08ppm)
151
10 20 30 40 50 60
0 20 40 60
100 200 300 400 500
-40 -30 -20 -10 0
temperature ( ℃ )
重量損失 ( % )
そこで、一般的な焼結温度である500oC で1hで焼結したものを測定した。以下に結果を示す。
シグナル強度は低いものの、二酸化チ
タン anatase 型に由来するシグナルを
観測することができた。このことから、
室温でのsol-gel法で作製したハイブリ
ッド粒子はアモルファスになっており、
分解性能を向上させるには anatase 型 の結晶構造を有するハイブリッドを作 製する必要があると考えた。
ここで、PCPDT-SO3H の耐熱温度は、
150度程度が限界である。TGA曲線を 以下に示す。
このことから焼結を伴うsol-gel法でのハイブリッド作製では、ポリマーが分解する可能性を考慮 し、新たな手法にて二酸化チタンにポリマーを固定化する方法を検討した。
詳細は次の章にて記載する。
152
第 6 章
ハイブリッド型酸化チタンの作製:
アミド結合と機能発現
153 6-1 新規有機・無機ハイブリッド型二酸化チタンの作製検討
6-1-1 sulfonamide型ハイブリッドの作製25)26)
前章において、sol-gel 法で作製したハイブリッド二酸化チタンでは、コアとなる二酸化チタン部 位がアモルファスとなってしまい、低温においてはアナターゼ型二酸化チタンを作製できないと いうことがわかった。
そこで、コアに市販の二酸化チタン(Wako, anatase)を用いた方法により、新たなハイブリッド粒子 を作製することにした。そのスキーム及び、実験手順を以下に示す。
I
II
154
200 400 600 800
Wavelength (nm)
Step I run Core
g
APTES, g (mmol)
EtOHaq, mL
temp.,
oC
time, h
yield, g (%) 1 TiO2
2.0 2.5 (12) EtOH 95 mL, H2O 5 mL rt 2 2.1
2 TiO2
2.0 4.0 (18) EtOH 95 mL, H2O 5 mL rt 2 2.1
Step II run Core-NH2
g
PCPDT-SO3H, mg
DMT-MM g (mmol)
MeOH, mL
temp.,
oC
time, h
yield, g (%)
1 0.5
(5:4) 10 1.65 (6.0) 25 reflux 6 0.47
2 0.5
(2:1) 10 1.65 (6.0) 25 reflux 6 0.40
上記の違いは、コアに用いる二酸化チタンへの末端アミンの導入率である。しかし、当研究室に は、末端アミンの導入率を測定するための機材がなく、導入率はあくまで、仕込み比から検討す るしかなかった。参考文献では、Si NMR や、XPS を用いて表面アミン導入率を算出していた。
以下に、得られたハイブリッドのUV-visスペクトルを示す。
○UV-visスペクトル (固体)
UV-visスペクトルの結果から、APTESの比が大きければその分二酸化チタンにポリマーが固定化
できるわけではないことを示唆した。これは、残存のAPTESとポリマーが結合し、二酸化チタン run 1
run 2
155
200 400 600 800
Wavelength (nm)
に固定化される割合が減少する可能性に起因していると考えられた。末端アミンの導入すいつい ては、以下のような状態が存在する。
文献によると、60%の割合で(a)~(c)の状態で存在していると記載されていた。APTES の量が多す
ぎると(e)~(f)の割合が増加し、ポリマーが固定化できなくなる可能性がある。そのため、APTES :
TiO2 = 2 :1 よりも5 : 4の方がポリマーの含有率が高くなったと考えられる。続いて、ポリマー量
の検討を行うため、20 mg、30 mg含有ハイブリッドも作製し、以下にUV-visスペクトルを記載す る。
○ポリマー量比較
ポリマーの添加量に比例し、可視領域および近赤外領域の吸収が増大した。これは、二酸化チタ ンに含まれるポリマー量が増えたためである。また可視領域のピークトップがレッドシフトして
30 mg
20
mg
10
mg
0 mg
156
2500 3000
3500 4000
% T
Wavenumber (cm-1)
1000 1500
2000 2500
3000 3500
4000
% T
Wavenumber (cm-1)
1000 1500
2000 -NH
-NH
-NH
-SO2
いるが、これは、ポリマー含有量が増えたことにより、ポリマーが凝集することに起因している と考えられる。もしくは、二酸化チタンのアミン部位がポリマーの両末端と縮合してしまい、二 酸化チタン粒子の凝集による吸収スペクトルの増大とも考えられる。つまり、模式図に表すと以 下の通りである。
○IRスペクトル変化 (polymer 30mg含有)