No, TiO2
mg
solvent mL
polymer mg
dopant mg
6 400 50 (12)
10
18wt% PSS solution
40
7 400 50 PCPDT-C2H4COOH
10
18wt% PSS solution
40
○外部ドーパント添加コンポジット型酸化チタンのUV-vis スペクトル (固体反射)
・PCPDT-SO3H (12)を用いた場合
・PCPDT-C2H4COOHを用いた場合
PSSなし PSSあり
PSSなし
PSSあり
129
200 400 600 800
Wavelength (nm)
前ページに示したスペクトル変化から外部ドーパントとして、PSS を添加することで、近赤外領 域の吸収が増加することが示唆された。
また、以下にドーパントの量を変えたコンポジットでのUV-vis スペクトルの比較を記載する。
○ Polymer (12)のドーパント濃度の違いによるUV-visスペクトル比較
上記に示したスペクトル結果を見ると、PSS を固体で入れた場合、最も可視光及び、近赤外光の 吸収が大きいことがわかる。(赤色) また、PSS の含有量は多いほど吸光度が増加するわけではな く、40mgを境にし、吸光度は減少傾向、100mgを超えたあたりでまた増加することがわかった。
得られたコンポジット型TiO2は、PSSの含有量が増えるにつれ紫色から灰色へと変化し、見た目 からもドーピングを示唆する結果となった。
PCPDTでは、ドーピングされると、可視光の吸収は減少し、近赤外光の吸収が増加することが知
られている。今回、PSSを添加することで、これと同じ現象を確認することができた。
Polymer (12) PSS 70mg solid
PSS 100mg MeOH solution PSS 40mg MeOH solution PSS 70mg MeOH solution PSS 50mg MeOH solution
130 4-2 暗所における有機物の分解実験
4-2-1 (4-Chloro-2-methylphenoxy) acetic acid (MCPA) ( 3.0 mM in D2O)の分解実験31)
暗所における分解証明のために、農薬の成分として知られている MCPA の分解実験を行った。
MCPA の重水溶液に、作製したコンポジット型二酸化チタン、あるいは比較用の未修飾二酸化チ タンを添加し、暗条件下、室温で72h撹拌した。所定時間経過後、触媒をテフロンフィルターで 濾別してから1H NMRを測定した。その結果を以下に示す。
【使用した光触媒】
・PCPDT-C2H4COOH : コンポジット型TiO2 [i]
・PCPDT-C2H4COOEt : コンポジット型TiO2 [ii]
・CPDT-C2H4COOH : コンポジット型TiO2 [iv]
・PCPDT-SO3H : コンポジット型TiO2 [v]
・PCPDT-SO3H/PSS : コンポジット型TiO2 (PSS 40mg solution 添加して作製したもの)[vi]
・TiO2 (Wako, anatase) [vii]
Hybrid 粒子
撹拌子 スターラー
暗所
131 0
1 2
3 4
5 6
7 8
[i]
[iii]
0 1
2 3
4 5
6 7
8
0 1
2 3
4 5
6 7
8
[v]
0 1
2 3
4 5
6 7
8
[vi]
0 1
2 3
4 5
6 7
8
acetic acid
0 1
2 3
4 5
6 7
8
[vii]
0 1
2 3
4 5
6 7
8
[ii]
MCPA DSS
・反応終了後の1H NMR (500M Hz)
【分解物が観測できた光触媒】
・PCPDT-C2H4COOH : コンポジット型TiO2 [i]
・PCPDT-SO3H/PSS : コンポジット型TiO2 [vi]
上に示した1H NMRの結果からは、PCPDT-C2H4COOH : コンポジット型TiO2、PCPDT-SO3H/PSS : コンポジット型TiO2の2つの光触媒においてのみMCPAの分解物と思われるacetic acid由来のシ グナルを観測した。(図中の矢印:2.07 ppm)
文献においても同様にacetic acid由来のシグナルを観測しており、暗所においてもMCPAを分解 していることが示唆された。以下に分解スキームを記載する。
[iv]
132 文献による上記に示した反応スキームによりMCPAの分解が進行すると記載されており、1H NMR
より確認できたacetic acidはこのスキームと同様の分解反応が生じたと考えられる。
また、反応時間を短くし、24h、48hでも1H NMRを測定したが、分解物の観測には至らず、分解 速度が遅いことが示唆された。
・ドーパントとして添加したPSSに関して
MCPA の分解生成物が観測できた光触媒は、PCPDT-C2H4COOH : コンポジット型 TiO2 と
PCPDT-SO3H/PSS : コンポジット型TiO2であった為、ポリマーによって、PSSが逆に反応阻害し
ている可能性があることを示唆する結果となった。
[PCPDT-C2H4COOH:×、PCPDT-SO3H:○]
また、PSSの含有量ごとに種種のコンポジット型二酸化チタンを作製したが、同様のMCPAの分 解評価を行ったところ、ポリマー10 mgに対し、PSS 40mg solutionとして添加したものに関して 分解物であるacetate anion のシグナル強度が最も大きく検出された為、今後はこの触媒を用いて 分解実験を行うことにした。これより、ドーパント濃度が大きすぎるとTiO2へのエネルギー移動 が円滑に進行されない可能性を示唆した。
133
4-2-2 L-Alanineの暗所における分解実験32)
参考文献では、二酸化チタン(Degussa P25)に500Wの高圧Hgランプを用
いてUVを10h当て、L-Alanineの分解物の特定と分解機構についての見
解が述べてある。そこで、本実験では、光照射をせずに、参考文献と同 様の分解物の検出を試みた。
【使用した触媒】 【反応条件】 【測定装置】
・PCPDT-C2H4COOH/TiO2 [i] ・暗所 rt 24h ・500MHz 1H NMR
・PCPDT-C2H4COOEt/TiO2 [ii]
・PCPDT-SO3H/PSS/TiO2 [iii]
・TiO2 (Wako, anatase) [iv]
134
0 1
2 3
4
Alanine
DSS Acetic acid
[i]
[ii]
[iii]
[iv]
残存acetone
○ 24h後の1H NMRスペクトル結果
【分解物が観測できた触媒】
・PCPDT-SO3H/PSS/TiO2 : コンポジット型 [iii]
所定時間経過後のスペクトル結果より、L-Alanineの分解物であるacetic acidのシグナルが観測で きたのは、触媒[iii]のみであった。また、触媒[iii]に関しては、図中の紫色矢印で示した帰属不明 のシグナルをいくつか観測した。
他の触媒では、分解物を検出することはできなかった。
このことから、触媒[iii]に関しては、暗所においても分解活性有している可能性を示唆したが、ド ーパントとして添加したPSSが分解に影響している可能性も考えられた為、比較実験を行った。
以下に詳細を示す。
135
0 1
2 3
4 5
6 7
8 in D2O
○72h経過後のスペクトル
コンポジット[iii]を重水に添加した溶液のスペクトルからは、ポリマーの分解物と考えられるシグ ナルは観測されなかった。このことから、24h後に観測されたacetic acidはL-alanineの分解物と いえる。
ここに、参考文献に記載された分解機構を示す。
この機構からもわかるように、acetic acidはL-alanineの分解物として記載されており、文献にお いても1H NMRで検出されている。しかし、acetamide、acetaldehyde、formaldehydeなどの分解物 を今回の実験結果から確認することはできなかった。これは、分解物は随時分解反応が進行し、
その途中経過を1H NMRで観測しているにすぎない為、全ての分解物を検出できなかった可能性 が考えられる。続いて、別のアミノ酸である L-Cysteineの分解実験においても暗所での分解実験 を行った。
136
0 1
2 3
4
Cystine
DSS Cysteine
[i]
[iii]
[iv]
Acetic acid 4-2-3 L-Cysteineの暗所における分解実験33)
L-Alanineと同様に暗所での有機物の分解証明の為、同じアミノ
酸であるL-Cysteineで分解実験を行うことにした。
参考文献では、TiO2 (ST-01 : IshiharaSangyo Ltd.)にUV照射することで 酸化生成物であるL-Cystineが生成するという記載があった為、暗所に おいても同様の生成物や他に考えられる L-Alanine 同様の分解物の検 出を目的とした。
【使用した触媒】 【反応条件】 【測定装置】
・PCPDT-C2H4COOH / TiO2 [i] ・暗所、rt、24h ・500MHz 1H NMR
・PCPDT-SO3H / PSS / TiO2 [iii]
・TiO2 (Wako, anatase) [iv]
○24hの1H NMRスペクトル
137
【分解物を観測した触媒】
・PCPDT-SO3H/PSS/TiO2 : コンポジット型 [iii]
参考文献には、「Cysteineの酸化生成物であるCystineのシグナルはTiO2にUVを照射した場合の み観測できた」と記載されていたが、暗所、24h経過後のスペクトルからもCystineのシグナルが 観測できた為、Cystineのシグナルでコンポジット型の有用性、暗所における分解証明には至らな かった。しかし、L-Alanineと同様の分解生成物であるacetic acidのシグナルや多数の帰属不明シ グナルを観測することができた為、暗所における有機物の分解の可能性はより確かなものになっ たといえる。
4-2-4 Phenolの暗所分解実験8)
毒性及び、腐食性があり、皮膚に触れると薬傷をおこす。
水中にフェノール類がごく微量でも含まれていると、塩素処理の際、
クロロフェノール類を生成し、水に著しい異臭味をつけるため水道用 水源にとって厄介な問題となる。そのため、フェノールの暗所分解が できれば有用な材料となり得る。
【使用した触媒】 【反応条件】 【測定装置】
・PCPDT-SO3H/PSS/TiO2 ・暗所、rt、72h ・500MHz NMR
今までの分解実験で最も分解能があると考えられた触媒であるPCPDT-SO3H/PSS/TiO2を用いて実 験を行った。以下に詳細を記載する。
138
0 1
2 3
4 5
6 7
8
0 1
2 3
4 5
6 7
8
7 8
7 8
○72h後 vs Phenol単体
所定時間経過後のスペクトルからは、1.2~1.4 付近、6.9、7.2ppm に新たなシグナルを観測した。
特に 6.9、7.2ppm のシグナルに関しては、芳香環に由来するシグナルではないかと考え、分解物
の特定のため、様々な化合物のシグナルを測定し、比較した。また、市販の二酸化チタンに光を 照射し、同様の分解物が検出できるのか試した。(irradiation time 3h、6h)
以下に比較用のデータを記載した。
このスペクトルから、コンポジットの暗所で検出した分解物と二酸化チタンに光照射して検出し た分解物が同一のものか(6.9 ppm)判別するのは困難であったが、ほぼ同様のシグナルであった。
この結果は、暗所分解をさらに示唆するものであった。分解物の特定のため、測定した化合物を 次のページに記載しておく。
P-SO3H/PSS/TiO2 composite
Phenol Phenol
DSS
Acetic acid
0 1 2 3 4 5 6 7 8
Acetic acid
Phenol
composite
TiO2
139 ここで、有機物の暗所分解の可能性はより確かなものとなったところではあるが、作製したコン
ポジット型二酸化チタン [iii] に分解中にポリマーの微量の溶出があった為、sol-gel 法を用いて
polymerを二酸化チタンに結合させることにした。次の章で詳細を記載する。
140
第 5 章
ハイブリッド型酸化チタンの作製:
三成分系と機能発現
141 5-1 有機・無機ハイブリッド型二酸化チタンの作製検討23)24)
二酸化チタンと均一なハイブリッド粒子を得るために、以前から当研究室でも行われている
sol-gel 法に着目した。この場合、金属アルコキシドを用いるため、低温で無機物を有機物と均一
に混和することができるという面で非常に有用であり、表面に吸着させただけのコンポジット型 よりも有機物・無機物間でのエネルギー移動が円滑に進行すると考えた。
5-1-1 sol-gel法を用いた3成分系ハイブリッド型二酸化チタンの合成
チタンアルコキシド、π共役ポリマーを用いた 2成分系のハイブリッド粒子の作製は、当研究室 の森田が検討している。この方法においては、コアとして市販の二酸化チタンを添加しており、
コアの周りに二酸化チタンとπ共役ポリマーのコーティングをするというものであった。
しかし、このハイブリッド粒子中にはハイブリッド作製時のBuOHが残存しており、暗所におけ る有機物分解と考えられる分解シグナルも観測できないものであった。
本研究においては、カルボン酸含有PCPDTよりも自己ドープ性が強く、近赤外領域の吸収もより 大きなスルホブトキシ基含有PCPDT (PCPDT-SO3H) を用いて、sol-gel法を用いることにした。ま た、前章で述べた問題点であるポリマーの溶出を防ぐ手法、且つ分解能向上のため、チタンアル コキシドとポリマーの2成分系ではなく、TEOSを用いた 3成分系でのハイブリッドを作製する ことにした。この場合、チタナール(Ti-OH)基よりもシラノール (Si-OH)基の法が吸着力が強いた め、ポリマーをより強くトラップできること、またシリカが表面積を増加させ、分解能が向上す ることを期待した。
次のページに作製方法を記載するが、本研究で用いたチタンアルコキシドはオルトチタン酸テト
ラブチル[Ti(OBu)4] である。一般的に二酸化チタンを作製する際のチタンアルコキシドは
Titanium(IV) tetraisopropoxide [TTIP]を用いる場合が多いが、Ti(OBu)4の方が、縮合速度が遅いため、
より均一なハイブリッド粒子が作製できると考え、Ti(OBu)4を用いてハイブリッドを作製した。
また、溶媒には BuOHではなく、低沸点アルコールであるMeOHを用いることで、NMR評価に おいても分解物の検出が容易になると考えた。
以下に手順と、試薬の量をtableとしてまとめた。