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tropolone (TRN-h)

RossettiとBrusは8)ネオンマトリックス中の蛍光励起スペクトルを測定し、

0-0バンドのトンネリング分裂幅を測定した。 さらに、 彼らはプロトン移動座標 Rに関する二重極小ポテンシャル曲線を関数

VCR)=ACR4-BR2)

で近似し、 X線結品解析による水素結合距離の値を基にして励起状態のポテンシ ャル障壁の高さを497""" 1708cm-1の範囲に見積もった。

トロポロンのプロトントン ネリングを研究するために非常に有力な助けにな ったのは、 超音速ジェ ット分光法の登場である。 超音速分子流は分子の高圧気

体を小径のオリフィスを通して高真空中に噴射することによって形成される。

この過程で分子の振動、 回転温度は断熱冷却される。 さらに、 希ガスマトリッ - 4

-第3章 実験装置

蛍光励起、 および蛍光発光スペクトルの測定は、 すべて超音速ジェ ット中の 分子に対して行った。 超音速分子流は図3-1に示すような真空漕中に高圧の分子

気体を噴出させることにより形成され、 分子は孤立かつ振動、 回転冷却された 状態になる1 )。

図3-2 に本研究で用いた超音速ジェ ット分光装置のブロ ック図 を示した。 装置 は分子流を噴出するパルスノズル、 励起用のパルスレーザ一、 および蛍光また はイオンの検出系からなる。

これらはすべてマイクロコンビュータCNEC PC-9801)のプリンタ端子から出力 されるトリガパルスによって同期される。 トリガパルスによってノズル駆動用 のパルス発生器がパルス電圧を発生する。 これは実験条件によって多少変化す るが、 およそ電圧50V 、 パルス幅100μsに調節した。 ノズルは自動車エンジン用 の電気式燃料噴射ノズル(ホンダ16450-PDI-023)を改造したもので、 0.3mmの試 料噴出用のオリフィスを持つ。

図3-1に試料が準備されるノズルハウジングと試料が噴射される真空漕を示し た。 ハウジング内の試料はコイルヒータによって熱せられ、 気化する。 ハウジ

ング内にはHeがキャリアガスとして導入される。 背圧はHe圧によって調節され る。 真空漕は6 、10インチの2つの拡散ポンプで排気され、 ノズルを約3Hzで動作 させた場合の真空漕内の圧力は4---6x 10-6Torrである。 ノズルハウジングは前

後に可動であり、 ノズル先端とレーザ一光の光路との距離を調節することが可 能である。

真空漕内に噴出された試料はN2レーザCMolectron UV2 2)励起の色素レーザ CMolectron DLI4P;FiHM 0.7cm-1)によって励起される。 N2レーザはノ守ルスジェ

HelNLET

PHOTOMULTIPLlER ION DETECTOR

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DIFFUSION PUMP

超音速分子流を形成するための真空漕とノズルハウジング.

27 図3-1

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図3-2 装置のブロック図.

光, 分子線の流れを表す。

実線矢印, 鎖線矢印,

PULSED NOZZLE

治担』 POWER METER

:\

\

宇 、

PHOTOMULTIPLIER,

点線矢印は, それぞれ, 信号,

ネレータの遅延回路により、 ノズルの開き始めから1---2ms後にレーザ一光が出 力するよう調節する。 この遅延時聞は信号強度に大きく影響する。

レーザ光によって励起された試料の蛍光は、 光電子増倍管〈浜松本トニクスR955) で検出する。 蛍光励起スペクトルを測定する場合には全蛍光を検出しながら色

素レーザを走査する。 一方、 蛍光発光スペクトルを測定する場合には色素レー ザを励起スペクトル中のあるバンドの波長に固定し、 蛍光発光を回折格子分光 器(Spex 1702. O. 75m)を用いて分光し、 光電子増倍管(R955)で検出する。

電子増倍管、 光電子増倍管で検出されたイオン、 蛍光信号パルスはlk Qの終 端抵抗を通して電流から電圧信号に変換され、 デジタルストレージオシロスコ ープ(Philips PM3323)上にモニターされる。 オシロスコープのトリガのタイミ ングはレーザと同時である。 デジタルストレージオシロスコープの画面上に表

示されるパルスは、 デジタル信号に変換され、 メモリに保存される。 信号強度 を最もよく反映しているメモリ区間を選び、 データをコンビュータに転送する。

オシロスコープのコントロ ールおよびオシロスコープからパソコンへのデータ の転送にはGP-IBイ ンターフェイス(IEEE488規格)を用いた。

参考文献

( 1 )土屋荘次編, "レーザー化学\ 学会出版センター, 東京. (1984).

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4

超音速ジェ ット中の5ーブロモトロポロンおよび5ークロロトロポロンの 電子 スペクトル

~対称的な置換がプロトントンネリングに与える影響~

4 - 1 序論

第1章で述べたように、 トロポロン (TRN-h)のプロトン移動に関するポテンシ

r、� ,、〆

ャル曲面 はSo(X1A1) 、 SI(A1B2)状態で対称二重極小ポテンシャル関数によって 表される。 多くの分光学的研究により、 s。、 SI状態のトンネリング分裂幅はそ

れぞれ0.99cm-1(29292MHz)1ヘ19.92cm-1 1・2 )と求められている。 一方、 単純 な一次元のモデルによると、 s。、 Sl状態のポテンシャル障壁の高さは5890 、 4690cm-1に見積もられている8 )。

TRNの七員環に電子供与性または電子吸引性をもっ置換基を導入した場合、 分 子の幾何学的構造や二重極小ポテンシャル面の形状は変化することが予測され る。 TRNやマロン了肘· tト・(MA)の誘導体において水素結合に対する置換基の影響は赤

外領域に観測されるOHの振動数を解析することにより研究されてきた4-6 )。 し かし、 溶液中の赤外スペクトルでは、 バンド幅が広いことや溶媒による摂動が 存在することから、 プロトントンネリングを観測することは困難である。 これ に対し、 超音速ジェ ット中 では孤立分子 状態が達成される ためトンネリング分 裂に関してより直接的な情報が得られる。 本章では、 七員環のプロトン移動に 関して対称な位置である5位にそれぞれBr原子 、 Cl原子 を導入した5BTR-h と

5CTR-hのスペクトルを測定した結果について述べる。 対称な位置に置換基を導 入した場合、 二重極小ポテンシャル関数は対称に保たれる。 したがって、 トン

ネリング分裂幅から、 ポテンシャル障壁の高さおよび帽に対して置換基が与え る影響を直接解析することができる。

5位にこれらのハロゲン原子を導入した場合、 水素結合の強度に大き な影響

を与え、 トンネリング分裂幅が大きく変化することが予想されるo MAにCl原子 を導入した誘導体についての実験6)および理論計算7 )は、 Cl原子が電子吸引性 を持つために分子内水素結合の強度が弱まるという結果を与えている。 逆に、

MA 6)や9ーヒドロキシフェナレノン(9HPO)8)に電子供与性のメチル基を置換し た場合には分子内結合が強まると報告されている。 このようなことから、 七員

環に置換されたハロゲン原子が電子を吸引し、 カルボニル酸素原子の電荷密度 を減少させるために水素結合が弱まることが予想される。 その結果、 ポテンシ ャル障壁の高さ、 あるいは幅が増加し、 5BTR-hや5CTR-hのトンネリング分裂幅 は TRN-hに比べて減少することが予想される。 このような予測に反し、 観測さ

れたトンネリング分裂の大きさは、 5BTR-hでは少し減少したが5CTR-hでは逆に 増加した。 これらの結果から、 水素結合強度にはハロゲン原子の持つ電子供与 性による寄与が大きいことが示唆される。

Br 5BTR-h

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