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区別

シップ

清成忠男・中村

1 秀一郎・平尾光

中小企業庁

中村秀一郎

.○

2

清成忠男

0

百瀬恵夫

日本経済新聞杜

松田修一

3 山川晃治

O

森谷正規・藤川彰一

総合研究開発機構

 (2) 起業家的マーケティングを内包するベンチャー指向型企業戦略

 このような背景を持って登場した起業家的マーケティング(entrepreneurial marketing)であるが、イアン・チャストンは、それを定義して、 「新たな解決 方法の開発過程の全てを通じて、確立した市場慣行に挑戦的な哲学を採用する個 人あるいは組織によって示される(マーケティング)行動」17であるとしている。

 また、ジェラルド教授は、前言に引き続いて起業家的マーケティングの性格を 説明し、「マーケティングとアントレプレナーシップは両方とも、企業がビジネ スを行うための哲学や基本的な指向性、あるいはビジネス・リーダーがアントレ プレナーシップとマーケティシグを実行するために使われる概念や方法である

と定義されるであろう。指向性に関する研究によって、マーケティング指向と企

乱6Bjδrn Bjerke, Claes賦 Hultman. oP. cit.,P. vi−vh・

17@1an Chaston, MV7】}ZE)?WWUeiAL磁4㎜}〜「G, MACMILLAN PRESS LTD, 2000, p. vi.

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業業績の関係が裏付けられている。そしてまた、起業家的指向性と業績の間にも 肯定的な関連が確認された。しかしながら、最も特筆すべきことは、マーケティ ングと起業家的指向を結びつけることによる発見である。マーケティングと起業 家的指向は共に、業績に対してさらにより強い関係があることが明らかになって きた。」18として、起業家的指向性とマーケティング指向との結合による企業業 績への肯定的な関連を指摘している。

 このような観点によれば、まさに筆者の主張するところの、ベンチャー指向型 企業19の遂行しようとするマーケティング戦略こそ、起業家的マーケティングで あるといえよう。

 しかし、起業家的マーケティングの独自の視点として後述するように、「イン スピレーション」という、従来のマーケティング理論には含まれていない概念を も含む起業家的マーケティングに対しては、「従来のマーケティング原理を超え た特別な才能、ひらめき、直感がすべてであって、それらはマーケティング研究 の範疇に入らないものである」、という見解があることも予測される。例えば、

「ビル・ゲイツやアニタ・ロディックなどのように成功した直感的な発明家や起 業家のイメージとして、かれらのベンチャーはマーケティング活動を計画しリー

ドすることに関して、構造的な分析ツールの適用にはあまり多くの関心を持つこ となく設立された。」2°のであって、彼らはマーケティング活動の定石どおりに 行動したわけではなかった。したがって、それらはマーケティング研究の範囲外 の行動である、というのが予測される見解の一例である。

 しかしながら、こうしたベンチャー指向型の企業が採用するマーケティング戦 略を説明するには、その成功の原因を、起業家的な人達によって発揮された創造 的で直感的な、ある意味では天才的な才能に帰し、理論的研究の範疇から除外し てしまうことは、現実的なビジネス活動の研究の本質に迫ることを放棄すること にもなりかねない。ビジネス活動の研究は、結局のところ企業の「行動」と、そ の根底にある考え方の研究に主眼を置いているのであって、当該企業の創業者や 最高責任者、および彼らが率いる組織を研究対象としているのにも関わらず、一 個人の「特別な才能、ひらめき、直感」が単に優れていたから成功したのである、

ということだけで結論付けるわけにはいかないのである21。

 そこで、伝統的なマーケティング戦略と、才能や直感の間にある断絶を埋める

「起業家的マーケティングの行動原理」を明らかにする必要が生じてくる。つま りそれは、起業家的マーケティングの中心概念となるところの、「従来の市場慣

18Bj6rn Bjerke, Claes M, Hultman, oP. cit. P. vi.

亘9拙稿「ベンチャー企業研究のための若干の整理」『明治大学商学論集第ro号』明治大学大学院,1998年。

20 1an Chaston, oP. cit., P, vi.

2且このような考え方、すなわち起業家に対する「形質アプローチ」の限界については、皿章を参照のこと。

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行に挑戦し、イノベーションを追い求め、新たな解決方法を模索する一連の行動 原理」を明らかにすることである。

 それには、マーケティング研究の新しい視点として「起業家的マーケティング 戦略=ベンチャー指向型企業戦略に内在するマーケティング戦略」と規定し、こ れを検討することによって、ベンチャー指向型企業戦略の基礎を成すマーケティ

ング戦略が求める行動そのものの輪郭をより明確にする必要がある。

 ここにベンチャー指向型企業戦略硬究の新たな視点として、起業家的マーケテ ィング研究の重要性に注目する必要が存在するのである。

 (3)起業家的マーケティングの目指すもの

 米国に限らず、日本をはじめとする成熟した市場経済体制にある国々における 近年のビジネスにおいては、情報化の飛躍的な伸展を契機とする技術的、社会的、

政治的、経済的変化や、さもなければ顧客あるいは競争パラダイムの転換などの 変革に直面している。ところが、それにも拘わらず大多数の企業は、前述のジェ ラルド教授が指摘するように、「いまだにその問題を直視せず、伝統的な解決策 に執着している。」22のではないかと思われるのである。それに対して、起業家 的マーケティングは、新しい時代に適合した理論を構築し、新しい時代の問題解 決に役立つことのできる解決法を明らかにしようとするものである。

 ただし、繰り返すが、起業家的マーケティングの研究は、過去からのマーケテ ィング研究の実績と、そこから導き出された基礎を決して否定するものではない。

それは、サービス・マーケティングやインダストリアル・マーケティングが、大 量消費、大量販売の消費財を中心に研究されてきた、いわゆる主流のマーケティ ング研究では目の行き届かなかったところに焦点を当て、あるいは別の角度から も観察することによって、既存のマーケティング理論では説明しきれない部分を 補うものとして、研究されてきた23ことと軌を一にするものである。

 そのため、起業家的マーケティングが主流のマーケティング理論の補完をする ために、今日のダイナミックなビジネス環境により適合した理論とするべく、実 務的な理論の基礎的要素を部分的に修正し、さらに新しい概念を加える必要もあ

ることと思われる。

 筆者は、マーケティング活動は本来的にイノベーション行動の連続である24と

22Bjδrn Bjerke, Claes M. Hultman. oP, cit. P. vi.

・31an,hast。n&t。rry Mangles, s・na!! businθ∬m・rk・加8襯・・脚・nt, PALGRAVE,2002, PP・1−2・「1970 年代と80代において、サービス産業や産業財市場における企業の観察によって、従来型のマーケティングがある 特定の市場状況に適用できないかもしれないことが示唆されたのである。〈中略)小規模の企業の研究はまた、

伝統的なマス・マーケティング理論の非適用性inapplicabilityを明らかにし、そして起業家的マーケティン グとして知られている代替的哲学の出現につながったのである。」

24Eugene J. Kelly and Wi lliam Lazar, Uanageria!Markθting, third edition, Richard D・ Irwin Inc・・ 1967・

片岡・村田・貝瀬共訳『マネジリアル・マーケティング』上巻,丸善株式会社,268頁。1971年「マーケティン

考えている。一例にしか過ぎないが、小売機関の発展史25を見てみれば、マーケ ティングの実践は、まさにイノベーションの連続、積み重ねによる発展であった ことが理解できよう。

 近代的小売業態の始まりとされる百貨店は、世界初の百貨店としてパリに1852 年に開店したオー・ボン・マルシェであり、店名のフランス語が、「安い値段で」

という、その性格を明確に示しているように当初は安売り店として登場したので ある。安く売るための技法としての第1は、大量販売であり、大規模店舗に豊富 な品揃えをし、正価販売で駆け引きの手間をなくし、買った商品に不平のあると きは、返品・返金を保障するという商法で、それまでの小売業では考えられなか った多数の客を引きつけ、商品回転率を上げて安価で販売することを可能にした のである。また、次に登場するモンゴメリー・ウォードやシアーズ・ローバック による通信販売は、長期的視野に立った商品企画力の確立というイノベーション によって発展し、通信販売店の次に、1920年代に最盛期を迎えたチェーン・スト アでは、現金・持ち帰り制などのサービスの制限、統一的経営管理、商品回転率 の高さによる、内部的要因のイノベーションによって、アメリカでは、スーパー マーケット出現以前のこの時点で、すでにチェーン経営の技術をほとんど完成し たのである。このチェーン・ストアはまた、プライベート・ブランドの開発とい うイノベーションにも成功している。このあと1931年にスーパーマーケットが出 現して、セルフサービスというイノベーション的なシステムを開発し、1936年以 降、チェーン・ストアがスーパーマーケットに転身することによって、この両者 のすぐれた技術が合体されたのである。1950年代にはディスカウント・ハウスが その盛期を迎え、食品中心のスーパーマーケットを、もっと扱い品種を拡大した 形で発展させたのである。

 このような小売業形態の発展史に限らず、生産技術のイノベーションによるさ まざまな産業分野での製品自体のイノベーションはもちろんのこと、軍事用技術 であった無線技術の民需化である、ラジオ放送の開始によるセールス・プロモー ション活動のイノベーションなどの、マーケティング手法のイノベーションや、

物流インフラの整備と情報技術の発達を組み合わせた物的流通機構のイノベー ションなど、マーケティングの歴史の中では、これまでも多方面において「イノ ベーション」は起きている。そして、それらのイノベーションの影には、個人で あるのか、あるいは組織的活動であるのかの違いこそあれ、何らかの革新者が存 在したはずである。ところが、「マーケティングは、本質的に起業家的な活動で あると特徴付けられるであろうが、しかし、マーケティングを専門化し、そして

グ・イノベーションは二つの主要な領域において現れる。L製品とサービスの発展、2.マーケティングの過程 の促進」

25 ソ永豊『アメリカの流通業の歴史に学ぶ』中央経済枕1992年に詳しい。

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