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一29一

 表13の3段階になる前となった後の楽しさ得点の平均値の差 が検討された.その結果, 「自主性」, 「達成」, r個人欲求充 足」は3段階以前と到達後において有意な差が認められた. 「人 問関係」においては有意な差が認められなかった.

 以上の結果から, ドリブル技能段階表で3段階になると3段階 以下の時より,楽しさ尺度の「自主性」, 「達成」, 「個人欲求 充足」,3因子の得点が高くなったといえる.

 以上, (1), (2)の結果から,ワンドリブル技能段階表で

3,4段階になった児童は1,2の段階の時より,楽しさ得点が

高くなったことが認められた.

5) 仮説の設定

   第2章で検討して得た主な結果は次に示したとおりであ

る.

(1) 6時間目におけるワンドリブルの使用できた児童の   ワンドリブルのタイムは,3段階に位置し,また,個   人遣のワンドリブルが使用できない状態からできる状   態に変化する時のワンドリブルのタイムも3段階に位   置した.

(2) パスゲームと比べると,ワンドリブルを使用するこ   七によりパスゲームや連続ドリブルを可としたゲーム   の欠点を克服し作戦は容易になった.また,ワンドリ

  が増加し多様化した.

(3) ワンドリブルの使用後に楽しさ得点「自主性」,

   「達成」, 「個人欲求充足」の3因子が高くなった.

(4) ワンドリブル技能段階表で3,4段階になった児童   は1,2の段階の時より,楽しさ得点が高くなった.

 これらの4つの結果から,次に示す3つの仮説を設定した.

 仮説1は, (1)の結果から,ワンドリブル技能段階表で3 段階以上であれば,ゲームで使用することができる,と設定し

た.

 仮説2は, (2)の結果から,ワンドリブルを使用すること により,作戦の遂行が容易になり作戦が多様化する,と設定し

た.

 仮説3は, (3), (4)の結果から,ワンドリブルを使用 し作戦が成功することによ.って,楽しさの深まりが可能になる と設定した.

一31一

第4節 要 約

 本章は,バスケットボールのドリブル技能を測定するための技能 段階表を作成し, ドリブル技能段階表の妥当性,信頼牲の検討 を試 み,ドリブル技能段階と作戦・楽しさとの関連を検討し,仮説を設 定することを目的とした、

 ドリブル技能段階表を作成するために,ドリブル技能の測定種目 を選定し,どの程度のドリブルであればゲームで使えるのか,ドリ ブル技能の段階を明確にした.また, ドリブル技能と作戦の成功,

作戦の遂行,楽しさとの関連性はどうかを調査するために仮説設定 の授業を実施した.

 表3に示したワンドリブル技能段階表は,信頼性,妥当性とも認 められ,3段階以上になると36%以上の確率で成功した.

 仮説設定の授業の結果,

<仮説1>

  ワンドリブル技能段階表で3段階以上であれば,ゲームで使用  することができる.

〈仮説例2>

  ワンドリブルを使うことにより作戦の遂行が容易になり作戦が

 多様化する.

<仮説例3>

  ワンドリブルを使用し作戦が成功することによって,楽しさの  深まりが可能になる.

第3章 バスケットボールにおける楽しさ体験の仮説の実証       一研究2一

第1節  目 的

 北出ら8}山田ら2 ll)は,技ができ技能がのびることによってより 楽しさ体験が増すことを報告している.また,高橋:り は「生涯ス ポーツをめざす体育授業においては,情意的な目標は大切にしなけ ればならない.しかし,これは常にめざすべき方向であっても,中 心的な学習内容にはなりえない.中心的で具体的な内容になるのは,

運動技術であり,これに関連した社会的行動や認識である.大切な ことは,運動への志向性(情意的目標)に肯定的に働きかけるよう な運動技術の学習のさせ方であり,運動技術のさせ方である」と述

べている。

 バスケットボールは,パスやドリブルを使って攻め,シュートを して得点を競い合うことを楽しむ運動である.この中のドリブル技 術を学習内容として取りあげ,その技能を向上させることによって 楽しさ体験に変化をもたらすことが可能であると予測できる。

 そこで,本章では,第2章でたてた,仮説1,ワンドリブル技能 段階表で3段階以上であれば,ゲームで使用することができる.仮 説2,ワンドリブルを使うことにより作戦の遂行が容易になり作戦 が多様化する.仮説3,ワンドリブルを使用し作戦が成功すること によって,楽しさの深まりが可能になる,の3つの仮説を実証する ことを目的とした.

33 一

第2節 方 法

 第1項 実証授業実施計画 1)調査対象

 大阪市立南大江小学校 1クラス 男女27名 2)実施月

 平成5年10月

3)方法

 (1) 全10時間バスケットボールの授業を表14に示した単

    元計画にそって実施した.

 (2) 3時間目まではパスゲームとし,4時間目からワンドリ     ブルを用いたゲームとした,

 (3) ゲームでのワンドリブル失敗,成功場面をVTRにより

    録画した.

 (4) 北出81の作成した楽しさ尺度による楽しさ体験の調査を     行った. (2,4,6,8,10時間目終了時)

 (5) ワンドリブルの練習は,毎時間5分間始業直後行った.

 (6) ワンドリブルのタイムの測定を(2,4,6,8,10

    時事目授業時)行った.

4)分析指標

 (1) ワンドリブルのタイム.

 (2) ワンドりブルの成功例,失敗例の抽出.

 (3) 楽しさ尺度による楽しさ得点.

   これらの指標を用いて,個人と集団の変化の比較検討した.

表14.単元計画(全10時間)

時間 1  2  3 4  5  6  7  8 9  10

ゲーム1 ゲームH ゲーム血

学  習  目 標

『あいたチャン

Xをついて攻

゚る.

相手のすきをついたり,

謔「位置への移動をしコ 塔rネーションプレーを ンにつける.

バスケットボ [ル大会をす

驕D

作戦の確認と練習・ワンドリブルを T分間練習する.

       〈5分ゲーム〉

ホ抗戦 1    リーグ戦     1トーナメント

.__L..     .__

10

Q0 − R0

S0

作戦の工夫と練習        〈5分ゲーム〉

ホ抗戦 1    リーグ戦     iトーナメント    ■       _________一

反省と課題づくり

…☆i…☆一☆il☆}1☆

一一.L__,._

 一 P…一

@1 1★口★一★r一一★

☆:ワンドリブルのタイムの測定時間

噤F楽しさ尺度に必要事項を記入させた時間

一35一

  第2項 対象授業実施計画 1)調査対象

 尼崎市立成徳小学校5年生(パスを用いたゲーム),尼崎市立武 庫東小学校6年生(連続ドリブルを用いたゲーム),大阪市立南大 江小学校5年生(ワンドリブルを用いたゲーム),

      各1学級  男女81 名 2)実施月

 平成5年10月

3)方法

 (1) 全10時間バスケットボールの授業を表15に示した単

    元計画にそって実施した.

     ゲームの時間と回数は両校とも実証授業校と同じとした     しかし,ゲームの運営,ルール,練習等については,各校     の指導者に一任した.

 (2) 3,6, 10時間目終了時に,楽しさ尺度に必要事項を

    記入した.

 (3) VTRや学習ノートにより,各ゲームでの長所・短所を

    見いだした。

 (4) 各ゲームと楽しさの関連を検討した.

4)分析指標

 (1) 楽しさ尺度の楽しさ得点  (2) 楽しさ尺度の楽しさ体験率

    これらの指標を用いて,3校の比較検討した.

表15.武庫東小学校,成徳小学校の単元計画(全10時闘)

時聞   1 2 3 4  5  6  7  8 9   10

ゲーム1 ゲームH ゲームHI

作戦の確認と練習

     〈5分ゲーム〉  バスケットボ

ホ抗戦  }   リーグ戦     一ル大会

試しのゲ}ム

作戦の工夫と練習

     〈5分ゲーム〉   バスケットボ

ホ抗戦  i   リーグ戦    1一ル大会   1

反省と課題づくり

;☆i【i☆1口  i☆

}★lii★1};  1★

☆:楽しさ尺度に必要事項を記入させた時間

噤FVTR撮りした時間

 第3節 結果及び考察

  第1項 ワンドリブルの使用と技能段階との関係

 全7時問の授業中のゲームにおいて成功したワンドリブルの回数 と,ワンドリブルの技能段階の関係を表16−1に示した.

一37一

表16−1.ドリブル技能段階表での各段階での成功数

イ  ム (秒) 成功数(回数)

4 4。 2以下

77

3 4. 3〜5. 1

167

2 5. 2〜5. 9

25

1 6. 0以上 1

 表16−1の結果より,ワンドリブルは仮説授業と同じようにど の段階においても使用されていることが認められる.また,3段階 以上になると全成功数の90%以上の割合を示した.

 表16−2には,ワンドリブルをゲームで使用できた児童を対象 として,成功前と成功時のワンドリブルのタイムの平均値の差を比 較した結果を示した.

表16−2.使用前と使用時のタイム

平均 使用前 1

使 用 後

M 5.8秒 i 5.0秒 ㍑

SD

0.651 i   き

0. 381

N ・3  ! 13

 この結果,ワンドリブルの成功前と成功時のタイムにおいて有意 な差が認められた.また,成功時のワンドリブル技能段階は,3段

階にある.

これらの結果から,ワンドリブルのタイムが3段階に到達すること によって,ゲームにおいてワンドリブルを使用し,成功できると解 することができる.

 また,1,2の段階においても使用できているのは,対敵動作の ない中や対戦相手の動き方や技能レベルの相違によって,ワンドリ ブルが成功していると思われる.このことは,ワンドリブルの場合,

1回のドリブルでありボールの軌跡の予測がしゃすいことと,ボー ルをただちに両手で捕球することによって,ボールを見ないでもワ

ンドリブルが可能になっているからだと思われる.宮丸ら10 ]iは,

幼児のボールバウンシング技能のパフォーマンスは経年的に向上し,

特に5歳と6回忌著しく増大したと報告している.このことから,

小学5,6年生においてワンドリブル技能を全員の児童がみにつけ ることが可能であることを示唆している。特に,ボールを見ないで ワンドリブルし,相手の動きや味方の動きに注意を集中できること は,バスケットボールの場合は,きわめて重要な技術である.

 以上のことから,仮説1の「ワンドリブル技能段階表で3段階以 上であれば,ゲームで使用することができる」は,証明されたと考

える.

一39一

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