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Legendre 陪関数:m 6 = 0 の波動関数

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第 9 章 物理量と期待値 67

16.4 Legendre 陪関数:m 6 = 0 の波動関数

となる。Lzの固有値がm¯hである状態は因子eimφを持っているのだから、その状態にかかる時には Lzの中の

∂φimに置き換えられることになる。つまり、Lzの固有値がm¯hから(m+ 1)¯hに変わ る時に作用したL+は、

L+

¯¯

¯¯m

m+1

= ¯he

Ã

∂θ −mcotθ

!

(16.84) と書ける。

ここで微分演算子の関係として、

à d

−mcotθ

!

f(θ) = sinmθ d

µ 1

sinmθf(θ)

(16.85)

が成立することに注意する。 d

µ 1 sinmθ

=−m cosθ

sinm+1θ ということに気をつけれれば上の式が成立 することはすぐわかる。これを使うと、

L+

¯¯

¯¯m

m+1

= ¯hesinmθ d

µ 1 sinmθ

(16.86)

である。さらに 1 sinθ

d = d

dx と、sinθ =

1−x2を使って、

L+

¯¯

¯¯m

m+1

= ¯he(1−x2)m+12 d dx

à 1

(1−x2)m2

!

(16.87) と書ける。

L+

¯¯

¯¯m+1

m+2

L+

¯¯

¯¯m

m+1

= ¯he(1−x2)m+22 d dx

à 1

(1−x2)m+12

!

¯

he(1−x2)m+12 d dx

à 1

(1−x2)m2

!

= ¯h2(1−x2)m+22 d2 2

à 1

(1−x2)m2

!

(16.88) のように、L+をどんどんかけていくと、(1−x2)なんとか2 の因子は一個ずつ消しあっていく。よって、

L+

¯¯

¯¯m

1m

L+

¯¯

¯¯m

2m1· · ·L+

¯¯

¯¯1

2

L+

¯¯

¯¯0

1

= ¯hmeimφ(1−x2)m2 dm

dxm (16.89)

とまとまる。同じようにP`(cosθ)Lをどんどんかけていけば、

L

¯¯

¯¯

m+1→−m

L

¯¯

¯¯

m+2→−m+1· · ·L

¯¯

¯¯

1→−2

L

¯¯

¯¯0

→−1

= ¯hmeimφ(1−x2)m2 dm

dxm (16.90) となることはすぐわかる。

まとめると、mが−`≤m ≤`の範囲で変化するとして、

P`m(x) = (1−x2)|m2| d|m|

dx|m|P`(x) (16.91)

という関数が|~L|2Lzの同時固有関数(|~L|2の固有値がh`(`¯ + 1)、Lzの固有値がm¯h)θ依存部 分であることがわかる。P`m(x)をLegendre陪関数と呼ぶ。m = 0はLegendre多項式P`(x)と一致 する。

16.4. Legendre陪関数:m6= 0の波動関数 169 ここで、mの最大値が`であることを確認しておこう。もしP``+1(x)という関数が存在するとす れば、

P``+1(x) = (1−x2)`+12 d`+1

dx`+1P`(x) (16.92)

のような形になるわけだが、P`(x)はx`次の多項式なので、上のように`+ 1回微分すれば答えは 0である。つまり、P``+1(x)は存在できない。よって最初の予想どうり、mの最大値は`である(最小 値が−`であることも同様)。

低い次数でのLegendre陪関数を書いておくと、

P11(x) =

1−x2, P21(x) = 3x

1−x2, P22(x) = 3(1−x2), P31(x) = 3 2

1−x2(5x21),· · · (16.93)

のようになる。三角関数で表せば、

P11(cosθ) = sinθ, P21(cosθ) = 3 cosθsinθ, P22(cosθ) = 3 sin2θ, P31(cosθ) = 3

2sinθ(5 cos2θ−1),· · · (16.94) のようになる。

P (cos )10 θ [ ]P (cos )11 θ 2 [ ]2

Legendre陪関数には、mが等しい場合について、

Z 1

1

dxPnm(x)Pnm0 =δnn0

2 2n+ 1

(n+m)!

(n−m)! (16.95) という直交関係がある。n6=n0で答えが0になるのは、異なる固 有値に属するからである。なお、mが等しくない場合はφ積分の 方で直交してしまうので、θ積分(x積分)の方は直交しなくても 問題はない。

P (cos )20 θ

P (cos )21 θ

P (cos )22 θ

[ ]2

[ ]2

[ ]2

Pn(cosθ)の時と同様に、

原点からの距離がその角 度方向の確率密度である ようにして書いたグラフ が左の一連の図である。

P10, P11およびP20, P21, P22 の自乗が示されている。m が大きくなるほど角運動 量が大きいので、波動関数 はより「外」つまり赤道部 にひっぱられている様子が グラフで確認できる。また、mが大きくなるほどこのグラフに現れる「波の山」の数が減っている が、その分、グラフに現れていない回転方向の「波の山」は増えている。

三次元的な絵にしたのが以下の図である。くどいようだが、この図の原点からの距離は「本当の距 離」であるrではなく、「|θ方向の波動関数|2」であるので、その点を勘違いしないように!

=0

m=0 =1

m=0

=1

m=1 =2

m=0 =2

m=1

=2 m=2

結局、|L~|2の固有値が¯h2`(`+ 1)でLzの固有値がm¯hであるような状態は、

Y`m(θ, φ) = (1)m

vu ut

Ã2`+ 1 4π

!(`−m)!

(`+m)!P`m(cosθ)eimφ (16.96) と書ける。前についている係数は規格化などのためにつけたもので、あまり深い意味はない。この Y`mを「球面調和関数」と呼ぶ。球対称な3次元問題を考える時は、解は球面調和関数を使って表現 すると便利なことが多い。

なお、ここでは伝統的手法にしたがって(ルジャンドル多項式も学習しておきたかったので)、m= 0 の状態を表すPn(cosθ) を求めてからそれをL±で上げたり下げたりしてm 6= 0の状態を作ったが、

もう一つの方法として、m=`、すなわちLzが最大の状態から出発するという方法もある。その状 態はL+ψ`= 0を満たす。Lzの固有値が`¯hなので、ψ` =ei`φf(θ)とおいて、

L+ei`φf(θ) =e

∂θ +icotθ

|{z}∂φ

i`

ei`φf(θ) = ei(`+1)φ

à d

−`cotθ

!

f(θ) = 0 (16.97)

という式を解く。f(θ)に関する部分を取り出して解けば df

= `cotθf df

f = `cotθdθ

logf = `log(sinθ) +C f = Asin`θ

(16.98)

が解である。よって、P``(cosθ) =Asin`θということがわかる。後はこうやって作った`` =Asin`θei`φ に次々と(Y``に達するまで)Lをかけていけばよい。

[問い16-5] Y``で表される状態について、Lx, Lyの期待値が0になることを示せ。

(hint:L+, Lをうまく使おう)

[問い16-6] 同じく、(Lx)2,(Ly)2の期待値を計算せよ。

以上で、波動関数を|~L|2Lzの固有値で分類するという作業が終わったわけであるが、ここで、

「z軸などというものは人間が勝手に定めたものであって、どんなふうに座標軸を取ろう が物理は変わらないはず。それなのにその座標軸方向の角運動量であるLzの固有値で状 態が分類される(量子化される)のは何か変だ」

16.5. 3次元球に閉じ込められた粒子 171 と感じるかもしれない。これはもっともな疑問であって、たとえばLzではなくLxの固有値を使って 状態を分類してもよいはずである。もちろん、 1

2(Lx+Lz)のように適当な線形結合で考えてもよ いだろう。

実はLz固有値で分類したのと、Lx固有値で分類したのは本質的には同じである。Lxを使って分 類すれば、上で求めたY`mとは違った波動関数y`mができあがるだろう。しかしその場合も、新し い波動関数は独立なものではなく、

y`m =X

m0

Am0Y`m0 (16.99)

のようにY`m0 の線形結合で表されるものになっている。

これまで同様、現実的に起こる現象の波動関数が一つの状態で書かれていることはむしろ稀であ り、一般にはいろんな角運動量を持った状態の重ね合わせであることが多いだろう。どのような状態 を使って重ね合わせを表現しても、実際の物理は変わらない。

ただし、磁場をかけるなどして粒子の運動を制御してやると、特定の角運動量を持った状態だけに なることもある。そのような場合は、磁場をかけた方向が特別な方向になるので、今解いている問題 の条件である、球対称性を破っていることになる。

16.5 3 次元球に閉じ込められた粒子

自由粒子の場合について動径方向の波動関数を求めておく。ポテンシャルの項はなくなるので、

¯h2

1 r2

d dr

Ã

r2 d drR

!

+ ¯h2`(`+ 1)

2µr2 R =ER (16.100)

である。例によって無次元化を行うと、

1 ξ2

d

Ã

ξ2 d dξR

!

+

Ã

1 `(`+ 1) ξ2

!

R= 0 (16.101)

となる。ただし、ξ= 2µE

¯

h2 rである。この式はR = Q

√ξ とおくことで、

1 ξ2

d

Ã

ξ2 d

à Q

√ξ

!!

+

Ã

1 `(`+ 1) ξ2

!Q ξ = 0 1

ξ32 d

Ã

ξ32dQ 1

2

q

ξQ

!

+

Ã

1 `(`+ 1) ξ2

!

Q = 0 d2

2Q+ 1 ξ

dQ 1

2Q+

Ã

1 `(`+ 1) ξ2

!

Q = 0 d2

2Q+ 1 ξ

dQ +

1

³`+ 12´2 ξ2

Q = 0

(16.102)

と変形できる。これはベッセルの微分方程式(15.44)のn`+ 1

2が代入されたものであるから、解 もベッセル関数の定義式(15.63)のn`+1

2が代入されたもの(J`+1

2(ξ))となる9。なお、` 0に

9

µ

`+1 2

2

の形になっているので、`1

2 を代入したものも解になりそうだが、原点で正則でなくなるのでここで は考えない。

対する

r π 2xJ`+1

2(x)をj`(x)と書いて「球ベッセル関数」と呼ぶこともある10。三次元問題用のベッ セル関数だから、「球」を頭につけるのである。

[問い16-7]0次の球ベッセル関数j0(x)は、実は三角関数を使って表せる。ベッセル関数の級数展開の (15.63)を使ってそれを示せ。

結局解は

ψ(r, θ, φ) = A

√rJ`+1

2

s2µE

¯ h2 r

P`m(cosθ)eimφ

=A0j`

s2µE

¯ h2 r

P`m(cosθ)eimφ

(16.103)

である。与えられた境界条件に応じて適当な線形結合を取ることで解が得られる。たとえば半径 R の球内に束縛されているとしたら、ψ(r = R, θ, φ) = 0でなくてはいけないが、その条件から jn

s2µE

¯ h2 r

= 0となるから、これが充たされるようにEの値をきめていかなくてはいけない。

では、次の章で球対称ポテンシャルの場合の具体例として、水素原子の中の電子の問題を解こう。

ドキュメント内 i (ページ 172-177)