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酸素キャリア還元の際の雰囲気ガスの影響

ドキュメント内 博士学位論文 (ページ 55-59)

2.5 結言 42

3.4.1 酸素キャリア還元の際の雰囲気ガスの影響

図3-5は、15 %CO、N2ガス雰囲気下におけるイルメナイトの還元中における重量変化率

の経時変化を示す。重量変化率は除々に変化が緩やかとなり、約 5 %へ漸近した後に急に 大きくなり、除々に緩やかになりながら約15 %へ近づいていく傾向が認められた。150分 までの重量変化率は約4.6 %で表3-3に示したように、イルメナイト中のFe2O3→FeOの理 論最大重量変化率に近い値であった。2つ目のプラトーでは、約14 wt%まで達した。これ はイルメナイト中のFe2O3→Fe還元の理論最大重量変化率に相当する。

Fe2O3/Al2O3キャリアの場合も同様に還元中に2つの重量減少段階が確認された(図3-6)。

第1段階は、約3 wt%で終了し、第2段階は約9wt%で終了した。これはFe2O3/Al2O3の理 論上の最大重量変化率に相当する。

図3-5 イルメナイトのCO/N2還元雰囲気下における重量変化率

4.6

14 W ei g h t ch an g e rat io , η

t

[ wt % ]

-15 -10 -5 0

0 100 200 300 400 500 600

Reduction time [ min ] CO 15% , N

2

balance

Ilmenite

Fe

2

O

3

FeO

FeO Fe

1173 K

52

図3-6 Fe2O3/Al2O3のCO/N2還元雰囲気下における重量変化率

これらの実験は、イルメナイトとFe2O3/Al2O3酸素キャリアにおいて、酸素キャリア中の Fe2O3が、CO/(CO+CO2)>0.7時にFeOを通過してFe3O4からFeに深く還元したことを示唆 している。

FeO→Fe2O3(式(15))及びFe→Fe2O3(式(16))によると、Fe→Fe2O3の再酸化熱はFeO→Fe2O3

の約3倍の熱を発生する。

FeO + 1/4O2 → 1/2Fe2O3

ΔH01173= -138.17 kJ/mol (15) Fe + 3/4O2 → 1/2Fe2O3

ΔH01173= -404.33 kJ/mol (16)

Fe の Fe2O3への酸化は発熱量が大きく(式(16))、粒子同士が凝集する懸念がある。図

3-7(a)は、第 2 還元段階(FeO→Fe)後に空気により再酸化されたイルメナイト(Fe→Fe2O3)の

SEM画像を示す。イルメナイト粒子が凝集しているのが確認でき、再酸化の発熱によるも のと考えられる。

-10 -8 -6 -4 -2 0

0 50 100 150 200 250 300

Reduction time [ min]

Fe

2

O

3

/Al

2

O

3

Fe

2

O

3

FeO

FeO Fe

CO15%, N

2

balance 1173 K

3

9

W ei g h t ch an g e rat io , η

t

[ wt % ]

53

(a) イルメナイト

(b)Fe2O3/Al2O3

図3-7 第2段階還元後のイルメナイト及びFe2O3/Al2O3の再酸化後の粒子形態

一方、Fe2O3/Al2O3の酸素キャリア(図3-7(b))は、再酸化による凝集は見られなかった。こ れは、イルメナイトが合成粒子よりも凝集する傾向があるというAzisら(2010)の研究結果 と一致する。人工粒子は不活性のアルミナ粒子の存在により、粒子凝集が抑制されたと考 えられる。

イルメナイトの 2 段階還元における結晶構造変化は、X 線回析(XRD)分析によって確認 した。「R1R」は、第1還元段階後、15%CO/N2雰囲気下で冷却したことを示し、「R1A」

は試料を空気中で再酸化し、空気中で冷却したことを示す。同様に、「R2R」及び「R2A」

は、第2還元段階後、試料を15%CO/N2雰囲気下で冷却し、空気中で再酸化及び冷却した ことを示している。

図3-8及び表3-4は、イルメナイトの還元に対するXRD分析結果を示しており、最初の 還元ステップ後、イルメナイトFeO・TiO2(FeTiO3)及びマグネタイトFe3O4が「R1R」試料で 検出された。第2還元段階後は、FeとTiO2のみがR2R試料中に検出された。しかしなが ら 、 空 気 に よ る 再 酸 化 後 、R1A 及 び R2A 試 料 中 の 全 て の Fe が 擬 板 チ タ ン 石 (Pseudobrookite)Fe2O3・TiO2及びヘマタイトFe2O3に酸化された。

25 μm 250 μm

25 μm

250 μm

54 (a) Raw data

(b) main peaks detected

図3-8 イルメナイトの各還元後のXRDパターン

R1R

R1A

R2R

R2A

Position [ᵒ2theta](Cu) Counts

Counts

Counts

Counts

10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 Position [ᵒ2theta](Cu)

1500 1000 500 0 200 100 0 800 600 400 200 0 400 300 200 100 0 Counts Counts Counts Counts

R1R

R1A

R2R

R2A

Position [O2θ] (Cu)

(a) R1R

Peak list Ilmenite (FeO·TiO3) Magnetite (Fe3O4) Rutile (TiO2)

(b) R1A

Peak list

Peak list

Peak list

Pseudobrookite (Fe2O3·TiO2) Hematite (Fe2O3)

Rutile (TiO2)

Iron (Fe)

Rutile (TiO2)

Pseudobrookite (Fe2O3·TiO3) Hematite (Fe2O3)

Rutile (TiO2)

(c) R2R

(d) R2A R1R

R1A

R2R

R2A

10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 Position [ᵒ2theta]Position [O 2θ] (Cu) (Cu)

2 2

55

表3-4 イルメナイトの各還元段階におけるXRD分析データ

図3-5及び図3-6に示す平衡理論及び実験結果によれば、第2還元段階のFeO→Feは、次 の2つの条件が存在する場合に発生する。すなわち、CO/(CO+CO2)比が0.7より大きい場 合、還元時間が第1還元段階(Fe2O3→FeO)を超える十分な還元時間を有する場合である。

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