原子価殻電子対反発 (Valens-Shell Electron P air Repulsion)
X, L 式分類
X型配位子 単体で電荷を持つ配位子
H−, F− 〜 Br−, (Alkyl)−, (Alkenyl)−, (Alkynyl)−, H2N−, HO−, RO−, CN−, I−, SO32−, NO2−, など
L型配位子 非共有電子対、π電子を持つが, 単体で電荷を持たない配位子 NH3, H2O, ROH, ROR, PR3, CO, Alkene, Alkyneなど
配位子の分類 -2
Hard Lewis Base H2O, ROH, NH3, RNH2, HO−, F−, Cl−, CH3CO2
−, SO42−, PO43−, ClO4−, NO3−, CO3−, ..., etc
高酸化状態の金属(4価以上)、前期遷移金
属(4, 5族)と安定な錯体を形成し易い
Soft Lewis Base
低酸化状態の金属(1, 2価)、後期遷移金属 (9〜11属)と安定な錯体を形成し易い
R2S, RS−, I−, CN−, H−, (Alkyl)−, Alkene, Alkyne, RSH, PR3, CO, RNC,..., etc
HASB 式分類
金属の酸化状態 -1
Sc(d1s2) Ti (d2s2) V (d3s2) Cr (d5s1) Mn (d5s2)
Fe (d6s2) Co (d7s2) Ni (d8s2) Cu (d10s1)
d0をとれる
d5, d10をとり易い 最も安定な酸化状態 その他の酸化状態
+3(d0)
+4(d0) +3(d0s1)
+4(d1) +5(d0), +3, +2 +3(d3) +6(d0), +2 +2(d5)
+3(d5) +2(d7 or d5s2)
+7(d0), +6, +4, +3, +2, -1 +6 (s2), +2, -2
+2(d8 or d6s2) +2(d9 or d7s2)
+3(d5s1), -1 +3(d5s2)
+1(d10)
高酸化状態を とれる
高酸化状態を とれない
金属の酸化状態 -2
V
5+高酸化状態
イオン種 イオン半径/pm
54
低酸化状態
イオン種 イオン半径/pm
V
2+79
Cr
6+26 Cr
3+61
Mn
7+25 Mn
2+83
Co
3+61 Co
2+75
正電荷密度が高い 正電荷密度が低い
Hard Acid Soft Acid
金属 − 配位子間結合 -1
典型金属
最外殻には結合形成に関与 する電子と空軌道しかない
遷移金属
最外殻には結合形成に関 与する電子と空軌道の他 に充填された軌道が存在
M L
配位子(置換基)からの電 子の供与のみ考えれば良い
M L
供与型結合( σ 結合)
逆供与型結合( π 結合)
お互いに強め合う
金属 − 配位子間結合 -2
M
空のd軌道 n電子 M−A σ結合の生成
A M A
供与結合
A=L型配位子の時、生成する結合は配位結合 A=X型配位子の時、生成する結合は共有結合
M−C, M−F, M−CN, M−OH, M−NR2
M−PR3, M−NH3, M−OH2, M−olefin
配位結合:配位子から金属へ結合電子が一方的に供給されてできる結合。
金属 − 配位子間結合 -3
CuI−I MeLi
+
LiIX 型配位子
Ni
IICl
22PPh3
Ph3P NiII PPh3 Cl
Cl
L 型配位子
CuI−Me MeLi
Me CuI Me Li Cuは1価のままで、
負電荷を持つ X型配位子の交換反応
Niは2価のままで、
負電荷を持たない
金属 − 配位子間結合 -4
供与結合と逆供与結合(ホスフィン配位子) -1
M P
R R
R M P
R R
R
空のd軌道 非共有電子対 供与結合(σ-結合)
M P
R R
R
充填されたd軌道 π-Donor
空の3d軌道 π-Acceptor
M P
R R
R
逆供与結合(π-結合)
逆供与結合は後期遷移金属、低原子価金属錯体の安定化に重要な働きをする
金属 − 配位子間結合 -5
P-R結合のσ*が空の軌道となる
逆供与結合の強い順番
(π- acidityの高い順番)
PMe3 ≈ P(NR2)3< PAr3 < P(OMe)3 < P(OAr)3 <
PCl3 < PF3 ≈ CO
基本的にリンは供与性の方が強い が、置換基をかえることにより、
その電子的性質が大きく変化する
Efficient Tunable Ligand
供与結合と逆供与結合(ホスフィン配位子) -2
M
R P
R R
金属 − 配位子間結合 -6
M
M
M
M
供与結合
逆供与結合 結合性π軌道
反結合性π*軌道
空のd軌道
充填された d軌道
供与結合と逆供与結合(アルケン配位子) -1
金属 − 配位子間結合 -7
供与型の結合が支配的 高原子価
金属中心 M Nu ex) Hoechst-Wacker酸化 M
π結合が弱まる
M
金属の配位により二 重結合性は低下する
逆供与型の結合が支配的 低原子価
金属中心 M E
供与結合と逆供与結合(アルケン配位子) -2
π結合が弱まる
C C d = 1.34 Å C C
M d = 1.40 ~ 1.47 Å
非常に稀
金属 − 配位子間結合 -8
O C
M
O C
M
O C
M
O C
M
非共有電子対
反結合性軌道
空のd軌道
充填された d軌道
供与結合
逆供与結合
供与結合と逆供与結合(一酸化炭素) -1
金属 − 配位子間結合 -9
供与結合により Cのδ+性が増加
逆供与結合によりπ*軌道に電 子が入り、Oのδ−性が増加
MへのCOの配位は COの活性化になる
O C M
O C M
M C O
M
C O C OM
M C OM:高原子価
逆供与なし
M:低原子価
逆供与あり(強い)
C O δ+ M
Zr (IV), d0 complex Cp*2Zr(κ2-S2)(CO): ν(CO) = 2057 cm-1 Ti(-II), d4 complex [Ti(CO)6]2−: ν(CO) = 1820 cm-1
C-O結合は強い C-O結合は弱い
供与結合と逆供与結合(一酸化炭素) -2
金属 − 配位子間結合 -10
供与結合 逆供与結合 Fisher Type
Singlet Carbene
Triplet Carbene C
Schrock Type C
供与結合と逆供与結合(カルベン) -1
C M C M
C C M
共有結合 x 2
LnM C R
Carbene Complex
R
炭素ー金属二重結合を持つC
金属 − 配位子間結合 -11
典型的なFisher Carbene 典型的なSchrock Carbene 低原子価、
後周期遷移金属
高原子価、
前周期期遷移金属
配位子 π-acceptorリガンド 例:CO
Carbene炭素上 の置換基
π-donor性置換基 例:-OMe, -NR2
Carbene炭素の 性質
δ+性が高い Electrophylic
非π-acceptorリガンド 例:Cl, Cp, Alkyl 非π-donor性置換基
例:Alkyl, H δ−性が高い Nucleophylic (OC)5W C
OR
R Cp2Ta C
H H Me
供与結合と逆供与結合(カルベン) -2
金属 − 配位子間結合 -12
π 供与性結合(高酸化状態の前遷移周期金属に特有、 Ti(O-
iPr)
4)
結合性相互作用 x 2 全て空軌道 非共有電子対
M M
O R O R
M O R
M O R M O R
後遷移周期、低原子価金属の場合(例:Pd(OMe)2は安定に存在するか?)
空軌道 非共有電子対 充填された軌道 非共有電子対 σ結合
π結合
反発
金属 − 配位子間結合 -13
σ
*逆供与型結合
結合性軌道
反結合性軌道
空軌道
充填された 軌道
d→σ*逆供与結合 d→σ*逆供与結合
反結合性軌道への電子の流入 結合性軌道の電子の流出
H−H結合は弱まる
(活性化される)