金属錯体の構造と電子状態 -3
順序1:族番号は10 順序2:酸化数は2
順序3:価電子数は8電子 順序4:2 x 2 + 2 x 2 = 8電子
Cl NH3
16 電子
順序1:族番号は8 順序2:酸化数は2
順序3:価電子数は6電子
順序4:2 x 2 + 2 x 4 = 12電子 σ電子 π電子
18 電子
σ電子はX型配 位子として配位
π電子はL型配位 子として配位
Cl Pt
H
3N NH
3Cl
Fe
Liner (s, dz2)
Trigonal (s, px, py)
Tetrahedral (s, dxy, dyz, dxz)
Square planar (s, px, py, dx2-y2)
Square bipyramidal
(s, px, py, pz, dz2) Trigonal bipyramidal (s, px, py, pz, dz2)
Octahedral
(s, px, py, pz, dz2, dx2-y2)
金属錯体の構造と電子状態 -4
錯体の構造 -1
金属錯体の構造と電子状態 -5
Linear (配位数2)
Trigonal (配位数3)
比較的稀な構造
[AgI(CN)2]− [AuICl2]− d10錯体でしばしば見られる
かなり稀な構造 HgI3−など
注)FeCl3, PtCl2PPh3は二量体 を形成するので,配位数は4
Cl Fe
Cl Cl
Cl Fe
Cl Cl
Cl Pt
Ph3P Cl Cl
Pt
PPh3 Cl
錯体の構造 -2
金属錯体の構造と電子状態 -6
Trigonal bipyramidal(配位数5)
Square bipyramidal (配位数5)
平 面 錯 体 の 配 位 子 交 換、異性化等の中間体
V OO O
O O H3C
H3C CH3
CH3
きわめて稀な構造だが、非常に重要
きわめて稀な構造
VO(acac)2
錯体の構造 -3
金属錯体の構造と電子状態 -6
Tetrahedral (配位数4)
Square Planar (配位数4)
重要な構造
TiCl4, MnO4−, FeCl4−, CoBr4, ReO4−、その他非遷移金属陽イオン 非常に重要な構造
NiII, PdII, PtII, RhI, IrIなどd8錯体。
錯体の構造 -4
Octahedral (配位数6) ほとんど全ての陽イオンで見られる構造
TiIII, CrIII, MnII, FeII, FeIII, CoII, CoIII, NiII, CuII, etc
金属錯体の構造と電子状態 -7
<結晶場理論>
中心金属イオンの軌道エネルギーを配位子と金属間の静電的相互作用を基 に決める方法。中心金属の性質を定性的に予測可能。配位子を点電荷とし て扱うので、適用範囲に限界がある。
<配位子場理論>
錯体全体の分子軌道を考慮するので,有機金属錯体の構造、スペクトル、反 応性等をかなり定量的に説明できる。数学的な取り扱いが多く、直感的では ない。
結晶場理論と配位子場理論
金属錯体の構造と電子状態 -8
結晶場理論 -1
x y z
M
L
L L
L
L L
正八面体型錯体を考える
(1)配位子(L)は点電荷で座標軸の 方向から接近すると考える。
(2)中心金属(M)はd軌道のみ考慮する。
配位子と相互 作用しない
配 位 子 と 相 互作用する
d軌道電子は不 安定化される d軌 道 電 子 は
安定化される dxy
x y
dxz
x z
y z
dyz
x y
dx2-y2 dz2
x y z
金属錯体の構造と電子状態 -9
6 Dq
d軌道は5重に縮退 4 Dq
3dx2-y2, 3dz2
3dxy, 3dxz, 3dyz
系のエネルギーは配位子場 分裂の前後で変化しない
結晶場理論 -2
10 Dq(Δo): 配位子場分裂
I− < Br− < Cl− < F− < HO− < H2O < Py < NH3 < PPh3 < CO < NO2− < CN− 配位子場分裂Δ0(100 ~ 400 kJ•mol-1)の大きさの順番=分光学的系列
Low Δ0 High Δ0
π- Donor π-acceptor /
Strong σ-Donor
(必ずしも正確ではないが、概ね正しい)
金属錯体の構造と電子状態 -10
d1 d2 d3 d8 d9 d10
結晶場理論 -3
d4 d5 d6 d7
低スピン錯体 磁気モーメント小
高スピン錯体 磁気モーメント大
金属錯体の構造と電子状態 -11
低スピン錯体
交換相互作用 による安定化 (Hundの規則) d4
配位子場分裂 による安定化 Δ0
<
MnIII(CN)63+ FeIII(CN)63+
配位子場分裂の大きな配位子
結晶場理論 -4
d4
高スピン錯体
配位子場分裂 による安定化
>
交換相互作用 による安定化 (Hundの規則)
MnIII(acac)3 FeIII(OH2)63+
配位子場分裂の小さな配位子
金属錯体の構造と電子状態 -12
L
x
y
z
x y
M
L
L L
L
M
L
L L
電子の入り方は八面体型錯体と同様 高スピン状態と低スピン状態がある
結晶場理論 -5
dxy, dyz, dxz
dx2-y2, dz2
6 Dq 4 Dq 正四面体型錯体を考える
金属錯体の構造と電子状態 -13
結晶場理論 -6
x y z
M
L
L L
L
L L
z軸上の配位子を引き離す
dz2: 配位子からの反発が減少し安定化
(dxz, dyzも同様)
x, y軸上の配位子は金属に近づく
dx2-y2: 配位子からの反発が増大し不安定化
(dxyも同様)
d8錯体(NiII, PdII, PtII)では高 エネルギーのdx2-y2には電子が 入らず全ての電子が対になる。
d8錯体は全て反磁性錯体 dyz, dxz
dz2
dx2-y2
dxy
平面体型錯体を考える
金属錯体の構造と電子状態 -14
Linear Tetrahedral Octahedral Trigonal bipyramid
Square
pyramid Trigonal Square planar
山田祥一郎、配位化合物の構造、化学同人 dz2
dxz, dyz
dxy dx2-y2
10.28
7.07
1.14
-6.28
1.78
-4.00
-2.67 -2.72
-0.82
9.14
-0.86 0.86
-4.57 -3.86
-3.21 -5.46
12.28
2.28
-4.28 -5.14 6.0
結晶場理論 -7
金属錯体の構造と電子状態 -15
σ 3d
4s 4p
t1u
a1g
t2g & eg
a1g, eg & t1u
t1u*
t1u
a1g*
a1g
dx2-y2 & dz2
eg*
eg
dxy, dyz
& dxz
金属のdxy, dyz, dxz軌道に対応する対 称性を持った配位子の軌道はない
結合性軌道(a1g, t1u, eg) に配位子の電子が入る
金属上の電子は全て t2g, e g*(d軌道)に入る
逆供与結合に関与