30特1‑7
K. Kawamoto and Yamauchi, A.,
2018. June, 5, Honolulu, HI, USA (招待講演)
American Meteorological Society radiation cloud physics meeting
(米国気象学会 放射と雲物理会合)Distinction of the Winter-Time Ice Cloud Fractions between Eastern and Western Eurasia Viewed from CALIPSO,
K. Kawamoto and Yamauchi, A.,
2018. July, 11, Vancouver, Canada
(ポスター発表)Photonics & Electromagnetics Research Symposium(光工学と電磁気学の研究シンポジウム)
Examining the contrast in the ice cloud fractions between eastern and western Eurasia in winter with CALIPSO data, K. Kawamoto and Yamauchi, A.,
2018. August, 2, Toyama
(口頭発表)Fraction of ice cloud layer
Month
(a) (b)
衛星搭載雲レーダと降雨レーダによる降水量抽出のためのアルゴリズム開発
研究代表者: 情報通信研究機構 特別招へい研究員 井口俊夫
要旨: 全球降水観測計画(GPM計画)の主衛星に搭載されている二周波降水レーダ(DPR)のデータ処理 アルゴリズムでは二周波での降水からのレーダエコーを用いて固体降水と液体降水の判別を可能とする アルゴリズムの開発を行っている。典型的な場合については良好に判別できるアルゴリズムが開発され ている。この共同研究では岡本教授らが携わっている雲レーダとライダーによる観測データに、DPRで 用いられているのと同様の手法が適用可能性を吟味し、可能ならばどのような場合にどの程度可能かを 検討した。また、DPRでは用いられていないドップラー情報など他の情報の利用可能性についても検討 した。今年度は特に、DPRで観測された強い固体降水の全球での分布とCloudSat搭載の雲レーダ(CPR) のデータを用いて岡本教授らが推定した降雪粒子の分布を比較し、比較的良くあっていることを確認し た。
序論: 全球降水観測計画(GPM計画)の主衛星に搭載されている二周波降水レーダ(DPR)の大きな 課題の一つは二周波のレーダ反射因子の情報を用いて雪、霰、雹などの固体降水の世界的な分布を捉え ることである。そのため、この共同研究の研究代表者は固体降水と液体降水の判別を可能とするアルゴ リズムの開発を行ってきた。他方、共同研究者である九州大学応用力学研究所の岡本創教授らは
CloudSat衛星搭載の雲レーダ(CPR)のデータから降雪の分布を推定するアルゴリズムを開発してきてい
る。これらのアルゴリズムはどちらも開発途上であり、不確定要素を多く含んでいて、今後の改良が期待 されている。この共同研究では、両者による固体降水の分布を比較し、それの結果を吟味することによ り、それぞれのアルゴリズムの改良を目指す。
また、降雨に関しては、DPRでは降雨強度を正確に推定可能であるが、雲レーダでは減衰や雪による散 乱の影響が大きく、正確な推定が困難である。研究代表者はDPRのアルゴリズム開発に長年携わってお り、その中で用いられている減衰補正方法などが CPR のデータを用いた降雨強度推定に利用可能かを CPRデータの扱いに詳しい岡本教授らと議論し、その可能性を検討することもこの共同研究の課題であ る。
方法: CloudSat の雲レーダ(CPR)による降雪推定では、レーダのデータのみを用いた推定方法(C1)と、
それにライダーの情報を加えた推定方法(C4)の二つを開発し、両者の比較を行った。C1では基本的に気 温のデータを用いて雲粒子の種類を判別しているが、C4ではライダーによる後方散乱の情報を用いてそ の判別をしている。DPRによる固体降水の推定は、二周波での見かけ上の反射因子の違いを基にした判 別方法であり、DPRの検出感度の関係から、強い固体降水しか検出できない。したがって、絶対量の分 布の比較はできないが、全球での相対的な分布を比較することは可能であるので、その分布をCPRを用 いた降雪分布を比較した。
結果: GPM/DPRとCloudSat/CPRのそれぞれを用いて季節別に推定した地表面に到達している降雪分 布を比較したところ、両者の分布パターンは良く似ていることがわかった。特に、北半球の冬季(12月、
30AO‑8
地球環境力学分野 一般研究
い固体降水の分布とよく合っていた。
熱帯の海上における上空の降雪分布に関しては、CPR による推定頻度のほうが DPR によるものより相 対的な分布頻度が多くなっていた。
CPRの場合、固体相と液体相が混ざった霙を雪と分離して推定することが可能である。霙の相対的な頻 度分布が雪の頻度より高緯度地域では大きいことがわかった。この情報はDPRによる固体層と液体層の 境界高度を推定するアルゴリズムの開発に役立つものと思われる。
考察: CPRはDPRよりはるかに雪に対する感度が良く、降雪の検出に関しては、ほとんどすべて検出 可能である。ただし、多重散乱や減衰の影響で降雨システムの背が高い場合などその下部での降雪の定 量的な推定に関しては困難な点がある。他方、DPRでは弱い降雪は検出されない。今回比較に使ったDPR の指標は、特に強い固体降水(雹、霰および大きな雪粒子)の分布である。全固体降水の中で、DPRに より検出可能な強い固体降水(雹、霰および大きな雪粒子)の占める割合は、各降水システムや地域、季 節などにより違っていると思われるから、DPR と CPR による相対的な固体降水の頻度分布の比較は、
必ずしも同じ基準での比較とはいえないが、今回の比較により全固体降水の頻度と強い固体降水の頻度 の割合が地域的にも季節的にも極端に違っていることはないということが推定される。同時に、DPRに よる強い固体降水の検出アルゴリズムの妥当性がある程度確認されたことになる。また、雹や霰などの 大きな粒子に対しては、CPRのデータは多重散乱や減衰の問題だけでなく反射強度そのものに飽和する 傾向があり、データの扱いが難しい。DPRのデータとの比較によりどのような対処が可能か検討する価 値がある。これは残された課題である。
論文と学会発表のリスト
H. Okamoto, K. Sato, S. Ishii, Y. Ohno, H. Horie, T. Nishizawa, M. Kikuchi, Y. Sakai, T.
Iguchi, N. Takahashi, and E. Oikawa, 2018: “Cloud and precipitation microphysics from A-Train and EarthCARE,” SPIE, Asia-Pacific Remote Sensing 2018, Hilton Hawaiian Village, Honolulu, Hawaii, 24 September 2018.
T. Iguchi, R. Oki, and N. Kawamoto, 2018: “GPM’s Dual-frequency Precipitation Radar (DPR) algorithm and measurement of ice precipitation,” European Conference on Radar in Hydrology and Meteorology (ERAD) 2018, Ede, Netherlands, 2-6 July 2018.
T. Iguchi, K. Kanemaru, and A. Hamada, 2018: “Possible improvement of the GPM’s Dual-frequency Precipitation Radar (DPR) algorithm,” SPIE, Asia-Pacific Remote Sensing 2018, Honolulu, Hawaii, 27 September 2018.
能登半島周辺海域における流況と漁況の関係性
石川県水産総合センター 原田浩太朗
目的
能登半島周辺海域, 特に富山湾沿岸はブリをはじめとする多くの回遊性魚種が来遊することから, 全 国有数の定置網漁場となっている. これら水産資源の漁況を判断するためには, 本海域の海況変動機構 の理解が重要である. また, 特に定置網等の沿岸漁業において, 流況は海況と密接に関係していると考えら れ, 基本的な漁況の変動についてよく理解することは, 流況と漁況の関係性を考える上で必要不可欠である.
そこで今年度は, 定置網の漁況に注目し, その長期的な変動について解析を行った. 特に, 多変量解析手法を 用いることで, 各魚種の個別の変動だけでなく, 魚類相全体としての漁況の変動について整理することを目 的とした.
方法
長期的な漁獲データとして, 北陸農政局発行『石川県農林水産統計年報』より, 1970年から
2014
年ま での定置網による海面漁業生産量データを用いた. 上記の期間にわたって漁獲データの存在した魚種の うち, 11魚種 (まぐろ類, まいわし, うるめいわし, かたくちいわし, あじ類, さば類, ぶり類, たら, ま だい, すずき, するめいか)の漁獲量 (重量, 単位: t)を, log (x+1)の形に対数変換して利用した.上記の漁獲データについて主成分分析を行い, 魚類相の変動の主成分を抽出した. 続いて, 主成分分 析で得られた, 上位主成分の各年の主成分得点を応答変数とし, 環境変数を説明変数とした重回帰モデ ルを作成することで, 魚類相の変動に影響する環境要因の検討を行った. 重回帰モデルについては, AIS によるモデル選択を行った. 使用した環境変数は, 下段の通りである.
環境要因データ: 石川県調査船白山丸による海洋観測データ (沿岸の観測点における
0 m
深, 50 m深 の年平均水温), 気象庁がHP
*上で公開している日本海・東シナ海・北太平洋の海面水温データ, 太平洋 十年規模振動指数 (PDOI: Pacific Decadal Oscillation Index), アリューシャン低気圧指数 (NPI: NorthPacific Index),
南方振動指数 (SOI: Southern Oscillation Index)を用いた. なお, 本解析では上記環境要因 データについて, 全て年平均値を用いた. 環境要因データについては, 標準化を行ったうえで下記の統 計解析に利用した.結果
第四主成分までの累積寄与率が
76%と高かったため,
解析には第一~第四主成分までを利用した.第一主成分に対してはまいわし, たら等の比較的冷水系の魚種が正の値を示し, ぶり, するめいか等の 暖水系の魚種が負の値を示した. また, 第一主成分および第二主成分の主成分得点を散布図にしたのが 図
1
であり, 第一~第四主成分の各時系列主成分得点を示したのが図2
である. 重回帰分析結果は表1
の通りとなった. 第三主成分以外に対しては, 5%水準で有意な変数が採択された.30AO‑9
地球環境力学分野 一般研究
重回帰分析では, 石川県周辺の海水温の影響は第四主成分の説明変数として採択されたが, 相対的に他 海域の水温よりも影響が小さいという結果が得られた. 特に第一~第二主成分は長期的な変動が大きい
(図 2)ことから,
長期的な魚類相の変動に対しては, 比較的長周期な資源量の変動等の影響が大きく評価されていると考えられる. しかし, 第四主成分に石川県沿岸水温が採択されたことからも, 短期的な漁 況に対しては, より漁場近くの海況の影響が大きいことも推察される. 今後は, 能登半島沿岸流況の変 動のほか, 対馬海峡等のより上流の海況と漁況の関係についても検討を加えていきたい.
研究組織
石川県水産総合センター 原田 浩太朗 :研究代表者 大慶 則之 :研究協力者 九州大学応用力学研究所 千手 智晴 :所内世話人 広瀬 直毅 :研究協力者
-4 -2 0 2 4
-4-2024
19711970
1972 1973 1974
1975 1976 19771978 1979
1980
1981 1982
1983 1984
1985 1986
1987
19891988 19901991
1992 1993
1994 19961995
1997 19991998 20012000
2002
2003 2004 2006 2005
2007 2008
2009 2010 2011 2012
2013 2014
第一主成分得点
第二主成分得点
図
1
主成分分析結果散布図(d) PC4 (c) PC3 (b) PC2 (a) PC1
-4 0 4 -4 0 4
-4 0 4
-4 0 4
1970年 1972年 1974年 1976年 1978年 1980年 1982年 1984年 1986年 1988年 1990年 1992年 1994年 1996年 1998年 2000年 2002年 2004年 2006年 2008年 2010年 2012年 2014年
主成分得点
図2 第一~四主成分得点時系列図
ECSS NP ISK 0 m PDOI SOI
PC1 +*** +*** - + + 0.61 154.6
PC2 + - - +*** - 0.27 150.0
PC3 - + - - - 0.03 142.3
PC4 - +* +** - - 0.15 126.3
説明変数
R2 AIC
表
1
重回帰分析結果モデル選択に利用した変数のうち, いずれかの主成分の説明変数として採択 されたものを示した. 略語はそれぞれ以下の通りである.
ECSS: 東シナ海南部水温, NP: 北太平洋水温, ISK 0 m: 石川県沿岸0 m深水温
採択されたものは”+”, 採択されなかったものは”-“で示しており, 添字は次の 通り有意確率を表す.
***: p <0.001, **: 0.001< p <0.01, *: 0.01< p <0.05