IO-Link 接続
モジュールの起動時、IO-Linkポートはアクティブになっていません。IO-Link接続プロセスは、IO-Linkポー ト構成が含まれたForward OpenフレームをEIPスキャナから受信すると開始されます。
IO-Link接続は以下のように確立されます。
1. ID検証
2. データストレージメカニズム
3. Direct Param Page2(IO-LinkデバイスV1.0のみ)
4. IO-Link接続およびIOデータ交換
あるステップから次のステップへの遷移が処理されるのは、成功した場合のみです。
ID Validation
IO-Linkでは、IO-LinkポートごとにIO-LinkデバイスのIDを3つのレベルで検証してから、IO-Link接続が受
け入れられます。
o No Check:ID検証が行われません。
o Compatible:IO-Linkデバイスに格納されたVendor IDとDevice IDが、構成アセンブリーの
「Device ID」および「Vendor ID」値と一致した場合、検証に成功します。IO-Linkデバイス
V1.1およびV1.0でサポートされます。
o Identical:次の場合に検証が成功します。
IO-Linkデバイスに格納されたVendor IDとDevice IDが、構成アセンブリーの
「Device ID」および「Vendor ID」と一致した場合。
および、IO-Linkポートに関連付けられたSerial Numberが、IO-Linkリンクデバイス
に格納されたシリアル番号と一致した場合。IO-LinkデバイスV1.1のみでサポートさ れます。
検証に成功しなかった場合は、入力アセンブリーのIO-Linkステータスで障害がないか確認してください。ウ ェブサーバーでも確認できます。「IO-Linkチャネル診断」の章を参照してください。
Vendor ID / Device ID
これは、接続されたIO-LinkデバイスのベンダーID /デバイスIDです。
前述のとおり、このパラメータは検証に使用されます。製造元のユーザーマニュアルに記載されています。
Vendor IDを設定する場合は、Device IDも設定する必要があります。この2つは常に相互チェックされるから
です。
例:
Molex IO-Linkハブ16入力(TEDIO-8DOP-808)のベンダーIDは16ビット値(2バイト)で、デバイスIDは24 ビット値(3バイト)です。
Vendor ID:0x0127 Device ID:0x243000
マッピングは以下のようなビッグエンディアン形式になっています。
HarshIO 600 eIP 46 IP67 EtherNet/IP用IO-Linkモジュール バイト データ(16進) バイト データ
(16進)
12 01(MSB) 14 24
(MSB)
13 27(LSB) 15 30
16 00
Serial Number(S/N)
IO-Linkポートごとに、S/Nがマスターの不揮発性メモリーに格納され、検証プロセスで使用されます
(Identicalモードのみ)。
出荷状態で、IO-LinkポートのS/Nは空になっています。初回接続時に、接続されたIO-LinkデバイスのS/N が格納され、必要になるたびにID検証(Identicalモードのみ)に使用されます。
センサーを交換すると、センサーのS/Nがマスターに格納されたものとは異なるため、ID検証(Identicalモ ードのみ)に失敗します。その場合は、CIP明示的メッセージで「Learn S/N」コマンドを発行します。する と、新しいS/Nが学習されて保存されます。
「IO-Linkパラメータオブジェクト」および「IO-Linkデバイスの交換」の章を参照してください。
また、「Rockwell Studio 5000」の章も参照してください。
注!
一部のIO-Linkデバイスは、シリアル番号の構成をサポートしていません。
この構成モードを使用する前に、シリアル番号チェックをサポートしているかどう
か、IO-Linkデバイスのユーザーマニュアルを確認してください。
注!
S/NはVendor IDおよびVendor IDと関連付けられています。このIDのどちらか一方
でも、ユーザーがEtherNET/IPスキャナ構成で変更した場合、IO-Linkマスターポート は該当するポートのS/Nを自動的にクリアし、新しいデバイスタイプで自動学習プロ セスを開始します。
Data Storage ( DS )
データストレージメカニズムは、IO-LinkデバイスパラメータをIO-Linkマスターポートでリストアおよびバッ クアップすることで、専用の構成ツールを使用することなく、IO-Linkデバイスの交換を容易にするために使 用されます。
IO-Linkデバイスを交換する場合は、マスターがパラメータをデバイスへ自動的にリストア(ダウンロード)
できます。
IO-Linkマスターを交換する場合は、マスターがパラメータをデバイスから自動的にバックアップ(アップロ
ード)できます。
データストレージメカニズムは、1つのIO-Linkポートに専用の1つのData Storageパラメータファイル(DSフ ァイル)を使用するため、ポートの動作を個別に構成できます。
注!
データストレージメカニズムをサポートしているのは、IO-Link仕様v1.1が実装された デバイスだけです。ただし、IO-linkデバイスの製造元に確認してください。
HarshIO 600 eIP 47 IP67 EtherNet/IP用IO-Linkモジュール a. データストレージの初期化
出荷状態のHarshIOモジュールは空で、IO-LinkデバイスのDSファイルがありません。
DSファイルをIO-Linkマスターポートにアップロードする方法はいくつかあります。
- 自動:IO-Linkデバイスとの初回接続時、モジュールはIO-Linkデバイスのパラメータをアップロード
(バックアップ)します(構成されたData Storageモードは関係ありません)。
- 手動:IO-Link構成ツールを使用して、DSファイルをHarshIO IO-Linkマスターモジュールにロードし
ます。
- PLCでプログラム:IO-LinkデバイスのDSファイルをCIPオブジェクトとしてマッピングします。
EtherNet/IPスキャナは明示的CIPメッセージによって、このファイルを処理できます。「ファイルオ
ブジェクト(0x37)」および「IO-Linkオブジェクト(0x310)」の章を参照してください。
注!
データストレージファイルはVendor IDおよびVendor IDと関連付けられています。
このIDのどちらか一方でも、ユーザーがEIP構成ファイルで変更した場合、IO-Link マスターポートは該当するDSファイルを自動的にクリアし、新しいデバイスで初期化 プロセスを開始します。
b. IO-Link接続でのデータストレージ
IO-Link接続中にセンサーの識別(ID検証)に成功すると、デバイスとマスター間でパラメータの整合性がチ
ェックされます。整合していない場合は、構成された方式でデータストレージが適用されます。
IOLD Param:IO-Linkデバイスのパラメータデータ
HarshIO 600 eIP 48 IP67 EtherNet/IP用IO-Linkモジュール Data Storage "Backup and Restore":
このモードでは、IO-Linkデバイスパラメータが IOLMと IOLDの間で双方向同期されます。このモードでは、
IO-LinkデバイスパラメータをIO-LinkデバイスからIO-Linkマスターにバックアップすることも、IO-Linkデ
バイスパラメータをIO-LinkマスターからIO-Linkデバイスにリストアすることもできます。
IO-Linkマスター IO-Linkデバイス
バックアップ:
IO-Linkデバイスの「IOLD param」が基準となります。IO-Linkマスターは、IO-Linkデバイスからアップロー
ドすることでポートのIOLD paramを更新します(IO-Linkデバイスが「DS Ready upload」イベントを送 信)。
リストア:
IO-Linkマスターの「IOLD param」が基準となります。IO-Linkマスターは、IO-Linkデバイスにダウンロード
することでポートのIOLD paramを送信します。
Data Storage "Restore":
このモードでは、IO-LinkデバイスパラメータがIOLMからIOLDに片方向同期されます。このモードでは、
IO-LinkデバイスパラメータをIO-LinkマスターからIO-Linkデバイスにリストアすることだけができます。
IO-Linkマスターの「IOLD param」が基準となります。IO-Linkマスターは、IO-Linkデバイスにダウンロード
することでポートのIOLD paramを送信します。
IO-Linkマスター IO-Linkデバイス
SI with IO-Link
この動作モードは、IO-Link通信ではなく標準デジタル信号によってIO-Linkデバイスを高速に取得する場合 に使用されます。
この動作モードが有効になると(CSICxビット=0)、IO-link通信が開始されます(IOLMx=1)。ID検証/デー タストレージが実行されます。この2つのステップに成功すると(IOLS=0)、通信モードが自動的にIO-Link
モード(C/Q状態がIO-LinkでIOLMx=1)からSIモード(C/Q状態がDIでIOLMx=0)に切り替わります。
注!
IO-Linkの開始時、通信は動作前モードになっています。そのため、処理データが無効
状態になり、ユーザーがアクセスできません。
バックアップ
リストア
HarshIO 600 eIP 49 IP67 EtherNet/IP用IO-Linkモジュール SIモードでは、切り替え(CSICxビット=1)を使用してIO-Linkモードに戻すことができます。
その場合、IO-Link通信は動作モードで開始されます。そのため、以下のようになります。
o 処理データが有効状態になり、ユーザーがアクセスできます。
o 他のすべてのIO-Link機能を実行できます(診断、パラメータ化など)。
警告!
IO-LinkデバイスがSI with IO-Linkモードをサポートしている必要があります。
サポートしていない場合は、切り替え中に予期しない動作となることがあります。
IO-Link イベントとエラーコード
IO-Linkの状態が変化するたび、およびエラーが発生するたびにイベントが生成されます。
直前のイベントが、以下の情報と共に入力アセンブリーに格納されます。
以前のイベントを取得するには(最大で過去64のイベント)、モジュールのウェブサーバーまたはCIP明示 的メッセージを使用すると入手できます。「IO-Linkパラメータオブジェクト」の章を参照してください。
o IOL_LE_SC - IO-Linkイベントのシーケンスカウント
バイト 説明
構成済み入力アセンブリ ーを参照してください。
このパラメータは、最近のIO-Linkイベントの数です。
新しいイベントが発生すると、このカウンタが1つ増加します。
1バイトでコーディングされているため、最大値は255です。新し いイベントが発生すると0に戻ります。
o IOL_LE_EQ - IO-Link Last Event:イベント修飾子
バイト 説明
構成済み入力アセンブ リーを参照してくださ い。
ビット0~ ビット2
イベントインスタンス 0 = 不明
1~3 = 予約
4 = アプリケーション 5~7 = 予約
ビット3 イベントソース
0 = デバイスアプリケーション(リモート)
1 = マスターアプリケーション(ローカル)
ビット4~ ビット5
イベントタイプ 0 = 予約 1 = 通知 2 = 警告 3 = エラー ビット6~
ビット7
イベントモード 0 = 予約
1 = 単発イベント 2 = イベント消滅 3 = イベント発生