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社 会福祉 事 業 が今 日の社 会福社 の一翼 を担 つていることは今 更言うまでもないことである が,そ の社 会福祉 事業 はいつ 頃始 まりどのように展 開して今 日に至ったのであろう.この問い に答 えておくことは,そ れぞれの時代 にお ける社 会福祉 事 業の諸 問題 を研 究する際 ,あ るい は個 々の事 業者 の歴 史 につ いて研 究す る際,さらには社 会福 祉 事 業 に随伴 す る諸 問題 や 歴 史過 程 を研 究す る際等 々,様々な面で有益 である.そ こで,筆 者 の研 究分 野である視 覚 に障害のある人(以下「視 障者 」と略記)のための社 会福祉 事 業(以下「視 障者 事業 」と略記)に

ついて,現 在活動 している全 国の視 障者 事業者 を対象 にその成 立と展 開過程 について基礎 的な調 査 を行 つた.本調 査 の 目的 は,視障者 事 業 が全 国 にどの程 度 の規模 で何 力所 存在 するのか,各 事業者 がどのような事業を行 っているのか,各 事業 がいつ 頃,誰によつて始 めら れたのか,各事 業 を始 める要 因 は何 だつたのか等 を調 査す ることにより,視障者 事 業 の成 立 と展 開の過程 を概 括 的0網羅 的0数量 的 に把握 しようとするものである.

本 調査 は,視障者 事業者 の歴 史全 体を適度 な距離から俯 腋 して見ることを主眼としている. 地 図 に例 えるならば,日本 全 土 の地 図を作ることに相 当する.山 登 りをする際,登山道 や 周 辺 の地形 の細 部 がよくわかる2万5千分 の一 の地 図 はもちろん必 要 であるが,日 本 で一番 高 い 山を調べる場合や ,乗 鞍 岳 と御 嶽 山の位 置 関係 を知 りたい場合などには 日本全 土の地 図 や縮 尺 の小 さな地 図 が必 要 になる.同 様 に,あ る研 究 対 象 を他 者 や 全 体 との関係 で評価 し ようとす る際など,細 部を捨象 し歴 史を大きく捉 えたものが必 要 になる場合 があり,本調 査 は これ に答 えるものである.この場合,限られた時 間を考えれ ば,歴 史資料 に立脚 した手法 とは 異 なるアプローチが必 要 となる.そ れ に,歴 史資料 のみ に頼 る研 究では,そ こに頂 上があると 考 えてやっとの思い出たどり着 いたところが,日 の前 にはさらに高い頂 がそびえていた,という こともあり得 る。本 調 査 は,筆 者 が現在 行 っている研 究 に関し,歴史 資料 の隙 間 に大きな見 落 としがないかどうかを点検 するという側 面もある.さらに,今 後 の研 究 対象 を見 いだす 基礎 資料 を得ることをも目的としている.

先 行研 究 であるが,視障者 事 業全 体 の成 立 と展 開過 程 を概 括 的・網羅 的・数 量 的 に明ら

か にした研 究 は,調 査 した限りではまだ着 手されていないようである

1.

用語 の定義 であるが,視 覚 に障害 のある人 のための社 会福祉 事 業を「視 障者 事 業」といい,

本 調 査 時点でその事 業 を行 つている者 を「視 障者 事 業者 」という.本 調 査 は現在 活 動 してい る視 障者 事業者 を対象 として,そ の設 立時期等 を問うものであるため,社会福祉 という概 念 が なかった戦 前 の記 述 をす る場 合 にお いても,現在 の事 業者 の全 史 というような意 味合 いで

「視 障者 事業」ないし「視 障者事業者 」という用語を用 いている.またこれらの用 語 には,後 述 す る調 査 対 象 事 業 者 の範 囲 内で,事業 を行 っていない法 人・団 体 等 も含 んでいる。さらに

「視 障者事業全体」とは,本 調査 に回答 した全事業者 を総称するとともに,文 脈 によつては統 計 的誤 差を認識 した上で母集 団としての視 障者 事業の全体をさす場合もある.

繰 り返すようであるが,本 調 査 は現在活 動 している視 障者 事業者 を対象 としてお り,扱 って いる時代 は調 査 対象 事業者 のうちその設 立ないし前身 の設 立が最も古いものの全 時代 とい うことになる.具体 的 には明治 中期から調査 時点である 2010(平 成 22)年までである.時 期 区 分 であるが,本調 査 では時期 区分 に対 応 す る形 の記述 は行 つていないものの,あ えて時期 区分 するならば,明 治 中期から1947(昭22)年までを「黎 明期 」,1948(昭 和23)年から 1950 年 代 末までを「始動期 」,1960年代初 めより1970年代 末 までを「最盛 期 」,1980年代 初 めより 1990年代 末 までを「充足期 」

,2000年

代 初 めよりそれ以 降を「再編期 」とできるであろう.これ は,調 査結果 のグラフ

2に

お ける各 折れ線 の傾 きなどから判 断した.な お,この時期 区分 中 の「黎 明期 」,「始 動期 」,「最盛 期 」,「充足期 」という用 語 は,これより後 に出てくる同用語 とは 定義 が異なつていることに注意 されたい.

調 査 の方法 はアンケー ト方 式 とし,後 述する基 準 により選 定 した全 国の視 障者 事業者 にア ンケー ト用紙 を郵 送することで行 つた.調 査精度を上 げるため,サ ンプル調査ではなく全数調 査 とした.ア ンケー ト方式 を選 んだのは,今 日現実 に活 動 している視 障者事 業者 の歴 史を大 きく捉 えようとす る場合 ,ア ンケー トが最も簡便かつ正確 な手法であると考えたためである.問 題 点 としては,廃業 した事 業者 が調 査 の対象 にならないことが挙 げられる.この点 は,消 え去 つたものから得 られる教訓よりも続 いてきたものから得 られる教 訓 のほうが大きいと考 えた.ま た,ア ンケー トという手法 には,固 有 の誤 差 がつきまとうことは否 めない.この点 は後 でも触 れ るが,質問を少 なくし答 えや す いものとしたこと,既存 資料 などか ら回答 に矛 盾 を感 じた場 合 12010(平成 22)年 8月 に国立 国会 図書館 およびCiN五 論 文情報 ナビゲータを中心 に検 索. キーワードには"盲","盲人福祉 ","盲 導 犬","視","視覚 障害","点 字 ","点 字 図書 館 ","ラ イトハ ウス"を入力 した.

には電話 で確 認 したこと,歴史 上 どうしても外 せ ない事 業者 には関係 者 を通 じ回答 を促 した ことなど,誤差 を極 力縮 める努 力 をした.さらに,本調 査 後 の計 画 として,主要な事 業者 に年 史などの資料 を求 めていくこと,現地 聞き取 り調査で内容 を補っていくことなどを予 定している. なお ,回 答 の根 拠 を一次 資料 に求 める等,回答 方 法 に細 かな注 文 をつ けることは得 策 でな いと考 えた.一 学生 に過 ぎない筆者 がそのようなことをすれ ば,十 分な回答率 が得 られなくな り,か えって全体 の誤 差が拡 大すると考えたためである.

アンケートの質 問内容 は,「

1。

基本 事項 」,「2.行つている事 業種別 」,「3.事業 開始 時 に 参 考 にした事 業者 」,「

4。

事 業 開始 時 に指 導を受 けた人 物 」に大別 し

,「 1。

基 本 事項 」につ いては,組織 の正 式名 称,記入 担 当者 の氏名0所属・電 話 番 号,設立年 ,設 立 当時の代 表 者 の氏名 ,設 立 当時の名 称(現在 と異 なつている場 合),前 身 となつた組 織 がある場 合 には, その設 立年,設立 当時の代 表者 の氏名 ,設 立 当時の名 称(前身 となった組 織 が複 数 存在 す る場合 には,そ れぞれ について記入

),「 2。

行 つている事 業種別 」につ いては

,A点

字 出版,

B点

字 図書館 および情報提供

,C点

訳者養 成

,D歩

行 訓練

,E移

動 支援

,Fホ

ームヘルプ,

G生

活支援

,H相

談事 業,I盲導 犬,J三療養 成

,K職

業 訓練

,L就

労移 行支 援 および就 労 継 続 支援

,M新

職 業 開拓

,N盲

人ホーム

,o盲

児施 設

,P視

覚 障害者福祉 ホーム

,Q盲

婦 人救護施 設

,R視

覚 障害者 授 産施設

,S視

覚 障害者 更生施 設

,T視

覚障 害者 療護 施 設

,U

盲老 人ホーム

,v補

装具 および盲人用 具製 造

,W調

0研

,X収

益 事 業

,Yそ

の他 のそれ ぞれ につ いて実施 の有無 と開始 年 を問うものとした.な お,これ らの事 業 が前身 組 織 か ら受 け継 がれている場合 には,前 身組 織 における開始年 で記入 してもらうとともに,上 記

K,M,W, X,Yに

ついては,そ の具体的 内容を記入 してもらつた.

これらの質 問を作成するのに当たっては,回 収率を上 げるため,な るべく質 問項 目を減 らし, また答 えや す いものとなるよう配慮 した.具体 的 には,調査 の 目的 にある事業者 の規模 につ いて,予算 の規模 や職 員 数 のような経 営 に立ち入 つた質 問は避 け,事業種 別 の数 でおおま か に評価 することにした.また,事業を始 める要 因 につ いては回答 が得 られ にくいことが予想 されたため,事 業 を始 める際 に参 考 にした法 人・団体等 および指 導を受 けた人物 を質 問に入 れるのにとどめた.さらに,事業 を始 める要 因を探 る上で,前 身 となつた組織 や代表者名 は重 要な情報 となるので,これを質 問 に含 めた.な お,質問2の 事 業 の分類 分 けについては,(福

)

日本 盲人社 会福祉 施設 協議 会 の会員名 簿 の分類分 けを参考 にした.

調 査 対象 の事 業者 は,次により選 定 した.すなわち,①(福

)日

本 盲 人社 会福祉 施 設 協議 会 の会員 となっている法人・団体 等,②(福

)日

本 盲 人 会連 合 に加 盟 している法 人・団体 等,

③ 全 国 盲老 人福 祉 施 設 連 絡 協議 会 に加 盟 している法人・団体 等,④(特)全国 盲 導 犬施 設 連 合 会 に加 盟 している法 人・団体 等,⑤(福 )全国盲ろう者 協 会 のホームペ ージに掲 載 され て いる,全国の「盲 ろう者 友 の会 のリスト」にある法人0団体 等,⑥全 国盲ろう者 団体連 絡協議 会 に加 盟 している法人0団体 等,⑦「無料電話案 内 104。com」 (http://104.com/)の ホームペ ー ジで,検 索キーワー ドに"盲","盲人福祉","盲導 犬","視","視覚 障害","点","点 字 図書館 ","ラ イトハ ウス"を入 力 して見つかつたもののうち,各 法人・団体 等 のホームペ ージ を参 照 して視 障者 事業者 でないと判 断されるものを除いたもの.

なお ,盲 学校 については,今 日では社 会福祉 事業 の範 疇から外 れると考 えられるため,今 回の調査 の対 象から外 した.一 方 ,株 式会社 等 の営利 法人 であつても,上 記① に含 まれるも のは調 査 の対象 とした.視障者 事 業が事 業である以 上 ,い ずれかの団体 に所 属 し,何らかの 方 法 で視 障者 に 自らの存在 を示そうとするはず であり,上 に挙 げた方 法 の組合せ で,全国の 視 障者 事 業者 のほぼす べ てを網 羅 できていると考 えた.な お ,ア ンケー トに同封 していた調 査 対 象 事 業者 の一 覧を見て,複数 の事 業者 が,調査 対 象 の漏 れを指 摘 してくださった.上 記⑤,⑥ は,そ の指摘 に従 い追加 したものである.

本 調 査 は 2010(平 成22)年 9月 に計画を開始し,10月 に調査対象 の選 定を終え

,H月

15

日付 で全 国

357事

業者 にアンケー ト用 紙 を郵 送 した.そ の後 ,回 答者から別 の事 業者 の紹 介 などがあり,ア ンケート送付 先数 は最 終的 に 410となつた.ア ンケー トの一応 の締 め切 りは 11月 末 としていたが,12月 末 においても回収数 は225にとどまっていた.この数 字 には,調 査 対象外 と判 明したものや組織 が重複 していたものも含 まれているので,回 答 率としては 60 蘇 程 度 であった。後 にわかったことであるが,歴史 が古 く職 員 が世 代 交代 している事 業者 で は,質問を埋 めるのに時 間がかかるようであった.このため,翌年 1月 半 ばより,未 回収 の事 業者 に対 し,時間がかかつてもよいので回答 を願 いたい 旨,電話 で依 頼す る活 動 を始 めた. また,歴史 的 に見て外 す ことのできない事 業者 に対 しては,関 係 者 を通 じて回答 を依頼 した. その結果,有効 回答数 は 243となり,調 査対象外 と判 明したものおよび 同一組織 と判 明し除 外 したものを除いた回答 率 は

69。

81掠 となった.この調査 が全数調 査 であることを考えれ ば,

全 国の視 障者 事業者 の約

7割

のデータが得 られたわけであり,本調 査 の 目的を達成する上 では十分な回答 率であると言える。なお ,盲 ろう者 の団体 は回答 率が他より低かったが,これ は同団体 の多くがまだ若 く,同 団体のいくつかが現在 まだ事業 の確 立途上 にあるため,回 答 が難 しかったのであろう.

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