30分 2分
M- H法 C-H法
30分
� a・・h
第4章石膏廃棄物を用いた水酸アパタイトの合成
石膏から水酸アパタイトが生成する初期段階では、 2次反応が進行すると仮定すると反応速度 Vは次式で与えられる。
V = dx/dt = k(a-5x)(b-3x) ・・・・・[2]
これを解くと次式が得られる。
1 3a(5b -15x)
ln = k t . . . [3]
5b -3a 5b(3a -15x)
したがって、左辺を時間 tに対してプロットして得られるグラフの傾きが反応速度定数となる。
ただし、 各記号の意味は次のようである。
a : CaS04・2H20の初期投入量(mol) b : (NH4hHP04の初濃度(moldm-3) x:水酸アパタイト の 生成量(mol) k :反応速度定数(mol-1 dm -3min -1) t :反応時間(min)
[3]式 の左辺をYとおき 、 C-H法とM-H法それぞれについて原系と生成系 の値をを代入 し、 反応時間を横軸にとってプロットしたものが図4-20、 4-21である。 ただし水酸アパタイ
11 ny nHU ウt 円。
「D A斗A qd 円4 1i nU ハU ハU ハu nU ハu nu nu nu nu
〉
.1000C ロ900C A800C
・700C o600C
・500C
。 200 400 600
t (min)
800 1000 1200
図4-20 C-H法で、の石膏から水酸アパタイトへの変化における反応速度定数の決定
�
第4章石膏廃棄物を用いた水酸アパタイトの合成
トの生成量には、 X線回折ピーク強度の比と系内の原料の使用量から求めた値を使用した。 l苅 4-20に見られるようにC-H法ではほぼ直線関係が得られ、この傾きから反応速度定数を求め
た。 一方、M-H法では図4-21のように反応の初期と後半で傾きが変化し曲線となったが、
初期の傾きから同様に反応速度定数を求めた。 これらの結果を表4・2に示す。 これより、 反応 温度が50---900Cの範囲ではM-H法の反応速度定数はC-H法の約50---6 0倍の値になって
いる。 一方1000Cでは265倍と非常に大きくなっている。 水の沸点である 1000Cにおいては容 器内の水分子の運動が活発になり、 それ以下の温度と比べてマイクロ波による反応速度増加の 効果がより大きくなったものと思われる。 マイクロ波照射による化学反応速度への影響は、 そ
の反応系によって1桁から2桁反応速度を向上させるとの報告がある。 本実験で行った、
から水酸アパタイトへの転化反応においては、 1000Cにおいて2桁のオーダーで反応速度の向 上がみとめられた。
0.9 0.8 0.7 0.6 0.5
〉 0.4
0.3 0.2 0.1
。
。
.1000Cロ900C .80oC
・700C o60oC ・500C
10 20 30 40 50 60 70
、、,ノn m r,,‘、、+L
図4-21 M-H法での石膏から水酸アパタイトへの変化における反応速度定数の決定
表4-2 C-H法およびM-H法による石膏から水酸アパタイトへの反応速度定数
温度COC) C-H 法 M-H法 k(M-H) / k(C-H)
50 1.49 x 10-4 7.60X10-3 51.01
60 3.4 7 X 10-4 1.67 X 10-2 48.13
70 4.01 X 10-4 2.17 X 10-2 54.11
80 8.73 X 10-4 5.01 X 10-2 57.38
90 1.23 X 10-3 6.05 X 10-2 49.18
100 2.27 X 10-3 6.02 X 10-1 265.2
-・ー酔
第4章石膏廃棄物を用いた水酸アパタイトの合成
次にアレニウスの式Clnk二lnA -EIRT )にそれぞれの反応速度定数を代入し、 図4・22の傾 きより50'"'-'1000Cにおける活性化エネルギーを求めた。 気体定数 の値にはR=8.31Jぽmolを 用いた。 ただしM-H法では50'"'-'900Cのデータを用いた。 その結果、 M-H法での合成時に はE=51.30KJ/mol、C-H法ではE=51.59KJ/molと、 活性化エネルギー の値に大きな変化は 見られなかった。 したがって、 マイクロ波導入の有無に関係なく反応初期の水酸アパタイトの 生成機構は同じであると考えることができる。 マイクロ波照射下では通常の水熱処理 と比べて 反応容器中の温度が極めて短い時間で上昇したことによって、 水酸アパタイトの生成速度が向 上したと考えられる。 マイクロ波を
導入した場合、900C以下では図4-21
にみられるように反応の初期と後半 でアパタイト化速度が大きく変化し た。 これは反応初期に水酸アパタイ トの核が石膏粒子表面に迅速に形成 して石膏の表面を被うため、 粒子内 部から溶液内へのCa2+イオンの供 給量が一時的に低下することによる と推察される。 一方1000Cでは水分 子の運動が極めて活発になるために、
水酸アパタイトの核は石膏粒子表面 から離されて溶液内に浮遊し、 石膏 からのCa2+イオンの溶解が迅速に 行われ、 極めて短い時間で 100%水 酸アパタイトへ到達したと考えられ
る。
。
-2 -3 -4 ピロ -5
6 - 7 -8 -9
-10
0.0026 0.0028
I/T
.C-H法
・M-H法
0.003 0.0032
図4-22 C-H法およびM-H法での石膏から 水酸アパタイトへの転化反応のアレニウスプロット
(2)水酸アパタイトの結晶形態に及ぼすマイクロ波 の効果
!文14・23はM-H法で1000Cにて1分および2時間処理を行って合成した水酸アパタイトの TEM写真である。 長さ50�600 nmに伸びた針状の水酸アパタイト結品が観察される。 1000C においてC-H法とM-H法で得られた水酸アパタイト結晶のサイズを表4-3 にまとめた。C
-H法の場合、 2時間以下の反応では石膏の結晶相が残存しているため、 水酸アパタイト結
第4章石膏廃棄物を用いた水酸アパタイトの合成
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図4-23石膏粉末を0.5Mの(NH4)2HP04中で1000Cにて(A)l分および (8)2時間マイクロ波水熱処理して合成した水酸アパタイト結晶
表4-3石膏粉末と0.5Mの(NHんHP04から1000Cで、合成した水酸アパタイト結晶の性状
転化率 結晶サイズ(nm) 比表面積
処理方法 反応時間
(%) 長さ 中高 ( m2/ g )
l分 80 30-300 5-50 76.5
5分 100 30-300 5-50 96.2
M-H法 30分 100 30-400 5-100 70.9
60分 100 50-500 10-100 60.8
120分 100 50-600 10-100 58.8
一
1時間 23 19.3
C-H法 2時間 41 30.1
8時間 100 100-15000 50-2000 40.1
24時間 100 100-20000 50-2000 36.6
の形状を特定することは困難であった。C-H法とM-H法では石膏が完全に水酸アパタイト 化するまでに要する時間が異なるため、 結品の大きさについて定量的に比較することはできな い。 しかしM-H法では、 短時間で長さ30""'300nmの針状の水酸アパタイト結晶が生成して いるが、 2時間反応後でも長さ50""'600nmとそれほど大きな結品成長は起こっていないこと がわかる。
-・ー-第4章石膏廃棄物を用いた水酸アパタイトの合成
方、C-H法では、 石膏の結品相が消失した時点で、 生成した水酸アパタイト結晶のサイ ズは既に長さが100'"'"'15000nmにまで成長している。 これは、 M-H法の場合には、 極めて 短い時間で微細なアパタイトの結晶が生成するため、溶液中のP043一イオン濃度が急激に減少 して結晶成長が抑制されるが、 C-H法では核生成速度が遅いために大きなサイズの結晶が成 長しやすかったと考えられる。 得られた水酸アパタイトの比表面積は石膏からの転化率が 100%に到達するまでは増加したが、M-H法、C-H法いずれの場合も結品の成長にしたがっ て比表面積は減少した。 M-H法では1000C-5分間の処理で、 約96m2/gの水酸アパタイト 粉末が得られた。
以上のように、 マイクロ波照射による水熱処理は、 石膏粉末からの水酸アパタイトの生成に おいて、 反応時間の短縮だけではなく、 得られる水酸アパタイト結晶の性状にも影響を及ぼす という知見が得られた。 結晶サイズの差については100%水酸アパタイト化するまでの時間が 異なるため定量的に議論することはできないが、C-H法と比べるとM-H法の場合には微細 な水酸アパタイト結品が得られることが明らかとなった。
3-4 本節のまとめ
省エネルギープロセスとして注目されているマイクロ波照射による水熱処理により廃石膏 粉末から水酸アパタイト結晶を合成し、 水酸アパタイト化の速度、 結晶の性状の違いなどを通 常の水熱処理と比較した。 得られた結果を以下に示す。
(1)マイクロ波の導入により、 50'"'"'900Cの範囲では反応速度は約50'"'"'60倍、 1000Cにおいて は250倍以上となり、 1000Cではわずか1分間で微細な水酸アパタイトの結晶が得られた。 石 膏から水酸アパタイトへの転化反応における初期の活性化エネルギーは、 マイクロ波導入の有 無に関わらず大きな変化はなかった。
(2)生成する水酸アパタイト結品のサイズは、 C-H法とM-H法で反応に要する時間が異 なるために定量的な比較はできないが、 マイクロ波を用いた場合の方が微細な結晶が得られる 傾向にあった。 これはマイクロ波照射下では、 極めて短時間で水酸アパタイトの結晶核が多量 に生成するためであると推察される。
第4節 本章のまとめ
本章では、 機能性材料のひとつである水酸アパタイト多孔体を石膏廃棄物から直接合成する ことを試みた。 また省エネルギーフロセスとして注目されているマイクロ波を導入し、 石膏か