0.1 0
。
.500C
・750C .1000C
5 10 15
反応時間(日)
20
図4-5石膏片(気孔率60%)、気孔径2.4μm) の0.5Mの(NH4)2HP04中で、の水酸アパタイトイヒ 速度に及ぼす水熱処理温度の影響
-・ー-ー
�
第4章石膏廃棄物を用いた水酸アパタイトの合成
図4-6石膏片を0.5Mの(NH4)2HP04中で1000Cにて1日水熱処理したサンプル内部のSEM写真
(2)水酸アパタイトの生成機構と結晶形態
民�4・7は500C、 1000Cで合成した水酸アパタイトのX線回折パターンである。 通常、 生体内 の骨や歯の象牙質に含まれるアパタイトは0.2μm以下の微細な結品で、 図4・8に示すように X線回折図は31 ""'34。 付近の4本の回折ピークがブロードな一本のピークとして観測される 106)。 唯一エナメル質のアパタイトだけが例外で結品性が高く、 配向性が強いため300面のピ ーク強度が大きい。石膏から水熱処理で、合成した水酸アパタイトは、 いずれの温度条件でも31
""' 34 0 の回折ピークが分離し、 生体内の水酸アパタイトより結品性が高いことがわかる。 特に
1400 1200
() υ m EL 1000 800
性君4〉9事国〈H 40 0 200
。
500C
10 20 30 40 50
2 e /0 (Cu-K α)
図4-7石膏片(気孔率600/0、気孔径2.4μm)を0.5Mの(NH�)2HP04中で 500Cおよび1000Cにて水熱処理して合成した水酸アパタイトのX線回折パターン
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第4章石膏廃棄物を用いた水酸アパタイトの合成
1000Cで合成したサンプルの場合は500Cのものよりピークがはっきりと分離し、 水酸アパタイ
トの結品が成長している。
刈4・9に未処理の石膏片、 500Cで15日間、 及び1000Cで3日間水熱処理して合成した水酸 アパタイト多孔体のSEM写真を示す。 500Cで合成したサンプルでは反応前の石膏の結品形状 が保持され、 非常に微細な水酸アパタイト結品が生成している。 ただし図4・8のX線回折から わかるように、 石膏の粒子形状は残っている
が結晶相としては完全に水酸アパタイトに転 化している。1000Cの水熱処理では石膏に由来 する結晶形態は消失し、 水酸アパタイトの針 状結晶が放射状に伸びた組織が観察された。
この結品サイズの違いは X線回折図から示唆 される結果と一致している。
生体内で生成する水酸アパタイトには様々 な生成機構があるが、 多くの場合前駆体を経 由するといわれており、 その中でも8リン酸 カルシウム[Ca8H2(P04)6・5H20]を経由して生 成する水酸アパタイトはよく知られている96)。
象牙質
--.Jv人一一
エナメル質
ーム人んよ
月、同
2 e r (CuKα)
図4-8生体組織中に存在する水酸 アパタイトのX線回折ノξターン
図4-9 (A)石膏片および石膏片(気孔率600/0 気孔径2.4μm)を0.5Mの(NH'I)2HP04中で (B)500Cおよび(C)lOOOCにて水熱処理して合成 した水酸アパタイトの組織写真
a・・・b
第4章石膏廃棄物を用いた水酸アパタイトの合成
合成水酸アパタイトにおいても、 反応条件によっては同様に8リン酸カルシウムを経由する場 合がある。 このようにして生成した水酸アパタイトは、 8リン酸カルシウムの結品形態を保持 し、 板状に成長することが多い。 一方、 本実験において合成された水酸アパタイトは針状に伸 びた結品形態を示し、 水酸アパタイトの結晶系である六方品系から生成されやすい品癖である 柱状を基本としている。 このことから、本研究で廃石膏から合成された水酸アパタイトの場合、
前駆体を経由することなく直接水酸アパタイト核が形成されたと推察される。
本実験系での、 石膏から水酸アパタイト多孔体への転化機構は次のように考えられる。 50'"'"' 1000Cの温度範囲では水に対する石膏の溶解度は図4-10 のように0.16'"'"'0.21%である54)。 水 酸アパタイトは、リン酸カルシウム系化合物の中では溶解度が最も小さく、 溶解度積は10-110 -120のオーダーである107)。 したがって水熱処理容器内で、は、 石膏表面から僅かに溶け出した Ca2+が溶液中のP043-、 及びOHーとともに[1]式にしたがって水酸アパタイトの結晶核を形成 して石膏表面に吸着し、 水酸アパタイトの微結品が石膏の棒状結晶の表面に生成する。 溶液中 のCa2+が水酸アパタイト生成のために消費されると、 さらに石膏からCa2+が溶け出し、 水酸 アパタイト結晶の生成と成長が進行する。 そして最終的に石膏の結晶相は完全に消失し、 水酸 アパタイトへの転化が完了する。 水酸アパタイト結晶核のうち一部は石膏表面に吸着せず、 反 応溶液中で結品が成長し沈殿物となった。 なお副生成物の(NH4hS04は可溶性の塩なので、 反 応終了後も溶液中に存在する。
実験を行った50'"'"'1000Cの温度範囲では石膏の溶解度の差はほとんどないので、Ca2+の溶出 量の差が水酸アパタイト化速度の差の原因とは考えにくい。 反応温度の上昇に伴い、 溶液中の 各イオンからの水酸アパタイト核の生成と
成長が促進され、水酸アパタイト化時間が短 縮されたと推察される。 また 500Cでは核生 成が優先的に進行するため、石膏の針状粒子 の表面に微細な水酸アパタイトが生成した 粒子形状が残存しているが、1000Cでは核生 成よりも結晶成長が支配的になるために、石 膏本来の形態は完全に消失して水酸アパタ イトの針状結品が発達したと考えられる。
水酸アパタイトの合成プロセスにおいて、
反応系内の化学種の違いやpHなどの諸条
nRU 可t cU Fhu
必喧
nυ nu nυ nu
nu (渓).0∞符ハ)
0.3
0.2 0.1
図4-10石膏の溶解度
-・・ー
第4章石膏廃棄物を用いた水酸アパタイトの合成
件 によってアパタイト以外のリン酸カルシウム系化合物 が副産物として生成することは よく
知られて いる。 例えば湿式法 や加水分解法での水酸アパタイトの 合成プロセスにお いて、 中性 よりアルカリ側の領域では水酸アパタイトが安定して生成する が、 pH が 酸性側に傾くとブル ツシャイト(CaHP04・2H20)やモネタイト(CaHP04) が生成することが報告されている108 109)。本研究での石膏と(NHJ2HP04を原料にした実験系では、生成物として水酸アパタイトの みを得ることができた。石膏から水酸アパタイトへの反応は[1]式で表され、水酸アパタイト 生成に伴って(NH4 hS04とH2S04 が生成する。(NH4hS04の水に対する 溶解度は 50""' 1000C
の範囲では 45.76""'50.42wt%な のでほとんど溶解して おり中性を示す が、 H2S04 の生成によ りpHは 低下する。本実験の条件では反応前の(NH4)2HP04溶液のpHは約8. 0、反応後の最終
的な pH は約 7.5と弱アルカリから中性の領域で変化した。 本実験系では反応速度の 低下と H2S04の生成によるpH低下を防ぐため、 理論量の7倍過剰の(NH4hHP04を使用した。 結果
的にこ の条件では未反応の(NH4hHP04が大量に残存し、 反応に伴うpH低下は小さく 、 反応 終了時でもpH=7.5 であったため、 安定な水酸アパタイトを得ることができた。実用上、 でき るだけ理論比に近し)(NH4)2HP04の 使用量で水酸アパタイトを合成する には、 反応の進行とと
も にNH3水などのアルカリ を加え、pHの 低下を防ぐ措置が必要になろう。
(3)水酸アパタイト多孔体の気孔特性
凋4・11は500C及び1000Cでの水熱処理による石膏から水酸アパタイトへの転化に伴う気孔 分布の 変化である。気孔直径2μm付近の 分布は 原料に用いた石膏 の気孔に由来するピークで
0.4 0.5
0.35 (b) 1000C
15日 0.4
� 0.3
n )、 bE、、
0.3 m、、bEL、
J
c 025
7日 梗偽 0.2
除l駆Ft 官
」F十 0.15 3日 02
ぽ 0.1 0. 05 0.1
。 。
0.01 0.1 10 100 0.01 0.1 10 100
気孔径(μm) 気孔径(μm)
図4-11石膏片(気孔率60010、気孔径2.4μm)を0.5Mの(NH'1)2HPO"中で、(a) 500Cおよび (b) 100oC'こて水熱処理したときの水酸アパタイト化に伴う気孔分布の変化
-
�・-第4章石膏廃棄物を用いた水酸アパタイトの合成
ある。 水酸アパタイト化が進行するに従って石膏由来の気孔は減少し、 0.1�1. 0μmの広い範 囲に分布している水酸アパタイト多孔体由来のピークへと変化する。 反応温度500Cでは15日 反応後も2μm付近の気孔が残存しているが、 図4・5で示したように結晶相はすべて水酸アパ タイトに変化している。 また、 1000Cの場合と比べて非常に広い範囲に気孔が分布しているこ とがわかる。 一方1000Cでは2日で単一気孔を持つ水酸アパタイト多孔体が生成した。
水酸アパタイトに完全に転化した後の気孔率は 75� 78%と、 原料として用いた石膏の気孔 率60%より増加している。2水石膏と水酸アパタイトの結晶密度はそれぞれ2.31g/cm3と3 .17
g/cm3であるから、 2水石膏が100%水酸アパタイト化に転化すれば体積が27 %縮小すること になる。 しかしながら、 本実験では水熱処理前後で使用した石膏のサイズに変化は認められな かった。 したがって、 内部での空隙率が大きくなる。 すなわち60%の気孔率を持つ 2 水石膏 は、 水酸アパタイト化することで、 計算上は気孔率 71%の多孔体になる。 実際に得られたサ ンプルでは計算値よりやや大きな気孔率を示した。
また、 2 水石膏の分子量=172.172、 水酸アパタイトの分子量=1004 . 78 であるから、[1]式 に基いて2水石膏が100%水酸アパタイトに転化すればサンプル重量は1004 . 78---:- (172.172
x 10) = 0.58となり、 反応前と比べサンプル重量が 58%に減少する。 本実験で合成した水酸 アパタイトの重量は、 いずれも反応前の石膏の 60%程度となり、 分子量の変化にほぼ見合っ た重量変化が観察された。
500C、 750C、1000Cで処理した試 料の BET比表面積の変化 を図
4・12に示す。 図4-5の結果と照合 すれば、 反応温度 500Cでは水酸ア パタイト化に 2週間を要し、 アパ タイト化とともに比表面積が増加 しているが、 750C、1000Cの反応で は、 石膏が水酸アパタイトに完全 に転化した後は比表面積は減少し ていることがわかる。 500Cでは最 終的な比表面積は 45m2/gまで増加 したが反応温度が高いほど得られ た試料の比表面積は小さくなった。
50 45 40 2
\ \ E 35
、..__; 30 海阻 25 制起 20 15 10 5
。
。
.500C
• 750C 企1000C
5 10 15
反応時間(日)
20
図4-12石膏片(気孔率60010、気孔径2.4μm)を0.5M の(NH�)2HPO�中で500C、750C、1000Cにて水熱処理し たときの水酸アパタイト化に伴う比表面積の変化
-ー一一一
?守-第4章石膏廃棄物を用いた水酸アパタイトの合成
この結果はSEMで観察された水酸アパタイト結晶の大きさの違い(図4・8)から予測される結果 と同じ傾向を示しており、反応温度が低い方が微細な結晶が生成し、高比表面積の水酸アパタ イトが得られた。
(4)アパタイト化速度に及ぼす石膏の気孔特性の影響 異なる気孔特性をもった3種
類の廃石膏(表4-1 の石膏 2---4) を用い、5X10X2 0mmに切り出
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。 2 4 6 8 10 12
反応時間(日)
いない。 石膏 4は高圧鋳込み 用に使用された石膏で、気孔率が約27 %と他のサンプルに比べ て非常に小さいことが特徴である。
このように気孔率の小さな石膏では、10日間では水溶液中のP043一イオンが石膏内部まで
十分に拡散せず、完全に水酸アパタイト化することが困難であった。実際に陶磁器の製造現場 で排出されている使用済み石膏は、圧力鋳込用、排泥鋳込用、ローラーマシン 用、など種類に よって異なる気孔特性を有するため、水酸アパタイト化のために要する時間 もそれぞれ異なる ことに注意する必要がある。
(5 )石膏のアパタイト化速度に及ぼす(NH4hHP04濃度の影響
10X 10X 1mm の石膏片(気孔率: 55.5%、気孔径: 1.65μm )を用いて(NH4)2HP04濃度 の違いによる水酸アパタイト化に要する時間の変化を調べた。(NHJ2HP04 濃度を0.2、 0.5、
1. 0M として水熱処理を行った。 処理温度 500Cで1---7日水熱処理したときの石膏 から水酸ア 図4-13石膏をO.5Mの(NHIj)2HPOIj中で500C にて水熱処理したときの水酸アパタイトへの転化 時間に及ぼす石膏の気孔特性の影響
・石膏2 ・石膏3 �石膏4