• 検索結果がありません。

Energy Cut 後

ドキュメント内 miyazaki_mthesis.pdf (ページ 116-123)

第 4 章 プロトタイプ実験とその解析 · 結果

4.5 非共振イベントにおけるイベントセレクションの適用

4.5.2 Energy Cut 後

energy [keV]

100 200 300 400 500

counts [A.U.]

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

図 4.20: イベントセレクション前の1つのLaBr3のエネルギースペクトラム.

energy [keV]

100 200 300 400 500

counts [A.U.]

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

図 4.21: back-to-backセレクション後の1つのLaBr3のエネルギースペクトラム. back-to-back の位置にあるLaBr3結晶で検出されたエネルギーが511 keV±3σだった場合の, LaBr3結晶で検 出されるエネルギーである. このスペクトラムで511 keV周囲3σを見ると, イベントセレクショ ンで要求されたEnergy Cutとなる.

Timing Window

図4.22はTiming Window 150 nsから320 nsをかけたときのエネルギースペクトラムの比較 である. back-to-backの位置にあるLaBr3結晶で検出されたエネルギーが511 keV±3σだった場 合の, LaBr3結晶で検出されるエネルギーを,独立な検出器に対して総和をとった. Energy Cutに 追加してTiming Windowをとることで,オフライントリガーの0.39%にイベント数は低下する.

Timing Windowをとることで, 4.3節で得たポジトロニウムの解析情報を用いてデータの絶対

的なレートの比較に意味が出てくる. このスペクトルを作るイベントは大きくわけて3光子崩壊 のコンタミネーション, pick-off崩壊,パイルアップである. これらは3.7節で説明された方法でシ ミュレーションにより見積もられている. その上で,実験データと合わせるためにスケールファク ターを見積もり使用した.

まず全体に3.7.4節で見積もられたタグ効率0.92·0.67がかかる. さらにそれぞれ,以下のスケー ルファクターをかけてスペクトラムをスケールした.

1. 3光子崩壊のコンタミネーション:0.75·STW

2. pick-off崩壊 : (3光子崩壊のスケールファクター)·Γpick−offΓo−Ps 3. パイルアップ :Ptag ·WTW

ここでxはポジトロニウム生成効率でx= 0.30, 0.75はスピン統計から来るo-Psの生成割合,STW は崩壊曲線のTiming Window中の面積比であり,Timing Windowをt1からt2としたとき

STW =eΓ·t1−eΓ·t2 (4.11) で表され,ここで用いたΓはpick-off崩壊率を含めたo-Psの崩壊率であり, Γ = 1421

1 +ΓΓpick−off

o−Ps

ns1 である. また ΓΓpick−off

o−Ps = 0.061はo-Ps崩壊に対するpick-off崩壊の割合であり,Ptagはタグ効率を 含んだタグのレートで,WTWはTiming Windowの幅320150 nsである.

以上により得られたスペクトラムである図4.22をみると, まずパイルアップがほぼ全てを占め ていることが分かる. これは次のPsOnTime Cutによって他の寄与と同程度まで除去される. そ の上で, 絶対的な計数がデータに比べシミュレーションの見積もりが20%程度少ないことが分か る. すなわちパイルアップイベントの見積もりに不備があることを意味している.

そこで,データからパイルアップを見積もり,モンテカルロ·シミュレーションと比較した. Timing Window 800 nsから970 nsはo-Psは崩壊しきっており, ほぼ全てがパイルアップイベントであ る. この領域でシミュレーションと比較したのが図4.23である. なお,ストップレートによるパイ ルアップイベントの補正は1%以下と小さかったために考慮していない. これをみると, 511 keV 光電ピークの数がデータの方が10%ほど多く,シミュレーションはパイルアップを過小評価してい ることが分かる. しかしこれを含めても図4.22での差異20%の説明にはならない. 現在この点に 関しては調査中であるが, 次のPsOnTimeカットをかけるとデータとシミュレーションの予想は かなり近くなるため,不一致の原因はパイルアップであると考えている.

energy [keV]

100 150 200 250 300 350 400 450 500 550 600

counts / 5keV / sec

0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0.12 0.14 0.16 0.18 0.2

0.22 MC

γ 3 pickoff pileup Data

図4.22: Timing Windowをかけたあとのスペクトラム. Energy Cutに加え,ノイズの影響が小さ いと考えられる150 nsから320 nsをとった場合のエネルギースペクトラム. 赤丸が実験データ, 黒い斜線で表されたのがシミュレーションで予想されるイベントの総和である. うちわけは,青い スペクトラムが3光子崩壊のコンタミネーション,緑がpick-off,マゼンタがパイルアップである.

energy [keV]

100 150 200 250 300 350 400 450 500 550 600

counts / 5keV / sec

0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0.12 0.14 0.16 0.18 0.2

expected pileup

measured pileup

図4.23: パイルアップイベントに対するデータとモンテカルロ·シミュレーションの比較1.

PsOn-Timeカットを加える前のデータとシミュレーションの比較である. 赤線が実験データ, 黒線が図 4.23で使用した,シミュレーションで予想されるパイルアップイベントである. データはTiming Window 800 nsから970 nsをとった. ストップレートによるパイルアップイベントの補正は0.1%以 下と小さかったために考慮していない.

energy [keV]

100 150 200 250 300 350 400 450 500 550 600

counts / 5keV / sec

0.002 0.004 0.006 0.008 0.01 0.012 0.014 0.016 0.018

MC γ 3 pickoff pileup Data

図 4.24: PsOnTimeのカットを加えた最終的なエネルギースペクトラム. このスペクトラムで

511 keV周囲3σをとると,今回のイベントセレクションで得られたレートが分かる.

4.5.3 最終的なエネルギースペクトラム

図4.24がPsOnTimeのCutを含めた最終的なエネルギースペクトラムである. 残ったイベント

数はオフライントリガーの0.034%である.

シミュレーションの見積もりは, PsOnTimeのCutによってパイルアップだけ変更される. すな わち,プラスチックシンチレータにエネルギーを落とすようなパイルアップイベントを除去し,残 りの,陽電子がガスチェンバーに向かわないタイプのパイルアップのみにした. これにより, 3光

子崩壊, pick-off崩壊,パイルアップの全ての寄与が同程度になった. 3光子崩壊とパイルアップは

511 keVピークの低エネルギー側にテールを引いているが,これはEnergy Cutにより除去される.

また, PsOnTimeカットを加える前はパイルアップイベントがデータとシミュレーションでずれ

ていた. PsOnTimeカットを加えたた後のパイルアップのスペクトラムは図4.25である. 今回は

シミュレーションの統計誤差が大きいために,誤差の範囲内でデータとシミュレーションが一致し

ているが, 511 keV光電吸収ピークはややデータの方が大きいようである. 今後はパイルアップを

データから評価する方法を視野に入れて考える必要があるだろう.

以上のイベントセレクションにおけるイベント数の変化を表4.4にまとめた.

energy [keV]

100 200 300 400 500

counts / 5keV / sec

0 0.001 0.002 0.003 0.004 0.005 0.006 0.007 0.008

expected pileup

measured pileup

図4.25: パイルアップイベントに対するデータとモンテカルロ·シミュレーションの比較2.

PsOn-Timeカットを加えた後のデータとシミュレーションの比較である. 赤線が実験データ, 黒線が図 4.23で使用した,シミュレーションで予想されるパイルアップイベントである. データはTiming Window 800 nsから970 nsをとった. ストップレートによるパイルアップイベントの補正は0.1%以 下と小さかったために考慮していない.

表4.4: イベントセレクションにおけるイベント数変化(非共振). オフライントリガーはそれ以降 全てのカットに対してあらかじめかかっている. livetimeは3日弱である.

カット条件 イベント数 カット前 9.3 ×107 オフライントリガー 1.8 ×107 back-to-back 511keV3σ (1) 1.9 ×106 Timing Window (2) 1.1×106 PsOnTime Cut (3) 1.9 ×106

(1)かつ(2) 71178

(1)かつ(3) 26895

(2)かつ(3) 498544

(1)かつ(2)かつ(3) 6179

energy [keV]

100 150 200 250 300 350 400 450 500 550 600

counts / 5keV / sec

10-6

10-5

10-4

10-3

10-2

MC γ 3 pickoff pileup Data

expected signal

図 4.26: 最終的なスペクトラムのログスケール. このスペクトラムで511 keV周囲3σをとると,

今回のイベントセレクションで得られたレートが分かる. 水色で示されたのが期待されるシグナ ルレートである.

ドキュメント内 miyazaki_mthesis.pdf (ページ 116-123)