第 3 章 実験装置 2: 放射線検出器系
3.6 データ取得システム
3.6.5 CAMAC によるデータ取得
今回使用したCAMACクレートコントローラーは大栄無線電機CC/NETである. これはモ ジュール内部にLinuxコンピュータシステムを持つ. ただしハードディスクを内部に持たないた め,別のLinux PCのディスクをnfsマウントして使用した.
CAMACで取得されたデータは以下の通りであった.
γ線のエネルギー これはLaBr3結晶で検出された後, QDC-1 (CAEN, C1205)で測られた. この モジュールは電荷積分型のチャージADCで,同時に3つのレンジで測定を行う. 今回の測定 では真ん中のレンジ(16 bit, フルスケール650 pC)で, 511 keVのγ線がフルスケールの8 割程度になるようにHVを調整している.
β+線がプラスチックシンチレータで落としたエネルギー これはQDC-2 (REPIC, RPC-022)で 測定された. このモジュールは12 bit, フルスケール1000 pCのチャージADCで,同じく電 荷積分型である.
プラスチックシンチレータとLaBr3結晶の信号のタイミング これはTDC(GNC-060)で測られ た. このモジュールは2 GHzの外部クロックで動作する,直接クロックカウント型のTDC である. トリガーに同期したコモンスタートに対して, LaBr3の図3.18に示した5 , 6及び 省略した残り2つのシグナルを, 200 nsのdelayを経て各ストップチャンネルにいれた. プ ラスチックシンチレータの信号に関しては,1 , 2及び4を1200 ns delayさせたものを測定 した.
LaBr3結晶の信号に同期したプラスチックシンチレータのエネルギー ポジトロニウムの遷移は, 一度o-Psを生成した後に発生するため,プロンプト崩壊に比べて遅れたイベントである. 今 実験は高レートであるため,パイルアップがそのイベントの非常に大きなバックグラウンド となる. ここでいうパイルアップとは図3.19に示されたようなイベントである. プラスチッ クシンチレータが鳴った後,次の陽電子が飛んできて対消滅を起こし,アクシデンタルに偽 のγ線を検出してしまうことがある. このイベントはo-Psが203 GHz光によってp-Psに 遷移して2γ崩壊するシグナルよりも, 100倍以上多く,除去しなければシグナルの検出が不 可能である. このようなイベントの圧倒的多数において,偽のγ線はプロンプト崩壊である. よって LaBr3結晶で検出される偽のγ線タイミングの近傍にプラスチックシンチレータの 信号がある. QDC-1にプラスチックシンチレータのシグナルを入れることで,このようなパ イルアップイベントのoff-line vetoが行えるようにした.
livetimeと各種レート SCALER-1(KC3122)を用いて測定した. このモジュールは100 MHz内 部クロックを持つスケーラである. LATCHシステムが解除されてからvetoがかかるまでの
1 MHzの外部クロックの信号をカウントしつつ,プラスチックシンチレータ単体と両側コイ
ンシデンス,さらにLaBr3結晶のdiscriminator信号をカウントしている2 .
ジャイロトロンのトリガ 前節で述べたように, input registerとSCALER-2(KC3122)でジャイロ トロンのトリガ信号を取得し,光学系への同期に利用した.
これら取得データとは別に,以下のCAMACモジュールからシグナルを出している.
• output register 1から出るLATCH解除のためのパルス
• output register 2から出るプラスチックシンチレータのゲートをランダムにするスイッチシ
グナル(level output)
• 光学系制御システムにCAMACシステムがreadyであることを伝える, output register 2か ら出るスイッチシグナル(level output)
2ただし回路図には記されていない. 実際にはこれらのシグナルを分割してvisual scalerでもレートの監視ができる ようになっていた.
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図3.18: 主なシグナルのタイミングチャート.
図3.19: LaBr3シグナルに同期したプラスチックシンチレータのシグナル